梅雨の真っ最中、この日曜日、昼間は雨は持ちましたが、コンサートが始まるころには雨になってしまいました。
しかしながら、お客様もたくさん来て下さり、おかげさまでとても良い会を持つことが出来ましたこと、心より感謝申し上げます。
生徒の皆さんも、本当に真摯に歌を歌ってくださり、気持ちの良い会になった、と感じられるものでした。

声楽は声を楽器にして音楽を演奏する行為、ですから、声を楽器に仕立てるテクニックはとても大事なことです。
基礎的なこと、たとえばブレスや、喉の基本的な扱い方など、基礎にもっと習熟するべき人、そして言葉の扱いにも注意すべき人、
さまざまです。また、どちらも大切で、どちらがどう、ということもありません。

芸事の世界は、泥沼のように際限なく深く難しいことがあります。
いつまで精進を続けていても、決して尽きることのない課題にぶつかりますが、
課題にぶつかるたびに新しい発見があるし、その発見があるから面白くて続けるのだと、私は思って声楽を勉強しています。
時々嫌になることもありますが、あ、判った!と思えることがあるので、辞めないで済んでいます。
続けている限り、必ず、やっていて良かった!と思える日が来ます。
少しずつで良いですから、長く続けてもらいたいと思います。

 

 

 

 

” >

OM

3曲とも良く歌えましたが、惜しかったです。緊張が出てしまって、声がもう一つしっかりしませんでした。
GPは声の響きが良く出ていたのです。
今回は、初体験ですから無理もありません。
これから経験を積んでください。それからテクニックを積極的に身につけて下さい。
身に付けよう、と努力されてください。
声楽は未だ緒に就いたばかりですから。
高音の声は元々良く出る喉なので、テクニックを身につければ、これからがとても楽しみです。
おめでとうございました。
“>

IM

彼女も惜しかった。GPから少し緊張がありましたが、本番は一番緊張がありました。
とはいえ、彼女のレベルからすると、こらえて耐えたことが良く解ります。
彼女の場合は、経験がありますので、後はテクニックです。
ブレスを意識して出来ること。音楽のリズムの中にブレスが組み込まれること。
これで判ると、自分のブレスが足りてるか足りてないか?瞬時に分かるでしょう。
ブレスをきちんと入れないで歌ってしまう印象があります。
テクニックは、この一点に尽きると思います。
これが出来るとリズムも自ずとしっかりするのです。
次回も同じ曲で良いので、ぜひこのブレスとリズムの関係を構築してください。
おめでとうございました。
“>

GH

全体に安定した演奏が出来たため、描かれている音楽がほぼ正しく伝わった、と感じられました。
Caro mio benは、男性的に優しい歌声で、抒情的なこの曲本来の良さが出せていたと思います。
「冬の旅」の「勇気」も、ほぼ教えた通りに良いテンポの歌で、声も良いポイントだったと思います。
3曲目の「凍結」は、微妙に緊張のせいか、喉の高い歌声で、もう少しどっしりした歌声が聞きたかった。
GPからどうもテンポを急いでいたようでした。本番のテンションの高さもあったのでしょう。
このような曲は、音楽より情熱が先走るので注意が必要です。
やはり音楽の普遍的な表現を優先順位としてください。
そのためには、ブレスと声の準備をもう少ししっかり、明快に出来ると良いのです。
詩の内容表現のテンションと、音楽とのバランスは難しいことですが、今はもっともっと声による音楽を大事にバランスすべきでしょう。
おめでとうございました。
“>

AC

素晴らしい出来だったと思います。
GPは、彼女の芸としては恐らく最高の出来だった、と思いました。
それから比較すると本番は90点、というところでしょうか。
2曲目の低音発声、そして3曲目でブレスの緊張が途切れてしまいました。ここは惜しかった。
4曲目は、発声の課題とスタイルがもう一歩。
ともあれ、全体には良く歌えました。
実は発声の課題はまだまだあるのですが、それをはねのけて美しく歌ってしまう芯の強さと若さがありますね。
これからは、ぜひ声のテクニックも更に積極的に身に付けてください。おめでとうございました。
“>

MT

彼も素晴らしい出来でした。
GPから安定していて、ほぼそのまま本番をこなしたのではないでしょうか。
強いて言えば本番の方が、少し上がったのでしょうか?
その分、彼らしく冷静な歌い方になった、という印象がありました。
そのため、5曲目の後半の情熱がいま一つでした。出だしは素晴らしかったです。
この辺りは、彼の発声の課題ではないでしょうか。
また、4曲目もレッスンではもっと面白く歌えていた、と思います。
ただ、2曲目「ホテル」は、本番が一番良かった。
良く勉強してくれました。おめでとうございました。
“>

NA

今回の演奏は、彼女の今までの中でも素晴らしい方の上位に入ったと思います。
特にフォーレの歌曲は、技術的なことよりも、歌う人の感情が出ていたことが、一種の成功だと感じました。
恐らく彼女の中では納得が行ってないだろうことは判るのですが、聞くものとしては今までの彼女とは別質の情感が出ていたこと、
そのことが、何とも魅力的な表情として感じられました。
演奏というのは、あるレベルの高さを越えると、時として、完璧=素晴らしい、と限らない面が出ることがあります。
どうか反省しないで、次回を向いてほしいと思います。
コンサートアリアは楽しそうに歌えていて、演奏としてとても良かった。成功でした。
ただ、この曲では高音の発声に課題を感じました。高音域の発声は、更に上を目指してほしいのです。
おめでとうございました。
“>

最後ですが、少ない出演者による会に色を添えてくださった、SY氏のビオラ・ダ・ガンバに拍手を送らせてください。
やはり弦の音、質感は良いな~と改めて感じました。
コンサートというのは、なるべく一種類ではなく、いくつかの楽器や声が混ざって構成される方が理想的と思います。
これからも、許す限りこのような試みを加えて行きたいと思わされました。
誌面を借りてお礼申し上げます。