syuugou20131109ムジカCコンサートに出演いただいた皆さん、すばらしい演奏を終えられたこと、心より祝意を表したいと思います。おめでとうございました。
皆さんの熱演で、お客様も満足して帰られたことと思います。
さて、今回のコンサートで、演奏とは各人の個性が明快に良く出るもの、と改めて思わされました。個性というのは、人格とか人間性あるいは性格でも良いかもしれません。
勤勉な人、几帳面な人、陽気な人、内向的な人、慎重な人等々、それらの特性は演奏技量に相応しくあるもの、というように感じました。改めて身体を使う表現は、その人そのものが直截に出るものだ、という昔から良く云われて来たことを実感したのです。

音楽性、というと何か特殊な能力をイメージしますが、核になるものは特殊な事ではなく、人が本来持っている特性が音楽演奏をする時に表れるという意味ではないか?と思ったわけです。
それは普段の練習方法にも表れるでしょう。
演奏は丁寧である事や慎重であること、それでいて手際が良いことは重要です。
バタバタと常に心持が焦ったり、ざわざわしていると良い演奏は出来ません。

ところで、腹式呼吸というのは、上手く出来るようになると、交感神経ではなく副交感神経が使われるそうです。歌っていて、心がバタバタしている状態が変わらない人は、多分腹式呼吸がうまく行ってないのだと思います。
単に発声法や声との絡みだけではなく、身体表現の根本としての腹式呼吸の重要性を知ってほしいです。

ともあれ、今回のコンサートでは、精一杯の演奏に心から感謝です。
更に上達すべく、これからも一歩ずつ共に歩んで行こうではありませんか!

各人への講評は、写真毎に記述してあります。
各写真にれぞれの動画をリンクしてありますので、クリックして参考にしてください。

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出演者イニシャル(リンクをクリックすると各人のブックマークに飛びます)

前半 TJK  TSS  SE  TNA    WN     UM

後半 NM   MT    IS   AS   OM

 

 

 

TJK
tejima日本語の歌は良いものだ、と安心して歌を楽しませてもらいました。
歌詞も良く分かりました。フォームが安定しているのです。
イタリアのIl bacioのような曲は、日本語のじっくり歌心を聴かせるのとは真逆の表現ですから、楽器の声のありかたにも、こだわりを持って勉強されてください。
その始まりとして、ソプラノとかメゾという声色の違いとか表面的なイメージにとらわれないで、リラックスした声の響き、喉の開いた響きはどういうフォームで出せるようになるか?
という発声のあり方を追求してみられることも良いでしょう。
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TSS
toshima今回、ムジカCコンサートは初めてで、レッスンも準備もぎりぎりでしたが、来たばかりの時よりは中低音がずっと安定して出せた歌になったと感じました。
また、「ドレッタの夢」の低音と高音のバランスも良かったです。
今回、彼女には教え始めて間がなかったので、改めて本番を聴いて彼女の課題が良く分かりました。
低い声からきちっと積み上げて行く、という発声の作り方は大事にされたほうが良いと感じました。
またブレスも身体の使い方の初歩から積み上げて行ってください。これからの活躍を期待しています。
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SE
saitouリハーサルでは遠慮がちに歌っていましたが、本番では力強く、演奏に集中してくれました。
良い歌心を持っているようで、アマリッリの甘い心情やヴェルディの男らしい悲しみを直截に歌に乗せていました。
歌う集中力が良いことは、一つのタレントと思います。
大切にしてください。
その上で、これらの声楽作品の演奏に相応しい声のあり方、楽器としての声作りにこれからより深く挑戦して下さい。
このところ、喉の調子が今一つだったようですが、その意味でも楽器作りを確立することが重要です。
発声を覚えないと、なにより喉を痛めるでしょう。
まずはあごを出さない姿勢を大事に、そして不要に動かないことも実は大事です。おめでとうございました。TOP

 

 

 

TNA
tanakaそれぞれの曲が持つ優雅で美しい面が出せた演奏でした。初めてとしては素晴らしい出来です。
良い点は、声を出すこと、歌うことに対して、とても落ち着いて対処出来ていることです。
3曲とも端正に、きれいに対処出来ていたことは、レッスン時とまったく変わりませんでした。
このことも、経験の少なさからすると驚きでした。
今持っている、彼女の物事への対処、姿勢、という根幹はこれからも大切にしてください。
それにプラスして、発声のディテールも少しずつ覚えて、身体の使い方の知識を得て、発声法を覚えて身につけて行って下さい。おめでとうございました。TOP

 

 

 

 

WN
watanabe難しいフランス歌曲を良くここまで演奏出来るようになったな、としみじみ思いながら聴かせてもらいました。リズムが安定し声も安定していたので、何の心配もなく安心して3曲を聴くことが出来ました。
課題は、もう少し声量を増すことが出来れば満点でした。
本来は低音が出る喉を持っていますから、まず低音が出るにはどうすれば良いか?という必然性の認識が必要です。たとえば素朴なレベルで口を開けて歌うことだけでも、もう少し出来るとかなり違うでしょう。
そのことで、中音域~高音の声がもっと力強くなります。
今後の課題とされて下さい。
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UM
uchiyama滑らかで美しいソプラノ・レッジェロの可能性を感じました。
ソプラノとしてのとても良い可能性を持っています。
モーツアルトの Ridente la calma はほぼ良く歌えていて、レッスン通りでしたが、ヘンデルはさすがにまだ難曲と思います。
ブレスと声の関係が未確立です。
発声、特にブレスから声を出し始めるところのフォームが未確立なので、この点を今後確実にして行ければと思います。
今の内に発声を確立しておけば、将来いろいろな曲をもっと楽しく歌い続けることが出来るでしょう。
何より発声は大事です。この点をこれからも大切に、歌い続けて欲しいです。
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NM
naganumaフォーレの3曲、それぞれの曲が持つ性格、あるいはフォーレの音楽の美点がどれも良く表現されていました。
特に「秘密」は、集中力のある素晴らしい演奏で音楽的に静謐な時間を充分味わえて、とても感心しました。
そしてプーランクの「セーの橋」は、聴いていて涙が出ました。
これは個人的な経験もありますが、それだけこの歌の持つ性格が良く出せた演奏になっていた、と感じられたからです。
発声の課題として、中低音の響きが細い面は残っていますが、対処が上手くなったと感じました。
高音発声は、時として太過ぎたり逆にファルセット的になったりとありますが、対処の仕方で充分に歌を楽しめるのも確かです。
今後も、いろいろな作品を歌い続けて行ってください。
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MT
manabeこちらに来出した10年前から既に歌声が出来ていて、ソルフェージュ能力も充分ありました。そのため、いろいろな曲に挑戦してくれました。その声も少しずつ円熟味を増してきたと感じる演奏でした。
彼に対して望みたいのは、楽器としての声の可能性を更に伸ばすことです。楽器の可能性が広がれば音楽的な表現の幅が拡がるからです。今回、発声のことについて提案をし、彼もそれにトライしてくれました。声のポジションを少し低く意識する意味、が見えたでしょうか。今回の演奏では、その面が少し表れていました。完全ではないですが、方向は間違ってない、と確信出来るものでした。暗譜については、元よりこの曲を完全に暗譜するのはドイツ人でも至難の技でしょう。高いドイツ語の能力が要求されるでしょう。良くやった、と思います。おめでとうございました。TOP

 

 

 

 

 

IS
itou彼女の持ち味である、素直で明るく前に良く響く声が楽しめた今回の演奏でした。
3曲のうち、やはり日本語の歌が多くの観衆の耳目を集めていたようです。彼女の素直な童心に戻れる歌心にその真骨頂がある、と思います。
一方、外国語の歌、ロッシーニやヘンデルは、声の響きによる音楽を聴かせる面が強いのです。
その意味で、声の響きをもう少し深く中に響きの場所を見つけてほしかったです。前に出すこと、あるいは声帯を合わせるポイントが見つかったのですが、やや喉を閉じている感がありました。
この辺りはバランスで調整が必要です。ヘンデルのメリスマなどでは、そのことが良い音程感に結び付くでしょうし、ブレスももっと長くなるでしょう。しかし全体的には安定した、明るいおおらかな演奏が楽しめました。おめでとうございました。TOP

 

 

 

 

AS
ariyoshi今回は、特にデュパルクの発声で四苦八苦しましたが、結局単純なことで、良くなったようです。
高音発声の問題ですが、力を使う使わない、という辺りの言葉の伝え方、受け取り方の違いが、発声の迷いにつながったのでしょう。発声の難しさのもっとも大きな面が、言葉の伝え方にある典型です。喉を押す押さない、という議論と同時に、その正反対のことである、力いっぱい歌う、ということも大切な要素なのです。
今回の成功は、その点がふっきれたことにあるのです。
サティの演出は楽しかったですね。そういうことに興味がない人もいるでしょうが、私はとても良いことだと思いましたし、彼女が得意、と云うか慣れている人なので、あえてやってもらいました。身体を動かすことで、声に良い影響も出ますし、音楽を外側から作る、というベクトルも良いと思ったのです。
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OM
oniki初めて来た頃に比べると安定して歌えるようになった、という成長がうかがえる本番でした。
それから、フランス語の発音も明快になりましたね。スカスカだった中低音の声も芯がついてきました。
難曲を安定して歌い通したことや、日本語の曲を、雰囲気を出して歌えるようになって来ました。
あえて今後の課題としてほしい、と思うことは、音符を歌うだけでなく歌詞を歌えるようになりましょう、ということです。
心から歌いたいと思って歌うその心は歌詞の中に(オペラのドラマの中に)意味があります。オペラならストーリーと役柄の人間性、歌曲ならば詩を書いた詩人の気持ち、作曲家の心情などなど・・・。そういうった面をも、ぜひ大切にしてこれからも精進してください。おめでとうございました。TOP