2017年2月25日の市ヶ谷ルーテルセンターにおける発表会夜の部の講評

夜の部は、来場者数が少なく寂しいものになってしまいました。
発表会とはいえ、やはり演奏会はお客さんあってのものではないでしょうか?

声楽の醍醐味とは正に「声を楽しむ」にあると思います。
出演した皆さんにはこの点を中心に指導するわけですが、発表会で多くの人に聴いてもらい、声楽の良さを知ってもらいたい、といつも考えてます。

さて、出演された皆さんの演奏は、想定内の方もいましたし、思わぬハプニング!と感じた方もいます。
しかし、いずれにしても、演奏会というものは何が起きるか判りません。
何回やっても想定外のことはあるものです。

失敗した方はなぜ失敗したか?という理由は良く考えておいた方が良いです。
PDCAというビジネスで使う有名な方法論があります。
Plan,Do,Check Act 計画、実行、評価、改善 となります。
これを繰り返していくことで、向上させていくという手法です。

本番が終わったら、毎回このことを想い出して次につなげてください。
会を重ねる毎に上手くなるでしょう。

次回の発表会は未定ですが、ぜひまたやりたい、と思わせられた発表会でした。
皆さまご苦労様でした、そしておめでとうございました。

イニシャルをクリックすると、各出演者へのコメントにジャンプします。 各出演者の写真をクリックすると、その出演者の動画ページが開きます。

SNT YM TNA TSS ADY FT SA HA OM HA MT YY

 

 

 

 

 

 

 

 


SNT

こちらの発表会は初出場でした。
声楽ソロの本番体験は多くはないようですが、合唱経験は長いようで、さすがに音楽的な基礎があるだけに、こちらに来てからの発声の進歩は順調という印象を持っていましたが、本番はその結果を良く顕していました。
こちらに来られた当初は、ファルセット傾向のかなり強い声でしたが、胸声の練習をしてから、かなり響きが出て、声に色がついてきました。
今後もこの調子を更に推し進めて行ってください。
おめでとうございます。
プログラム:トスティ「悲しみ」モーツァルト「女も15になったら」

TOP

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

YM

彼女も合唱が好きな方で、合唱経験からソロへの意欲を強められたのだと思います。
やはり彼女も頭声傾向の強い声でしたが、このところ急速に声に芯のある響きがついてきました。
まだ高音発声では力で押してしまうようですが、まずは歌うことを経験して行きながら徐々に発声を覚えて行ってください。
音楽の趣味や嗜好が明解な方なので、選曲次第でモチヴェーションがかなり違うでしょう。
好きな曲を歌うことで、より発声のことを学んで行けって、技術力が上がれば、選曲の嗜好もより幅広くなると思います。
おめでとうございました。
プログラム:ヘンデル 歌劇「ジュリアス・シーザー」から「優しいまなざしよ」モーツアルト 歌劇ドン・ジョヴァンニより「もしも、あなたが言うことを聞くのなら」

TOP

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

TNA

今回は、これまでの発表会の中で一番良い出来になったと思います。
曲数を無理せずに、的を絞って自分が出来る範囲で出来るだけのことをする、というコンセプトの勝利だと思います。
発表会というのは、本来そういうものだと思います。
元々、音楽的集中力が良い方なので音楽的な演奏と言う面でのアドバンテージがあると思います。
発声に関しては、重心の持ち方を試行錯誤してきましたが、今回の発表会の結果から、あまり低く感じすぎない方が、高音発声に良い影響がありそうと思えました。
声量と声域は、必ずしもリンクしないので、今後もバランスを考えつつ、最善の方向を目指していきましょう。
おめでとうございました。
プログラム:フォーレ「夢のあとに」ベッリーニ 歌劇「カプレーティ家とモンテッキ家」より「ああ、幾度か」

TOP

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

TH

課題としてソプラノとしてはやや暗く♭な響きを、より高く集まった響きにして行くべく勉強してきました。
その成果は充分出ていると思う演奏になりました。
響きが高くピッチの良い声になりつつある、思います。
ただそのことに意を注ぐと、現状では声の響きがまだ密になりにくいのでしょう。
胸声と頭声のバランスがを更に考慮した練習が必要と感じています。
そのためには、あまり広い声域のものをやることばかりに意識を持たずに、換声点近辺くらいまでの狭い音域で、高く集まった響きを確立してほしいと考えています。
良い声質の基本を持っていますので、レパートリー拡充だけではなく、声そのものを開発、成長させていくことも大事にして行ってください。
おめでとうございました。
プログラム:モーツアルト「静けさはほほえみつつ」モーツアルト フィガロの結婚より「どこに?」

TOP

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

TSS
この1年くらい、同じ曲で徹底して一つの発声の方向づけをして来ましたが、ようやく今回の発表会でその定着を見ることが出来たと私は思っています。
声帯を正しく、完全に使い切ると言うことは大変難しいですが、今後、長く続けていくためには、今のうちにしっかり発声の根本を身につけることの方が大切だと考えています。
歌うだけなら、なんとか難しいアリアも歌えるレベルですが、更に良い発声で歌えるようになると、より歌うことが楽しくなるはずです。
ぜひ、現在の声の方向で進んで行ってほしいと思います。
中低音の発声が安定しつつあるので、これからは、更に高音を駆使する曲に舵を切って行っても良いと思います。
今後を期待しております。おめでとうございました。
プログラム:ヴェルディ「夕暮れ」プッチーニ「私の名はミミ」プッチーニ「私のお父さん」

TOP

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

FT

今回の発表会の演奏は素晴らしいものになったと思っています。
練習段階では、発声面で迷いがあり、なかなかこれ、といったポイントが決まらなかったですが、最終的に落ち着いて、ちょうど良いペースで本番に持ち込めたと思います。
それから、今までなかなか実現出来なかったステージマナーの面も、改善されて良かったです。目をしっかり見開いて歌うこと、手でリズムを取らないことです。
今後は、更に今回発声で学んだことを定着できるようになってほしいです。
特にオペラアリアになると、好きなだけやモチヴェーションだけではとても立ち行かないからです。期待しております。おめでとうございました。
プログラム:小椋 佳「海辺の恋」武満徹「死んだ男の残したものは」小林秀雄「落葉松」

TOP

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ADY
彼女も遠くから通って頂き、長年の懸案である発声を良く勉強してこられました。
このところ、レッスンの間は開きましたが、掴みつつある発声の進歩を後退しないように維持できているレベルであると思える出来となりました。
緊張のせいか?リハーサルに比べると声が引っ込み気味なところはありましたが、以前に比べると格段に声が前に聞こえており、演奏表現として充分成立するレベルになりました。
これまで通り、口の開け方や舌根の力みの軽減、喉をよい意味で使う発声感覚を更に育てて行ってください。声の割れ傾向は、単に上の声区から下の声区への変換がフレーズ途上で起きてしまうためなので、低音区への降り方の処理は教えたとおり、常に実行して身体で覚えていけば、自然消滅すると思います。
今後も発声の課題に常に取り組んで、続けて行ってください。
おめでとうございました。
プログラム:山田耕筰編「中国地方の子守歌」モーツァルト「クローエに」モーツァルト「夕べの想い」

TOP

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

SA

今回は、実生活での多忙も影響し、練習が不十分だったことも影響したのでしょうか。
やや不安定な演奏も出てしまいましたが、覚えつつある発声の良さも感じられ良かったと思います。
歌詞の間違いや失語は、誰しもあることで問題にはならないですが、課題は発声だと思います。
発声というのは、単なる声のことだけではなく演奏全般に大きな影響があります。
今回、直前にテンポを速めたNellなども、発声のポイントが明解であれば、テンポの速めは問題にならないと思いました。
それでも、口を積極的に動かす発声が実現できていて、声も良く出せていた点が、評価できました。声質も、直前にうるさく言ったことを実行して、それが良い方向に出ていたのが成果でした。今後もこの方向で進んでいってください。おめでとうございました。
プログラム:フォーレ「あさやけ」「ネル」「秘密」「イスパーンの薔薇」

TOP

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

OM
これまで7年あまりにわたって、こちらで研鑽を積んで来ましたが、今回の発表会は大変良い出来だったと思います。
特に中低音~中高音の声の響きの充実と美しさは、目を見張るものがありました。
強いて課題を言えば、中音域の共鳴がやや深すぎる感もありましたが、多分、これが換声点から上の声に至る声区の響きの段差を生み出す原因だと思います。
下の声区をもっと高く明るく出すことで、高音の輝かしい響きにつなげることが可能になると思います。
おめでとうございました。
プログラム:モーツアルト ドン・ジョヴァンニ「ぶってよマゼット」ドニゼッティ 連隊の娘より「さようなら」山田耕筰「たたへよ しらべよ うたひつれよ」

TOP

 

 

 

 

 

 

 

 

 

HA

バロックからヴェルディそしてプッチーニ、とまったくキャラクターの違う3曲を歌いました。
声楽的に、その技巧的にも大変難しいプログラムに挑戦されたことをまず評価したいところです。
内容としては、破綻のない演奏が出来たと思いますが、特にプッチーニとヴェルディのアリアについては、発声は緒に就いたところで、これからと思います。
これから本番を重ね、更に発声にかんしては精進をしてほしいものです。
高音発声も難しいですが、その礎になるのは中低音の発声であることを大切な課題としてください。
ステージマナーとしては押し出しの強さが声楽として良いものを持っていますから、技術力によることとのバランスを今後大事にされてください。
おめでとうございました。
ヘンデル「ああ私の心である人よ」プッチーニ 「ドレッタの夢の歌」 ヴェルディ「慕わしい人の名は」

TOP

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

MT

このドビュッシーの歌曲をアマチュアの方が歌うことは滅多にないですが、その意味で大変貴重な演奏となりました。
実際に、その演奏レベルも高く、この難解な作品の音楽性を不可分なく歌うことが出来ていたと思います。
本来、低声域の歌手が歌うほうが良さが出る曲と思っていましたが、その点では低音も良く使える喉ということを認識させてくれ、上手く行ったと思います。
今後もナイーブなテノールの良さを出せるレパートリーを持ちつつ、今回のような知られざる名曲のレパートリーにも挑戦を続けて行ってほしいと思います。
おめでとうございました。
プログラム:クロード・ドビュッシー ステファヌ・マラルメの3つの詩 「ため息」「むなしい願い」「扇」

TOP

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

YY

彼女が本質的持っている歌声とその良さ、というものを良く感じ取れる機会となりました。
発声面だけを取り立てれば、例えばもっと響きを高く集めて、、ということは言えるとは思いますが、彼女の持ち声の良さは優しく深みのある中低音にもあるのでは?と思いました。
その意味では、低音発声をもっと充実させることも良い課題ではないか。
発声そのものを進化させることはまだ可能ですが、例えばフランス歌曲を歌うのであれば、発音とか語感という部分もより勉強してほしいと思います。
また、今回の日本歌曲も素晴らしい演奏でしたが、これも語感とか発音が醸成する面もより研究する価値が大きいのではないでしょうか?
そのような観点を見据えて、今後どのようなことを勉強して行かれるのか?
ターゲットを絞って進んで行ってください。今後に大きな期待を寄せております。
おめでとうございました。
プログラム:プログラム:ドビュッシー「2つのロマンス 」より「ロマンス」「鐘」 別宮貞雄「淡彩抄」より「泡」「蛍」「天の川」

TOP