2018年7月14日アトリエムジカCコンサート昼の部講評

夜の部も、ドビュッシーと一般の発表会混合のプログラムになりました。
違いは、後半にドビュッシーだけのプログラムに統一したことと、プロ奏者による室内楽を取り入れたことです。
今回の室内楽は、自分が10代のころから慣れ親しんだドビュッシーの名曲でしたので、感慨深いものがありました。
改めて奏者の皆様には御礼申し上げます。

実際のプログラムの全体的な印象は、演奏レベルの高さでした。
前半の各人も、それぞれの課題をそれぞれ相応にクリアする好結果を残してくれた、と思いました。
私としては満足な結果で終えることが出来た発表会になりました。

そして器楽演奏も、素晴らしいもので、贅沢な時間を味わうことが出来ました。
室内楽のそれぞれの楽器固有の豊かな音色は、目にも鮮やかで、20分という演奏時間があっという間でした。
そして最後の2台ピアノの音楽は、華麗でありながらドビュッシーらしい視線というのでしょうか、19世紀ではない20世紀の音楽だぞという強い意志とイメージ力が演奏から感じられました。

お知らせ・・・・

各人の動画ですが、ご自身で撮影された方や掲載不要との連絡いただいた方々については、youtubeへの動画掲載をしていません。
あらかじめご了解ください。

SNT ST TNA GH SA SM AC NA MT

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

SNT
声量も出て良い声になったな、というのが第一印象です。 バロックや歌曲を歌うのに向いた品の良いソプラノの歌声になりました。
長年の積み重ねがあってこそ、と思います。今後の課題は、息の流れを歌声により反映させる方向を研究して行きましょう。

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ST
教えてきた発声が、ようやく身に着いてきたということが印象的で喜んでいます。
特に換声点近辺の発声で口を開けすぎないで歌うこと、そのために必要な顔を上に上げない姿勢、一連の方法が確実に出来ました。
発声で苦労してきましたので、これから始まる、と思ってレパートリーを更に拡げてください。

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TNA
とても集中力の良い、音楽的な演奏になりました。
特にアリアは、サロンでの演奏としては最適な声量で理想的なものでした。
今後もさらにレパートリーを増やす経験を重ねて、より良い音楽性を磨いてください。

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GH

無理のない発声でトスティの甘く優しい世界を、大変きれいに歌いきってました。
お客さまも身体を乗り出すように聴いていたのが印象的でした。
魔王も、三者三様の表現努力が感じられて、面白い演奏になりました。
方向性は良いと思います。
色々な曲を歌うことに挑戦されてください。

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SA
レッスンで練習した発声を活かした良い演奏だったと思います。
ところどころピアノとのアンサンブルに心配な点がありましたが、乗り切りました。
三善晃と萩原朔太郎の深いポエムの世界が見事に表現された演奏だったと思います。
中低音の発声が良くなってきたので、今後は高音発声に少し注力されると良いと思います。

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SM
レッスンで出来た彼女の歌声にぴったりはまったテンポで歌い通せた落ち着いた演奏になりました。本番の緊張があったせいでしょうか?
2曲目以降で声量のコントロールがあまり効かない点が惜しまれました。 声量をいかにコントロールするか?ということが、今回のような精神的な要素の強い歌曲発声では大切な点ですし、歌曲一般に大事な点になりますので、今後はその点を課題としてください。

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AC
強い緊張に耐えて音楽を成立させようとする意志の中に、歌手としての彼女の経験と技術に裏打ちされた音楽性が良い演奏に結びつけられる貴重な本番でした。
クラシック音楽の演奏に必要な条件は、漠然としたその場限りの山っ気などで成り立つのはなく、経験と忍耐強さとが合致したものです。
今後も発声の、特に息漏れがないようにする点とブレス時の腹筋の使い方を課題にしてください。

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NA
音楽的に確実な演奏を貫いて、曲全体の音楽的な姿が明解になりました。 今後、もしこの曲を再演する機会があるならば、詩の内容とその音楽を本人がどのように感じているのか?がより分かる演奏を目指してください。
フランス語の語感が表現している魅力を、どのように具体化するか?ということです。発音が正しいというレベルから更に発展して、発音の形が表している意味の部分を具体的に形にするような演奏です。意味を良く表そうとする意志と当時に、単語の発音自体の特徴が自ずと表現している意味が感じられれば良いと思います。

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MT ドビュッシー円熟期の語り口の妙がある歌曲を、音楽性豊かに歌えた好演でした。音楽的にはほぼ完ぺきだと思います。
今後、このようなフランス語の語りを大切にする歌曲を歌う場合、詩の語感をどう表現するか?という点に目を向けてください。

例えば、フランス語固有の発音であるwaとかNやLの子音の出し方や鼻母音の美しさとその違いをより良く表現することを、ご自身の持つ声でどう魅力的に聴かせるか?という発音と発声による形へのこだわりです。
更に今後に期待しています。

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