アトリエムジカC

 

 

 

13日の発表会は、素晴らしい演奏に感動したり、はらはらドキドキさせられたり、と振幅の大きい発表会となりました。
しかし、思い返してみれば良い発表会だったなぁ・・・と余韻にひたっています。 あたりまえですが、みなさんの真剣さでホールの空気が満たされていたからだと思います。
各人は、技術的な反省などあるのでしょうが、良い緊張の時を過ごすことで、日常生活の一服の癒しの時となったのでしょうか?そうであれば、私としてもやりがいがあったと思えるのです。
今回は、台風19号の本土直撃の日、という高いリスクがあったために、どこか余裕がなかったですが、出演した全員、目もくれずに質の高い演奏を実現してくれたと思います。
良い発表会を持てたことと、無事終わることが出来たことに、心から感謝したいと思います。
出演者の皆さん、おめでとうございました。
最後にお詫びですが、ビデオカメラの近くで撮影を行ったため、デジカメの機械音とシャッター音が動画の音に入ってしまいました。ご容赦ください。

 

出演者(イニシャルによるリンク)

昼の部  ISS ST TF AY HM OM IA
夜の部  TNA TSS UM AS FT SA  HA MT AC

 

 

ISS     sugishita 7月の試演会で好演を見せてくれましたが、今回も彼の好演は光りました。
声の響きが前に出て滑らかで音程良く、短期間で良くこれだけの発声の基礎をつけたものだ、と感心しました。
惜しいのは発音が不確かなところが散見されたこと、特にフランス語のSiの発音には今後も十分気をつけてください。
今後の課題としては、好きな歌曲とともに、オペラアリアも併せて勉強されると良いでしょう。特に苦手なキャラクターのアリアを勉強することで、自分の発声上の課題を知りそれを改善できる、というメリットがあります。 おめでとうございました。 シューベルト「菩提樹」フォーレ「墓地にて」「夕べ」
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ST      shimazaki 1曲目の出だしが、今までにない彼女の進歩を感じさせるもので期待が持てました。
その後、緊張しているなとは感じましたが、どの曲も安定して歌えていたこと、特にアリアの高音の発声を含めて、丁寧に歌えた結果を出せたことで、安心して聴くことが出来ました。惜しいのは緊張が原因で息がきれいに流れなくなったことです。本番の舞台上でも、歌うことは息を吐くこと、息を吐いた結果が声になる、という感覚をいつも思い出してください。今回の一連のレッスンでは、技術レベルの進歩と理解が一段上がりましたので、これを継続して続けることで、更に確信を持って本番に臨めるはずです。 おめでとうございました。
「イタリア歌曲集」よりバッサーニ「眠っているのか、美しい女よ」ドナウディ「ドナウディ歌曲集」より「雲雀のように」プッチーニ 歌劇「ジャンニ・スキッキ」よりラウレッタのアリア「わたしのお父さん」
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TF      tatsutomi リハーサルから本番にかけて、レッスンで出来ていたレベルの発声による歌声だったので、安心できました。このところのレッスンで、発声上の進歩の感触をつかむことが出来た、と確信しました。
実際、リハーサルでも本場でも変わらずその変化が見られました。いつもだと、ここが・・・と思うフレーズの箇所の発声がクリア出来ていること、その確率がかなり高くなったこと。これが、進化した証しだと思います。
後は、低音発声は従来の発声でも、問題ないので、低音発声は怖がらずに切り替えて使うのが良いと思いました。ご本人もそのことは感じているはずです。今回の手ごたえを忘れずに、次につなげてください。 おめでとうございました。
ドナウディ「ああ愛する人の」ヴィヴァルディ 歌劇「ポンドの女王アルシルダ」よりミリンダのアリア「私はジャスミンの花」
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AY      ashizawa 前日の日曜日のレッスンは、伴奏合わせでしたが、今までにない発声上の現象がありましたが、発声のコツを教えたところ、たちどころに良くなり安心でした。
しかし、本番当日のリハでも同じ発声の現象が起き、また前日よりも調子が落ちていました。これは!ということで、時間があったのでステージでの練習を返しました。これが良かったのか、本番は驚くほどの復活ぶりでした。声もしっかり出ていたし、譜面にかじりついていたのが、嘘のように顔を上げて歌えていました。お客様の力は大きいですね。結果的に良かったですが、発声上の現象が起きる原因は明快にしておくと良いでしょう。 おめでとうございました。
山田耕筰「からたちの花」海沼實「みかんの花咲く丘」フォーレ「五月」
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HM     harada  発声を含めた音楽性のレベルが高い方で、本番も緊張はあったでしょうが、とても安定した演奏が出来ていました。
モーツアルトのアリアは、レッスン室で聴いた時よりも、良い高音の声が響いていました。特に、最高音がとても良かったです。かなりな高音域も歌える可能性を感じました。Lascia ch’io piangaも素晴らしい演奏でした。中低音はメッザヴォーチェとピッチの高い声質の明るさをつけられると、更に表現幅のある演奏が出来ると思います。 おめでとうございました。 モーツァルト 歌劇「ツァイーデ」よりツァイーデのアリア「おやすみ、いとしい人よ、安らかに」ヘンデル オペラ「リナルド」よりアルミレーナのアリア「私を泣かせてください」

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OM      oniki  コロラトゥーラとして、リリックな役柄もこなせる中低音域の声を持っている、と思いました。ラクメのアリアは、冒頭のメリスマもとても良かったし、その後もとても爽快な歌になりました。高音発声も良かったですが、後半にばてたか?換声点の切り替えが難しくなったように感じました。本番ということもあり、アリアの前半でやや頑張ってしまったのでしょう。しかし、コロラトゥーラのオペラアリアらしさを堪能出来る演奏でした。ピアノもペダリングの上手さと指の強さに素質を感じました。「さくら横丁」は、リズム感、声ともに、教えたとおりのことが出来ていました。 おめでとうございました。
別宮貞夫 二つのロンディルより「さくら横ちょう」レオ・ドリーブ ラクメより「どこへ行く、若いインドの女よ」
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IA       iwasaki   華やかな演奏で最後を締めてくれました。いつも書くことですが、女性的な華やいだ演奏に加えて、動かない静的な演奏も出来れば、表現幅が一気に広がると思います。
それから、無理のない発声は、彼女のレパートリーにふさわしいですが、良い意味で喉を意識した発声を身につけると、これも表現の幅が倍増するはずです。もう少しだけ声の響きに芯を持たせることが出来ると、たとえばノン・ビブラートな旋律を作るやりかたも出来るでしょう。今後も発声についても研究し、改善してください。 おめでとうございました。
フォーレ「私たちの愛」アーン「アンクレデュール」アーン「至福のとき」アーン オペレッタ「Une Revue」より「最後のワルツ」
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TNA      tanaka   リハーサルで声が響かず、発声を修正したのが、彼女の集中を違う方向に向けてしまったかな?と思い出しています。本番では、かなり緊張したようで、それが後を引いてしまった感もあり惜しかったです。ただ、難しいアリアを本番で歌い通せたたことは意味があります。今回の経験を生かして次回につなげてください。これから、また一段と発声、呼吸法をしっかり覚えて、技術的なレベルでより集中できることを目指してください。
おめでとうございました。
バッハ/グノー「アヴェ・マリア」プッチーニ オペラ「マノン・レスコー」より、マノンのアリア「この柔らかなレースの中で」

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TSS      toshima  中高音~高音にかけての声質にレッジェロらしい良い響きが聞こえて来たことが今回の演奏上の発見でした。本人も、発声を良く追及されて、換声点から上の発声やキャラクターが固まりつつあると感じました。ただ、中低音の発声は課題が残ります。もうすこし積極的に下の声を使ってみることと、その際に喉を締めないで出来るようになることを練習出来るはずです。その点で今後の発展を期待しています。おめでとうございました。
アルディーティ「くちづけ」ドナウディ「麗しい絵姿」トスティ「セレナータ」

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UM     uchiyama  ソプラノらしい良い声で、バッハとヘンデル、バロック2大巨匠の音楽が楽しめました。当日は、リハーサルで中低音の声が通らず、声の出し始めを低くアタックすることと、口を縦に良く開けた発声を指示して、声が聞こえてきました。もう少し練習が出来ればよかったと思います。ブレスももう少し伸びればよかったのですが、これは発声が基本にあるので、これからも根気よく発声法を身につけてください。そのためには、なるべく顔を動かさないで歌えることが大事です。おめでとうございました。バッハ「ロ短調ミサ曲」より「われら主をほめ」ヘンデル「メサイア」より「いざ喜びさけべ、シオンの女喜べ」
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AS      ariyoshi このところの発声の進歩は目覚しいものがあります。大分苦労して来ましたが、本当に熱心に追及された成果の出た演奏になったと思います。
本人はまだ不満があるでしょうが、今回の本番は、ほぼ教えたことが実現出来ていると思う仕上がりだったと思います。声質に芯があって前に良く通る声でした。音程感も申し分ありません。ブレスコントロールが未解決ですが、お腹の使い方が恐らく課題になるでしょう。要するに息をどう配分して使うか?我慢するところと吐くところ、それらをコントロールできる方法です。 おめでとうございました。 フォーレ「夢のあとに」「イスパーンの薔薇」「月の光」

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FT     fukaya 中低音の声に、彼が本来持っているゆったりした太目の良い声になって表現されていた点が、一番成功した点でしょうか。特に「星は光りぬ」の前半の語りの部分は、非常に良い声が聞こえていました。高音発声も、安定して発声できましたが、まだ下に踏ん張り過ぎる点が、惜しかったです。下に適度に踏ん張りつつ、上にも引き上げること、といえばわかるでしょう。この点を、今後もっと開発できると、素晴らしいテノールの声になれると思います。
おめでとうございました。
越谷達之助「初恋」トスティ「最後の口づけ」プッチーニ オペラ「トスカ」よりカヴァラドッシのアリア「星は光りぬ」
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SA    saitou  彼女にとって、今回の発表会はアリアに初挑戦でした。それも重い傾向のミカエラのアリアでした。高音発声はまだ研究の余地はありますが、良くここまでまとめた、と思いました。何か気迫のようなものを感じて聞き入りました。ただ、やや発声が力むため、喉が閉まった響きが惜しいです。良く開けた喉の声を意識してください。出色の出来は「からたちの花」でした。頭声がうまく決まって、長いブレスで歌えました。ラヴェルは、詩情の感じられる落ち着いた歌になり、感動させられました。
おめでとうございました。
ラヴェル「三つの歌」より「三羽の美しい極楽鳥」ビゼー「カルメン」よりミカエラのアリア「何も恐れることはない」山田耕筰「からたちの花」
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HA    hanamura グノーの「ロメオとジュリエット」のアリアは、とても上手かったです。出だしの笑い声と、そのあとの溜息の対比。アリア部の3拍子のテンポ感も絶妙な速さで、洒脱な雰囲気を出せました。これはなかなか難しいものです。衣装もおしゃれでしたね。日本歌曲は言葉をていねいに歌うことで、音楽が持つ雰囲気が良く伝わり、しんみりとした気持ちにさせられました。「小さなカシの木」も、レッスンで苦労した声の扱いが見事にクリアできて良かった。おめでとうございました。 TOP

 

 

 

 

 

MT   manabe フォーレのロマンティックな選曲の中に、彼の純粋な音楽への姿勢を感じられる歌声が良かったです。また、普段とくらべて、歌となると意外なほどヒロイックで情熱的なところを見せてくれるのが良いです。その点が印象に残りました。技術的なことを書きますと、声と発音のレガートな扱いを更に磨いてほしいです。発音・発語の際に、下あごに依存しないで上顎や舌を良く使って母音の違いや子音発音が出来るようになると、更にレガートな声による歌になると思います。 おめでとうございました。

フォーレ「我らの愛」プーランク「あの愛らしい小さな顔」フォーレ「イスパハンのばら」「ばら」

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AC    ameku この数回の発表会での安定度と、音楽性を見込んでトリを務めてもらいましたが、自分の選択が間違っていなかったと思える素晴らしい演奏でした。声に共鳴がついて、それが良く響くことが評価出来たし、高音の換声点の響きも良くなりました。リリックなオペラアリアから、繊細な歌曲までを表現できるオールマイティな喉が魅力、と言えるでしょう。
課題は、もう少し前に出る明るい中音域の発声を目指せると良いです。おめでとうございました。
フォーレ「優しき歌」より第1曲「後光に囲まれた聖女さま」第2曲「曙の色がひろがり」第3曲「白い月」サンサーンス オペラ「サムソンとデリラ」より デリラのアリラ「愛よ、かよわい私に力を貸して」
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