MR

発声練習の結果はとても良かったです。
手順は、母音のIで子音はM。
Miで下降形を5点Cから始め上がり下がりを適度に。
その後、母音をAに変えてMを使って同様に行い、最後に低音4点Cから子音はMのまま母音を伸ばす形で5度スケールで5点Aくらいまで。

響きが極端に変わらず、高音のレジストリーまで滑らかに発声出来ました。
この発声の感覚に慣れてください。

曲は以下のものです。
ベッリーニ
Vanne o rosa fortunata,Per pieta bell’idol mio
Ma rendi pur contento.Malinconia

歌いながら実践的な発声の扱いを教えました。
やはり口を開けすぎない事や、下あごを動かさない発音ということが、彼女の場合必要でしょう。
また、喉が全般に高くなるのは、ブレス時の丹田から腹筋背筋の支え方が弱いためだと思います。
特に丹田は大切です。
丹田は骨盤底筋とつながりますので、呼吸筋の基本中の基本に大きく関与するわけです。

HA

発声練習は、声のウォーミングアップ程度に軽く行いました。
何度もは指摘しませんが、やはり舌根で喉を降ろす癖が強いようです。
それでも、中低音は改善の努力が見られますが、少しでも換声点に近づくと、この癖が顕れ、後はそのままになってしまいます。
今度は換声点から高音の発声を中心に、舌根を使わないでいかに響きをだすか?という方法を取りたいと思います。

イタリア古典歌曲集のNinaから練習を始めました。
前節の二重線で区切られた部分を繰り返すのは知りませんでした。
二重線は単なる区切りだと思っていました。
全体に、テンポをゆったりさせて滑らかに歌う方が良いと思いましたが、言葉は明快に明るく発音する方が良いと思います。
メロディの調子で声を作ってしまわない、ということです。

フォーレのLydiaは、歌そのものよりも発音の修正に勤しみました。
語尾のEのあいまい母音の認識と徹底をしてください。
フランス語の発音は、辞書の発音記号と、歌の発音と微妙に違う部分があることを話しました。
これもある程度流儀があるとも言えますが、かなり曖昧で歌手に任されているところもあります。

定冠詞複数形のLesのEは、辞書では狭いEですが、歌ではあまり狭くしない方がきれいです。
また鼻母音は、辞書的には4種類ありますが、モラーヌ氏の流儀では3種類にまとめてしまいます。
特に不定冠詞単数のUnは、OEではなくEにまとめるということなどなどでした。

問題は学問的に正しいか?正しくないか?ではなく、ネイティヴの人が聴いて理解できるかどうか?ということと、歌として音楽的にきれいにまとまっているか?
が大切なのです。

いくら正しく発音しても、そのことが、返ってフレーズのレガートを崩したり歌の品格を落してしまうようなことがあってはならないでしょう。
特に狭いEの発音は、強調して聞こえますので注意が必要ですし、鼻母音はEとOEの違いは、発音の意味が判る人にとっては、綺麗に聞こえる方を採用したくなるはずですから。

ST

発声練習では、Miを中心に母音のIは、換声点が近づくと、口を開けたくなるようです。
鼻腔をもっと意識出来る発声を覚えることが重要ポイントになります。

曲は、ドナウディのFreschi luoghi prati aulentiとVaghissima sembianzaを練習しました。
換声点付近に跳躍する際に、口を開けすぎない事、あるいは下あごを降ろした発音をしないことで、
声帯がきれいに合った振動した響きになること、を中心とした指導になりました。

後はフレーズの入りで息を漏らさない発声をするために、腹筋をしっかり張って支えることです。
この扱いがあいまいになっていると、声を出す瞬間に息漏れが起こり高音発声が上手く対処できなかったり、
低音発声では地声に落ちやすかったりするのです。

この発声を維持するためには、腹部から腰にかけてのしっかりした支えも必要です。
それはブレスの時に決まること。
そして、それを下支えするのが下腹部の丹田の力になります。
丹田は、骨盤底筋とつながりますので、昔から肛門を締めるようになどと言われることは、理のあることなのです。