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ガブリエル・デュポンの歌曲集「秋の詩」から「オフェリア」から始めました。
やや浮ついていた中高音の音程感が良くなり、この曲特有の冷たい情感が表現されるようになりました。
あとは、フランス語の歌詞がもう少し明快になると良い、という点を練習しました。

フランス語は単語単位であれば、アクセントは存在しませんが、フレーズでは抑揚(リズム)が生じること。
そのため、その抑揚を知ることが大切であること。
実際は音符通りにフレーズを美しく歌えれば、自然ですが、改めて抑揚を知って歌うことで、微妙な強調や抑制を意図して行えるためです。

リズムとは関係なく、Dormentや étoile の語尾はE-muet(Eの無音化)に関係するため、抑制されます。
音楽でいえばDiminuendoが自然に出せることで、よりフランス語が明快になるし自ずと美しいのです。

「マヨナラが枯れる季節」
これは、ソルフェージュ的にリズムをしっかり把握すること。そのために、あえてはっきり拍節を意識して歌うことを指摘しました。
というのも、4/4拍子ですが、ピアノ伴奏は12/8式に8分音符の3連符中心のリズムに対して、歌のメロディーは普通の四分音符と8分音符の組み合わせになるからです。

リズムをしっかり出して歌うことと、やはり喉が高い声になるので、高音ほど喉を開けて楽に出すよう努めてください。

3曲目は、「もし愛していたら」
こちらは、全編がアリアのレシタティーヴォ(朗誦)風で、伴奏が薄い音楽です。
また音域もそれほど高くないので、特に中低音の響きを充実させることと、結果的に音程感が♯に過ぎないことを注意してもらいました。
特に出だしの4点G♯~F♯を行き来するフレーズは、中低音の充実した良い声を聴かせることが大事です。
それに対して、高音側の5点C♯~Eを行き来するフレーズは、音程を上ずらないように、明快にくっきりした音程で歌ってください。

この低音と高音のフレーズの違いを交互に出す作曲スタイルが、ドビュッシーがヴェルレーヌの詩「感傷的な対話」で恋人同士の別れ話の対話を描いた音楽に似ていますね。
そういうイメージもあり、低音の声の充実、高音の声の音程感と明快さ、が大切だと感じました。