今日レッスンに来た方は、中低音域の発声基礎が確立されていないままに、相当な高音域の歌を歌い続けてきた結果、中低音域の声区の融合が未確定のままになってしまった印象が強いです。

具体的には、特に下降形のフレーズで5点C以上の音域から、以下に降りる場合や、5点C以下の音域での半音あるいは全音の下降形などの場合に、音程が不正確になることが多々あります。

これは、地声と頭声の中間の声区の発声が未確定のために、微細な音程を出すのに必要な声帯の扱いが出来ず、結果的に太い状態のままで音程を出すために、音程が不正確になるようです。
本人の中では正確に歌っている意識なのです。

ほとんど声の問題なので、以下の2点を徹底して練習することです。

なるべく地声状態のままでのハミングを、口を閉じて5点Cまで上下する練習。
口を開けて同じようにして練習すること。

口を開けたハミングの場合は、なるべく軟口蓋を高く押し上げることで、音程が出せると思います。
結果的に鼻根に声を集めるようになるでしょう。

音程はキーボードで確認するか、ICレコーダーで確認しながら正確に音程を発声出来るように練習すると良いでしょう。
今日の練習によって、頭声(ファルセット)に偏っていない、また完全な地声ではないが芯のある声の響きをなるべく5点Eくらいまで保ってください。

バッハのマタイ受難曲のソプラノのアリア Aus liebe は、中音域の半音の音程だけ未解決でした。
充分に練習しておく必要があります。

あとは、高音の換声点近辺は、頭で鳴らそうとしないで、喉仏の下を良く開けて、そこで当てて小さい声で音程良く出すイメージを持つと良いでしょう。