OM

デュパルクのLa vie anterieurから練習を始めた。
充実した中低音の声の響きがつややかで明るく、好感が持てる。
全体に気を付けるべきは、換声点前の5点E♭に跳躍する際に、声をカバーすることで、喉を明快に上げない発声をするべき。

なぜなら、声を前に出そうとすると喉が微妙に上がる発声になり、フレーズが軽薄な印象になるから。
また、カバーした方がフレーズ全体が滑らかに感じられる美点もある。
この曲では常に高音への跳躍では、上側の声はカバーした発声を心がけるとよい。

フランス語の狭いEの発音は、Uの発音を応用してEを発音すると良い。
つまりUの口を突き出す状態で、舌はEを発音するように。
このことで狭いEだけフレーズ中が強調されない発声になり、滑らかになる。

グノーの「ロミオとジュリエット」からJe veux vivre
さすがにソプラクート領域は良い声になった。
特に6点Cの声は良い響きが出せている。
彼女の美点である。

課題は、5点G~bの約3度の高音域。
特に中音域から跳躍した際に、前述のように喉が上がり気味になる点。
前半の楽節に何度も出てくるミ~ラの5度のフレーズで、跳躍側の声で喉が上がってしまう点。
この領域は、なるべく喉を開ける方のバランスを覚えてほしい。
このフレーズは、いずれも大きな声が必要ではなく、むしろ滑らかに美しいフレーズ感が必要なので、声を張り上げないで喉を開けて喉が上がらない発声を目指してほしい。

このアリア全体は、基本的にはAnimeで今風に言えばキレッキレ!のリズム感とアーティキュレーションが必要だが、途中でテンポを落とす個所もある。
胸いっぱいの喜びを抑制して歌う冒頭のテーマは、テンポを切れ味良くし修飾音符を素早く跳ねること、中間部では思い切りロマンティックにするためテンポ感を落とす、という具合に変化をつけるべき。
ただ、楽譜にはその指示がないから伴奏者に良く指示してほしい。
同様に、意外なほどにダイナミクスが抑えられている点も、伴奏者に十分指示してほしい。