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発声練習の様子では、発声を力まないで軽く歌おうとする姿勢が見て取れた。
喉を脱力させるのではなく、顎をしっかり引いて眉間に音を集めようとしているのだろうか?

そのために、喉が高く響きが浅い印象である。
他の邪魔にならない合唱発声であるとすれば悪いことではないのだが、バリトンの独唱になると声量も声質も不十分な印象が否めない。

という視点でレッスンを進めた。

喉を開けるということの意味は、例えば低音発声の場合、低音域の共鳴感を出すためという意味合いがある。
この意味は喉奥を拡げるように発音・発声する。
声質がこもるが、共鳴が上手く行けば、良く響く声になる。

喉奥を拡げるように発声する際に気を付けることは、舌が奥に入り込みやすいこと。
このため、母音はAの口をした状態でEで練習すると良い。

声が前に出て共鳴は低い感じになるだろう。

彼の場合、癖のように顎を引き過ぎて、おでこ、ないし眉間に声を当てようとし過ぎると思う。
顎を引かない姿勢をとることで、喉を楽に脱力することと、喉奥を拡げるような感覚を持つことが楽に出来ると思う。

眉間や鼻腔に声を当てたり集めようとする前に、喉の脱力を優先すべきであろう。

曲は、トスティのAprileと、シューベルトの「馭者クロノスに」そして、ビートルズYesterdayの合唱編曲で歌うソロパート。

いずれも、喉を上げないフォームで堂々と男らしい声で歌ってもらって、とても上手く行ったと思う。