EK

発声練習では、地声の練習を久しぶりにやってみた。
この練習の度に思うのは、低音の4点E以下の領域での地声に対して、それ以上の領域を地声で歌ってもらうと、実はほぼミックスした声になっていること。
ただしこの声の場合だと、現在の高音換声点の発声も変えないと5点Fから上の高音域の発声で換声が強いため、基の中低音のミックスボイスに戻れなくなる。
つまり、高音の換声点の発声そのものを変えないと、声の強さとか低音発声への連絡の良さを得るのが難しい現状は変えられないだろう。
ただ、高音域の歌声の出しやすさやキャラクターは、良い意味で器楽性を持っているので、否定すべきではないと思う。

モーツアルト、Vorrei spiegarvi o Dioを練習した。
これを選んで良かった、と思えるほど彼女の歌声にはぴったりであった。
と同時にこれを歌うことが彼女の歌声の開発につながる点においても、である。

TNA

発声練習では、換声点の発声に注意をはらった。
発声練習に限れば、中低音の発声で響きが集まり、声量も十分になってきたと思われる。
換声点は、ほぼ問題ないし、本人もその意味を理解して実行できている。
気を付ける点は、5点F♯だけがひっかかりというのか、響きが出ない現象がある点である。
より奥を意識するか、その逆に上に引き揚げるか?どちらかを意識してみる必要がありそうである。

コンコーネの37番はとても良く歌えていた。
歌声の問題と、表現の問題が良く合致していた点が評価できる点。
トスティ「夕べに」は、発音の明快さが必要、と感じた。
言葉を歌っている感が希薄なのである。
歌詞自体をよく読んで、発音を良く咀嚼して歌いなおすと良い。

フォーレ「あけぼの」これも発音の明快さが重要と感じた。
曲が単純な構成でメロディが地味なので、歌詞の音楽性がきれいに表出しないと、この曲の美点が浮き立たない感じになる。
まずは、くどいくらいにはっきり発音することを意識して歌ってほしい。
慣れてきたら、レガートとレガートでないところの差などを出せるようになれば良いだろう。
それから縦の拍節感は、この曲では大事である。もちろん歌そのものに出すのではなく、体が拍節をしっかり感じられているかどうか?という点である。

プッチーニ「つばめ」から、ドレッタの夢。
テンポは、後半をゆったりと大きく拍節を取るようにすることで、高音発声を弱声でも対処できるようになると良い。
最後の高音は、直前の音程の喉がどうなっているか?準備できているか?それと声量の出し過ぎに注意。

MM

発声練習で5点Cあたりから、ファルセットを嫌ってか?喉を閉めるような響きになった点を注意した。
ファルセットを避けるあまり、喉を締めている響きになっていたため。
少し共鳴のある響きを狙うと良いかもしれない。
次回に、もう少し細かくやって見たい。

曲は、ヴェルディ「オテロ」から「アヴェ・マリア」弱声レガートに歌うことを優先した。
弱声のあまり、声が気息的にならないためである。
そしてフレーズを歌うとき、特に上行形の8分音符が連続するようなとき、一つ一つを負わないで、息の流れで少しだけクレッシェンドするような歌い方を覚えてほしい。
そのことによって、息も持つだろう。

ドヴォルジャーク「ルサルカ」より「月の歌」
弱声の歌い方が少し気になった。気息的にならないで弱声を扱えているが、子供っぽい声になる点。
喉をもう少し深く、しかし軽く当てる、という方法がよさそうである。
次回試したい。

エリザベート
ドイツ語のミュージカルであり、発音に気を取られる状態のようである。
中低音は、語るように歌うミュージカル風で良いのだが、無理に地声を意識しない方が良い。