SM

発声練習では、中低音の軟口蓋と高音への換声点の発声を課題にした。
中低音は、低音なので喉が自然に低くなるのだが、これに強さを加えるために地声になりやすい。
この発声で軟口蓋を引き上げることを意識できると、バランスが上手く働いて地声にならずに中低音の集まった響きが出せる。

ただし、非常にクリティカルなので、慣れるには相当気を付ける必要があるだろう。
喉を上げないように固定しておいて、軟口蓋を上げて発声するが、息を強く出してしまうと地声になってしまうか。すっぽ抜けるだろう。
このバランスをいつも忘れないように注意してほしい。

高音への換声点については、単に喉が上がらないように、少し声を飲み込む意識を、フレーズを歌うなかで早めに対処することである。
換声点では少しくぐもった声になるが、そのまま上がれば高音は安定して出せるはずである。

曲は、ドビュッシーの「忘れられた小唄」から「それはやるせない心地」
最終的には、拍節感で歌う曲ではないが、拍節をしっかり意識してフレーズを構築していないと、それを崩すこと自体が難しい。
特に後半の最高音に達するフレーズのリズム感は、正確につかんでほしい。

ワーグナーのトリスタンとイゾルデからイゾルデのアリア「愛の死」
現状では伴奏を弾いて歌ってもらうのが精いっぱいというところがこちらの白状すべき点。
伴奏抜きで、少しずつフレーズを丁寧に練習して行く方法が良いと思った。
というのも、やはりここでもリズムの問題はクリアすべき大きな点であるという事。
特に、ドビュッシーと違って長い音符の扱いが不正確になりやすいからである。
と同時に、フレーズが長いため、ブレスの入れ方も工夫が必要になると思う。
かなり練習をしっかりして行くべきだろう。