SM

4か月ぶりのレッスンだったが、改めて彼女の発声の課題が良く判るレッスンとなった。

発声の重要課題は、中低音の喉の使い方にあると思う。
太い生に近い地声か、裏返ったファルセット傾向の頭声か?という差が大きいこと。
この原因として、舌を奥に落とし込む癖がその傾向をより顕著にしていると思われる。

舌の力みを抜けさせられるかどうか?という点と喉の引き上げ筋をもっと開発出来るかどうか?
この矯正のためにこそ、口を開けてハミングで練習するという方法がある。
音程感を良くし、声を明るく前に出す方法。

今日はハミングは用いず、母音Eで練習した。
母音Eを使うと、強制的に舌を持ち上げ結果的に喉を引き上げるパワーバランスが生まれるからである。

Iでも良いのだが、Iは喉を下げる要素も出るので、彼女には不向きだと思う。

そして実際の歌の場合特に大事なのは、弱声を意識しないでしっかり張った声を使うこと。
弱声を意識して歌うと、ファルセットというか息の支えの無い声になってしまうからである。

ドビュッシーの「忘れられた小唄」の「それは物憂い心地」
出だしの声などもっとも重要な響きにおいて、単純に弱声で対応すると、フレーズの声全体に抜けた声を作ってしまう。

フレーズ出だしの声を大切に響かせる意識を持ってほしい。

それから、根本的には中低音発声で息漏れが大きいファルセット傾向のせいで、テンポが前のめりになること。
ブレスに余裕があればこそ、テンポもゆったり落ち着けること。
このテンポ感は、発声の課題と思った方が良いだろう。

同じく「グリーン」

リズムソルフェージュ上、6/8拍子の8分音符の2連符と4分音符+8分音符とのリズム表現の違いを明快にしてもらった。
あと頻繁に出てくる、テンポの緩急の違いを大切に。
最も最後に出てくる、Et que je dorme un peuの声の出し始め、要注意。音程と響きをきちっと出せるように。
また、リズムも2連符だが、ここは伴奏と一緒に歌うので難しくないだろう。

最後にワーグナーのトリスタンとイゾルデのイゾルデのアリア。
長い曲だが、意外と前述のドビュッシーの曲より難しさを感じなかった。
仕上げる意味では、ピアノ伴奏との練習が大きな課題となる。