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発声面では、中低音域が音程が良く息漏れのない綺麗な歌声であったが、高音の換声点で喉が上がる、あるいは喉は上がらないが声帯が開いてしまうという状態であった。
歌う様子を観察してみると、呼気を強く使って発声しているように見受けられた。
そのため、呼気をなるべく少なくする代わりに、喉そのものに意識を向けること、つまり良い意味で喉を使うことに集中してもらった。

具体的には、喉を下げる、モノを飲み込む、喉より下に声を当てる等々のイメージ、意識を持つ。
フレーズの実際では、該当音に達する前に準備が出来ていないと間に合わないため、このタイミングが難しい。

今回はとてもスムーズに出来て成功だった。
息漏れなくコンパクトな換声点の発声が出来ていた。

元々が、呼気のコントロールが出来る歌声であったことも大きいだろう。
高音発声を伸ばしていくと、5点Aで綺麗に換声する声も今日の収穫だった。
口を横開きにしないで縦に開けることも、このことに寄与していると思われる。

コンコーネは22番と23番。前者はなるべく4小節を1フレーズに感じて一息で歌うこと。
後者は、スラーが付いているフレーズと無いフレーズの歌い分け。
具体的には音符を滑らかに線を強調するか、音符の動きを前に出すかの違い。

ベッリーニのPer pieta bell’idol mio
高音発声が非常に上手く対処できて、この曲らしいドラマティックな表現を出せた。
Ma rendi pur contentoも同様で、最後の高音が良い声で延ばせていた。
やはり換声点前は注意しないと上ずる傾向がある点を要注意となった。