ST

発声練習は、換声点のピッチを綺麗に出すために練習。
上行形は太く入りやすいため、エ母音が有効であった。
また下降形で頭声区からの下降形も有効である。

今回は夜の女王は中止にして、イタリア古典歌曲集からSe tu m’amiを。
発声練習の成果が出て、なかなか良い中音域の響きが聞かれた。
以前と比べると中低音域の声と頭声区の声が混ざって、良い響きになった印象が強かった。

私の勘違いで中声用で歌ってもらったが、高声用にすると、今度は細く高く当たった声になり、これもまた成功であった。
彼女なりに発声のコツがわかった

Lasciar d’amarti
こちらは高声用から始めてみたが、これもすっきりした良い表情の声になった。
また中声用で歌えば、その音域に相応しいふくらみのある中低音が使えている。
これまで長く教えて来た成果が、このところ順調に開花してきた印象である。
喉の温め方を間違えなければ、恐らくこのままの発声で行けるであろう。

MMH

発声練習では、高音発声まで伸ばしていくことを練習した。
彼女の声は判りやすいのだが、5点Aで完全に高音の高い声区に切り替わる。
ここは喉を上げないように口を開ける、ないし口奥を開くように意識する。
そして5点hからはむしろ声に任せると、更に高いコロラトゥーラの声区に変化するから、そのままで行けばよい。
今回はそのきっかけになった、スタッカートの練習も含めて、6点Eまで発声で伸ばせた。

高音域が必用か必要でないか?ということよりも、発声の柔軟性という観点からは高音を伸ばせることは良い方向だと思っている。

コンコーネは29番を。
レガートに丁寧に弱声を扱えているので、加えて充実した響きで音符を明快に歌いこむアーティキュレーションをスラーの付いていなフレーズで実現ということ。
これはメロディのエモーションから感じ取ることが大事であろう。
コンコーネは、メロディの性格を感じ取って歌声に反映させる、という面の勉強に最適なのである。
後半の高音5点Fの換声点での喉の上がりを注意。
カデンツァのアルペジョは、主和音の転回形なので間違い易いことに注意。

ベッリーニのIl fervido desiderio
冒頭のメロディの歌い方や弱声の気遣いに感心した。
もう少し歌い込みが進めば、各フレーズのテンポ感の違いが表現につながることが判るようになると思う。
そのことでブレスも自然に伸びるはずである。

次のDolente immagine di fille mia
声は弱声でも発音のメリハリは明快に。曲調に左右されて声も発音ももやっとしやすいため。
楽譜を見ると、冒頭のP以外に強弱の指示がほとんどない。
そこで、歌詞の日本語訳を読んでみるとその意味と音楽の醸し出す雰囲気から推し測って
強い調子と弱く歌うところを分けてみた。
改めて歌詞をよく読んでみると、その理解が進むと思う。

L’abbandono
この曲は彼女は音楽が持っている力で歌い通してしまえる。
相性が良いのであろう。
最後2ページで続く5点F~Gの声も以前に比べて喉が動かないでしっかりした高音発声になってきた。
この曲はピアノ伴奏もだが、曲調に乗せられ過ぎないで、あくまで美しく抑揚のある音楽表現になることが理想なのだろうと思う。