MMH

発声練習の声は、明瞭なMezza voceで綺麗に処理されており、特に課題を持つ必要を感じなかった。
高音域もMezza voceで安定していた。

コンコーネ32番。微妙な音程感が難しいようであった。
固定ド、移動ド、いずでも試してみたが固定ドが音を取りやすいようであった。
母音唱法となると、転調が明快にある場合、彼女の場合は固定ドの方が取りやすいのかもしれない。

ベッリーニのTorna,vezzosa Fillide
全体に中音域は明るく綺麗な響きで音程感も良かった。
ただ全体に一本調子になってしまうことと声を張ることが多いので、長丁場の曲の後半で声がだれてしまうようであった。

全部は練習しなかったが、Pで表現すべき中低音域の声はピッチを高く取ることと、音楽が転調して短調系に変化したときの
声の重心を低くすることを勧めた。
このように声を表現することが、長丁場の曲程声を疲れさせない理由にもなるからである。
もちろん、表現として必要だからであることは論を俟たない。

ドビュッシーC’est l’extase langoureuse
これも何も意識しなくても、明るくきれいな声で音楽的に歌えている。
メロディラインの安定度と音程感が良く、明るい歌声が表現幅の広い歌唱力を担保しているのであろう。

指摘したことは、あえて中低音域の声の重心を低く持つことで声に深みを出すこと。
そのことで成熟した女性の感性が音楽に良く表現されるであろう。
これは胸声を言うフォームの違いとしてではなく、発音する際に下あごを良く降ろすことで低音部の共鳴を誘う意味である。
ただ気を付けることは、喉の使い方にも影響が及ぶので、音程を保つ軟口蓋が落ちないように意識する必要がある。
そのためには腹部も締めて良く支えることが必用である。