2001年6月前半レッスンノート

レッスンノート目次
6月1日 | 6月2日 | 6月3日 | 6月4日 | 6月5日 | 6月6日 | 6月7日 | 6月9日 | 6月10日 | 6月11日
6月12日 | 6月14日 | 6月15日
6月15日

あいそさんが来た。今日は彼女の口の使い方を直すべく努力した。彼女は口を開く際に、下あごを少し前に出すようにする。そしてそこで声を受け止めるようにする。そのため響きが上顎から上に響かずに落ちてしまう。これは非常に悪い癖である。喉頭の吊り上げ釣り下げ筋の働きを悪くするために、響きがこもって胸っぽい声の原因になる。自分の中では声が響くような感じを持つかもしれないが、仮にそうだとして、それは応援団の声に近い感じである。鼻根あるいはおでこに当てるように訓練する。当てる意識も必要だが、下あごをむしろ下げずにいるように練習することがこつである。自分の手で支えても良いが、鉛筆の端を口でくわえて発声練習をするのも古典的なコツである。このやりかたで相当な高音まで良い響きが得られるようになった。ただ、更にチェンジしてしまうので2点G以上の声はしっかり口を開けて腰で支えるように。ただし、口の開き方は、絶対に下あごを前に出さないように素直に下に下げること。曲はAndrea BocelliのTime to say good bye...ちょっと彼女にはむずかしいが、本人がやりたい曲の中から課題を見つけて勉強することも良い勉強だと思う。低い地声領域の声と頭声の交換が必要なのでこれも良い勉強だろう。次回からは、Vioelette...もやることにした。

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6月14日

たむらさん。今日は声の当て所を勉強した。前歯にあてること、鼻根にあてること、おでこに当てること、最後に喉の下の窪み。いずれも、地声はやめてチェンジボイスでやる。歯にあてるのは、ガガガと言う具合に、Gaという子音と母音の組み合わせでやると、やりやすいだろう。鼻根はイの母音。MiミなどやNinニンなどで発声練習をやってみる。声帯がもっとも大きく自由に振動しやすいのは喉の下の窪みに当てる方法だけど、声帯の保持そのものがある程度出来ないとこれは分かりにくいだろう。
今日は首の支え、あごの引き具合をとても気を付けてやってくれた。2点Cから2点Eにかけて声がチェンジしているにもかかわらず、とても良く響くようになった。最終的にはイの母音からエそしてアに変える方法でやった。彼女はアの母音の場合は下あごを良く開くようにした方が良い。声帯が自然に下がるからだ。声帯の保持は無理に行うとかえって逆効果だから、ある程度自分で意識できるまではこの方法が一番良いだろう。後大事なことは、腰の張り。呼気の際に腰をしっかり支えるような使い方を意識すること。Agua di beberをやってみる。良い声が出ている。当面は地声ではなくてこのチェンジボイスでしっかり声を出す練習に専念したい。コールユーブンゲンで譜読みの練習も始めよう!


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6月12日

やまうちさん。体験レッスンで来た。学生さんで合唱をやっている。テノールと言うことで声を聞くと若さ溢れる声。首の太さや喉仏の大きさを見るとバリトンでも充分やっていける感じがしたが、テノールとしてもやや重目のドラマティックな声が出せる素質がある。身体の使い方喉の使い方などもほとんど独学だそうだが、なかなかつぼをつかんでいる。ただ、今の声の出し方では高音が出ないだろう。
基本的にもっと軽い声を使って声のアタックをする練習、たとえば、スタッカートなどで高音の当て方と身体の使い方を身につけて欲しい。身体の使い方だけど、体の前面よりも背中、腰などを使うこと。
具体的にはあごの弾き方、首の張り、腰を張って背筋を使うこと、胸よりも背中を広げる感じなど。
ブレスの際に、喉を広げようとすることも良いが、そのために舌根を下に押し下げている感じがある。そのために、舌に力が入って歌を歌うと舌が固くなるのではないか?コンコーネを歌ってみるが、これもなかなか非凡な歌い方をする。まるで金管楽器のような鳴り方と、フレージングが出来ている。なかなか良いぞ!これからを期待したい。


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6月11日

さわださん。発声練習では低音部でやや喉声が気になった。以前から気づいてはいたけど、あらためて見ると首、胸、肩などに力が入っている。今後はこれを少しずつ直していきたい。今日はハミングで練習をしたが、まだ根本的に解決はしない。姿勢、筋肉などから、少しずつ変えていきたい。とはいっても結構な高音が楽々出ているのだが。。。もっと背中を広げる感じを使ってみても良いかもしれない。曲はトスカのVissi d'amore...出だしのイの母音が喉声っぽい。もっと喉が開くと良いな。曲全体に出てくる3連符のリズムを正確に。もちろんイタリア語の譜割りもきちんとやってほしい。最後の2点hへのアタックは思い切り良く行って欲しい。VivaldiのアリアVieni...を譜読みする。これまたえもいわれぬ美しい曲だ。バロックの美しさは気品にある。声の追求にはうってつけだ。これからが楽しみ。

にしさん。発声には相当悩んでいるようだ。前回の反省やメールなどでのやりとりから、もう少しブレス時の力を抜いて自然体を心がけるようにしてみるために、自然な深呼吸から始めてみる。
肺活量は普通以上にあると思う。ブレスが足りないのは声の出し方にあり、ブレスそのものはあまり関係がなさそう。発声練習に終止する。結局声を出す際に、あごが前に出ること。それから喉が上がること。これは、どうも両者が関係しているような気がする。あごを引くこと、そして背中を広げるように身体を使うと良い結果が出ることを最終的に確認できた。お腹、特にへその辺りから胸にかけてを前に出してそこに重心を感じていることがまず良くないのだと思う。身体の前半分と後ろ半分を2つに分けたとしたら後ろ半分に意識を持っていくと彼の場合良い結果に繋がるような気がする。次回はその辺りを重点的にやりたい。


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6月10日
今までの流れでついつい長文になってしまったのを改め短文にまとめる!笑
なぜかというと、1ページのファイルが大きくて表示されるのに時間がかかるし、そのうち1ヶ月分が3ページになりかねない。笑

たむらさん。発声練習を始めるといつものことながら、すごく「大きな声」を出す。ただ、首の辺りの筋肉を見てると力が入ってるし顔が真っ赤になる。声質そのものも露骨に喉声なので、こいつは少し直したいと思った。ブレスが弱いこと、息を吐く力もまだ弱い。そのための姿勢も悪い。特に首の立ち方。もう少しあごを引いて声のアタックを軽目にしかし深い発声を心がけてもらうべく色々やるが、本人に声のイメージがないというのか、ぼくが教えるやりかたに抵抗があるなら、それは致し方ないだろう。やりたいようにしてもらいながら、分からないことを教える方法に改めたいと思う。ただ、芸事というのは、自分の殻をみずから破る勇気とか、発想の転換が必要だ。一度自分を白紙にしてなんでも旺盛に取り入れる柔軟さが欲しい。発声の練習は何をやっても無駄な勉強と言うことはないと思うよ。

みむらさん。発声では最高音について少しやる。2点bまではかなりきれいにしっかりと出るようになった。そこから先が声がかすれてしまう。身体の重心が上がらないように。そして、口の開き方ももう少し工夫を。要はもう少し口の開きを柔軟にして、声の響きを感じながら口の開きそしてお腹の使い方と相談しながら音域を更に伸ばして欲しい。声が高くなったら、声の当て方をもう少し深く出来るような工夫と、更なる呼気の強さが必要だろう。曲は、Ombra mai fu...高声用。これはきれいに出来ている。最後の2点GのPiuが響きがもう一つ!Piacer d'amor...これはさわださんとは好対照な音楽。低音があまり響かないが、あまり息を送り過ぎても良くない。かえって音程が浮ついて聞こえるので、呼気にこだわらずに、楽に低音を流すように。Sento nel core.を次回までに。

たちばなさん。体験レッスン。歌を習うのも歌うこと自体も始めてという感じ。身体の立ち方や肩や胸の辺りが固いし、やや猫背だ。呼吸が浅いので、深い呼吸から教える。ゆっくりと吸ってゆっくりと吐くこと。そこから、発声練習をやる。口を開けてブレスをし、喉の開きを促す。それから積極的に呼気を使って声を出すための腹筋の練習をする。地声は結構良く出るが、チェンジボイスが弱い。しかし、教えると少しずつ少しずつ声が出るようになった。吐く力(呼気)をもう少し練習していきたい。ただ、このままでもかなりな高音まで声が当たっている。本人はシャンソンをやりたいらしいので、あまり高音は関係ないが個人的にはクラシックを教えたいな。

よしおかさん。今日はややこもりがちな声を戻すことをやる。口を開ける際に。下あごが前に出てしまう。下あごは最初から開きすぎずに、むしろあごを引くようにすることと、頬を高く上げて微笑むような顔にすると良いと思う。口の開き方も柔軟に。高音になったらもっと開くことと、、声を喉の下に当てるように。またフレーズの中で低音に降りる場合も、口を開いて喉を開くようにすると低音も出てくる。彼女はやればその通りに結果が出るから結局進歩は早いだろう。信頼してもらえるのが一番だ。曲はNinaから。この曲では、口を開き過ぎないでアーティキュレーションすることと、唇をもっと使ってイタリア語らしさを出すこと。Star vicino..では、最初のフレーズのブレスの短さが問題。これも呼気の意識をなくすことで簡単に解決する。要するに積極的な呼気の筋肉を使わないことで、自然にレガートな響きが確立する。これはアーティキュレーションの問題と関係がある。後は、エの母音に注意!ボカリーズの部分では、口の開き方を柔軟に対処することで、喉声にならないように出来る。


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6月9日

すずきさん。前回の続きで発声で喉を開ける練習をやった。彼女の場合は難しいこと抜きでとにかく声を出す際に口を良く開くこと。フレーズで高い声に行くほど口を開いて喉の奥から声が出るように意識すること。彼女は体格のわりには声帯が小さいような、気道も細いような感じなので、普通以上に喉を良く開いて声帯全体が良く振動するような感覚を身につけてもらいたいのだ。チェンジした声でも喉を良く開いて胸から押し出すように声を練習すると微妙に声帯が鳴ってくるのが分かる。毎回来る度にその感じが良くなっているので、根気良く同じ練習を続けて行きたい。その点彼女は素直に言う通りやるタイプ。こういう人は時間がかかっても着実に身についていく。何事もそうだけど頭で理解出来ても身体がついていかないもの。さて、彼女はチェンジボイスすると細い声だが高くなればなるほど声が良く伸びる特質がある。それで、平均して音域が高目の曲を選んでみた。モーツアルトの「すみれ」今日はドイツ語の発音を教えた。同じ、CHでも二種類あるもの、それから語尾の子音の処理。などなどドイツ語はフランス語以上にむずかしさがあるが、彼女ならクリア出来るだろう。Rの処 理は意外とうまい。彼女の今の声にはイタリアの母音よりもドイツの柔らかい母音、音楽が合っているような気がする。最初ラララで歌うと、発声の効果が現れていた。喉の奥から声が出ている感じだ。ただ音が変ると口の開きが変って響きまで変ってしまう。口を開いたらその形を維持してフレージングさせることが声質を変えないコツ。例えば発声練習でも低い声から高い声に昇るときにこちは徐々に開いていく。今度は音程を下げるときにも開いたまま降りていくのがセオリーだ。なぜなら喉が開いた状態を保つ必要があるから。そしてそれを保つのはあごではなくてお腹。お腹も一緒に開くように。しつこいようだが、とにかく良くあごを使って喉を開くことを心がけて欲しい。

たにさん。
発声練習をしていると、調子が出ないらしく不安定になる。けれども彼女の場合は声(あるいはそのための筋肉)が暖まるのに少し時間がかかるだけであまり大きな問題ではない、と、ぼくは思っている。その証拠に歌を歌い出すと発声で調子が出なかった音域や声でも問題がほとんどなくなる場合が多い。彼女が悩むのは、音域の中で2種類の声を使い分けなくてはならないことだ。高い方のチェンジボイスで行けば、相当な高音まで出せるが、中低音では声が鳴らない。代わりに低いチェンジボイスだと、声量は出るが2点Fまで出すのがやっとという状態。このチェンジボイスの状態は普通の女性の地声とチェンジボイスという関係に比べると、はるかに近い状態で、裏表の感じである。ちょっとした声の使い方でどちらにも行けてしまうという感じ。譜読みの段階で、ある程度この声の使い分けを計算しておくことと、実際にはその場その場で思いきり良く声を選択する運動神経など両者が必要になるだろう。そうやりながらもう少し練習を積重ねていけば、下のチェンジボイスも音域が上に伸びるだろうし、上のチェンジボイスの声も柔軟に下の声との重なりが対処できるようになるだろう…と、ぼくは 楽観視している。
声の出し始めは下のチェンジボイスの場合はもう少し軽目に当てること、逆に上のチェンジボイスで音域が低めの場合は、首の付け根に声を当てるような感じなどと工夫をしてその難しい音域の繋ぎ目の音色を統一することなどの工夫が必要だ。曲はフォーレのAu bord de l'eau...最初の音程差でソーミ♭の高い方の声だが、軟口蓋を高くして(パラシュートが開くような感じ)軽く当てるようにしてほしい。この事と腹筋の開きが連動するようになると素晴らしいのだが。Le voir passerなどの低い声はたっぷりと低音を響かせてほしい。上昇のフレーズはとても良く出来ている。上昇から下降に入ってからのアーティキュレーションが逆に気になる。口がパクパク過ぎなのだ。口をパクパクさせないでなるべく同じ口の形で発音させることが、口の中での共鳴や喉の開きをかえって促すことになるし、音楽もレガートになる。この辺がたにさんの場合課題。良く研究して欲しい。

みくりやさん。発声練習の最初はどうも調子が出ない。声が暖まっていないのだろう。彼女はとても不思議な頭脳を持っていて、そういう自分の声の感覚に対して敏感だ。それは理屈ではなくて彼女なりの声に対する美学があるのだろう。決してクラシックオタクでも声楽オタクでもない。特に声楽の知識があるのでもないが、自分の声で音楽を奏でる美学を持っている。さて、しばらくゆるゆるとやっていると、段々調子が出てくる。きょうも前回と同じようにハミングで発声をやったのだが、今一つ調子が出なかった。このハミングのコツは音を鳴らす場所を軟口蓋のところに当てる感じ。鼻の方に息を流さないことだ。そのために口を開いてやる。そうすると、実は喉も開くので一石二鳥なのだ。当然腹筋も広げるようにして音を上げることになる。これは慣れが必要だけど、慣れると丁度弦楽器の弦を弓でボーイングするような声の感覚になる。声を出すフォームを確立するのにはとても良いと思う。最初から母音で出してしまうと声を喉だけで鳴らしているのか、喉を開いて声帯を良い状態で響かせているのか?という区別がつきにくいのだ。師モラーヌのところでは、散々これをやらされた。彼は声 のマッサージという言い方もしていた。さて、今日はラヴェルのギリシャ民謡。2曲目を歌い出すが、声がすかすかしているので、もう一度ハミングでやって見ると声帯が良い状態で鳴るのがわかる。これでもう一度母音にして歌ってみると良くなっているのがわかる。フランス語も付けてやるが、ほとんど問題がない。次に一曲目を歌う。まだフランス語がついてないので、フランス語を練習する。フランス語をもう少し勉強してくれると良いな…
さて、彼女がこの曲集を歌うと、丁度胡弓や古い民族楽器の弦などで旋律を奏でているような素朴で味わい深い感じが出る。それは声に不必要なビブラートがないからだ。とても素直。それは音楽を素直に感じて素直に声を出すからだ。見栄というものが微塵もない。けれん味のない芸風だ。

たにむらさん。前回、声帯が合わないのをあまり無理に合わせようとすることはかえって良くないのでは?ということと、実は声が出ないのは地声のまま出そうとしているからでは?という疑問が消えなかった。それで、思い切り小さな声というよりも鼻先から軽く合せるようなわずかな響きから声を作り直すことをやってみた。結果は…これも駄目だった。喉で止まってしまう。実は最終的にまだそれでも
声の出し方が悪いために、声帯が合わずに息漏れが出てしまうと思っている。出し方が悪いというのは声を出すときに喉によりかかり過ぎているということ。今日は、口を開かずにイの母音で首の後ろに当てる練習をやった。それと、あごをしっかり引くこと、このことで、声帯の前面部、喉仏で言えば尖った方を意識せず出すようにすることと、声帯そのもの喉仏が上がらないようにする方法でやってもらった。まだ不完全だけど、良い感じになってきている。それと、鉛筆や指を歯でくわえて歌を歌ってみる方法。彼女にはこれが有効なようだ。しかしまだこれをやっても、顔の前面あるいは喉の前部に頼って声を出そうとしている感じが見られる。どうもこれが彼女の高音の難しさに関係があるのではないか…と睨んでいる。あごを引いてもまだ後頭部や首の後ろの張りが出てこない。顔全体がまだ前に出ている感じになっている。このフォームをこれからは徹底的にやることと、口をパクパクさせないでアーティキュレーションをすることを徹底させたい。曲はイタリア古典歌曲集からアマリッリ。ようやくほぼ全体の譜読みが終わりつつある。今日はブレスが足りなかったところが、随分クリアできて いた。また、高いアの母音もずいぶん楽に出るようになってきている。その理由として無駄な呼気運動をしないこと、腹を使い過ぎないこと。少しずつ問題がクリア出来ているから休まずに来て欲しい。

むらたさん。普通のアの母音で下降5度で発声練習を始める。前回飛躍的に声が出るようになったところから退歩することなく、声が出ていた。意外な発見だったが、上半身の姿勢と立ち方、全体的な筋肉の状態がとてもバランスが良いこと。聞いてみると以前に運動をやっていたとのこと。やはり、身体を使っていたという経験は身体特徴に現れる。今はまだ発声が未完成だけど、そんな肉体の状態や姿勢だけでも、将来性は感じられるものだ。さて、口の使い方だけど、下あごだけを開くために軟口蓋が上がらずに音程がややフラット気味になるので、上顎も上に開くような感じで開けて欲しい。そうすれば声質も明るくなる。今はあまり難しいことを言いたくないが、ちゃんとブレスをしてちゃんと息を吐くように声を出せば声は出てくると思って欲しい。ただ、声を出すエネルギーは胸や喉に力を入れるよりはお腹に力を入れることを意識して欲しいと思う。イの母音をやる。声の当て所や腹のことに注意が行くと声がかえって出ない。唇を丸くして下唇の方に声を出すように、あるいは喉の下の窪みに声を当てるようにしてしっかりとお腹から声を出すようにしてほしい。イからエ、アに母音を変える 方法をやる。まだ声の当て所が高くなってしまうために力強い響きにならない。もう少し声を当てる場所を意識することそれは、口から下。胸などに当てるような感じだ。それを導くために下唇を少し出すようにして音を導いてやる感じだ。また、今日発声でやったように声を出す際に、お腹の横の張りを持たせるように意識すればもう少し声に力強さが出てくるのが分かると思う。
きょうから歌うことを始めた。曲はイタリア古典歌曲集のCaro mio ben...思った通り途端に声が出なくなる。最初のCaroのミ♭の声は抑制しないでしっかりと吐くように声を出して欲しい。声の出し始めでこれがいつもきちんと意識できれば、声はどんどん出てくるはず。後はイタリア語への慣れが必要だろう。これは、ちょっとやればすぐ慣れる。Rの巻き舌はそれほど気にしなくても良いと思う。ぼくは発声だけをやるよりも、歌を通して発声を教える方が良いと思っているので、出来るだけどんどん譜読みして欲しいとお思う。あくまでも歌うための発声法だから。


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6月7日

りりこさん。教えるということは難しいことだと改めて思った。本人の思いとこちらの思いが合っていればうまく行くけど、合わないと際限なくすれ違う。今日はそんなレッスンだった。これは反省。ぼく自身は先生に手取り足取り教えてもらえなかったので、カット&トライ、トライ&エラーでやってきた。
人によっては基礎から順番に、そして順番違わず行かないと思考回路が迷ってしまったりストレスを感じてしまうのだろう。しかし、良い勉強でもあった。
さて、発声をやっていて支えがない、あるいは胸に力が入ってしまう、ということが問題になった。
ブレスの問題と声を出す際の呼気の安定が問題なのだろう。腹式呼吸のことや声を出す際の筋肉の使い方などが問題になるのだろう。いずれにしても、筋肉を使うことに頭が行って何かをする前にすでにお腹がカチカチの状態に陥ってしまっているケースが多いような気がする。これはりりこさんに限らないが。それなら、まず柔らかい状態を取ってみること。普通に息を吐くときどうお腹が使われるか?というところに視点を戻してみるのも一つの方法だろう。彼女の場合は普通に息をハッハッハ・・と出してみるとお腹の筋肉は充分に使えていた。それから、胸に力が入ることが多いようだったが、一つは呼気の際にお腹を使うから呼気が出来る…声が出る…ということにこだわり過ぎていること。ちょっと難しいが、声を出せば自然にお腹の動きが附いて来るという発想の転換をすることも効果的だ。
呼気は大事だけど、呼気を意識し過ぎると、お腹や胸が固くなってしまうということもあるのだ。
こういうケースの場合は、声が出れば自然に呼気が促されているわけだから、呼気をあえて意識せずに声を出す練習も必要だ。また、音楽の中にも呼気をしっかり意識するようなフレーズもあれば、呼気をあえて意識せずに、あるいは息を止めるように音楽をする場合だってあるのだから。
初心者の方に教える難しさは、一にも二にもこのお腹の使い方を教えることにあることを悟った。
声を出す訓練が出来ていないと、最初は声に支えがなく喉声になってしまっているものだ。それを悟らせるためにお腹を入れなさい!お腹を入れないと声が出ないくらい!と教えるとすぐ分かるものだ。
しかし、これがやり過ぎを招いて終いにはお腹がカチカチになって、胸で呼気を意識して胸に力が入り過ぎるのではないだろうか?
さて、前回から主にリズムの訓練のためにコールユーブンゲンを使い出している。今日は続きで付点音符の練習。2拍子。タンタタンタタンタ…というリズムだがどうもビート感が出ないので、倍の4拍子にしてみる。この方がむしろ幼稚園の子供が楽しく感じるようなリズム感を感じてくるからだ。とぼくは思った。何度かやっているうちに大分落ち着いたリズム感が出てきたようだった。その後、3連符と16分音符と八分音符の混在形の練習をする。やはり、3連符が正確に出来ないようだ。3連符はとても大事だから良く復習して欲しい。メトロノームを使って、今日やったように倍のテンポ設定など取り入れて練習して欲しい。
曲は、ヘンデルのAh mio cor....これは譜読みが不完全だ。言葉を付けないで母音やラララで丹念に音楽を身に附けて欲しい。Son tutta duolo...これは譜読みが出来ているが、全体に音程が上ずる。
発声練習でやったハミングで音程の問題、胸声のポジションをしっかり叩き込んで欲しい。それから発声練習の時、そして今までも指摘したが、あごが上を向く癖を早く確実に直して欲しい。頭が胴体の上にしっかり乗っているフォームを身に着けて欲しい。


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6月6日

さぶりさん。来る度に良くなっている。高めのポジションでテノーラルに出していた声がいつのまにかバスらしい落ち着きが出てきた。ハミングで発声練習をやると少し癖がついていた。最初の声のアタックで低い声にあててずり上げる。声のポジションを深く取ることをしつこく言ったせいだろう。これは良くない。正確に音を当てて欲しい。上向で発声をやると声の質は落ち着いているのだけど、音程を上げるフレーズの流れ方がまだ音程一つ一つで取っている感じ。つながりを持つためには、イメージを持って欲しい。例えば、回転するイメージ。ドレミファソ〜と昇るときに、最初のドを軽目に出しておいて、レミファ〜と昇る際に勢いを付ける。この際に、声の響きは胸から下に潜る感じ。これはなかなか難しい。自分がやってみて真似をさせると、そのまま真似をしてそれらしくなる。こちらで聞いていると、なるほどまるでチェロのボーイングでドレミッファソと〜とやっているように聞こえる。良い声だ。高いほうまで昇ると、ト音記号の2点D、実音では1点D〜1点Esくらいまでが声帯を合せられる限界で、1点Eになると、声帯が合せられなくなる。喉を見ていると、途端に喉頭が上がっ てしまうようだ。これは下の方の声の出し方が関係があるし難しいのであまり直さないでおく。声の調音が比較的前に当てているせいもあるだろう。もう少し中に入れる感じが分かれば、もっと高いほうまで声は出せると思うが、それをやりだすと一から全部直さなければならなくなるだろう。合唱のバスだし、無理は禁物だ。
さて、曲は日本語の合唱曲。歌になると、途端に声が悪い意味で軽くなる。曲が静かなダイナミークの少ない曲というせいもあるが、声のポジションは曲調でそんなに変らないものだ。軽くするのは表現上必要な場合、あるいは言葉の語感でわざと浅く発声する必要がある以外は、変えないほうが良い。彼の場合はフレーズの中で音程が上がる場合にそれが良く出る。また、低めの声で始るフレーズの場合も、最初の声のポジション(あえて音程とは言いたくない)が上過ぎるし軽すぎる。もっと筋肉を使って、下から声を引っ張り上げる感覚を持って欲しい。それから、低音に降りる場合に、更にその低音の音質を磨いて欲しい。やや生っぽい声だ。もっと柔らかいと更に品が良くなる。(品が悪いわけではない!)でも、全体にとても良くなっていると思う。曲になっても発声の時の響きを忘れないように。

ちばはらさん。下降のアの母音でAくらいからいつものように発声を始める。前回気になっていた1点Cくらいから喉声になるのが治っていた。ただ、音程が上がってくるとやはり苦しそう。1点Fisくらいから音程が苦しくなってくる。まだ喉の開きが悪いようだ。口を開くハミングに切り替える。軟口蓋に音を当てる感じで。軟口蓋に音を当てるということは、積極的に喉を開くことを意味する。必然的に、あごをしっかり下げることになると思う。この場合下あごを前に出してしまうと、軟口蓋は上がらず、音程が上がらなくなる。何度かトライするうちに、筋肉が暖まってきたのか、2点Gの音程が決まり出す。その調子で上に昇っていく。次にハミングの声から軟口蓋を開いて母音唱法に変えると音程音質ともに決まり出してきた。喉声ではなく、声帯全体がきれいに鳴っている感じ。次に、スタッカートでドミソ。これも比較的高音でやる。しっかりあごを開いて喉の開きを意識してもらう。特に2点Gくらいから上は、しっかりと胸も開いて出す。あごを引いて開ける。喉頭が下がり、息が声帯の後ろを通る感じ。これが出来ると2点Aくらいまでしっかり出てくる。このやりかたで一番高い声をロングトー ンにする。今日はこれが今までになく決まった声が出ていた。本当に喉が開いてきた感じ。気を良くして少し軽い声のアタックでも出してみると、これが喉声ではなく、かつ柔らかく響く良い声。これは良かった。しかし、ご本人は低い声が鳴らないという。ソロでもないし合唱だから低い声はそれなりに高いポジションのままで出れば良いかと思ったが、出し方を教える。要は、1点bくらいから下になったら声の当て所を決めて声帯を少し合わせる意識を持つことが大事だ。それから声を胸に響かすこと、あるいは腹筋の使い方を変えること、前腹を中に、あるいは上に押し出していたのをやめて、側腹あるいは腰の方に力点を変えてみること。また高い声ではしっかりと喉を開くために、下あごを開いていたものを意識して閉じる。口を開き過ぎると声帯が合い難い。
曲はさぶりさんと同じ日本の合唱曲だった。同じ曲。テナーパートにしては全体にキーが低めだが、静かな曲のためか、音程を低くしないようにするためか、逆に喉声っぽくなってしまっていた。声のポジションを軽くしないで息を多めに混ぜる感じ。ということは喉を開き目にする意識と音程を上げ過ぎない。音程が低い場合は、開口母音なら軟口蓋を上げる意識と、息をきちんと流すことで音程を維持することを心がけて欲しい。音程が低いと言われたからといって、喉で音程を取ってしまっては駄目だ。ちばはらさんも、発声で出来ることを極力、歌の中でも生かせる方法を考えて欲しい。


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6月5日

さたけさん。発声をやりだしてしばらくは、以前の癖、声を当てるときの迷いみたいなものがあったけど慣れたら徐々に落ち着いて来た。発声の時はブレスをしたら自分のタイミングで声を出すことを心がけてほしい。ブレスをしてから息を止めて声を出すと声を出すタイミングや、当て所に迷いが出ると思う。声を出すときに大事なことは迷わないこと。レッスンの最後にも言ったけど、中低音、そんなに高くない音域で顔に当てようとする必要はないし、そうすることで胸声を楽に出す体のポジションが悪くなって声が上ずってしまうと思う。さて、今日はスタッカートのドミソで発声をする。胸に声を当てる練習だ。この練習は喉の奥、深いポジションに声を当てる感覚を養うためである。特に音程が上がるフレーズの場合に、高い音に行くほど喉の奥に声の当て所を持って行く感覚を知るためである。もっといえば高い声を出すほど喉が下に下がるようにすること。高い声ほど自然にあごを下げることによって喉が下に下がり喉が開くのだ。もちろん、腰の支えが必要なことは言うまでもない。それから、高音域、2点F以上の口を開いたハミングで軟口蓋を高く上げる練習。この練習で大事なのは 、声を鼻に当てるのではなく軟口蓋で歌うこと。高くなったら口を充分に開けて腰をしっかりさせること。ドレミでやったが、彼女の場合ハミングをして気づいたのはミになると必要以上に声のポジションを高く上げようとすること。何か、無駄な抵抗をやっている感じだ。意識せずにそのままド〜ミに上がって行けば良い。音程がフラットになる感じがするのだろうか。これがうまく行くと、声が浅くならずに丁度良いポジションの声が高音でも得られる。彼女の場合はこれがすごくうまく行った。きれいな良いポジションの高音が2点Asまで出せていた。スタッカートの練習でも2点Hまで行けていたから、普通のソプラノでやっていけるだろう。曲は前回と同じく、中声のキーのIntorno al'idol mio...数小節ずつゆっくりと見てみる。ゆっくりとしたテンポでやると、大分癖が無くなって品のある歌を歌えるようになっている。低い声、特に5線の真ん中ほどは、良い声を出しているが、上に行くと声のポジションが上がり過ぎている。長く伸ばす音符などももっと胸に響かすようにクレッシェンドすることを教えると、素晴らしく良く響く良い声が出ていた。後、フレーズの上昇形、特に細かい音符のレガートの処理がまずい。八分音符を短く感じ過ぎてぶつ切れになってしまう。息を流してエネルギーを持って上に昇るように。3連符とシンコペのリズムがどうも取り辛いようだ。これは基礎的な練習が必要だろう。全体に声のポジションを低く感じることと、細かい音符で切れることを注意して。良い声が出ているから、その調子で頑張って欲しい。モーツアルトの歌曲に挑戦するこれからがますます楽しみだ。

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6月4日

さわださん。発声をいつも通りにやりだしたが、どうも調子が出ない。いつも少し気になっていたのだが声を出すと肩から腕にかけてがどうも固い。何かしゃっちょこばったような立ち方になってしまうのだ。あらためて、聞いてみると歌うと固くなっているという。両腕の力を抜いてすっと降ろし、腰を左右に振ってみる。腕から肩の力が抜けていれば回転する遠心力から両腕の揺れは自然に大きくなるのだが一向にそうならない。これは、相当に固い。笑
歌いながら、肩を片方ずつ動かしてみる…リズミカルに動かせない。ぎこちなく動く。体全体が固い。
上半身がもう少ししなやかな状態になれば、もっと声が出るし柔らかい良い声になると思う。では具体的にはどうするのか?背筋や腹筋をもう少し鍛えたほうが良いだろう。腹筋や背筋がつけば腰がしっかりしてそのことで、胸から上の筋肉をしなやかにすることが出来ると思う。
しばらく発声で声を暖めてから、高音の練習をするがどうも浅く調子が出ないので、胸声の練習をしてみる。ドーミーソをスタッカートで胸に当てる感じをやってみる。そういえば、彼女にはこの練習はあまりしなかったが、これも巧くないな…。どうも探ってしまう感じ。もう少し反射的な発声練習をやったほうが良いような気がする。 曲は、トスカから「歌に生き恋に生き、、、」イタリア語のアーティキュレーションで終止する。譜割りが難しいときは、なるべく歌詞をノートに書いたほうが良いだろう。単語の区切りが良く分かるし、イタリア語ならイタリア語のイントネーションを全体的につかむことが出来るから。
何度か歌ってみるが、彼女の良いところは高音を出せば出すほど輝いてくるところ。まだまだその声は未完成だけど、これから磨けば更に美しくなってくると思う。ヴィヴァルディのアリア集を持たせた。


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6月3日

すずきさん。きょうは地声の練習を少しやった。以前に比べて高い声の声量も少し伸びてきた。スタッカートで地声の当て方を教えたことと、もう一度お腹の使い方を教えると、地声ながら大分高い声の安定感が増してきたし音域も伸びてきた。喉の詰まりが少しずつ解消されて来ている。まだ叫び声になってしまい、大笑いになるが、声の当て方のコツがわかると、叫び声にならずに声になって出せるだろう。この地声の練習は結局チェンジしても効果があるのだ。またチェンジボイスになった場合は、やはり声の出し始めにしっかりお腹を使うことと、口の開け方のタイミングそして口の開き方をしっかりさせることで、かなり声が出るようになる。後は歌の時に言葉がついてもその出し方が実践できれば良いと思う。そんな感じがつかめそうな予感もあったし、彼女は元来、高音が出るので、ドイツ語だけどモーツアルトの「すみれ」を与えた。今日は譜読みだったので、声はしっかりいかないけど、譜読みをしっかりして、声の使い方を把握して言葉がつけば、良い音楽が出来そうな予感がする。次回も譜読みになると思うけど譜読みの時から声をしっかり出す癖はつけよう!鼻歌で譜読みをしな いように!ただ、ドイツ語はむずかしいね!辞書をよく見て英語との発音の違いや、ドイツ語特有のCHの発音や読み方に少しでも慣れておいてほしい。この曲は素晴らしく美しい曲だからやりがいはあると思う。

あんどうさん。体験レッスン。大合唱団でアルトを歌うとのこと。またそれに相応しい声が出そうな体格だったけど、意外に声が出ない。アルトパートだそうだけど、低音も鳴らない。ブレスも筋肉もあるのだけど、声帯そのものを振動させる術を身につけていないのだ。これまた、多くの素人のクラシック声楽に関わる人に多い「喉を使わない」イメージがあるのだろうか?アカペラアンサンブルなどでも時折いるけど、女性だとチェンジボイスしてそれ以上のことを何もしないで声を出すからいわゆる「白い声」イタリア語でVoce biancaという状態であった。ぼくが良くやる、わざと喉声でエ〜とやって声帯を合わせる練習から始めてみる。それで音程を上げていき、地声の領域で地声を意識して声帯の「鳴り」をあえて意識してもらう。喉を鳴らすけどその力の持ち場は腰だ。腰にしっかりした意識があれば喉を鳴らしていても、大丈夫だから。そこから今やっているブラームスの曲のアルトパートを歌ってもらう。確か、1点Eの音からだったかな?イの母音だったけど本人はおっかなびっくりながらちゃんと声が出て来出した。ぼく自身の耳にはまったく問題がないのだけど、ご本人は何か特定のイメージに合わないような、わからないような、納得が行かないようだった。今後、レッスンをやる場合は声帯の鳴らし方を多分徹底的にやっていくことになるだろう。

たにさん。発声練習はいつも通りに下降形で下がったり上がったりで始める。いつもながら喉の奥の開きが今一つ。特に軟口蓋を高く上げることを促すために、口の開きを節約しないこと。息のコントロールと喉の開きががもう少し出来れば、この段階の声を出すきつさが無くなると思う。それは、お腹の筋力と関係があるだろう。声の出し始めが大きすぎてしまうのだ。息が出過ぎてしまうのではないか?出し始めは柔らかく、強すぎない声で入ることに留意してほしい。曲は、フォーレのAu bord de l'eau...歌の出だし…S'assoir tous deuxのソ−ミの音程の上がりだけど、低い音に力点を置いて響かし、上のミの音は腹筋でしっかり支えるけど声自体はあまり鳴らさないような感じで響かすこと。要するに下の音程の中から上の音を拾う感じ。Al'horizonの高い音は口を開き過ぎずに鼻のほうに音を響かす感じで当てる。いずれも2点Fに昇るエネルギーはお腹からしっかり出すこと。口を開け過ぎると、声が鳴らないから気を付けて!しかし良い曲だね。改めて人に教えてこの曲の良さがしみじみと分かった。ルネサンスのシャンソン以来の伝統が詰まっている…
ビリティスの弾き語り…1曲目の前半はたっぷりと急がずに歌って欲しい。後半、愛の語らいの中で時が経ち、日が暮れてくる場面転換の感じをテンポの緩急で表わして。2曲目の出だしもゆったりとまったりと。Cette nuit..から少しずつ少しずつ動き出すように。曲想の高まるところでも声はチェンジしないで!その後、Ainsiの声をしっかり鳴らすように。音程が上がるときにあごが浮いてしまう癖を発見!あごが浮かないようにしっかりあごを引いて。3曲目の出だしは遅すぎずに。音の厚みが出てくるところでもピアノを鳴らし過ぎてうるさくならないように。全曲に渡って音域はそれほど高くないから声はしっかり鳴らしたほうが良いと思う。この曲のピアノ弾き語りはそうはないから、やるなら半端にやらずに大きな音楽を心がけて欲しい。期待してます。

さかもとさん。最初に喉の鳴らし方の練習。胸の上、喉の下の窪みに声を当てることと、お腹の使い方で声帯を最大限に鳴らすことをやる。その後、上のチェンジした声を訓練する。声を出すためにあごが出てしまう。まずこれを治して欲しい。そのために姿勢を大事にして欲しい。背中から後頭部にかけてが真っ直ぐになるように。ややあごを引くこと。声を前に出すエネルギーはあごを出すことではなくてお腹に力を入れることに留意して欲しい。お腹でも腰でも良い。しっかりと筋肉を使うこと。こちらに神経が行けば肩や胸の力も抜けてくる。イの母音からアの母音に響きを変えないようにする練習。お腹は側腹部を張るように力を入れて高い声を出すエネルギーを作るようにしてほしい。曲はゴスペル。とても良い曲だ。音域はアルトだし、ゴスペルなのでチェンジせずに思い切り地声で出してもらう。低い声もちゃんと声の当て方を意識して鳴らすように。高くなっても胸に声をパ〜ンと当てる感じでやってもらう。きょうは練習の成果が出て驚くほど声が出る。あまりレッスンが出来なのだいけど、姿勢、特にあごが前に出ないようにすること、声の当て所、そして腹筋を使うこと、この3点セッ ト(笑)を忘れないでやれば喉も痛まないし効率良く声が出る。声が枯れるのは効率よく声が出ないためにますます喉声になり悪循環に鳴るからだ。また来て声を聞かせて欲しい。慣れればどんどん声が出てくるだろうし、声を出すことが楽しくなるだろう。

よしおかさん。しばらく声を聞いていると、声の出だしが落ち着いていてポジションが浮ついていない。胸に楽に響かせている感じが良く分かる。ただ、やや音質がこもっている。あごの開け方、特に下あごが前に出るように口を開いていることと、軟口蓋が高く意識出来ていないようだ。難しかったら上顎を上にも開くような感覚を持って欲しい。そうすれば音質は明るくなるし、浮つきもしないから。声というのは基音と倍音で成り立つ、とすれば、胸声が基音であり、その基音の音程を維持するのが上の引っ張り、軟口蓋を上げることだろう。どちらの引っ張りも大事だけど、低い声ほど、上の引っ張りが大事だし、高音に行けば行くほど、下の引っ張りを感じなければいけない、という理屈にはなる。発声では高い声、特に2点F以上の声に大分厚みがついてきた。もう少し下あごを開いて、喉を開けることと、腹筋を使うことが同時に出来るようになれば良いな。後、同度の音を発音するときは、母音によって口をパクパクしないこと。基本的に口の開きを変えないことが良い。そのことで、軟口蓋の開きがかえって促進される。また、音程が変っても、相当な音程差がない場合も口をパクパクさせずに アーティキュレーションすると、良い響きが出てくると思う。ブレスが足りないようだけど、これは横隔膜を広げる筋肉だから、下腹部をやや引っ込めて側腹部から胸郭にかけて広げる筋肉が必要だし、またそれを維持する筋力も必要になってくる。後、出来たら口を開けないでブレスすることも良いかもしれない。曲はイタリア古典歌曲集のNINA。これも鉛筆などを口にくわえて歌ってみる練習が良いかもしれない。大分良くなったけど、まだエとイの母音の響きが浅くなってしまう。Svegliate mia ninettaと昇る音形は、最高音で最大限に筋力を使えるように、余力を残してほしい。二つの部分に分けて、Svegliateの低い声の出し方、Mia Ninettaの特にNiのイの母音をきちんと響かせないと、最高音のネの声がきちんとと出せない。ここの声の出し方が強くしっかりすれば、言うことないのだけど。
最後にStar vicino..最初の声の出だしStar vicnioは、音程が浮つかないよう、浅くならないように楽な胸声を心がけて。後は、イとエの母音に気を付けて。


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6月2日

たむらさん。きょうから徹底的に発声をやることにした!彼女はきれいに歌うけどまだまだ体を使って声を出す訓練が足りない。まず声帯をしっかり使うこと。地声の領域でエの母音で喉の下、胸の上のくぼみに声を当ててしっかりと声を出す。これをぎりぎり地声の高い領域まで出す練習。彼女の場合は1点bくらいまで。それから他の母音、イやアの母音でやってみる。高くなってくると喉がつまってくるから口を良く開けて喉の開きを促す。次に胸声のポジションをつかむ練習。ドミソをスタッカートで出す。ハハハとやる。上に行くほど力は下に向けること、胸に軽く響かす感じ。また最初のドの音は無理なく出しておいて、一番高い音のソに向けてクレッシェンドする感じ。低い音と一番高い音との間に音質の差があまりでないように意識してみる。次は高い音、チェンジした声で声を良く集めることをやってみた。2点Dでイの母音で声をしっかり出す。これに慣れたら次にイからアの母音に変えてみる。これらの練習で、きょうは素晴らしく声が集まるようになった。最初に声帯をしっかり合わせる練習をしているから、チェンジしても下の声の響きがついて良く鳴るようになっているのだと 思う。ただ、喉にまだ大分力が入っているようだ。その割りには声がかれない。意外と喉は丈夫だな。さて、曲はJobimのAgua di beberとAgua di beberは発表会に比べて全然声量が出る。きょうの地声の練習が効を奏してパワーがついた。次にInutil paisagemをやった。少しキーを高くして最初の上向のモティーフをきれいにクレッシェンドして張った声で出せるようにした。やや不安定なところが残るけど、チェンジボイスと下の地声との切り替えが無理なく出来ている。全体に声量も出てきた。この調子でしばらく同じ曲を使って発声を集中的にやっていきたい。

みくりやさん。発声では、声馴らしで下降形でゆっくりと低い方からやる。低い方と中音部は彼女は心配がないから。。。ただ、ブレスにはまだまだ注意が必要だ。声を出す間もお腹を使って胸を広く高く維持できるように。これが出来ると、ブレスがもっと伸びる。あと、ブレスのコントロール。最初に使い過ぎないように。胸がしぼまないように注意してほしい。なぜなら胸の開きを維持できていれば、短いブレスでも充分に息が入るし、声も響きが落ちないから。次に声が鳴るようになってきたら高音まで行く。前回教えた、ハミングから軟口蓋を開いて出す方法を思い出してもらって、やってみる。すんなりうまく行って2点Hまでちゃんとした響いた声が出るようになった。う〜んさすがに1年半通っただけのことはあったね!おめでとう!といいたい気分だ。これでオペラのアリアもかなりイケルだろう。今度はミミのアリアをやってみよう。。。良く勉強してくれたごほうびだ。
今日はラヴェルのギリシャ民謡2曲目La bas vers l'egliseから。言葉の発音と歌。フランス語は、lleをユと発音するかルと発音するかの違い…これはlleの前にiが入ると必ずユになる。歌は…といえばこれまたビッタリはまっている。彼女の不思議。(笑)合うかな?とは思っていたけどこれほど合っているとは思わなかった。この曲はソ♯の上に乗っているMode(旋法)だからソ♯の音程はきっちりはめるように。特にフレーズの終わりのソシャープは気を付けて。さて、これで調子に乗って、1曲目reveille toiも譜読みとフランス語の読みまでやる。これもうまく行きそうだ。リズムの乗りが抜群に良い。次回がますます楽しみになってきた。

にしさん。前回の反省で音域にこだわらずに声帯の調子を見てみる。前述のたむらさんと同じく、エの母音で声帯を合わせる練習をする。色々やってみるが、どうも思った結果が出てこないばかりか、どうもドツボにはまって、抜け出せない。声が喉声になるばかりで、高音になると音程がフラットになり、どうにもならない。仕方がないので、ハミングの練習をするが、これも力が入って響きがこもってしまう。ハミングの状態で高音が出ないので、ファルセットにするがファルセットから地声に変る瞬間に薄く鳴らさなければならない声帯がボテ、、、っとなってしまい、これも音程が出なくなる。万策尽きて最後に椅子に座らせてやると少し楽な声が出て来た。どうも原因の一つに腹の力を使う余りに胸まで力が入り体の重心が上がってしまうのだろう。また、喉頭の動きを仔細に観察したり、軽く触わってみると、声を出す瞬間に喉頭が上に引っ張られてしまうようだ。この動きの原因も、声を出そうとする体中の力のせいだろう。声を出すためにお腹を必要以上に中に押し込んだり、それだけではなく肩から胸まで上に力を昇らせていることが良く分かった。そこで、ドミソのスタッカートで練習をし てみる。ドミソの一番高いソを出すときに、ボールを床にバウンドさせて跳ね上がらせるように声を下に軽くバウンドさせて跳ね上げる感じ。少し良い感じがつかめてきたので。次に、2点Dの声で、一発ハ〜と出すときに、必ず声を出すこととあごを下げることを同時にやってもらう。要するに喉頭が上がる前にあごを下げて喉頭を下げることをやるためだ。何度かやっているうちに巧い具合に軽くしかも胸声で響く声が出るようになる。本人も自覚があったようだ。これに気を良くして、イタリア古典歌曲のアマリッリをやってみる。音域や音楽的にもきょうやった練習にぴったりだからだ。次回から、この曲を用いて喉頭が上がる癖を直していきたい。


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6月1日

とうとう6月になった…一番苦手な梅雨の時期。体を壊さないことを祈りたい…
特に梅雨寒が一番まずい。春先の花粉症とこの梅雨の時期を除くと一年で実用になるのが8ヶ月という中古車。昔のシトロエン並みだ。でも乗り心地は良いぞ!笑

相蘇さん。彼女はなかなか頑張る。というか熱心。声がどんどん出るようになってきた。発表会の曲も反省を込めて復習をしたのだが、良く歌えていた。特にStar vicino...発声はまだまだ課題は多いけど何か彼女なりの声の世界を持っている。こういうものがとても大きいのだ。Vergin tutto amorも高音が随分と楽に出せるようになっていた。
さて、発声練習をやっているときから気になるのがブレス。お腹だけをビク…っと動かして機械的な感じ。胸が柔らかく広がっていない。腹式といって、胸を頑ななまでに動かさずに腹だけを出っぱらかす人が多いけど、これは良くない。自然な胸の広がりも同時に必要だ。声楽の筋肉の使い方はどれ一つ取っても機械的、On,Off的な動作はない。しなやかに、自然に行われていない場合はまずおかしな使い方だ、と思って間違いないだろう。腹式呼吸というのは横隔膜を広げることに意味がある。横隔膜は、肋骨のすぐ下にある。肋骨も含めて広がりがないと、横隔膜はきれいに広がらない。大体がお腹を使う場所が下過ぎると思う。
歌になってから、気になったのが前々から気になっていた、下あごの使い方。前にカックン…と少し出すようにして開ける。そして、音質がややこもる。これはあごの使い方と関係があるのだろう。
そこで、下あごを指で後ろに押すようにして、あまり開けずに歌ってもらう。特にVerugin tutto amorの高音部。これが素晴らしくうまく行った。音程がフラットにならない。明るい。響きが良く出る。響きが後ろにび〜んと響いているのが分かる。後は低音部の声の明るさをどう出すか、が課題。次回からアンドレア・ボチェッリのTime to say good bye...をやる予定。ところでこの曲、英語のタイトルなのにイタリア語の歌なのはこれ如何に?

ちばはらさん。下降5度で発声を始め、段々上がって行くと、2点Cくらいから微妙に喉声になるのがわかる。そこで、発声で軟口蓋を上げる(開ける)練習をやる。口を開けたハミングで声を出し途中で軟口蓋を上げて、母音に戻すのだ。以前にやったときは全然うまく行かなかったのが大分開くようになってきた。これが出来るようになると、俗に言う上が開いた状態という。やわらかく明るい高音が可能になってくる。彼の場合、まだ時々うまく行かない場合がある。それはハミングの際に喉に力が入り過ぎることである。喉によりかかって高音を出そうとする癖がある。いわゆる下あごと喉によりかかって声を出してしまう、特に高音。こうなると、音程が下がって喉声になってしまう。それも来たばかりの頃に比べると随分と力が抜けてきた。あともう少しだと思う。喉頭の動きを見ていても、舌根のせいなのか、高音で声を出すときほど喉頭を押し下げる感じが強い。高音になってきたら、少し下に行く力を弱めて喉に任せて出すように。スタッカートでオクターブをやると、やはり最高音がフラットになる。これも腹の力よりも喉に力が入るせいだ。腹を中に入れて胸を高く開くことと、頬を上げて 軟口蓋の上がりを促すこと。それから、ハミングのことだが、鼻に空気を流すのではなく、軟口蓋で音をとる感じをつかんでほしい。鼻に息を流すと喉に力が入り、音程がフラットになる。
最後にオクターブの跳躍でAve mariaの発声をやる。かなりきれいなレガートでメッザヴォーチェが出来てきた。最高音も2点Asまでは、音程に無理がなくなってきた。段々上達していくのを見るのは何よりの喜びだ。頑張ってほしい。曲は寺島さんの合唱曲。音のアタックを大事にしてレガートに言葉を処理してほしい。音が途切れないように。それから、フレーズの中で音程が上がる前の音には特に注意してほしい。音を上げるためのエネルギーというか、足場をそこで作らなければならない。その辺の旋律の作法もこれから少しずつ教えていきたい。


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