2001年7月後半レッスンノート

レッスンノート目次
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7月11日 | 7月12日 | 7月13日
7月13日

このレッスン日記を付け出してほぼ1年になる。顔ぶれも随分変ったが、変らない人もいる。長い間来てくれる人とは徐々に信頼関係も出来るし、あうんの呼吸も出来る。声楽は元来そんなにすぐに良くなったり身につくものではない。落ち着いて腰を据えて勉強して欲しい。何もプロになるわけではないのだったら、ムキになることもないけど、人様に音楽を聞かせるのだったらプロも尼もない。モトイ!アマもない(笑)
きょうはあいそ女史。発声練習では、徹底してチェンジボイスを勉強した。軟口蓋を上げて口を開けるハミングだ。これは声楽家だったら避けて通れないテクニックだから、みっちり勉強して欲しい。日本人が一般に声のピッチが低いといわれるのは、このテクニックがきちっとしてないからだ。男性合唱関係に多いのだけど、あごに力を入れてこの軟口蓋を上げようとしている人がいる。これは喉の方に力が入って軟口蓋は全然上がっていない。声はなんだか出るような気がするのだけど、胴間声でどうにもならない。ngで、ンガンガンガ〜!と軟口蓋を上げる練習をして欲しい。この時は下あごは下げ過ぎないことが、下あごに力を入れないこつだ。うまく出来たときは軟口蓋あたりに空間が感じられそこに声を響かせることが出来るようになる。そして何よりも声質が明るくなるしピッチがきちっと高くなる。曲は、イタリア歌曲集の「すみれ」ラララで譜読みの練習をする。結局、彼女の場合は音名で譜読みをした方が確実のようだ。ピアノと歌の音程がぶつかるところなどはどうしても、ピアノに引きずられてしまう。全体に高目の音程だけど、ずいぶんと声が楽に出るようになった。


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7月12日

おかださん。ロンドン在住の方で夏休みの里帰りでこちらに来てくれた。もちろんこのサイトを通じて知り合った。向こうでは通訳の仕事をしながら趣味で歌の勉強をしているとのこと。オペラを見て声楽に興味を持ち今年からロンドンの日本人の声楽家について勉強を始めたばかりだそうだ。今までメールをやりとりしながら、今回のレッスンについて計画を練った。ぼくとしては嬉しい限りでこうして海外在住の方まで教えることが出来るようになんて思いもしなかった。早速発声練習をした。持ち声はとても良い。背が高いし体つきもしっかりしていて、訓練を積めばもっと素晴らしい声になるだろう。年齢的にも今がチャンス!さて、しかし声を良く聞いて思ったことは3つ。声の当て方がわかっていない。そのために響きが出来ていないので音程が不確か。そして息漏れが多いので声量が出ない。声の当て方は2種類をやってみる。まず、口を開けて出すハミングから。このハミングを練習する際にはくれぐれも鼻に向かって歌わないこと。軟口蓋に向けて歌うこと。軟口蓋に当てること。それに慣れたら、ハミングの声から軟口蓋を開いて母音で出すこと。この時も鼻の方に声を当てるのでは なく真っ直ぐ脳天めがけて声を当てるように。きょうの感じではすぐに出来ていたが、忘れないでこの練習はやってほしい。次にイの母音からエそしてアに変化させる練習。これはすぐに出来た。前に当たったアの母音が出た。ただ、曲をやるとそれが目立つのだが、声が気息的なために、ブレスが持たない。歌を歌う際に何か必要以上に息で押して声を出すことが目立つ。隣に立って声を聞くとその声が胸からあごにかけて当たるために、響きがやや低い。そして、声を出す際に胃の部分を膨らませてそこに頼るために声が野太くなってしまう。あごもやや下げ過ぎのために、響きが落ちる。頬は少し上げるように意識した方が声が明るくなると思う。これらの問題点を曲でも同じように指摘して直してみた。カロ・ミオ・ベン、アマリッリ、ネル・コール・ピウ・ノン・ミ・セント。この中で一番良かったのがアマリッリ。カロ・ミオ・ベンは多分音程差が大きいため、現在のブレス不足が苦痛を強いてしまうのだろう。ブレスは声の出し方が良くなれば自然に伸びるから今は辛抱だと思う。下のりりこさんと同様、今はあまり息を送り過ぎたり、腹筋を使い過ぎずに声をコンパクトに当てることを覚えた方が 良いと思う。

りりこさん。今日は徹底して彼女の癖を直しにかかった。こうなったらもう声楽道一直線!(笑)ブレスをする際に口を開けてするのは良いのだがそのために、声を出すポジションがどうも低くなってしまう。喉を開こうとする余りに喉頭で響く音色が強くなってしまい、結果として胴間声っぽくなるのだと思う。声が野太くなってしまう原因の一つだ。慣れれば良いが、今は口を使わずに鼻で軽くほんの少し吸う程度の方が、喉に無駄な力を入れずにきれいな声が出せる。逆に言えば、野太い出し方を後から混ぜれば、それなりの深みのある声も作れるということ。ただ、今は細いスリムで直線的な声を出すことを覚えて欲しいのだ。それから、首を前に出す癖。これは、多分息を太く送るためにあごを上げて声帯が息によって鳴り易い状態を作るためではないかな。これも×。声帯の正しい状態を作るためには顔は真っ直ぐ前に。声帯で鳴った声を直に鼻根や目のあたりに当てられる状態にした方が良い。また、あごをだら〜んと下げるよりは、頬を上げて口元を少し引き気味で声を出した方がこれも声帯が合って明るい細い良い声が出る。その証拠にこの形が作りやすいエの母音だとすごくうまくいく。今 日は取りあえずこれだけを徹底してやった。次回もすぐにこの声の当て方が再現出来るようにしてほしい。一つだけ、声を当てる場所は上顎部の鼻根や目の辺りに意識をして欲しいけど、声の出すきっかけはみぞおち辺りに持った法が良いだろう。その方が音程が上ずる癖がなくなると思う。曲も色々やったけど、アマリッリは大分良くなった。その証拠に低音が軽いけどとても自然に出るようになっている。それに声全体がまるで何かに目覚めたように明るくナチュラルで知的な感じがする。今までのりりこさんがどこかに消えてしまったようだ。本人は声を出した気がしないかもしれないが、この出し方が声の原形と悟って欲しい。

みくりやさん。駅で転んで痛い思いをしながら到着した。体調が悪いのかな?少し心配だ。。。。
発声練習では最近教えている上顎に声を響かせる練習をやった。軟口蓋に声を当てたり、頬を上げて声を明るくしたりした。彼女は自覚すると早い。きょうも少しやり出すとすぐに出来るようになった。3点Cはきつかったけど、2点hまできれいに出ている。典型的なソプラノだ。元来が喉が強いし太くも当てられるので、声の表現力は幅があると思う。何度も言うが、今までのみくりやさんは、声が強いので前に簡単に当てて出せるのだが、これだと微妙に音程が低いし高音が出しにくくなる。だから声を上に響かせることは、中音部からいつも準備していないと駄目だ。強く出す場合は、鼻根や目の方に、そして軽くフワーっと出すのなら、口をやや開いて軟口蓋に当てるようにすること。これを徹底して覚えて欲しい。曲は、ラヴェルのギリシャ民謡。全体にフランス語は良く読めている。語尾のあいまい母音は広めに意識してほしい。2曲目はほぼ完成。発声の声のアタックさえ気をつければ本当にきれいに歌える。見事なものだ。1曲目。これもきれいに歌っている。ただ、強めに当てるので、声がやや太く全体に表現が画一的。とはいっても、きれいに出来ているのだが。どちらかというと、民謡的な 響きになる。もし出来るのなら、もう少し口を開き目にいして軟口蓋に響かせて歌えると、更に表現力が増すと思う。3曲目はこれも良く歌えている。最後のEt c'est toi
que j'aime...のフレーズだけは、軽くしてほしい。4曲目は一番難しい曲。突然出てくる変異音に戸惑っているようだ。これは、理屈ではなく、フレーズの音楽を覚えてしまう方が得策だと思う。何度も歌っていれば身体についてくるから。とにかく声はきれいだから、後は譜読みをしっかりしてほしい。


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7月11日

さぶりさん。発声練習を上向5度で声馴らしに始める。いつもながら発声練習で思うのは、びゅんびゅんと良く回るエンジン、V62Lエンジンのようだ。声帯が良く立って振動しているのが分かる。しかし、音楽になるとその感じが少し弱くなってしまう。多分発音やフレーズの形の勉強がまだ足りないのではないかな。発音は柔軟な口の使い方、唇の使い方を要求されるし、音域によって声のフォームにも微妙な調整が必要だから。発声では後下降形でメッザヴォーチェの練習をした。軟口蓋に声を真っ直ぐに当てる、そして軟口蓋を高く、口の中の空間を大きく感じること。この際に少し声帯を下げる感覚が一緒にあると、良い。何度かやってみて少し良い感じになった。2点Fまで使える声が出るようになった。彼の高い声、特に2点Es以上はこの出し方だけにしても良いくらい。充分に響く。ただ、まだ顔面に声を当ててしまうので必然的に口の中の広がりが出ない。イタリアらしいApertoな声が出ると良いのだが、むしろドイツ系の歌手のバリトンの高音に似た感じ。
曲は、シェーンベルクの民謡とメシアンの曲。全体に静かでとろ〜んとした音楽のベースパートで当然に音域は低い。ブレスが足りないことと、全体に声を支え過ぎて響きがきつい。きついというのは声を上に上げ過ぎるために柔らかい低音が出ないし、響かない。ましてブレスがきつくなるフレーズの後半は音程が上ずってしまっている。少なくともこの曲では、必要以上に声を支えるよりも声帯自身を楽に低音が響くようなフォームをとるべきだろう。声帯が自由に振動すれば音程はおのずとはまる。声帯を意識的にやや下げて喉の下のポイントに当てる感じで。胸は良く開いた方が低音の共鳴も良くなると思う。少し高目のアの母音VaterなどのAの母音が伸びるときにビブラートがなくかつ、のびやかな柔らかい声がほしい。

ちばはらさん。発声を軽くやりだしていく。喉の辺りは柔らかいがまだ喉っぽさが残る。それでも大分コツを覚えて高い方までなんとか音程がはまるようになったが、厳密に聞くと音程が低い。微妙な声の辺り具合をいつも気をつけて欲しい。逆にきれいに当たらないときは無理をして声を押さないようにすること。声の出し始めで中音部の鳴り易い音域で簡単に声を出すとすぐに喉鳴りに慣れてしまう。常に声を上顎に響かすこと、喉から離れて軟口蓋に空間を持ってそこで響かすようなことを気をつけて欲しい。そのために現在注意できることは、下あごを不用意に下げずにむしろ開かない口のフォームで発声を気をつけてみることが大事だと思う。口の開きはいつでも上顎か頭部に響かせることが出来るようになってから使うくらいで良いのだ。それから当たり前のことだけど、声を出し過ぎないこと。声を抑えても駄目だけど、出し過ぎないこと、頑張り過ぎないで声を出す、という簡単だけど難しいことにも注意をしてほしい。声は鳴らすのではなく、響かすもの、ということを徹底的に考えて実行して欲しい。曲はラッススの宗教曲。これはそれほど高くない音域だが、全体に喉っぽい声で歌ってい た。響きが完全に喉から下で響いている。これでは駄目。全体に強い響きが要求される曲ではないはずだから、軟口蓋を良く上げてそこに響かすことが大事。軟口蓋あたりに空気の層が出来て、どんな母音の形、言葉であっても必それを確保してそこに響かすように。口や頬はそのためにこそ特有の使い方がある。彼の場合はさぶりさんと逆で口はあまり開かない閉めたフォームで実行して欲しい。練習をしたら大分改善された。忘れないで徹底的に身につけて欲しい。


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7月10日

やまうちくん。いつも通り発声を始めたがやや調子が乗らないようだった。しばらく発声をやっているうちに彼らしい金管楽器の声が聞こえてきた。まるでトロンボーンのような声だ。細い声を練習したくてイの母音だと細くあてられるので、イの母音の練習をしたいのだが残念ながらイが殊のほか苦手である。無理に出そうとすると必要以上に喉を下げて太く詰まったような響きになってしまう。で、わざと喉っぽくその代わり軽く出させると、喉が痛いという。解剖しているわけではないので絶対的なことは言えないが、声帯のエッジの部分を使おうとすると使い慣れてないので、調子が乗れないのではないかな。ただ、本人の生理的な問題があるのであまり、無理は言えない。その後、曲になってから、やはり全体に開口母音の形で歌おうとする傾向が気になった。曲は、古典歌曲集のSe tu della mia morte...狭母音も口を開ける感じで歌うので気息的だし喉が詰まった感じがする。ただ、声のアタックにビブラートがなく息を流して歌う感じがとても良い感じではある。バロックやルネサンスものには良い歌い方だ。中音部で声をもっと上顎、そして顔の前面に当てるような出し方をすこしやってみる。口の開かないイタリア語で言えば、chiuso(閉った)歌い方である。これは二つの理由で効果的である。口、特に下あごを動かす必要がないので必然的に声帯が合って鳴りやすい。口を無駄に動かさないのでアーティキュレーションに時間的な無駄がなくなり、音楽的にも軽くそして響きが一定になる。彼自身は慣れてないので何とも言えないがうまく出来ると思う。次回も同じ曲、そして前回のTu mancavi tormentarmi..をやろう。そして、その辺りの問題を勉強しよう。

さたけさん。発声練習を始めて気になったのは、響きがついてきたのだが、微妙に音程が低くなること。原因は、下あごを開き過ぎるために、気息的になり声帯の振動が不活発になって音程が落ちてくるのだろう。五線以上の高さなら良いけど、五線の中の音域は彼女の場合はあまり口を開かずに声を上顎あるいは、顔の前面、鼻根辺りかおでこに当てる感じで声をアタックした方が響きが明るいし、声に倍音が混ざって良いと思う。あごを抑えて歌わせると、実にうまく声が当たる。五線の内側ならほとんど問題ない。それと、発声の単純な上向ならば最高音に達するのに勢いで早めに達して音程をしっかり乗せること、下降ならば出し始めに強く当て過ぎずにフレーズ終わりで息を出しきるように。こんなことも単純な発声練習で勉強になる。
顔が恐い顔になるのは、ずいぶん治った。気をつけないと元に戻るが、気をつけていれば大分なくなるだろう。声もうまく上に当たるときれいな響きになる。発声練習では軽く3点Cまで出せるようになった。教えている人間が言うのも何だけど長足の進歩だ!曲はフォーレの「リディア」リエゾンの間違いや発音の間違いは少しだけだった。良く読めていると思う。後はリズム読みが間違いがあった。この辺りに譜読みの基礎の必要性を感じるが、少しずつ曲を歌いながら覚えてもらうのが良いだろうと思う。この曲は彼女の今のレベルにはとても合っている。音符が細かすぎないし、言葉も多すぎない。音域もそれほど広くないが高目の音程もある。悪い癖は、細かい音符を切って歌おうとすること。音程を素直に取って歌うので響きが切れてしまうこと。言葉の扱いも旋律のレガートを消してしまう要素だ。そういう意味でこの曲は今の彼女には合っているし、声も合っている。しばらくこの曲でじっくり勉強して歌の基礎を更に向上させたい。


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7月9日

こぬまさん。下降5度で発声を軽くやると、声のアタックで強くその先が尻すぼみになる傾向がある。アタックの声が当たっていてその後が当たらない声で終わりまで続く。段々と高くなり最後のチェンジ領域になると、にわかに調子が出るがそれにしても最初のアタックを強く出し過ぎだと思う。この下降フレーズの練習だったら最初は、軽く当てて(抜くのではない)息で持って降りて最後に息が完全出切る状態を作るべきだろう。当然声のアタックではビブラートがつかないようになるはず。ならなければならない。この下降5度の練習を2オクターブに渡ってやる場合は当然、その音域で当てる場所も少し変えた法が良いだろう。そうでないと低音部は鳴りにくい。そうやって声を軽く当てて息を伸ばすようにすると、ビブラートがなくとても美しい声が出る。が、しかし(笑)本人曰く「声が小さくないでしょうか!?」多分本人は声のアタックで慎重になってはいけないと思うのだろう。もちろん声は一瞬にして出なければならないが、声は充分にコントローラブルでなければいけない。そのために、声の当て方に最新の注意をはらう。そのための練習ということ。ためしにクレッシェンドをか けてみるが、充分に声量は出ている。何も心配は要らない。声の当て方で喉の下の窪みに当てることを練習してみる。イは充分な響きが出るが、エそしてアはやや喉が上がってしまう。恐いか、喉っぽいのか?腰の筋肉を充分に使っていないと、やや危ない面もある。次回は口の使い方を工夫して再度挑戦してみよう。それでもアの響きも素晴らしい響きが出ている。ただ声の当て方は一つだけに固着しないで色々と使って欲しい。もっと鼻の方あるいはおでこに当てる感じで出しても明るい声になる。要は自分の声や喉と相談しながら色々と当て方に工夫を持って欲しいのだ。
曲は、メシアンのO sacrum convivium..気絶しそうに美しい曲!ブレスが短いのと、雑音が混じるのをなんとか治したい。身体を見ていると、意外と胸郭を使わないようだ。胸郭も開くことは大事ではないかな。それから、下腹部の支えも必要。後はフレーズの最初の音のアタックで息を使い過ぎない工夫。ビブラートを絶対にかけないように、フラットになることを恐れないでやること。声がフラットになるのは軟口蓋の意識と声の当て方、そして息の流れで決まるのだから、出してからじたばたしてもしょうがない。それと、息を入れるのに少し時間がかかるのかな。そのために音楽の中ではややアタックが遅れがちになるのかもしれないな。
こぬまさんは声のテクニックの引き出しは比較的多いと思うけど、実践になったときにどれだけそれらを応用して使えるか、また自信を持って使えるか?ということだと思う。それらの引き出しの中身をどう使うかを今後学んで欲しい。

にしさん。発声練習の前にあごの力の抜き方について話したし、前回もそういう結論で終わったのだけど発声練習を始めるとやはりあごというのか、喉に力が入っている。取りあえず低音部、中音部は声をしっかり前に出す感じで逃げてみたけど、高音になってくると、力が入ってくる。そしてイの母音を練習するが、2点Dで喉が詰まってどうにもならなくなる。ここでやったのは、イの母音でもなるべく軟口蓋に空間を持たせて喉のつまりをなくすためには、やや口を開いてみることだった。イになると喉が上がってしょうがないので音が上がる際には、意識は下に下げるように、感じること。これらのやりかたで結構うまく行けそうだったけど、結局イの母音は難しくて断念。アの母音でやると、どうにかこうにか。そのまま高音まで上がって行くと、やはり音程が出ない。そのために取りあえずは腰をしっかり使って音を上に突き上げる。こうするとなかなか響きの良い高音が出るようになった。その声を聞いてから、曲に移った。アマリッリ。しかし喉が鳴るばかりでどうにも音程が出ない。どうにもならないので、とにかく一切の喉の力をなくしてもらって、子供の声のように楽に出してみる。これが 案に相違して良かった!これだ!ということで、しばらくアマリッリの練習をしてみる。こうやって出した声はまるでにしさの声ではないみたい。(良い意味で)なんだかやっとこれからの取っ掛かりが出来たようで嬉しかった。後は喉周辺の力を抜いて、音楽するために息の回し最大限使わなければならない。そのために腹筋を使って、呼気の意識をやや大げさに呼び覚ましてやる。これは、喉の力が抜けるまでのことであって、実際本当に喉の力の抜き方と、その状態での声帯の良い鳴らし方がわかれば、それほど呼気の意識を持たなくても大丈夫。それよりも、今の状態で注意して欲しいのはフレーズの音程の支え方というか音律の感覚。これは軟口蓋の上げ方と腹の感覚が大事なので徐々にやっていこう。とにかく喉の力を抜いてやること。これにつきる。


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7月8日

今日は要点だけ。

すずきさん。発声練習では徹底して中音部の声の強化に努めた。チェンジした声をどう強くするか?
最終的には、1点G〜2点Dくらいまでの5度の間の声では、チェンジしても声をなるべく喉の奥、あるいは喉の下の窪みに当てるように努力するしかなかった。口はしっかり開けて喉の奥が意識されるようにして出すこと。あるいは物を吐くような意識で声を出す感覚が必要だ。そのためにはお腹の力も必要だろう。歌を歌っていると、地声の領域がとても柔らかくきれいに出るので、この声をなんとかもう少し上まで使えるようにしたあげたい。ハミングをやってみたが、これがなかなかうまく行かない。この辺にも課題があるのだろう。多分地声でハミングをやって、そのまま高音まで行ければ地声の領域も広がっていくのだと思う。歌は、モーツアルトの"An chloe"比較的低めの音域はなるべく地声を使って出すようにしてみるのも方法だろう。

かとうさん。初めてで道に迷ってしまって時間がなく結局発声しか出来なかった。残念だった。
発声練習を聞くと、前回に比べて明らかに変っている感じがした。前回は、地声のままどんどんと上がっていき、2点b(シ♭)くらいからやっとひっくり返った声を使っているように思えた。今日は2点Fis(ファ♯)くらいからひっくり返し、強く当てている感じ。ただ、彼女は息を使った歌い方があまり出来ていないようだ。本当に喉を詰めて喉の感覚だけで声を出している感じだ。確かにこの方法だと、高音になっても喉の当たりが強いけども音楽的には融通が効かないのではないかな?ブレスと声を出す関係がもう少しナチュラルになるような練習がこれからの課題。それから、2点F当たりから声を更にチェンジして、もう少し楽に出すことも必要だろう。そのためにも息を流して歌う訓練が必要ではないかな?彼女の自作の歌を聴いた。とっても素敵な曲でぼくは聞き惚れてしまった。世の中には素晴らしい埋もれた才能があるんだ!とあらためて意を強くした。彼女の夢をなんとか実現させてあげたいものだ。。。

たにむらさん。
彼女はかとうさんと、まったく正反対のタイプ。とにかく息が漏れてしまう。きょうも色々試行錯誤したが、むしろ息の流れを積極的に使って、声を上にあるいは後ろに流すようにする。母音はイから始めて口を開きながら他の広い母音に移行していく。下降や上向のパッセージを使ってなんども発声練習をする。どうにか使える声になったと思う。多分今までで一番行けそうな感じだ。なんとかこの方法で歌うコツをつかんでほしい。要するに口をあまり開けずに狭い母音の響きで息の流れの勢いで歌いまわすこと。歌はアマリッリ。地声を積極的に取り入れると、弦楽器のようで低音部はとても魅力的だ。これは美点だからどんどんアピールしてほしい。高音のチェンジした領域は、きょうの発声でつかんだ声を使ってなんとか歌いまわせることが出来た。これからはあまり色々なことをせずに、今日つかんだ感じを大事に行きたい。

たちばなさん。彼女も一ヶ月ぶりくらい。初めてのレッスン。発声をやり出して驚いたのはとても積極的に歌う姿勢が見られたことだ。前回体験レッスンで歌ったときは、まるで歌うことが初めてのようにも見えた。あれは緊張していたのだろうか??
姿勢が悪い。特に肩から首にかけてが硬すぎるし、首が前に出過ぎている。もう少し背中を真っ直ぐにそしてあごがあまり前に出ない方が良い。地声は喉の下に当てるときれいに出る。意外と高い方まで伸びる。チェンジすると途端に声が散ってしまうので、イ〜エ〜アの練習をするが、まずイの母音がうまく行かず、このやり方は止める。来られる回数が少ないので、効率よく彼女が歌いたい歌をうまく歌うこつを教えるのが先決だろう。曲は「サン・ジャンの恋人」というシャンソン。3拍子のきれいな曲だ。なるべく地声を利用して高い声は自然に返すようにすること。そして、息の流れ勢いを利用して高音に上がることがコツだろう。次回は、日本歌曲を歌いたいといって楽譜をたくさん持って来ていた。とても歌が好きな方で、教えがいがある。

よしおかさん。発声練習の最初はどうも声が当たらずにすかすかしてしまったので、もう一度イの母音で声帯をしっかり合わせる練習をする。声は出したら同じ響きで当てないと音程が狂いやすいから声の当て方を決めてそこに照準を合わせて出すことを意識してほしい。高音の練習をしてどうにか3点Cまで出してみる。声は勢いがないとなかなか高音が出ないものだ。ブレスをして準備が出来たら一気に出す。あるいは一気に昇るという感じを大事にして欲しい。体調が今一つなので発声もそこそこに曲をやる。アマリッリはとてもきれいに処理している。彼女の美点は無駄がないこと。そのために破綻がないけど、もう少し声の冒険みたいなこともあっても良いかな。イの母音が少々無造作なので響きを大切に。ヘンデルのLascia ch'io pianga...これは前回よりも楽に高音が出るようになった。喉を開いて勢いでしっかりと高音を出してほしい。お腹の力を入れることと喉あるいはあごを開くことは同義にして声を出すこと。出だしは声のポジションが浅くならないように、深いポジションを保つように。

りりこさん。
発声がダイブ楽になってきた。軽く響きがコントローラブルになってきた。この声ならなんとかいじれそうだとの思いから、声を前に当てる練習をした。口を半開き程度にして響きを鼻根あるいは目の辺りに当てる練習をする。そのためには、彼女の悪い癖であるあごが出る癖を矯正せざるを得ない。ぼくが固定してやってみると、確かにきれいに早く音が当たる。これが彼女にとって切実なものになれば言わなくてもすぐに出来るようになると思うのだが…このやりかたで2点hまできれいに出るようになっている。声が低くなったら当てる場所を少し低くすれば良いのだ。鼻根から歯の裏当たりに下げるようにしてみる。その代わり一つのパッセージでh一つのポイントで処理することがセオリーだ。曲はO del mio dolce ardor...これはとてもきれいな歌い出しだったけど、少し響きがぽ〜っと している。もう少しメタリックな響きが出たほうがイタリア的なんだが。もう少し前にピンと当ててみること。
アマリッリはこれもきれいに歌えているが、上記の声質の工夫好みを出してほしい。きょうの発声でやったことを応用すれば出来るはずだ。


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7月7日

今思い出したけど今日は七夕ということでした。
たむらさん。発声練習では始めて声の共鳴を勉強する。あごの使い方。開き過ぎないで声の響きを上顎に当てるコツをやる。これは、口を開いたハミングをまずやる。ハミングの際に響きのポイントを軟口蓋に感じること。これに慣れたら、今度は軟口蓋を開いて母音にする。この際に下あごは絶対に動かさないことが、軟口蓋を上げる筋肉を機能させるために良い。下降形で最初の声を口を開いたハミングにして、適当に軟口蓋を開いて母音にしてそのまま降りる。フレーズの勉強しては、最後の最低音の時に再び口を開くと、更に喉が開く感じがあって良い。このようにして小さな5度のフレーズで口や軟口蓋の柔軟な運動を練習することが出来る。実際の音楽ではさまざまな母音や言葉、子音などが交錯している。口の開き方や唇の使い方、あごの開き方などを「声の響き」ということを主題にして柔軟に使えるように練習することが大切。実際の曲になると、どうしてもこれらの使い方が固定的になるものだ。あと、発声練習では地声とチェンジの交換を良く練習した。中音部ではチェンジした声は鳴りにくい。さりとて地声のままでは高音まで出ない。そのためにチェンジした声域の下端でしっかりし た声を出す練習をして、再び地声に戻ったり、またチェンジしたりといったことろ瞬時に行う練習が必要だ。田村さんこの辺はうまく出来ている。後はコールユーブンゲンで5度音程と4度音程の混じった練習をする。音程の練習には最初は階名唱法が良い。ファーミ、シードなどの半音やその他の全音程など取りあえずは音程の基礎を身につけるためには手っ取り早いから。これらの練習でも声の出し方には常に注意すること。曲は、ジョビンの「オルフェ」をやる。これも名曲だ。
私としては教えるのが楽しい。

たにさん。きょうは彼女にしては珍しく家に入るときに大きな声で「こんにちわ」と言った。声に張りがあった。それで思ったことは、声は気持ちが表現されるものだけど逆に声を使って気持ちを変えることも出来るのかもしれないな。女性が化粧をしたり、あるいは洋服を選んで気分を変えたりするように。何でも精神が先にあるのではなく、肉体から精神を変えていくことも有り得ると思うし、大事なことだと思う。合理精神とは実は肉体をなおざりにする言い訳なのかもしれない。肉体と精神というのは二元論的に分けられるものではないと思う。さて、発声練習ではタイミングや勢いを大事にしてみた。第一段階目のチェンジボイスでどこまで上がれるかやってみたけど、2点Fisまでは確実に使えた。いつもそうだけど発声のやり初めではリラックスしているように見えてどこか、体が硬いような緊張しているような風が見える。あいそさんとは違うけど、胃の辺り横隔膜の弾性を意識して跳ねるように、飛ぶように声をどんどんと出していくことを重視してみた。ややもすると彼女は逡巡してしまうので、逡巡する閑を与えずにやっていくことも良いと思った。声帯はそれほどやわではないのだ。後、 半母音Ja(ヤ)を使って上がって行く方法。ヤイヤイヤイという方法で5度上向。この時は下あごは動かさずに舌だけで発声する感じ。これだと嫌でも響きが上顎に行くことと、下あごや舌根に無駄な力が入らないためだ。2点Gまで声がひっくり返らずに行けた。彼女自身が気づいているか分からないけど、声のひっくり返りは口を開けて喉が開いた状態で良く起る。この辺りの感覚に気をつけて見て欲しい。それから腰、腹筋の方も少し意識を持って欲しい。
地声の次段階のチェンジボイスだけど、もうちょっと喉っぽく当てても良いから、喉に力を入れずに当てることもやってみたい。もう少し明るい華やかな声が出るはずだと思っている。
曲はドビュッシーの「En sourdine」から。これはそろそろニュアンスをつけてほしい。フレーズや転調した後の言葉の意味と音楽の変化を良く感じて。ドビュッシーは指示が細かいからその通りにやればその通りになるはず。笑
月の光を初めて歌う。これも実にきれいな曲だ。ほんの少し、本当にほんの少しシャンソンぽくて俗っぽさがあるところがドビュッシーのこの時代の歌曲の良さ。特にこの2曲はそれらのバランスとドビュッシーの鋭い音感覚があって、ぼくの好きな一品。しっかりした声、そしてチェンジした声の使い分けを計算してうまく歌い通してほしい。

むらたさん。少し疲れているのか発声をやりだすと、どうも力が出ない。前回口を開け過ぎということで今度は開けないために声が浅くなり、力がこもらない声になってしまっている。もう一度声の当て所を復習する。喉の下の窪みに当てる方法だ。彼女はこれがとても合っていて、即座に声が鳴るようになってきた。イからエそしてアに移行してアの母音の響きを集める練習。これをやりだして高音の鳴りがイマイチだったので、徹底的にやってみる。最初2点Eから次に行くともう響きが浅くなってしまうので腰の張り、そして喉の奥の感覚を意識してもらい、響きを変えないように上に上がる練習をしていく。徐々にだがその辺りが分かったらしく、最終的には2点Gまでしっかりした声が出せるようになってきた。これらの練習をした後、もう一度低い音域まで声を降ろしていくと低い音域の声も鳴るようになってきた。彼女は地声があまり出ないので、その分教え易いのだが逆に低音が少し物足りない。喉の下に声を当てる練習で高音も鳴るし、低音も良く鳴るようになる。この方法は声帯の状態がもっとも自由になるやりかたなのだが、意外と知られていないものだ。イタリアのやりかた。したがって喉 が弱いと自覚している人にはあまりオススメしないが、一度はやってみる価値があると思う。声がすかすかしたり、しっかりした声が出せない人にはオススメ。このやりかたで喉っぽいと感じる人はやらない方が良い。多分何をやっても声をしっかり出すこと自体が喉っぽいと感じてしまうからだ。曲はCaro mio ben...曲を歌うと今度はこの練習のせいか、声がこもったり、団子声になりがちだ。少し頬を高く微笑するような口つきにしてやると、声質が明るくなる。それにしても、全体にもっとしっかり思い切って歌うことが大事だ。今の段階では曲に記されているダイナミックス(強弱)は関係なく、響きを最大限使って歌うことを心がけてほしい。しかしながら、かなり声が出るようになっているのは事実。特に2ページ目のCessa crudel からの件は驚くほど声が出るようになっている。何度かのレッスンで良くここまで歌えるようになったものだと我ながら喜んでいる。意外と勘が良いので、レッスンに来る度に何がしかつかんで持って帰る。この調子で新しい曲の譜読みもそろそろ始めてほしい。


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7月6日

あいそさん。地声から発声練習を始める。今日やったことは、一つだけ。これは理屈ではなくて声を出す際の気持ちの持ち方。要するに明るい気持ちで高く天に向かって声を放つように出すこと。そして高音に昇れば昇るほどその意を強くしていく。これらの感情的な高まりは横隔膜の感覚だ。楽しくて仕方がないとき、横隔膜は今にも動き出しそうなウズウズした感じがする。声を出すときにもこれを意識してみる。彼女の声は、何か機械的な不活発な感じがしてしまう。それはブレスからそう。口を開けたままアアアアアアアアア〜ス〜アアアアアアアアア〜ス〜とやる。ス〜が息の音。笑
これでは横隔膜の運動性がまったく働かない。ともかく、発声練習から心のこもったブレスを心がけること。具体的には、機械的なブレスではなく、体の各部が伸びるようにしなやかなブレスを心がけること。声をだすときは横隔膜がいつも弾性を持って上に上がるような気持ち良い感じを持って欲しい。これだけでずいぶんと活発な明るい声が出るようになった。何もせずに第1チェンジの声で3点Cまで出せたのが何よりの証拠だ。音程も悪くなかった。ただし、彼女の場合それなりの今までの経験と積重ねがあるから出来るので誰にでもは奨めない。声はそこそこ当たっていて、声量もある、なのに何だか声が死んでいる感じの方(フラットでやや胴間声)にはおすすめする。曲は、Time to say good bye..大分聞ける歌になってきた。この曲も上記の感情的な問題、あるいは演技として捉えて声を出すとそれだけで、相当なことが出来るようにはなっている。要するにハイテンションということだ。歌を歌うということは大変なことでもある。身体のどこかをちょちょいのちょい!とやれば、誰でも良い歌が歌えるわけではないのだ。ただのスポーツと違う点に注意。イタリア古典歌曲集の「すみれ」これはなんとか譜読みを終わった状態。階名唱法(ドレミ)で譜読みをお奨めする。確実だから。

さかもとさん。発声を始めると、まだまだ喉声だ。前回で地声をしっかり出せるように教えたが、彼女の場合、時間が空いてしまうので(1ヶ月)元に戻ってしまう。残念。もう一度やりなおすが、今回は
チェンジした声からやる。やるが、これがなかなか難しい。どうしても喉に意識が行き過ぎて喉が後ろにひっくり返りそうになる。おそらく相当喉が苦しいのだろう。あごが最初から浮き過ぎている。これも直したけど、今日はあまりうるさく言わずにやる。イの母音からアに変える練習をやる。これで大分響きの感じがつかめたはずだけど。上顎に声が響く感じ。同じことを地声の低い領域でも何度となくやる。これを上の方でもやると、自然にひっくり返ってチェンジしてもそこそこ響く声が出る、はずだけどなかなかこれが難しい。何度か地声の混ざったチェンジボイスが1点b〜2点Cにかけて出るのだが本人がこれをつかめない。喉も痛いなどということが何度かある。これはお腹が使えていないことと、ブレスをきちんととってタイミング良く声を出さないから。そこまででタイムアウト。曲をやる。ゴスペルの歌。アルトパートで1点bくらいまでの音域なので、すべて地声で歌う。喉の下の窪みにしっかり当てて歌うコツを教えてうまく出来た。次回までこの感じを覚えていてほしい。違う曲で再度きょうの練習の続きをやりたい。彼女もあいそさんとは違う意味で性格的なものが声に現れている。 遠慮がちなとても感じの良い大人しい方なので喋り声も小さい。何か仕事などで喋ってもすぐに喉が痛くなるということ。普段から声のトーンを高く軽くあてること、そして人前などで喋るときはブレスを意識することも大事だ。このことで上がりを少し抑えることも出来る。

かとうさん。1点Cから上向5度で発声を始めると、早速喉声が気になる。彼は声を軽く当てようという意図が最初からあってどうも息漏れを感じる。そのために、肝心の声がチェンジする2点Cあたりから喉っぽくなってしまうのだ。この出し方で上に上がって行くと、息で音程を上げるだけなので、ますます喉っぽくなる。低い領域では歯に当てるように、そして音程が上がっても喉で音程を取らずにそのまま響く場所に声を当てて音程を出すこと。彼は喉が暖まるまで少し雑音が混じる声だが、暖まるまでは低音部ではむしろ喉の鳴りを意識してただし喉の筋肉には力を入れずに楽に声を出してみることも良いだろう。それから一般的には上向のフレーズでは軽くクレッシェントする意識と回転運動を感じて、勢いで出すことも大事だ。筋肉はそ〜っと使わずにいきなり使う方が理にかなっている。いきなり使う方が筋肉の緊張度が増してうまくに働くからだ。イ〜エ〜アの響きの練習をする。前回より巧くなった。響くアで高音まで上がるが、どうも2点G以上では浅い響きになってしまう。そのまま出し続けて口を開けさせると良い声になる。不思議だったが、原因は、軽く当てようとすることにある。怖が らずに一気に出して欲しい。ただ頭声と胸声のバランスがうまくとれていない。一般に高音で声を出す前から口をぱくっと開けてしまうと、胸声が強すぎてフラットになったり、胴間声になったりする。ただし、頭声の出し方を失敗すると喉に来る。軟口蓋を意識しておいてむしろ声を腰から胸にしっかり当てるようにすると、うまく響くポイントが見つかると思う。しかし前回に比べて飛躍的にテノールらしい声になってきた。ただ、ポイントがまだすぐにつかめないので、この辺りを確実にしてほしい。調子が悪くてもそのポイントだけははずさないようにすること。上顎への響かせ方のこつを忘れないように。それさえ確立できれば、上達は早いと思う。


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7月5日
みくりやさん。久しぶりだったけど、良い勘を見せてくれた。発声練習ではこのところとても良い成長ぶりだ。きょうは下降形でやわらかい声の出し方を勉強した。いつも書いているし言ってることだけど軟口蓋を上げること喉を開くことで声を金属的に当てないで出す方法だ。声の方向としては顔の前面に当てるのではなく真上あるいは後頭部に当てる感じだ。声楽教師の間ではよく表現することとしてあくびをするような口で歌うということ。これは、下あご上あご両方を開く感じだ。響きは軟口蓋あたりで響く感じがある。これがうまく行くと頭の上に漂うように美しい響きが得られる。まだ喉に力が入ってしまうけども、かなりうまく行ってそのまま2点bまできれいに完璧に出すことが出来た。後は曲でそれが出来るか?ギリシャ民謡の2曲目から。これはゆっくりなので発声でやったことが少し出来た。1曲目。これはテンポが早くて乗りが大事なのでついつい喉に力が入る。彼女の場合それでも良い声だけど、良く聞けば微妙に喉声になっているのがわかる。発声で出来たことを実行できると、喉も楽になるはずだ。出だしの、Reveille toi reveille toi...のくだりは、実は口は閉じ気味で脳天に軽く当てる感じが出来るとうまく行くと思う。今日は3曲目のQuelle galant...を勉強した。この出だしは比較的強い表現。特にGalantのギャ!という発音はお釣がくるくらいはっきりとやってほしい。そしてそれを修飾するような16部音符はきっちりではなく、いかにも修飾、お遊びという風にやると、それらしくなる。思いっきり歌いなさい!といったら本当に思いっきり歌っていたがややカラオケでイェイイェイやるような感じでなかなか微笑ましかった。笑
そして4曲目を譜読みをした。リズムがむずかしいので、くれぐれも手で拍子を取ってリズム読みの練習をして欲しい。この曲がこのギリシャ民謡の山になる、大事な難しい曲なのでじっくりと勉強して欲しい。終わってから彼女作のガラス工芸を見せてもらった。とてもきれいなブルーでとつとつとしたハンダ漬けながら彼女らしい繊細な美しい宝石入れだった。彼女の意外な一面を見た。


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7月4日

さぶりさん。発声練習で上向5度で始めると、明らかにバリトン(バス)らしい声を出していた。聞くと後ろに当てるように出しているとのこと。彼はこの出し方を最初から分かっていたのではないかと思うほど良く出来ていた。その後色々と発声をやっていて、たとえば下降形の最後の音でビブラートをつけないようにして、と指示するとすぐに出来た。やや不安定だったがこれもこなしている。これまでのレッスンの経過があったので、きょうのさぶりさんがあったのだろうか?どうも不思議だ。ま、これほど声というものは理屈ではなくてイメージが左右するという良い見本ではないか。もちろんこれが出来るだけの基礎が良いものを持っていたから出来たと思うのだが…
最終的には、開いた明るいSotto voceが出せること、それからビブラートが少ないこと、そういう声をいつでも出せるようになってほしいとおもっている。彼の癖はどうしても声が鼻にかかること。これは悪い訳ではないが、発声上の問題としてはあまり必要のないことだと思っている。これをしたからといって響きが通るわけではない。イタリア語などでアクセントが来る場所のAの母音などに少し鼻声をかけると、それらしくて良いけど、それ以外の場合は、あまり意味がないと思う。フランス語やドイツ語の歌曲などでは絶対にやってほしくない。
後、口を開けることについて彼自身の言によれば、悪いこととのこと。これは勘違い。口を開ける開け方の問題だ。下あごをそのまま真っ直ぐ開ければ、あご関節に力が入り、喉の締まった声になる。あごはやや後ろに引くようにして開けること、上のあご、あるいは軟口蓋を高くするための共同作業として開けるということに意味がある。それから、響きがついていればあごはいくら開けても問題はない。むしろ喉が開いたり、軟口蓋が上がって良い効果をもたらす。これは柔らかい声を出すのに有効だと思って欲しい。ラッススの宗教曲では、ラテン語のアーティキュレーション、エとイが鋭過ぎることとそのことで浅くなることに注意を。シェーンベルクでは、ドイツ語の発音は特に問題はないと思ったがSheinなどのアの母音の後にンが来る母音。これが前述の鼻にかかった声になる。これは気になる。違うと思う。軟口蓋がしっかりと上がった響きであるはずだ。

ちばはらさん。発声練習を上向で始めると、低音から中音部はずいぶん上顎に当たった声が聞けていたのだが、2点Eくらいからやはり喉声が気になりだす。この領域では彼の場合当てた声の練習は多分有害だろう。喉に力が入ってしまうからだ。まずは当てない、喉の開いた声で響きが上に行く声を使えるようにすることが大事だと思う。そのために有効なのはハミングの練習だ。ハミングで出してから軟口蓋を開けて母音にする練習だ。これはピッチがはまるし、何と言っても喉で押しているか、そうでないかが一目瞭然分かるからだ。喉で押していると本人も喉が苦しいからすぐ分かるはずだと思う。また音程がはまらない。本人が音程を分からないとしても喉の苦しさで分かるはず。これは徹底的に直して欲しい。高音の場合は取りあえず出なければファルセットにして出して見てほしい。その後、シューベルトのSalve reginaの練習で、高いイの母音などでどうにもならなくなる時に、軟口蓋の辺りで響かす練習をしたら、てき面に喉の響きがなくなった。まだ残っているとは言え、大分楽そうだったし、そう聞こえた。Hinという声を軟口蓋に当てる練習。hを入れるのは空気の層を意識してもらうため。腹をしっかり使って軟口蓋に息を送る。喉で声が出るのは駄目。あくまで軟口蓋辺りを意識してもらう。シューベルトの曲ではダイナミックに関わらずこの発声をまず徹底してもらいたい。うまく行けばまったく喉っぽさのない柔らかい響きが出るはず。軟口蓋の上がった、そして喉が適度に下がった柔らかい声を出す際に、うまく行くと上顎の中が2倍くらい広がったような感覚があるはずだ。そして喉鳴りはまったくなくなり、響きは軟口蓋だけで響く。そしてお腹からの呼気は積極的に送ることが、喉を使わずに済む、秘訣だ。何とかこの技術を身につけて自信を持って歌って欲しい。


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7月3日

いつも元気な声を聞かせてくれるやまうちくん!発声を始めて途中でいじると調子を崩すかもしれないけど、やはり気になるのが思い切り出す声。力の入り方は悪くないし、良く鳴る声だけどもいかにせんバリトン声だ。もう少し声をコントロール出来る状態になって欲しいと思った。要するに響きがもう少し集まって細身のスリムな軽やかな動きが効く声を研究して欲しい。彼は器用なので、実際の曲になると意外と出来るから良いのだが、それにしてもやや口先でコントロールしているだけという感じが否めない。その証拠にブレスが意外と持たないのだ。こういうことは根本的に発声の段階で声のコントロールが出来るようになると、応用が効くだろう。さて、彼の元気声は背筋を使って胸声をしっかり出すことで出る。その際に声帯は実は結構上がっているのだが、声帯筋自身は良く伸びているのだろう。上に上がっているが、喉頭が後ろにぎゅっと引っ張られているのだと思う。そのために喉頭自身は潰れていないのだろう。声の当て所を確立して響きのコツをつかんでもらうことが役に立つのだろう。喉の下の窪みに当てるのは今の彼の声には比較的楽そうだった。やってみると良く響くし声 帯のエッジの部分が微妙に当たって軽い倍音が出る感じだ。これもゆっくり確実にやってみたかったが、そのままエイヤ!と勢い任せになってしまった。もう少しスナップだけで出すような軽さ、ポン!と当てるような感じがあると良いのだけど。本人はどうも気が短いのかな?これからはエイヤ式ではなくて、もっと器楽的にたとえば、管楽器や弦楽器を扱うように声を扱って見るイメージが良いかもしれない。クラリネットなどのリード楽器を吹くときは力任せでは音も出ないだろう。あれは、唇に込める繊細な集中力が必要だろう。そういう声帯への繊細な集中力を養えるように指導しなければいけないな…と実感した。

さたけさん。発声練習ではとても良い声が出るようになった。声をずり上げて響かせる癖がほとんど直っていた。今日は、声をしっかり鳴らす練習はせずに彼女が本来持っている喉の開いた柔らかい軽い声を尊重してみた。特に下降形の発声では、高音部がとてもきれいに出るようになっている。きれいな艶と明るい響きが出てくる。無理のない声だ。課題としては、ドレミファソ〜の5度上向の発声になると5度の音程がフラットになり、喉に力が入ってしまうこと。特に高音になると、力みが出てしまう。喉に力みを持たず、呼気の自然な勢いで昇ることが大事。腰を使って呼気の上昇を尊重してそれに乗せて声を自然に出せば自然に高音が出ると思って欲しい。後は声を出すときにどこかに力が入って眉間にしわの入った恐い顔になってしまうこと。目に力を入れるように、あるいは眉毛を少し上げるように。また、頬を少し高くするように、微笑するような顔の作り方も声には良い。明るい声が出る。
曲は、古典歌曲集の「すみれ」これは譜読みがまだ完全ではないけど、中声用のキーが彼女の声には丁度良い。リズミカルで、ちょっと難しさのあるリズム。今の彼女には勉強になると思う。すらすらと歌えるようになって欲しい。フォーレの歌曲を持ってきた。「蝶と花」これも低声用だと低すぎるので高声用が良い。出だしのモティーフは音域が低いが、言葉で切らずに、レガートになめらかに流すように歌って欲しい。Deuxの母音は狭すぎてディーと聞こえるので要注意!後は語尾のEのあいまい母音がエに聞こえることが多いのでこれもあいまいにウのようにして。「愛の夢」も全音版の楽譜がぼくが持っている、Hamelleと譜面がしばしば違うのが少々面食らう。こういうのどうにかなんないのかな!?学者先生にとっては色々理論があるんだろうけど、こちらにしてみると、大概はどうでも良いことが多いのだ。ともあれ、さたけさん、フォーレの歌曲はとても良いから勉強して欲しい。次回までにリディアを勉強してほしい。

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7月2日

にしさん。今日はやっと問題点を突き止めることが出来た。あごに力が入っているのだった。こんなことに気がつかなかったとは!今までどうしても気になっていた声質のどこかに力みが感じられていたことを軽く考え過ぎていた。喉の上がり過ぎか、軟口蓋あるいは舌根あたりに力を入れ過ぎていると思っていた。発声をいつも通り1点Cから始めて、早速その声質が気になったが、それよりも音域の特にやや高い辺りから音程がはまらず響きが出ないことが気になった。対処療法で、どうにかこうにか行けるようになったが、今度は下降5度の練習の高音、特に五線の上辺りの音域でドツボにはまってしまった。これは、いかん!ということで、最後にあごを開けずに高音の練習を始めた。ヤイヤイヤイという半母音で5度上向の練習をする。途端に彼特有のどこかに力の入った声質がなくなった。しかしこのままでは、喉が潰れている子供のような声だ。これではいかん、喉がやられる!と思い今まで避けていた喉を少し下げる意識で、今度は低音に戻ってあごを軽く下げる程度で(これは自分の出し方を真似してもらっただけ)始め、5度3度の交換で2点Gまで昇ると、これがピッタリはまってぽ〜んと 良い声が出た。今まで初めての声だ。これで行こう!とういうことで、きょうのレッスンを終わった。ゆうに1時間以上かかった。反省としてあらゆる可能性をつぶさなかったこと。
問題点をやり過ごしていたこと。テノールということで音域をあせってしまったこと。
やはり低音の練習は大事だ…。


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7月1日
きょうはホント疲れたのでレッスンノート一気書き!

初めてのこぬまさん。ちばはら、さぶり両者のいる合唱団から来た。声を聞くと品のある良い声をしているという第一印象。喉が良く開いている。とてもまじめな歌いっぷりだと思う。ただ、喉を開くことで通しているので、響きに芯が今一つ足りない感じ。フレーズの発声練習をすると、声の出し始めで当ててから他の音を抜く傾向がある。フレーズの最後まで抜かないように。そのことが、声の自立性を弱めていることと、歌い出しの入り、いわゆるアタックの思い切りの良さがやや足りない。これも発声の技術的なことと捉えたい。取りあえず声域を見ると普通のソプラノの音域はクリアしている。本人は喉声を気にして入るようだが逆に喉声を気にするあまり、声を当てることを怖がってないかな?音程は上げようとすればするほど喉に力が入って喉声になるところがある。問題は声帯が良い鳴り方(振動)をしていれば自ずと良いピッチが得られることを分かって欲しい。声の当て所は鼻根に当てることもあればおでこに当てることもあるし、歯の裏、硬口蓋に当てる感じもある。あるいは喉の下の窪みに当てることも出来る。喉の下の窪みに当てて練習をしてみたが、まだおずおずとやるので、中途 半端だった。しっかりと当てると強い声が出る。これはとても喉の声帯を自由にするけど、合唱の場合はやや強すぎるきらいもあるだろう。中音部で声が鳴らない部分で軽く活用してみれば良いと思う。いずれにしても声の当て所というのは、固着的に捉えないで音楽の部分で柔軟に取り入れてほしい。曲はヴィクトリアのO magnum mysterium...出だしのoの母音のアタックはウの母音で出す感じで練習すると喉がきれいに開いて出しやすい。そこから軽く舌を変えてオにするだけで良いと思う。気になったのはブレスの雑音が大きいこと。低い声が当たらないために、ブレスが伸びないこと。それから、イの母音がやや浅い。エも浅さがある。これらの母音の浅さは口の形を変えないでアーティキュレーションすることで、簡単に治るから気をつけて欲しい。こつは下あごの動きを気をつけること。色々とやることがありそうだけど、根の深い問題はないので進歩は早いのではないかな。

みむらさんは、少し声の揺れが気になった。喉の力を入れないようにしているのは良いが、もう少し響き、特に声帯が鳴ったところでそのままビ〜っと鳴らし続ける感覚で声が出ると、更にビブラートのない美しい声が出ると思う。それでもずいぶん声の強弱をつけて出せるようになっている。あるいは。少なくとも中音部では声をもう少し細く顔の前に集めるように意識してみることも良いかもしれない。高音は少しずつだが伸びていると思う。高音になったら、みむらさんの場合は、あまり腰で引っ張って押さないで胸から上で軽く当てるようにした方が良いと思う。口は横開き気味で頬を上げて細く当てればかなりな高音、多分3点Fまで出るのではないかな。もちろん無理は禁物だけど。
曲は、Piacer d'amor..これはとてもきれいに仕上がっていると思った。気をつけないと部分部分で自然にリタルダントがかかり過ぎてブレスが足らなくなるから、In tempoを心がけてほしい。
Sento nel core...これはテンポがやや遅いかな。きょうぼくが提示したテンポは実はやや早いけどみむらさんは、おしなべてテンポがゆっくりになる傾向があるから練習時はやや早めに設定して練習した方が良い。特にこの曲はかっちりした舞曲風の3拍子で歌った方がバロック的できれいだ。そのためにはやや早めに感じてみることが良い。それと歌の出だしの声がゆれないように真っ直ぐ響かせることも曲の印象を一新させるから、トライして欲しい。

たにさん。発声練習をやって思ったことは、発声だとやや神経質になる傾向があるかな?後、まだ喉に力を入れて出す傾向が多い。特に下のチェンジした声。1点h〜Eにかけて。もっと楽に当てれば問題なく出ると思う。これも喉声を気にしているかな。下あごを不必要に下げなければ声は鼻根やおでこ、上顎に当たって共鳴するから。ところで、色々な人に首を真っ直ぐに支えてあごを引くようにというと、逆にあごの下の筋肉に力が入ってしまうことが弊害になってしまうことに気がついた。この場合ややあごを上に向けると喉頭周辺の筋肉に力を入れられないために、この形で発声をやると良い結果が出ることもある。彼女の場合もそう。喉の廻りの筋肉によりかからずに、首の中にある声帯そのものを意識して、そこの鳴り方、感覚に集中してほしい。
曲はドビュッシーのEn sourdine...低い声はもう少し鳴らしてほしい。その代わりビブラートがつかないように。あごの使い方だけど、下にガクガクと動かさずに、心持ち後ろに引くように使えると滑らかだし響きが落ちない。Qui vient a tes pied rider les ondes de gazon roux..の最後のrouxの高音はもっと喉の力を抜いて当てて欲しい。これは今日はやれなかったけど、多分口を開かずに、唇を突き出して、声を鼻根に当てるように意識すると、下の声でもきれいに響くと思う。Voix de notre desespoirのVoixの声は素晴らしくうまくいっている。全体に官能的なこの曲の雰囲気がとても合っていると思う。この曲は、というか今更ながら振りかえると随分進歩したと思う。これだけ聞かせられる歌を歌えるようになったのだから。元来が音楽の趣味嗜好をはっきり持っているのだから、その感覚にしたがって声を出せば美しい声が出る。声のことはあまり神経質にならないように。。。。

よしおかさん。発声練習を下降5度、アの母音で始めると気になることがあった。それは一つ一つの母音であごが微妙に動くこと。本人が意識がないので、なおのことだ。声はアの母音で出せばそのまま、というかその響きのまま降りていけば良いので、あごは動かす必要はないし、動かないはずなのだ。たとえば、下に降りるほどあごが開いていくのは良い傾向だが。多分、声を鳴らす拠り所が感じられてないのかな。声質自体は悪くないので、今日はそのことを治すまではいかなかったけど、多分声を出す際に、どこかに声を当てる共鳴させる感覚があればそれが拠り所となって、あごを動かさなくなるのでは?と思っている。次回やってみよう。それと、そろそろ響きの質、音程、などに注意を向けて欲しい。自分が出している声がどう響いているか?音程はどうか?よしおかさんは、非常にナチュラルに声を出すのだけど、逆にいえば、良い意味での作為性がもっと欲しい。特に中音部の声の変わり目、1点b〜2点Cにかけては、声がフラットになりがちだから、気をつけて。響きが上に抜けるように、軟口蓋を上げること、口を開くこと。などなど常に声の質と相談しながら、色々と声を変えていく、感 じを持って欲しい。きょうもイ〜エ、アに変える練習をする。これをやるとアの声に響きが出る。何故これをやったかというと、普通に下から上向5度で発声を始めたら響きが全然でなかったから。低い方は地声でないと声量が出ないものだが、中音部になったら、積極的に声を「当てる」こと、覚えて欲しい。曲はアマリッリから。大分きれいに歌えるようになった。イの母音が響きが落ちて浅くなる。全体に口の使い方を気をつけて。丸めに開けること。唇をもっと積極的に使ってアーティキュレーションすることが大事。ぼく達は普段は唇を使って喋らない民族だから。Lascia ch'io pianga...これは全体に高いので、楽に歌えるように教える。高音は、力で押さずに響きを上顎から上に当てる感覚を教える。そのためにむしろ、下あごを開かないで閉め気味にして出す。これはうまくいったと思う。

りりこさん。発声は最初中音部の正確なピッチの練習。3度、5度で当てて出すように。発声をやり出してから気になったのは、高音が強く出るのだけどやや喉っぽいこと、それから太いこと。空気で押している感じだ。それから声をアタックする際に息を入れるテンポが速い割りに声の出だしが遅いこと。どうも息を入れて声を出すまでの作業が忙しい感じ。もう少し落ちついて、そして正確に適度な声量で声を当てる感覚が育つと、その後、声が出てからももっとコントロールの効いた声が出せると思う。とにかく高音になればなるほど勢いで出しているという感じ。これは声を太くするためか、喉から太く突き上げるような声の出し方を感じる。筋肉作業だから勢いはある程度大事だが、もう少し客観性というか、クールな感覚がほしい。野球でいえば球を放る時に全力投球ではなくて手首のスナップを聞かせて投げる感じ。といって分かるかな?笑
声を当てるときだけど、軟口蓋に声を当てる感じを大事にして欲しい。喉は楽に。ただ、これだけだと喉が開き過ぎて声が当たらない場合もある。その際には唇の両端を軽く引いて頬を上げて出す。こうすると声帯は合う。低音も舌根で押し下げるようなことをせずに直接声帯を鳴らす感じの方が良い。響かせ方が良ければ喉声にはならない。喉声が悪いのではなくて当て方が悪いということを理解して欲しい。力で押すことは絶対に禁物だ。かといって、抜けすぎても駄目だ、その辺りの加減が難しいのだけど。何度もいうけど声の当て始めは楽に、声を強くする際には腰の力で、ということに注意を払えば良いかな。イの母音で明るい声を出そうとしたらどうもうまくいかなかったが、明るい細いスリムな声といったらすぐに分かってくれた。面白い人だな。笑
耳がとても良い人だと思う。人の影響を受けてすぐに声に反映される。
O mio cor では、最初声の当たりが太かった。これは細い方がきれいだ。それと正確な3拍子を心がけて。少しやっただけでとても良くなった。美しいバロックを勉強して端正な歌を歌えるようになってほしい。


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