2001年8月前半レッスンノート

レッスンノート目次
8月8日 | 8月9日 | 8月10日 | 8月11日 | 8月12日 | 8月13日 | 8月14日 | 8月15日 | 8月16日 | 8月17日
8月17日

さかもとさん。彼女は月に一回なので、どうも前回教えたことがどこかに行ってしまう。発声練習で気になるのが、ブレス。お腹をバタバタ動かして、息を吸って、声を出す時もばたばたと動く。お腹の動きが活発なのは良いかもしれないけど、その動きが声と繋がっていない。発声練習では声を出しきってら、その勢いで自然に息が入るように。お腹を使って息を入れないこと。声を出す、そして自然に、その結果として息が入ることが望ましい。声をとりあえず鳴らすことを思い出すために、ドミソでハッハッハとやる。高い方に行くほど、声を深くするように。この続きで高い音を長く伸ばす。こんなことをやっているうちに、声が出てくる。低い音域で、イの母音。口を丸くして。横に引くと声帯が合って喉が痛くなる。丸くして、鼻の方に響きを集中する。そしてイからエ、アと響きを変える。口の丸め方とちょっとしたことで、響きが上に行くし、そうすると、喉が痛くならないのだが、本人がなかなかそのコツをつかめないようだ。後は、チェンジした声の練習。チェンジした音域と地声の音域とを取り混ぜながら同じフレーズの両方の声を使い分ける練習。これは、彼女はうまく出来る。声のた めには高い声はチェンジして楽に出せるように心がけてほしい。これだけで、4〜50分かかるのだけど、コツがなかなかつかめないのが難しい。曲は、キャロル・キングの懐かしいナンバー。ぼくが高校一年くらいに物すごく流行った”I've got a friend...”低い音域なので、ほとんど地声で出来る。口先ばかりに力を入れずに、腰に力をためて、しっかり声を出してほしい。口の使い方は、なるべく丸く、そしてパクパクしないように。Winter .spring..summer or fall...all you have to do is..懐かしかった。

あめくさん。彼女は若いのに非常に落ち着いているな・・・というか、心が平静な感じがある。音楽には向いていると思う。
発声練習は、下降形から。しばらく静観していたけど、口を開け過ぎること、あごが上がっていること、そのために、ブレスも口を開いてぱくぱくしてしまう。声が息漏れが多い。だけど、なかなかみりょくてきな声の持主だ。低めの声が実はよく出るタイプだ。ブレスの口パクを注意すると、すぐに治る。とりあえずうるさいことは言わずに高音を練習してみるが、2点G以上はきつくて出せないようだ。1点bくらいの自然に共鳴する声のままで共鳴を探してみるけど、やはり口の開け方のせいか、上に行くと喉が詰まって来てしまう。次にハッハッハでドミソ。高い声のポイントを深くする練習。腹筋の側腹を開くような使い方を教える。腹筋はしっかりついている。これもすぐに出来るようになった。なかなか勘は良い。地声の練習をしてみる。エで1点C前後。あまり声を押さない正確なので、喉は良く開いている。声を大事に出そうとする落ち着いた性格だ。次にイの母音で同じ音域を練習。やはり口は丸く。鼻の方に響かすように。その次に、ミミミで同じ音域で練習をする。母音でやるよりも、喉に来ないみたいだ。次に高音部に移って、同じミミミで少し響きの練習。ここから、今度はミからエ・ ・アとアの母音に響きを移す練習をする。これで、最初の練習で響かなかった、2点EからFにかけてが大分響くようになった。曲は、カロミオベン。一通り歌ってみる。声がやはり息漏れが多いのだが、なんだかそれなりに歌えてしまう声質を持っている。意外と高い声が響く。口パクを直すために、指をくわえて歌ってみる。驚くくらいに、響きがまとまって、しかも軽くコンパクトで綺麗になった。滑らかだ。この線で今後は練習していこう!


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8月16日

かとうさん。発声を始める前から思ってたのは、口の使い方で喉声を直すこと。彼は、テノールということで喉を浮かせるようにして、楽に声を出すようにしているのだけど、そのために、かえって喉が上がってしまって、響きが出ないで喉っぽい歌い方になってしまっている。発声のときから、その辺りをやってみた。口をあまり開けずに、まずウの母音でやる。この時にほっぺたを少しへこますようにして、唇を突き出す感じ。顎は良く引いて、口が閉じる代わりに、響きが上顎部に当たるように意識する。この練習の跡で、子音を使ってGa、そしてMaMeMiMeMaなどでやってみる。まだ開く癖がなかなか治らないが、大分意識は出来るようだ。アトエの母音は良いのだが、イになると途端に喉が詰まってしまう。イの母音が苦手のようだが、下唇を出して響きをそっちに引っ張るように意識してみるのも良い。Jubilate deo...を歌ってみるが、これも口が開いて喉が上がってしまって、どうにもならない。鉛筆をくわえてやってみる。この時も、くわえるだけではなく、唇を充分に使うように。音程が上がる際に、声を押さないことと、喉が下に下がるような意識を持つこと。そのためにアーティキュレーションを唇を充分に使うことが大事だ。

たむらさん。きょうは楽譜を持ってこなかったので、発声練習をコールユーブンゲン。コールユーブンゲンは八分の六拍子を勉強する。彼女はまだ楽譜に慣れていないが、リズム読みはなかなか理解力と感覚があるので、苦労はない。ただ、音程の取り方にまだ慣れがない。特にファーシという減4度の音程が苦手だ。これは慣れしかない。ドレミで歌うことも、簡単な楽譜を初見で楽器無しで読むためには有効だから慣れてほしい。発声だけど、地声からなるべく早めに裏声に変えた方が良いだろう。息を使って充分に声を高く当てること。お腹を使うことを忘れないように。

りりこさん。今日気になったのは、以前から治っていない音程の上ずりだった。そのために、中音部から音の取り方を低く、引っ張り上げるようにさせたところ、大分良くなった。しかし、今度は声が少し太くなる。ぼくの感覚くでは、問題が無いと思ったけど、本人は気に入らないらしい。彼女は自分の声になかなかうるさい。でも、本当に良い声だから仕方が無い。ぼくが良い声だといってもなかなか信用してくれない。もちろん、完全ではないけども良い声の方向が見つかったらそこから、ともかく始めて音楽を扱うことを早くやっていきたいのだ。そのなかから、細かいディテールを直していっても別に遅くはないと思う。後、彼女も口を開く癖がある。そのために、響きが喉の方に落ちてしまうことがある。口を閉じて、唇を充分に使って、発音、発声することを心がけてほしい。そのためには、もちろん首はしっかり、顎を良く引いてほしい。お腹のことだけど、今は、固くなるくらいなら、あまりお腹を意識しない方が良いと思う。やはり、外に向かって固くして歌っているようだった。Tu lo saiを歌った。美しい曲だ。口を閉じて、唇でアーティキュレーションすることを特に、中低音部でやると、とても魅力的な声が歌が感じられた。メゾ的な出し方の彼女の声は魅力的だ。豪奢なイメージがある。その辺りを自分の魅力と思って、これから勉強してほしいな。


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8月15日

さぶりさん。一通り声慣らしをしてから、低音部に降りる際に、喉を開けるように、あるいは軟口蓋を上げるように促す。低音部、特にhを過ぎてから下になると、ちょっと喉っぽくなるからだ。この意味が本人が良く分かれば良いのだが。次にフレーズ感をいつも感じてほしいので、息をつなげるように、ドレミファソで、ソファミレドでも簡単な発声練習時に、息のつながりで一つのフレーズを歌っている感覚をいつでも必ず守ってほしい。その感覚が本当に分かったときに、ブレスの短い問題も解決するはずだ。決まった息で一つのフレーズを「歌いきる」ということがないと、ブレスも持たないのだ。そのためには、出初めのアタックと、フレーズの終わりできちっと喉が開いていないといけない。喉が開いていれば、フレーズの終わりも自然にディミニュエンドできるのだ。
次に子音をつけた発声練習。VをつけてVaでソファミレドの下降形。予想よりはうまく処理しているが、やはりやや声が軽くなってしまう。胸声がイマイチ出てこない。まだ喉の開きが完全ではないのだと思う。Vはきちっと唇を振動させることで喉の開きを促す口の処理が出来る。逆に上向形ドレミファソファミレドでGaでやってみる。これはうまく出来る。ただ、1点Aくらいから、やはり軽い響きになる。2点Es以上は声帯が合わなくなって苦しい。Maもやってみる。これもMで唇を合わせる際に喉の奥が開くように意識してほしい。曲は、Gaudent in coelis animae...もちろんヴィクトリア。この曲は全体に高目だが、やはり声が軽い。ポジションを全体に低めに意識してほしい。特にエの母音が浅くなってしまうので要注意。シェーンベルクの民謡は、低いアの母音が浅くなり勝ち。メシアンの宗教曲はブレスが持たない。先生の指揮がないと歌い辛そう。この現象だけど、、先生のテンポを守った上で、自分の息と間合いが確立していないということ。だから、息でフレーズする訓練をいつも守ってほしいのだ。そのことと、喉の開きが彼の課題ではないか。

ちばはらさん。きょうは徹底的に口を開かないポジションを練習した。どうしても喉声が治らないからだ。合唱の練習を見たが、予想以上に声を出すポジションを要求されるようなので、徹底的に声を前でまとめて出す練習をしてみる。彼の場合は、ほとんど口を閉じたくらいの状態で良いくらいだ。それから絶対に下あごを動かさないこと。そして、音程の違いやアーティキュレーションを唇で行うこと。このためには、あごが絶対に浮かないこと。そしてあごを引くこと。首の張りをしっかりさせることも大事だ。これで発声練習を散々やる。ボールペンをくわえてやってみるが、彼の場合は、喉に行ってしまってあまり効果が無かった。もっと口を閉じないと、喉の奥が開いてこないし、声を喉に押す方向に行ってしまうのだ。まだまだ喉の鳴りが出てしまう。レッスンの最後に歌で気づいたのだけど、彼も相当に息の回しが出来ていない。息で声をアタックしないから、喉で声を押してしまうのだ。息の使い方は色々な筋肉の使い方があるが、やはり前下腹をしっかり入れることが、分かり易い。こればかりだと、声が安定しなくなるのだが、とにかく呼気を意識して、腹から声を出すためには、この前 下腹(腹勅筋)を中に入れるようにするのが、いちばんわかりやすいのだ。曲はヴィクトリアのO magnum mysterium..を歌う。これはぼくも演奏会でやったことがあるので、ベースパートで一緒にやる。一緒にやると、彼の声のピッチが良く分かる。大体が唇が使えていない場合に、音程や響きが落ちてしまう。後は、息が足りないかどちらかだ。口、特に下あごは響きを上に行かせる支えのようなものなので、今は絶対に動かさない方法でやってみてほしい。上顎に声を響かせることが自在に出来るようになったら、自由に下顎も使っても良いが。次にJubilate deo..この曲では、最後のページのDomineのDoの子音による声のアタックが間違っている。Dを発音する際に、響きを下に落っことしてしまうのだ。Dを言う際に、すでに軟口蓋を押し上げる口の中の筋肉が使えないと駄目。この辺りは、帰国後の練習で更に磨きをかけないと駄目だろう。


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8月14日

さたけさん。軽く下降形で上下してから、声を上げて行くと、五線を越える辺りから喉が詰まり出してくる。喉が上がっているのだ。低い方から、声のアタックのポジションを低く意識する練習をしてみる。声を出すときに手を使って、ものをつまむように、パントマイム式にやる。摘み上げるときに声を出す。逆に言えば、摘み上げるから声が出ると思ってやる。もっと簡単に言えば、声はお腹の底から上に昇ってくるように意識する。このやりかたで、まず1点Gくらいでやってみる。そして5度上、その次にオクターヴ上を出してみる。これをやると、五線の上辺りの領域が楽に意識できるし、低い方でも安定してくる。もっと低音になると、逆に声がこもって出なくなるのでむしろ前に当てるように意識してみる。こんなことを発声練習でやってみた。曲は「河のほとりで」前回注意した、狭母音がすべてイの母音に変化してしまう癖は完全に治っていた。声も随分良くなった。特に2点DくらいからF〜Fisあたりの声を非常に綺麗に出すようになった。ただし、ブレスが足りない。とはいっても、以前よりは随分良くなったが。この曲も上昇形のフレーズ、それも音程差が大きいフレーズなので今日 やった発声練習は有効だった。こちらが伴奏を弾いていても、なにか共感を感じて手応えのある歌を歌えるようになった。もう一度リディアを復習する。この曲も高声用だが、2点FisやGを発声練習よりもきれいに出すところは、なかなかなセンスだ。後は、狭母音が、まだ口、あるいはあごに力が入ってしまって柔らかさが欠けること。もっと、唇と柔軟に使うこと。唇をしっかりと突き出して使えるようになると、声帯も開いた美しい狭母音が響くようになるはずだ。後、ブレスが足りないのは、息を吐き切ることが出来ないのではないかな?歌っているときにお腹がコチコチになっている。長い音符で節約せずに息を流すように心がけてほしい。

やまうちくん。発声練習を立ってやるとどうも力が入り過ぎてしまうので、座ってやってみる。最初はHaHaHaで必ず声の出だしを息を混ぜるようにしてお腹から出す練習。ドレミで上がる場合に、3番目の音が特にポジションが取れない。これが良いポジションを取るためには、お腹の使いかたが重要だ。3番目の際に一番お腹の筋肉が使えるように。それから、痛くなるあごだが、これもあごを知らず知らずのうちに喉の開きを取るために固着化することが原因ではないかな。それにしても体の力が有り余っている感じ。座って背もたれに身体を横たえても体がポンポンはねている。力を抜いてかつ、わずかな力で効率よく声を出すためには、腹筋や背筋だけではなく喉頭の調節が大切だ。お腹の意識はそのためにも大事。声を出す際にはお腹からとは良く言うが、何遍言っても言い足りないことはない。あごを開いて声のポジションを深くするのではなく、むしろ口はあまり開かずにブレスをする際に深いブレス、お腹を使うブレスを心がけることと、その際に喉の中が開くようにイメージしておくだけで随分と違う。彼はどうも観察するに、気が短そうだ。自分がそうなので良く分かる。もたもたやってる暇 があったら、さっさと声を出したいのは良く分かる。しかし、このブレスと声のポジションを意識するためには、落着きが大切だ。Kool head and warm heart で行きましょう!笑
次に立って発声をやり直す。今日は、声のアタックの際に背筋を意識せずに、横隔膜を開くように意識してみる。声を出す瞬間、横隔膜が開くように、側腹を広げるように意識してみること。ドレミで上がる際には、ミの時に一番横隔膜が開くようにすること。もちろん、声のアタックの際にはお腹を意識することと、横隔膜の広がりが前提だ。徐々にだが、良い抑制の取れた響きのある声がが出つつあった。この発声のコツはぜひとも練習してほしい。Tu mancavi tormentarmi ...ではきれいな2点Gの声が聞けた。収穫だろう。テナーの声作りは難しいが、やりがいを感じる。


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8月13日

こぬまさん。発声練習を1点Gから下降形で上に向かって始めると、声が出しづらそうだった。本人は声が上のチェンジボイスに変るか下の領域になるかで迷うために、出しにくいとのこと。それでは、ということで下の声で出してもらう。すると、適度に声帯の鳴ったよい声が出る。しかし、1〜2度上がっただけでひっくり返ってしまう。いずれにしても、喉の奥がきれいに開いてないようだ。それは、声帯もそうだし軟口蓋もそう。低音部は、軟口蓋が下がりやすいために、あるいは鳴らないが故に閉めてしまいがちだ。では閉めれば良いか?というと下手に閉めると、浅い平べったい響きになり聞き苦しい。それから、彼女の癖だが(それは喉が心配だから)声のアタックが良く言えば柔らかい。悪く言うとぐずぐずしている。呼気の使い方が弱いのかな。腹筋だけど、やんわりと、ただし思い切り良く使う必要があると思う。特に前腹、へそ辺りの部分を少し中に入れて、明快に呼気を上げて声のアタックをすることによって、明快な声のアタックが得られると思う。特に高い方から降りるフレーズの声のアタックはそうだ。うまく出来るようになると、出し始めがピタリと決まって気持ちが良い 。ただし、声の当たり方は気をつける必要がある。何よりも喉が適度に開いてないと、喉声になってしまったり、前に当たり過ぎて目立ってしまうからだ。ブレスの時点で喉の開き、軟口蓋の開きが出来ていないといけない。これらのための発声練習をやってみた。喉が開いていることが前提で、呼気を送る方向を口の前に出すのか?脳天めがけて送るのか?で声の質や柔らかさ、そして強さが変ってくる。口をあまり開かずに鼻根あるいは前歯に向けて強く当てれば声も強くなるし、何より発音のスピードが効率よくなる。口をパクパクしないために、子音や母音の響き出すスピードも当然速くなるのだ。このためには、首をまっすぐしっかりとさせて置くことが必要だ。曲はヴィクトリアのGaudent in coelis...きれいに歌えているので、ついつい忠告を忘れるが、やはり音楽が甘い。それは彼女自身のキャラクターもあるかもしれないけど、技術的なことでいくらでもカバーできることだ。それは、前述の声の出し方。口を閉じ気味でアーティキュレーションすることだ。それから、音符をレガートに扱い過ぎるために、発音が微妙に遅れるのだろう。母音の響き出す速度(呼気スピード)も遅いようだ。口を閉じたスタイルでやる場合にくれぐれも気をつけてほしいのは口を横に引いてしまうこと。それから、今日は時間がなかったけど、低音部の場合はむしろ閉めずに開けた方が良い場合もある。Domineのオの母音などは、むしろ暗いし、明るさが無い。もう少し開けた方がきれいだし、しっかりする。お腹を使うこととあごを開いて喉の開きを同時に促すことも大事だ。

にしさん。しばらく間が空いていたのだが、発声を始めるとやはり以前の悪い癖が少し戻っていた。中高音部になると音程が出ないのだ。原因ははっきりしるのだけど、それを直すのに一苦労する。
要するに胸声の声帯の使い方で押してしまうために、音程がすべて下がってしまう。極端に言えば半音くらい下がってしまう。喉を楽に呼気を送るアタックで楽に越えを出してもらおうとすると、今度は喉の状態が悪くなってしまう。お腹を使わせると、使い過ぎる。あごや口の開き方も使い過ぎる。すべての使い過ぎを直しながら、カットアンドトライで色々やってみる。最初は口を開いたポジションで軽い声帯の合わせをやってから、クレッシェンドする方法。これも一見うまく行きそうなんだけど、今一である。とりあえず、母音による弱声をあきらめて、半母音Jaiで上がって行って、声を無理矢理はめる練習をする。しっかりした声を出させると、やはり高音に行くとあごが上がってしまう。これは、しっかりと首を支えて上がらないようにして、声を前に当てることが必要。この時に唇のことを忘れていたのだが、幸いにも後の練習でそれが物すごい効果を彼に与えることになった。この練習はあまり口を開かないために、そこから、口を開かない方法が良いのではないか?と思ったのだ。曲を歌うことにしてアマリッリを歌い出したのだが、やはり音程が不確かだし響きが全然出てこない。ひらめ きのように出てきた口を閉じたポジションに変えてやってみる。歯で鉛筆をくわえるのが良いのだが、くわえるものがなかったために、己の指をくわえさせた。これで歌う際に言葉を発音する必要上、どうしても唇をラッパ状に使わなければならない。これが効を奏して、更に響きが見事に決まるようになった。決まらないときは実は唇が開かない時なのだ。今後はこの方法で更に磨きをかけてみたいと思う。


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8月12日 今日はなぜか全体に長文化傾向…

すぎえさん。初めての方。発声練習で声を聞くと、体格の割りに声のエネルギーが少なく感じられる。見かけ上の肉体や技術的なこととは関係ないことだけど、どうも話を聞くと仕事柄ストレスがかなりありそう。声は精神的なストレスが関係あるので、多分…と言っては失礼かもしれないけど、精神的に抑えてしまうことが習い性になってしまっているかもしれない。声を出すこと、歌うことは肉体、精神の開放から得られるからだ。ただ、元声は全般に無理がなく素直な良い声だと思う。下の方も特に変な地声が出ない。レッスン経験は3年くらいはあるそう。外から見るとあまりからだが固くなっているようには見えないのだが、前述の通り中で固くなっているのだろう。首や喉頭の中で絞まらないように意識させて行くために、技術的にはやはりお腹を使うことに意識を持っていくのがまずは順当だろう。後、ブレス自体で固くなっている傾向があった。胸が上がって、首の筋肉まで強ばってしまっていた。まずは、ブレスはあまり意識せずに呼気のお腹の使い方から教える。歯で音をさせて、息を出す練習。なるべく長く吐いて、吐き切ったら自然に息を入れるようにする。この自然に息が入る ことがとても大事だ。そして呼気を脳天めがけて送るようにして、声を出してみる。こうすると、やっと活力のある声が少しずつ出てくる。まだ喉の開きが足りないし、声帯自体の鳴らし方も足りない。これもイの母音を出す練習をしてみたのだが、これまた無理が無いのだが声帯がきれいに合わない。良い意味で閉った声帯を作ることも声が出るようになる秘訣だ。後で教えるゆきえさんが、この良い方の典型だ。意識的に声帯をかっちり合わせて声を出すこと。しっかりとした呼気のコントロール。これが声量を増したり、良い響きを作るために必要なこと。そのために、体の柔軟さ、肉体自身の開放感を持つ必要が出てくる。フランスオペラをやっていたとのことで、少し歌ってみた。トマの「君よ知るや南の国」意外と滑らかに低い声まで均等に出ている。ただ、やはり声の活力がやや乏しい。そこで、原点に戻ってもらってイタリア歌曲集を再度歌ってみる。アマリッリをやる。これで、声のアタックの際にしっかりと呼気を意識して出してもらう。1時間で大分声が出るようになってきた。自分としてはまだ充分とは思わないけど、焦りは禁物。少しずつ声を伸ばしていきたい。次回から少し体を柔軟 にすることもやってみたい。

みむらさん。発声練習を始めると、少し声の揺れが目立つ。それと高音が少し出なくなっている。2点b以上がかすってしまって出なくなっている。最近レッスンが少ないから、少し暖めれば出るかと思ったがどうも調子が出ない。中音部は良い響きが出ているのだが。そこで、少し高音を詰めて練習したがこれが災いして、調子を崩してしまった。歌うのは本人なのだから本人の調子を見なければいけないのだけど、これは私の失敗。高音部でハミングの練習をしたのが悪かったのだ。
3点Cを出すところでせき込んでしまい、声が出なくなってしまった、というか、やる気が失せてしまったのだろう。彼女は声を出すポジションが非常に確立しているのだが、その分それを崩すような行為を行うのがとても苦痛なのだろう。出来ないことをやるためには、苦痛な瞬間を通ることも必要だと、自分は思うけど、本人が望まない・・というはっきりした意志があるなら、それも致し方ないことだ。ぼく自身も体育会系は嫌いだけど、ある程度の練習段階で新しく成長するためには、自分のスタイルに固執しているだけだと難しいのではないかな?いわゆる「殻を破る」というやつだ。ぼく自身はポリープも作ったし、精神的にもきつかった。けれど、彼女はプロになるわけではない、楽しみでやっている者にそれを強要するわけにはいかない。もちろんポリープを作っても上達しろ、などということを考えているわけではない。問題は自分が被っている殻を破れるかどうか?今後は、彼女のポジションを壊さない範囲で、練習に同伴していくべきなのだ、と悟ることにしよう・・・・・
ただ、それでもしつこいようだが、ぼくが彼女に新たにトライを促したい技術的なことは以下の通りだ・・・1、軟口蓋を意識して上げられること、2、そのために口を積極的に開くこと、3、お腹の使い方を固着化しないこと(要するにお腹が固くならないよう)4、胸を広げること。
少なくとも以上のことは今のみむらさんには欠けていることではないかなと思っている。
一生ぼくの所で練習しているわけではないだろうけど、後々他所に行ったときにうまく行かなかったら思い出してほしいな・・・というわけで、曲はVergin tutto amor,Sento nel core,VivaldiのAriaなどを歌った。Vivaldiはちょっと彼女には低いけど、低い声をもっとやりたいとのこと。高音の失敗が懲りたのかな…

ゆきえさん。声馴らしを始めるが、音程が少し悪い。全体に音程が低いのだ。リラックスしているのかな?リラックスは大事なんだけど、それだけでは声のエネルギーが湧いてこない。そこで発声を低い方から丹念にやってみる。何も言わずに下降形で降りて行くと、例によって低い方がどんどん出てくる。その声も地声だが無理が無く、滑らかだ。次に上がって行くと、上がる際に少し声の質が軽くなってしまう。ドレミ〜とやると最後のミが声質が軽く抜けてしまうので、抜けないように、むしろクレッシェンドする感じで響かすこと。これは、少しお腹に力を入れると自然に出来る。これらの練習をすると、2点Dくらいまでまったく無理のない滑らかなきれいな声が出る。今日はこの練習ではお腹の意識は教えなかったが、やれば更に声量がついて響きもつきそうなとても魅力的な良い声だ。音程も良い。この声のまま上がって行くと、2点Esくらいから声が変っていくのが分かる。だが、何も言わずに上げて行くと段々と声を探って出すようになる。喉で声を当てるのだ。彼女はこのやりかたで、ずっと来たためにこの癖がなかなか治らない。声もブザーを押したような感じで出る。だが、問題なのは声 質ではなくて、探らないと音程が出ないことにある。自分としては、単純に声が裏声になってくれるように教えているのだが、それがなかなか見えてこない。本人には喉を楽にしてもらって、こちらがお腹を押してあげると、自然に高い声が出る。2点G以上だ。お腹の使い方だと思うけど、どうも姿勢としては胸が落ちて、お腹を使う背筋が使えてない感じだ。そこで、椅子に座らせて、声を出す際に椅子から立ちあがりかけるようにしてもらう。要するに足と腹筋を使うわけ。すると、すんなりと声が出るようになった。オクターヴで上の声を出す際に椅子から立ちあがりかけるのだ。実に滑らかだ。立ってみるとこれが不思議に良い姿勢になっている。腰の背筋がシャンとしている。まずこの辺りから始めないと駄目なのだろう。背筋とお腹の意識。そのための体の柔軟さを大事に。今日は時間がなく出来なかったが次回は、また歌も取りいれてレッスンしたい。レッスンが終わってから付録で4点Cが出る!と言うのでウソだろうと思って出してもらったら付録は当たりだった!笑 こういう付録がついているなら3点Cから4点Cまで出せるよう頑張ってみたくなる!笑

あいそさん。発声を始めると、声が良く響くように鳴っている。彼女はなかなか進歩が良い。彼女の良い点は、今までの合唱経験の基礎に加えてこちらの言うことを素直に聞いてくれることだ。虚心担懐ということを今のどこかの国の首相が盛んに言っているが、お稽古事というのは、この事に尽きると思う。これは、自分自身の経験も踏まえて、立場が逆になってもつくづく感じることだ。単純にこちらも教え甲斐がある。さて、今日気がついたことは、やはりブレスと呼気の関係。ブレスをしてから、一瞬呼吸を止めてそれから声を出す。これまたON,OFF的。これは良くない。ブレスをして息が一杯になりかける刹那に声を出してしまわないといけない。少なくとも発声練習では、この関係をきちっと守ってほしい。声を出す、息を吐ききる、そして自然に息が入る。そして声が出る。この自然な循環を少なくとも、発声練習の際に感じてほしい。そうすることで、体の筋肉や器官が目覚めてくるのだ。一通り発声をしてから、今度は高いチェンジボイスを練習する。この声で声の響きを意識して出せるようにする。この声の場合、口は縦に開いて、息を上に向かって、おでこに向かって当てるような感じだ と、声が共鳴をしてきれいに響く。この共鳴のために、口の開きや声の当て所を声域によって微妙に変えることが、一定した響きをうまく作るコツだ。このチェンジボイスも、これだけを使うのではなく。下の声の使い方を合せながら、自然にうまく両者がミックスして、本当の良い響きが生まれてくる。そのために、いつも自分の声を良く聞いて、あれやこれや工夫を凝らしてほしいのだ。長年かかって、一つの技術の何かをつかむ・・・ということは、このような自分自身の中を常に観察して工夫をしていくことを怠らないということだろう。曲は、イタリア古典歌曲集から「すみれ」少しずつ、細部の響きを直していく。おおむねこれは上がり!良く勉強しました。次回は、イタリア古典歌曲集からAria di chiesaを勉強する。堂々7ページの大曲だけど、良くぞトライに踏み切った!期待してます。

よしおかさん。いつも通りに下降形で発声をする。前から時々思ったのだけど、声がどうもこもりがちだ。声を単純にもっと前に出すように促してみる。するとすぐ治る。しかし、しばらくやっていると、また元に戻る。そして再び直す。このように彼女は声がやや中に入ってしまいがちだ。これは、あごをあまり下げないで、むしろ頬を上に上げる感じで発声するとかなり明るい響きに鳴る。それから、全体に響きがやや上ずり気味。これも、なかなか難しい問題だ。今日は下の響きを中心にやってみる。彼女もあまり地声が出ない方だけど、あえて声を喉の下に当てて地声に近い声を出させてみる。声の出し方で喉の開きが出てくるのだけど、それが実感できているかな?この喉の開きが実感できれば、積極的に他の高い音域でも喉を開くことが出来るはず。彼女はそのまま上に上がって行くと自然に声が高いチェンジに移行して、割と素直に高音が出るようになっている。これも彼女の努力の賜物だけど、そこへ行く手前の音域、1点bくらいから2点C辺りが声が詰まってしまうのだ。このことを彼女自身が感覚的につかんでいれば、自然にその声の詰まりを直せるのだ。声が詰まってくるのは、それまで の声の鳴らし方、当て方だと、声帯が振動しにくくなるのだ。そのために、声の出し方をちょっと変える必要がある。そのために、口を開くことが一番簡単。これは毎回言ってるのだけど、なかなか気づいてくれない。 自身で気づくことも大事なことなのだ。曲はヘンデルのLascia ch'io pianga...何度か歌っていて感じることは、全体にきれいに無理なく歌えているのだけど、声質がもう一つということと、音程が全体に上ずり気味ということ。どこといって悪くないのだけど。やはり、最初に低音部でやった喉の開きをもっと必要としているのかもしれない。このことは次回の宿題にしておく。そのことは置いておいて、口の使い方を閉めた歌い方に変えてみる。口を全体に開かずに、同じ口の形でアーティキュレーションしていくやりかただ。これを考えたのは彼女のウの母音である。ウの母音の閉りが悪いために、どうも声が浮ついて聞こえるのだ。ウをしっかり閉めて声を出すと感じが良いので、他の母音も同様にやってみる。すると、声質や音程がやや安定してくる。発声練習の最にあごを下げないと明るく良い響きになったことと関係があるだろう。ただ、Lascia ch'io pianga..も充分に安定して歌えるので、ひとまず上がりにする。O cessate di piagarmi...はブレスを長めにすることと、前述の口をあまりパクパクしないで歌う方法を練習してもらう。でも最初から比べると随分と歌えるようにになったと思う。うまくなるとこちらも欲がどんどん出てくるので、2人の間の落差が今度は問題なのかな…


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8月11日

りりこさん。今日も姿勢と発声の練習を中心に。大分前のめりの姿勢は治っていた。前回教えたように、シーと歯の音をさせて腹筋で呼気の練習をする。声を出すときにもその腹筋が原因で出るように意識してほしい。そして声の持続は呼気で持続すると考えること。彼女はどうも声の出し始めに迷いがある。喉から声を出してしまう。喉を楽にして、お腹の動きで声が出ることをつかんでほしい。今日のレッスンでは、大分体を使った感じの声が聞こえるようになってきた。それは大きな声ということではなくて、息をしっかり使っているということ。後は、軟口蓋の上がり方。彼女自身が口の中を開く…といっていたがその通り。日本人は口の中の開きが悪いために、声を前に当てることばかりに終止してしまう。まず、この軟口蓋を上げて口の中を広く保ってアーティキュレーション出来るようになることをつかんでほしい。
曲は、プーランクの「偽りの婚約」から「花」初めにラララで声の練習をする。軟口蓋を上げるためにブレスをして声を出す準備の段階で相当に、口の中が開いていること。低音部のフレーズも声を押さないけども息をしっかり使って発声してほしい。フランス語では最初のFleurFlという二重子音を長めに使うと、前述の口の中を開いて、軟口蓋の上がってきれいな響きが出せる。りりこさん、この調子を持続してほしい。

たにさん。前回の高いチェンジボイスを練習する。息の回りが悪いので、息を回すことを中心に。彼女は体は固くならないし、無理がないのだけど、その分息を使おうとするエネルギーが足りない。肺活量が問題ではなくて、声を出す時に、喉周辺ではなくお腹や腰の筋肉を使うこと、使い慣れることが大事だ、ということを良く分かってほしい。そして今日はウの母音を中心にして発声をした。ウの母音は、きちんと口を丸くして唇をやや突き出すようにすると、声帯が自然に開くので、これを大事にしてほしい。それから次にイの母音の練習。イの母音も口を横に引かず、むしろ丸い口をした方が声帯に開きが出て、無理が無い。このポジションでも声はとても良く前に響くものだ。この響きを利用してエの母音そしてアの母音に移行する。こうすることで、響きが散ってしまいがちなアの母音でも響きを集めることが出来る。ぼくが、みなにこれらのことを何度も教える目的は、要するに声を出している本人が、自分の発音器官である、喉頭あるいは声帯の状態をつかむことが目的なのだ。ぼくが言ったからやるのではなくて、それらのことを自分で調節して声の調子を見ることを覚えてほしい。しばらく 発声をやっていると、声のチェンジ前後でも上下の響きが混じった感じで声が出るようになっている。この感覚を自在に操れるようになれば良いのだが…ドーソーミードで発声をやると、高い方で口の開き方当て方を工夫すると、喉が良く開いた良い声が出るようになった。ドビュッシーの「月の光」では、高音部低音部共に息の流れが悪かった。高い声を出すときにすぐに口を閉めて当てようとするのが、喉の開きを悪くしていることと、共鳴がつかないことの原因ではないかな。もっと声を出すことに積極性がほしい。


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8月10日

ちえこさん。体験レッスン。高校生の時に合唱で歌った経験が忘れられず、仕事をしている今、また歌いたくて来たそうだ。顔の形から良い声が出そうだなと思ったけど、思った通り良い声を出せる素質がある。それは、しっかりした首やあごの形から思った。首の感じは最初は気にしなかったけど、しっかりした声を出すために、喉の下の窪みに声を当てて出す練習をしたときにとても良い首の形に見えたのだ。まだまだ声は息漏れがかすかすあるのだけど、意外とすぐに声に共鳴がつくのだ。そのポイントが1点bから2点Cくらいだ。合唱でアルトパートを歌っていたというから、多分低めの音域で練習を重ねていたのだろう。2点Eくらいから喉が締まって来てしまうので、これからはその辺を直していかないと行けない。それがうまくクリアできれば逸材だと思う。それは誰でもそうなんだけど。彼女は、音楽が歌が純粋に好きだということが良く分かるのだ。カロミオベンを歌ってみる。譜読みは始めてなのだが、これも早い。イタリア語もすんなり読めた。勘が良い。また楽しみが増えた。笑

かとうさん。軽くドレミでハハハで声慣らしをする。彼は声がどうしても開いてしまう。要するに喉が開かないのだ。ちばはらくんとは違った意味で声帯がびっしり合ってしまうのだ。なるべく喉を楽に息を流すために、腹筋を使う呼気の練習をする。簡単だ。歯の音をさせて息を吐く練習をするのだ。最初は短くハッハッハ〜とやる。次にハーハーハーとなるべく一息を長くやってみる。次に吐く息を口の前に出すのではなく、脳天めがけてまっすぐ送るイメージでやってみる。これをやると驚くことに自然に歯のシーと出す音が高くなる。軟口蓋が上がるのだ。このやり方は始めてだった。逆に歯の出す音を高くして…というやりかたで昨日のりりこさんにやってみたが、これはうまく行かなかった。逆もまた真なり…笑
この呼気のやりかたをそのまま発声に使ってみる。最初は一音だけでやると、早速息の混ざった良い響きが出せるようになった。その調子で、ドレミファソの上り下りで上まで出してみる。やはり2点Gくらいから喉が締まってしまうのだが、最初は軽く上に当ててから下の引っ張りをつけるとうまく行く。2点Asからは少し喉が詰まってしまうが、むしろ、開いてしまうよりは良い傾向だ。この出し方を少し身につけてもらおう。曲は、ヴィクトリアのO magnum mysterium...彼には音域的にまだ無理がある。まずはラララで声と呼気の関係を良くつかんでほしい。それから言葉をつけてやってほしい。


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8月9日

さたけさん。今日も発声では軽い声と響きをやった。普通に下降形の発声練習を始めて、共鳴が付き出す音域(2点Dくらい)から降りると二番目の響きを押してしまうために、響きが落ちて息と共に流れない。これを何度もやり直す。それから、上向形で2点Fくらいから喉にひっかかかる傾向がある。特に4番目の音から5番目に移行する際に、切れてしまうし、喉で出してしまう。喉を意識せずに息を流して、息の勢いで、ということは腹筋で息を上に持っていくように。ただ、口の状態をそのままにしていると喉がつまってくるので、軟口蓋を上げ、あごを下げ喉を開くポジションはブレスの際に確立していないと喉っぽくなってしまう。ブレスですべて準備していないといけない。
曲は、フォーレの「河のほとりで」これは上向形、特に音程が上に飛ぶ形が多い。発声でやった息を上に持っていく、腹筋を使わないと難しい曲だ。発声自体は直せば比較的すぐ治るし良い状態だけど、むしろ発音が悪い。特に狭母音がすべてイの母音になってしまう。特にE-muet..歌の場合はMuet(黙る)にならないので、あいまい母音となる.これは、フランス語の歌ではとても大事な母音だから、くれぐれも癖を直してほしい。日本人はこのフランス語の狭母音が苦手だから最初がとても肝心だ。曲は高声用でやると、とても良い声の響きが選られるから、なおのこと、フランス語の発音にこだわってほしい。それが出来れば、素晴らしい音楽が必然的に得られるからだ。録音して良く確かめて勉強してほしい。

りりこさん。彼女も久しぶり。発声を始めると、妙に立ち方が前に重心を置いている。首も上を向く癖が治ってない。それにブレスをするときに口をパクパクし過ぎる。元来彼女は、歌を歌う際に良く言えばアグレッシブ。悪く言うとせっかちな傾向がある。もっとずっしりと落ち着いて声を出すこと、歌うことを心がけてほしいのだ。体をあまり前のめりにせずに、真っ直ぐ立って、その位置のままで息をまっすぐ上に送って、声をアタックすることを心がけてほしい。それから、お腹、腹壁を外側に突っ張ってそこによりかかって声を出す癖もある。このやりかたは、一見支えがあるみたいだけど、横隔膜がつっぱってしまって柔軟な繊細な音楽に対応できなると思う。お腹を積極的に使って、ということは中に入れるようにして、声を出すように。声は喉からアタックするのではなく、お腹から始るように意識してほしい。しばらく発声練習をすると、きれいなビブラートがかかって息と声の混じったふくよかな響きに変ってきた。ただ、2点Fis以上はまだ危ない。ので、ここは今日はやらずにおいた。一遍に無理をしないで、狭い音域で良いから、喉を開いた楽な形で息を混ぜた柔らかい声の響かせ方を まずは身につけてほしいのだ。重い声はその後でいくらでも、出来るから。そういう観点から、曲はバロックや歌曲が良いと思う。とにかくしつこいようだが、声を楽器にするために、今の悪い癖を取り除いてから、本当の声が始ると思ってほしい。曲はAh mio cor...この曲になって、声楽的にはかなり良くなった。まだ、息の使い方が不十分なため、どうもビブラートがきれいにつかなかったり、細かい音符がつるつるしてしまったりする。発声と同時に、発音もしっかりとしてほしい。特に子音を使って声をあたっくすることを覚えると、上達は早いよ。出だしのTuなどもTの舌をしっかりと使ってアタックすると息が自然に回ってうまくいく。当然この音域(2点E)だし、口は開かずにやった方がきれいだ。


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8月8日

ちばはらさん。
発声練習を始めて気がついたのは、体の使い方が良くなってきたこと。声を出す方向が上向きになり、勢い体のエネルギーが上に向かって行くような感じになってきた。それは、声を出している際に胸が開いて上がって行くところにも見られる。ただ、フレーズが下がる時、あるいは長いフレーズでそれが維持できる腹筋が足りないような感じもする。ただ、喉によりかからないこと、そして息を使って声を伸ばそうとする努力が見えるから、これからは少し安心できると思う。この調子で地道に頑張ってほしい。曲の中ではプーランクのExultate deo..発音をする際の口の開け方を縦に、そして前に向かってアグレッシヴに声を出すだけで見違えるほど力強い芯のある声になるから、充分その点を注意してほしい。後はブレスの際に、胸で息をするために、口で雑音のあるブレスをすることが良くないな。お腹だけで軽くブレスできるから、そのことを気をつけるように。全体に良くなって来ているが、あくまで発声の基本を守ったうえで、怖がらずにアグレッシヴに歌うことを心がけてほしい。

さぶりさん。発声練習を色々するが、大分今まで注意したことが出来るようになってきた。ただ声は良く出るのだが、声の出るポジションがやや浅い感じがある。声の出し始めでもう少し深いポジションを取って、深いところから声が出るように意識してほしい。そのために、声の出し始めで時間がかかっても、練習ではその点を意識して声を出すように練習して見てほしい。後は、歌になったときにブレスが短いこと。これも前述の事と関係がある。それから、歌い始めに呼気を使い過ぎること。そして歌っている際の呼気の使い方をもっと滑らかに、一律になるように意識してみること。ブレスが短いためにフレーズの終わりに雑音が出たり、苦しかったりすることが目立つ。それから、ブレスがややうるさい感じ。合唱であっても、ソロを歌えるくらいの集中力で、これらの課題をこなしていければ恐いもの無しだと思う。発音による、声質の変化や、音程の上がりによる、声質の変化なども無くなり随分安定はしてきている。ブレスの短さを克服することで、微妙な声の問題も自然に治るだろう。逆に言えば、ブレスが長くなるように努力することで、声の課題が治って行くと思う。


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