2001年10月前半レッスンノート

レッスンノート目次
10月1日 | 10月2日 | 10月3日 | 10月4日 | 10月5日 | 10月6日 | 10月7日 | 10月9日 | 10月10日 | 10月11日 | 10月12日 | 10月14日 | 10月15日
10月15日

さわださん。腰にサポーターを付けてきた。以前、ヘルニアをやったので、腰を守るためだ。発声練習
は、良い声が出ていた。中低音での声の出し方として、もう少し口の中を開けること。喉を開く、軟口蓋を上げる、この両者を実行してほしい。ただ、気を付けてほしいのは、軟口蓋を上げることや口を開くことで喉が締まって、響きが平べったくなること。口を開けるのは、この両者を実行するためだ。ただ開ければ良いと言うものではない。後、軟口蓋を上げるために、両頬を上げるようにすること。特に最高音、彼女の場合、2点h、3点C辺りの声はこのことを充分に実行して見てほしい。これをやることで声がどう変るか?という辺りも良く感じてほしい。ミミのアリアから、Donde lieta...これはとても良くなった。彼女の声の美質が充分発揮できるだろう。出だしの中音部の声と出のタイミングに気を付けてほしい。発音も関係がある。特にエとアの発音が響きが落ちる。これも軟口蓋の上がり、鼻腔の開きがないと、うまく出来ない。開いたそのところで歌うこと。トスカのVisssi d'amore..のほうが譜読みが遅い。特に喋りの部分が駄目だ。最後の高音の2点hとA。これはお腹を思い切りいれてボ〜ンと当てる感じ。もちろん、喉は良く開いてなければならない。次回良く練習してみよう。

にしさん。発声練習では、音程が随分良くなっていた。ここのところ、毎回それなりに良くなっているし、良くなろうという積極性が感じられる。ただ、相変わらず声がこもるので、今日は喉と軟口蓋を良く開いたアペルトな声の出し方を練習した。それと、口をつむって鼻でブレスする癖はちょっとおかしいので、自然にやってほしい。それから、発声練習でのフレーズの切り方。充分に伸ばしきって、自然にブレスして声を出すタイミングを考えてほしい。声がこもる原因と、アペルトで発声すると、高音が出ない理由を口で言っても難しいので、自分がやってみせた。声を出すときに体がどう動いているか?お腹や胸の動き、あごの開き方、声帯の動きなど。彼の場合、一番問題だったのは、喉が上がってしまうことと、胸からみぞおちにかけての筋肉が下に向かって力を込めているように見えることだった。まったく逆だろう。それから、あごの開きが悪いこと。以上の点を今日は充分に練習して、それなりに成果は出たと思う。トスティの曲、3曲とも、今日のアペルトな発声による高音を発揮してほしい。トスティは本当に情熱的な曲だし、どちらかといえば、カンツォーネに近いから、直裁な歌い 方とをもっと出してほしい。思い切り歌うこと!しかし、全体に随分良くなったと思う。来た頃に比べると大分歌えるようになった。


10月14日

たにむらさん。発声練習では、彼女にとっての高い方、2点C〜Dの声を出す際の、お腹の開き方を教えた。地声の領域だけど、微妙に裏返った声も混じっているのだ。これはとても上手く行った。このお腹、側腹を広げるイメージとして、三角形の底辺の両端を広げながら、頂点は高く上げるようにというイメージで説明した。頂点は、軟口蓋だ。お腹を開くと同時に、軟口蓋は高く上げる、すなわち口の中を広げる。もちろん、喉も開くことは同義だ。きちんと横隔膜を広げることが出来れば、自然に喉は開くものだから。このイメージが今日のすべてのレッスン者への教える基準になった。曲は、Piacer d'amorから。フランス語なので、発音にはうるさくなる。声の出だしで全体に声をずり上げる傾向がある。これは少しお品がないので、直してほしい。新しい曲を持ってきた。Moon river..とても良い曲だ。丁度良い具合に、今日発声練習で出せた最高音までで行ける。今日発声練習でやった高音の出し方が出来れば難なくクリアできる範囲。頑張って!

ゆきえさん。発声練習で徐々に音域を上がって行くときに、口を開けるように、その際に頬を高くして軟口蓋を高くすることと、下あごを下げて、声帯を開くことを同時にすること、お腹を広げることを教えると、とてもスムーズに自然な声質のつながりで、2点Gまで行けた。以前書いたように、彼女は高音を喉で当てる癖がある。お腹をしっかり使って、喉も開いて高音を出すことを練習した。2点bくらいまではこの出し方で良いのだが、そこから上になると、声が出難くなる。彼女の場合、随分良くなったとは言えまだまだ、喉で当てているところが大きいから、3点C以上の領域にスムーズに移行できないのだろう。もっともっと自然な高音が出せるはずだ。追求してほしい。そのために、お腹を広げる、あるいはお腹を引っ込める、などの使い方によって声を出す癖をつけてほしい。それと、喉を開くことと軟口蓋を上げること。これは、ブレスの際にすでにそのポジションが出来ていなければならない。このことは良く練習してほしい。中低音の楽な音域も同じ。楽な音域もしっかりとした声を出すことを心がけて。曲は、ジャンニ・スキッキ。譜読みとイタリア語の読みに集中したけど、楽に歌える 範囲だった。高音に上がる際には、くれぐれも喉で当てにかからないように!中音部もお気楽に歌わないで、しっかりと体を使った声を出してほしい。

たにさん。
発声練習では、最初からたにむらさんに教えた三角形のイメージを教える。お腹を使うこと、軟口蓋を上げること、全体に口の開きが弱いので、良く開いて、喉を開くことをして発声練習をしてほしい。低いチェンジボイスの領域では、2点Fisまでは安定して出せるようになっている。また、以前にくらべて喉っぽさは少なくなった。きょうは、パーンときれいな2点Fが出た。Fisになるとちょっと喉に来そうだけど、まだまだ行けそうだ。その後、高いチェンジで上がって降りる。高いチェンジの声でもとても声量が出て声にも輝きが出てきた。かなり使える声になってきた。特に2点Fis〜G。このままの声で降りると、中低音部は喉が開かず、痩せた声になってしまうので、その辺りさえクリア出来れば、もうこの声のままでも行ける感じが初めてした。後は、上のチェンジの声の場合でも、なるべく喉を開くことを忘れないようにしてほしい。曲は、ビリティス。1曲目も大分良くなった。フレージングも出来るようになった。一人でアカペラで歌っても、なんとか自力で音楽を引っ張れるようになりつつある。なによりも、なにかを伝えようとする積極性が感じられた。この伝えようとする積極性をくれぐ れも大事にしてほしい。Ma mere ne croire a jameis si je suis rester si longtemps...の件は、音程が上ずらないように胸に当てる感じでかつ声をしっかり前に送るように。大きな声ではなく、ささやき声でも力を込めて言うように。2曲目、3曲目は低音の声を喉声にならないように、きちんとお腹を広げるようにしてレガートに歌うことを忘れないように。ou que tu entrais en moi..の高音は下のチェンジでも練習すれば出せると思う。お腹の筋肉がうまく使えないようだ。それだけ働かせると使えるのだけど、声を出すこととリンクしてないのだと思う。今度はこの筋肉と声とがリンクするような練習をしてみよう。

よしおかさん

発声を始めるとどうも調子が出ない。腰が痛いようだった。前屈をしてみると体が硬い。体はなるべく柔らかいほうが良いな。毎日柔軟やストレッチを少しずつ心がけてみるとどうだろうか?それにしても発声練習で前に教えたことがもう少し実践されていると嬉しいな。口の開きイコール口の中、喉、軟口蓋の上がりなどがブレストと共に準備されてほしい。それと、横隔膜の開き。笑うとしっかり働くのに彼女の場合も声とイマイチ…リンクしない。もっともっと使ってほしい。何度か発声で上がり下がりしてみたが、なんとか喉が開いてきた感じだった。やはり腰の疲れが原因でもあるのだろう。体全体がやや疲れ気味なのだと思う。前回よりも調子が出ない。曲は、O cessate di piagarmi..これも歌を歌い進めるエネルギーがもう一つ。そのため、息を吐く練習をしてみる。息を吐く際に、お腹をしぼって段々としっかりと吐き出すようにやる。その後で、その息を徐々に強くしていくのと同じ感覚で歌を歌ってみる。音楽の進み方が違うのが分かると思う。どうも楽譜を見て歌うと、音符に惑わされるせいか、この歌い進めるための息を吐き出す力が弱くなってしまうようだ。テンポをのんびりと叩くだけで満足してしまっている感じ。この息の力を言うものを徹底的に、覚えてほしい。息の力とは、強いて言えば集中力である。テクニックだけに頼らずに、心の中にイメージをしっかりと持って歌うこと。まあ、イメージは練習で培われるから、結局練習あるのみだけど、今日やった、息をしっかり送ることだけは忘れないでほしい。


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10月12日

あめくさん。多分、レッスンの間では練習が出来ないのだろうが、来る度に良いものを見せてくれる。何より真摯な姿勢に好感が持てる。歌は好きか?と聞くとウンと答えた。「好きこそものの上手なれ」というが、本当にそうだ。音楽の原点は歌だと思う。良い呼吸を可能にするのは実は精神状態と云うのが大きい。彼女は呼吸が元々良い。とても若いのに落ち着きがある。お腹でブレスが出来る。足りないのは、横隔膜のコントロールだろう。単純に言えば、フレーズを始めてから終わるまでの間の横隔膜の広げ方をしっかりできれば、もっと良くなるだろうと思う。いわゆる体の開き。後は、声帯のコントロール。と書けば簡単そうだけど、これが時間がかかる。今日やったことは、2点E以上の彼女のチェンジボイスから上の声の出し方。今でも、チェンジすればきれいに出るけども、喉に来そうな感じがある。それは、声帯の開きがまだ出来ていないのだ。体を開くこと、喉を開くこと、この両者がうまく合致すれば、更に良くなる。今日は、2点Gまでだけど、しっかりとした高音が出るようになってきた。喉が開いてお腹の底から声が出る感じを覚えてほしい。元来低音がものすごく太い。アル トをやる素質は充分にある。歌は、Piacer d'amorを中心にやった。ウの母音、チェンジすると、声が引っ込んで、浅くなってしまう、唇をしっかりと丸く突き出して、下唇に向かって出す感じ。そうすることでお腹とついた声になる。もちろんお腹の開きは常にやってほしい。後はエの母音。これも浅くなってしまう。前後の母音との関係があるが、アやエ、イなど全般に口を横開きにする傾向があるので、これだと、声帯が締まる。丸くして、前に出すことを心がけて。今日の練習で、Star vicino...が2度目だけどしっかりとした太さのある高音が出るようになった。この調子で頑張ってほしい。

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10月11日

みくりやさん。発声練習は、あまり難しいことを気にせずに声馴らしで一通り声を出してみるが、声が浮いていてお腹から出てこない。お腹から声を出すことをしばらくやる。声がしっかりしてきたので、高い方まで出してみる。お腹のことはしばらく注意しなかったので、お腹の使い方を見てみるが、相変わらずあまり使えていないようだ。ここでは、お腹の使い方を良く書くが具体的には、側腹部を張るようにお腹に力を入れることで、声を出すことを言う。お腹の筋肉を張り出すことがきっかけとなって声が出るといえば良いだろうか。声が先に出てしまっては何の意味もない。高音の練習をこれでやってみると割と安定している感じが出てきた。再び低音に降りて練習する。この低音の場合は、張り出すことを最初からやって、声をだす。声を出す前からお腹を広げるようにしておいて、そこに響かす感じだ。この練習で声帯が活性化したのか、再び高音の練習をしたら良い声が出た。今日は思い切って3点Dまで出したが、うまく出ていたと思う。
曲は、ラヴェルのギリシャ民謡。1曲目Reveille toi perdrix mignonne..は付点16部音符の跳ねをしっかり出すことと、修飾音符いわゆるこぶしをきちんと出すことを練習。もちろん、基本的なリズム感が大事だ。この曲集は元来が民謡であり、踊りが伴うであろう曲だ。踊りたくなるリズム感が底から出てこないと、何の意味もないのだ。2曲目はLa bas vers l'eglise..、きれいに歌えているが2ページ目になってからは、声をしっかり出して力強さを出すように。3曲目、Quel galant!..は最初のQuel をしっかりとお腹からポンと出すように。これも早すぎないテンポでリズムの乗りを大事に。Et C'est toi qu
j'aime..からは柔らかい声で優しく歌うこと。Chansons des cueilleuses lentisques..は一緒に歌ってみた。一緒に歌うことで、フレーズの歌いまわしやリズム感を覚えてもらう。これが一番簡単な教え方だ(笑)伴奏形が3連符になってからは、自分のリズム感をしっかり持つことと、ブレスのリズム感を大事に。最後、Tout gaie!これは良い曲だ!これもリズム感。聴衆が思わず手拍子を叩きたくなるリズム感を持ってほしい。素晴らしい曲だからどうか早く確実に上達してほしい。楽しみにしている。


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10月10日

たにぐちさん。いきなりモーツアルトのケルビーノのアリアを持ってきた。珍しい人だ。笑
どうなるかと思ったけど、結論はどうにかなった。発声もどうなるかと思ったが、地声を出し始めてすこしするとくるんと声がひっくり返って意外と良い声がしっかり出た。高くなると喉声になるが、初めて来たときに比べて、長足の進歩。かもしれない…初めての人にしては。お腹、側腹の使い方を教える。
もう少し効果があるかと思ったが、まだ使い切れていないのだろう。しかし、モーツアルトのアリアを最初喉声で苦しそうに歌っていたのが、お腹を意識してもらったら、とても柔らかい声になった。この調子で勉強していけば良いだろう。

ちばはらさん。
発声のポイントは、ファルセット。それもとことん、喉に力を入れない出し方をまず練習する。彼の場合喉に力を入れることがほとんど無意識の作業になっているので、この癖を取るのがとても大変だ。それよりも、にしさんにも似ているのだが。あえて、音程の悪い声を出さないこと。あるいは出しそうになったときにどうするか?ということ。曲になってからも、ファルセットを積極的に使うことを教える。特に高音をいきなり出す場合、喉に一回当ててから、スポン!とひっくり返すように出すと、喉の開いたファルセットが出る。いわゆる、カウンターテナーの出し方だ。これをしばらくやってもらって、完璧に出来るようになってから、中声域の練習をするのが一番良いだろう。後は、ブレスを瞬時に行うテクニックも必要だ。なんとか努力してほしい。


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10月9日

さたけさん。発声ではお腹を使うことを復習した。側腹をしっかり張り出すようにして声を出すことを教えたら見違えるように声が出るようになった。ただし、音程がフラットになりがちなので、軟口蓋を上げること、同時に喉を開くこと。このバランスを大事にすることを教えた。これだけでも大分声が響き、出るようになる。顔がうつむき加減になるのを気を付けるように。まっすぐに前を向いて。曲は、フォーレの「尼院の廃虚にて」この曲は19世紀のロマンスの雰囲気を残したなかなか小粋な曲だ。捨て難い。声は今日の練習でとても良くなった。中声用でも聞ける声になった。発音はまだまだ。特に語頭のGを鼻濁音で発音するのは、とんでもない間違いなのでくれぐれも注意!後、発音記号に出ている狭いエの母音は時々おかしいので注意すること。次の言葉が広い母音の場合は定冠詞のLesなどはあまり狭くするのは変だと思う。少なくとも声楽的にはおかしい。また、例え狭くしたとしても広いエとあまり区別がつかないくらいのほうがきれいだ。狭すぎてイに聞こえるのは駄目だ。それから、語尾のあいまい母音ももっと広く。それと、ウの母音はしっかり閉めること。それから、Waの発 音は素早く。狭い母音のオもしっかりと狭く、全体に母音が開き過ぎ、あるいは狭過ぎに偏ってしまう。月の光だけど、手で指揮をしながら、きちんとリズムを取って歌う練習をしてほしい。最後に、教えたフレーズの作り方は、難しいからレッスンでのみやってほしい。一言で言えば、歌う場合の足場をフレーズの中のどこに作るか?そして、足場を作ったら、同時に流す場所も決めなければならない。後は高さの問題。これらをちょっとやるだけで、全然高級な音楽になる。なんとか決めてみよう!

あゆみさん。

発声練習を完全な地声まで降りてから上がってみた。途中1点Gくらいまではしっかりと鳴った声が出るのだが、1点Aくらいから声がチェンジして細くなってしまう。そこで、喉を開くこと、腰や腹をしっかり使う練習をやってみた。お腹の得に側腹部はブレスでは使えるのだが、歌う時の力がまだ弱い感じがある。これは練習あるのみ。側腹だけではなく、腰を張り出すことや前下腹を中にしっかり入れることなど、色々やってみて効果がある方法を選んでみることがまずは大事だろう。要は声に芯が出ることと、喉声にならないことが基準だ。後、特に高音になったら、喉をしっかり開けて、喉の奥から吐くように声を出してみることも大事だ。しかし、今日の練習で随分と声量が増した。お腹が使えるようになったので最後に、声帯を閉じる練習をしてみた。イの母音からエ、アと移行する。音程は2点Dくらい。
アの母音がうまく行くととても良く響く。なかなかデリケートなので練習しておいてほしい。後はイの母音だけどもこれも口を開き過ぎる。このことで、響きが散ってしまうのだ。他の母音でもそうだけど、なるべく口を閉じたポジションを覚えてほしい。上下の歯が合わさるくらいの閉じ方でやってみてほしい。曲は、イタリア古典歌曲集からL'asciar d'amarti..発声の効果があって、特に出だしの声がとても良くなった。きっかけは、1点F以下の下の声の響き、胸声だ。これをなるべく上まで使ってもらった。これは地声ではなく、一段チェンジした声を混ざっている。彼女はこの声がとても有効だ。太目のドラマティックなソプラノか、たっぷりしたメゾの声が想像される。とても良い声だ。この路線でこれからもべんきょうしてほしい。


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10月7日

にしさん。発声練習を始めると相変わらず上向き形の発声で高音が音程がフラットになる。口の奥の開きと横隔膜の開きを促すと良くなる。このフラットの原因の一つは、胸声のまま音程を押し上げるためになる。1点Aくらいから上の音域では声帯の鳴らし方を少し変えないと、音程ははまらない。簡単に言えば、胸声領域と同じような鳴らし方だと、駄目ということだ。その際気をつけてほしいことは軟口蓋を上げるあまりに喉が今度は締まってしまうこと。これは喉も開くこと。両方同時に出来ないと駄目だ。気をつけてほしい。曲はトスティ。全体に声がこもって、前に出ないから、しっかりと前に出すことと、2点Cから上の声は、もっと頭の上に広く声を出すように。特にアの母音。これらの曲はもっともっと声を前に上に明るく情熱的に歌い込んでほしい。

ゆきえさん。
発声練習を一通りやってみる。ドレミファソ、ソファミレド、ドミソ、それぞれに必要なことはいずれも音階を進むスピード感である。これは息を送るエネルギーの問題だ。最初は息が入ってないように見える。彼女の場合力が抜けているというか、抜いて出そうとしているのだけど、もう少し意識した力のようなものがあったほうが良い。段々とそういうものが出てくるのだけど。遠慮しているわけではなく、無理をしない、逆らわない、そんな風にも見える。彼女にとって歌を歌うことが特別なことではなくとても生活に根ざしている、、、そんな風にも見える。クラシックの声楽は、その辺りとても日常から突出した世界を現すことが多い。声の扱い方がそうできている。体をしっかり使うこと、精神が強いこと、訴求力が強いこと、、などなど。だから、声を出すことの基本はもっともっとアグレッシヴであったほうが良い。発声は退屈なのかな?歌になるとなんか良いものが出てくる、ゆきえさん。笑
シューベルトのアヴェマリアを歌うのだけど、声質にはまだ難点はある。2点Eくらいから当てにかかる声だけども、声には不思議な説得力がある。そこでジャンニスキッキを薦める。楽しみにしている。

たにむらさん。
歌が大好きなたにむらさん。高い声に悩まされない分、歌に集中できるのだろう。発声は、1点Gからオクターブ下がって上がる。最高でも2点Cまでに止める。全体に声を出すときに息漏れが多いのは地声でも変らない。もっと、声を効率よく響かせることは覚えたほうが良い。その方がブレスも伸びる。ブレスが伸びれば必然的にフレーズを美しくコントロールできるだろう。これは、ジャンルを問わず同じことだ。下あごをぱくぱくさせないこと。あごを浮かせないことが大事。声を上顎、頭に響かすような方法を意識してほしい。曲は、Piacer d'amor...音程を3度下げて歌う。フランス語の語尾のEはエにならないように、気をつけてほしい。Moon river..はたのしみだ。出来たらEnd of the world も楽しみにしている。色々な歌を歌ってほしい。

よしおかさん。
発声練習の始りは声が今一つ出ない。体の使い方が少し弱い感じ。地声の練習をして声帯を活性させてから、もう一度やりなおす。低い声の練習をすると、どうも響きが弱い。横隔膜をしっかり開いて声帯を良く振動させる。この場合は、先に開いた状態を用意してから声帯を鳴らす感じ。こうすると響いた低音が出るようになってくる。そこから、ドレミファソ〜と出してほしい。声で上向きのフレーズを作る場合、声の足場が必要だ。ドレミファソと昇るのに、ドの響きで足場をしっかり作らないと、上に昇れないのだ。この練習をしてから飛躍的に良くなった。やはり、お腹の使い方がまだまだだ。特に低音を出す際にいつもいつもこのことは忘れないでほしい。お腹を使うことと声を出すことは同義だといっても良い。声を出すことはかなり体力の要ることだ。無理は禁物だけども、常に最初から声をしっかり出すことを心がけることを忘れないでほしい。曲は、Sento nel core歌になってから気になるのは、やはり声の響き。簡単に出すと子供のような声になってしまうこと。あごを引いて、声をきちんとあてること。あごが浮かないようにいつも気をつけて。特にエの母音。今日のレッスンの最後にはかなり良くなっていたから、次回はすぐにこの状態に持っていけるようにお願いしたい。


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10月6日

こぬまさん。
彼女は本当に良い声をしているのだけど、合唱のソプラノということでこちらも声質を決めかねていた。合唱のソプラノが重いということは、あまりないような気がするけども、なるべくその人の持ち味は伸ばせるだけ伸ばしたほうが良いのだろう。彼女もこのことは良く納得してくれたので、これからソプラノも出来るメゾ系の声質で声を磨いてあげたい。うまく行けばビロードのような美しい声を駆使した声楽家になれるだろう。彼女の声質の特徴は、1点Cから2点Dくらいまでの間で、声のチェンジがはっきりしないこと。上の声で行くのか下の声で行くのかで声が迷ってしまう。下の声といってもチェンジしている。本当の地声は相当しっかり太く出る。1点Cの下のGくらいから地声で上がっていくと、結構なところまでそのまま歌えるし、音程もそれほど悪くはないのだ。そのまま上がって自然に変れればそのままでも良いくらいだ。地声の上の声をなるべく地声よりの低いポジションで取って声を決めるようにすれば良いと思う。これからしばらく地声の練習をしてみよう。気をつけることは喉を開くことと、軟口蓋を上げることが同時に出来なければいけない。ブレスの時点でこの口の中の状 態をつくって欲しい。低い音域は、この状態で、声の出し始めをお腹あるいは、みぞおちあるいは、喉の下あたりから出すように意識することが良いだろう。それから、お腹だけども、やはりきちんと使えていない。声を出すキッカケはお腹、横隔膜の動きだ。ブレスの時点で、この横隔膜を軽く開いて、その状態で更に横隔膜を開いて声を出す。そのために、側腹部、あるいは腰の筋肉を張り出すようにして声を出すこと。
今日練習したことは、以上だ。曲は、ジョン・ラターの美しい曲。いかにもイングランドの爽やかな感じの曲だ。ソプラノとしては全体に音域が低めで、今の彼女には難しい課題だろう。メゾ系の音質で統一して低い音域をしっかり出すようにしてみた。軟口蓋を上げると、喉が締まってしまうことに注意。
でも、方針が決まったからこれからはこの調子で伸びていけると思う。頑張って欲しい。

すぎえさん。
発声練習をすると、前回の声に戻っていた。間があいてないので少しがっかりした。まあ、間で練習できるわけではないし、通い始めて間もないので仕方がないだろう。彼女は喉が締まって、しかも息が浅いため、声が出ない。息の力も少し弱い感じだ。体はしっかりした大柄な方なのだけど、体に見合った声が出てこないのだ。とにかく口を開けることで、喉の開きを促すことから始めた。何度かやるうちに喉が開いてくる。意外と高い方、2点Fis以上はチェンジした声で良く出るのだ。中音部がやはり弱い。声はメゾだろう。というか、メゾのほうが良い。彼女も地声からの練習が良い。とにかく腹筋を使ってお腹を広げる。横隔膜を使うこと。このことに集中して欲しい。喉の開きが弱いのはなぜだろうか?と考えるに、一つはブレスが弱いのだろう。ブレスが弱いのは、これまた腹筋のせいでもあるけども感情的に緊張し易いところがあるのではないかな。後は腰や下半身の強さが大事だ。発声を散々やって、やっと声が出るようになったので、曲をやる。イタリア歌曲のアマリッリをやる。大分意識して腹筋を使うことと、喉を開くことが意識して出来るようになった。声のニュアンスまではとても行 かないけどもとにかくこのしっかりと、俗に言うお腹から出す声をいつでも出せるようにしてほしい。蚊の鳴くような声はやめてほしい。(笑)口先で出さないことだ。喉は意外と強いらしくて、痛くはならないようだ。
O cessate di piagarmi..これは随分と良くなった。高いほうから下の声に移る時に、下の声に変えてもらうと、難しいけども意外とスムーズに出来た。しかも、上の声との違和感がないので、そのまま使える声だ。本当の意味でも地声ではないのだろう。この声をいつも低音では使って欲しい。最後に、トマの「君よ知るや南の国」を歌う。低い声のポジションと、口の中を開いたままアルティキュラションすることを覚えて欲しい。そのことで、レガートな歌唱が可能になるから。卵を口の中に入れたまま歌う感じと言ったら良いだろうか。次回は大分先だけど、今回やったことは身につけて出来て欲しい。・

たにさん。
低いところから発声を始めると、喉だけで歌っている感じだった。少し暖めてから、お腹を意識してもらう。1点bくらいまでは、その声できれいに、しかも開いた声が出せる。声も随分と出るようになった。1点bくらいから上は、段々と喉に力が入ってくるが、前よりも随分良くなった。2点Cくらいから上になったらば、下の声で出す際に、響きを上顎部に持っていくように意識を変えることが必要。要するに少しばかり声のポジションを上げる感じ。ただし、チェンジはしない。微妙だけども、少し変える。口を開け過ぎないで、むしろ閉じ気味のほうがうまく行くと思うのだが、今日は喉が少し痛くなったみたいだ。これは、難しいが、大事なことなので次回はこの辺りを練習してみよう。彼女もメゾも出来るしソプラノも出来る良い声を持っている。声帯が長いというか?低い声も出せるし、高い声も出せる。今、楽なのは一番高いチェンジの声だ。下の領域の声の出し方をしばらく続けていたせいか、高い声を出しても、大分響きが強くなった。ただ、その場合喉の開きがまだ少し悪い。本人が喉を開くことを意識的に出来ると、この高い領域のチェンジの声ももっと良くなるだろう。もしかすると、 そのまま下の方までうまく繋がって出せるようになるのかもしれない。彼女の下の声は地声ではないのだけど、あまり高域にまで行くのは難しい。小さな声帯の人だと、そのまま2点bくらいまで無理矢理でも持っていけるのだけど、それが出来ないのだ。そして、チェンジすると声質がすごく変る。この両者をどうやって融合させて行くかが課題だ。お腹、横隔膜の開きがまだまだ弱く、使えているのだけど弱いために、喉の筋肉で鳴らしてしまう。そのために、喉も痛くなるし疲れやすい。ブレスの際の横隔膜の開きもまだ弱く、胸辺りを固くして歌っているようだ。腰がしっかりすること。これらの筋肉の練習やブレスは、歌うことでしか養えないので、ひたすら練習しかないだろう。後は、何よりも声と云うのは本人のイメージだから、彼女が良い声と思ってくれるかどうか?というところだろう。曲はビリティスをやった。一曲目を暗譜でやってもらった。目線を決めて動かないように。1ページ目から2ページ目の1段目までは、遠くを意識して。2段目からは過去の話の中に入り込んで現在形の言葉になっている。もっと近くを見詰めるようにして歌うと良い。そんな風に内容に促して歌うフォーカスを 意識下に入れてやることをこれからもっともっと大事にして欲しい。声はしっかり出せるようになって来ているから、後は本番で恐れずに出来ればうまく行くはずだ。何とかクリアして欲しい。


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10月5日

かとうさん。発声では、閉じた口の形でしばらく練習をした。どうも調子が出なくて、声がひっくり返る。
ヤイヤイヤイで発声をすると、下あごを動かさずに、比較的喉の状態は安定するが、彼の場合どうしても口を開けないと、声が出せないくらいの状態で、なかなか難しい。大体首の座りが悪くてぐらぐらする、というか、力を入れないように意識することは良いのだが、首が上を向く傾向が強すぎる。そのために声帯が安定せずに喉っぽいポジションになってしまうのだ。最初はきつくても、きちんとあごを引いて首の後ろがピンと張ったような姿勢をまず確立して欲しい。声帯の位置決めがきちんとしてから発声が始るといっても良いだろう。今の状態では、プーランクのO magnum mysterium...をテノールパートで歌うのはやや無理がある。たとえファルセットにしても、多分喉は苦しいだろう。ソロのテナーであれば重いテナーで何とか行けるけども、アンサンブルだ。軽目の声でファルセットを使ってかつ喉を開いた状態の声を作っていく方法に替えてみたい。

さかもとさん。喉が調子が悪いとのことだが、話し声を聞く限り問題なさそうなので、やってみる。大体ちょっとくらいのことでは平気なものだ。喉は丈夫なもの。さて、彼女の問題は声を出す際にしっかりと息を吐くことが出来ていないこと。特に声をチェンジさせてからは、蚊の鳴くような声になってしまう。ショック療法ではないけども、理屈抜きでお腹にしっかりと力を込めて、出す練習をする。片足立ちで上半身を後ろに反らせて発声をしたら大分声がしっかり出るようになった。それから、口の特に下あごがぱくぱくと動き過ぎる。鉛筆をくわえて歌う練習をしてみてほしい。とにかくしっかりと声を出すこと、のみに集中して欲しい。地声はなるべく使わないほうが良いと思う。喉で歌ってしまうからだ。

あめくさん。
彼女はとても進歩が早い。発声練習を始めると少しまだこもる癖があるので、喉の奥の開きを教える。上顎、頬を上げる。それらの指示でとても明るく良い声になる。まだお腹が少し弱い感じだけども高音も2点Aまできれいに伸びるし、2点G〜Asは共鳴も出て素晴らしい。声質はメゾだ。声と息の流れの関係がとても良い。それと、ブレスも無理がなく、お腹が使えているしブレスの伸びも良い。高校時代の先生の指導が良かったのだろう。若いときに自然に身につけたことはとても役に立つものだ。特に音楽などの技能はそう。曲は、モンテヴェルディのLascia te mi morire..これはほとんどOKだけど、低い声のところはなるべく地声の響きを入れてしっかりと出して欲しい。彼女の場合それをやっても、完全な地声にならずに、良い響きになるからだ。高音から低音に降りたときに、低音のポジションに瞬時に切り替える技術を覚えて欲しい。調子が良かったので、Star vicino..も教えた。譜読み、イタリア語もすぐにマスター!とても良い!どんどん新しい曲をやってもらいたいと思う。


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10月4日

みくりやさん。発声は最初調子が悪かった。息を吐く練習をした時に、自然なブレス。お腹の筋肉を緩めて一気に入れるブレスを練習してみた。後で分かったのだけどブレスを思うようにやらせずにお腹で…と言ったことを守っていたので息が伸ばせなかったようだ。要するに息が入らずに、お腹が使えていなかったようだ。調子が出たのは、高音、2点Fis以上の声になると、きれいにチェンジするようになっていたので、その音域で声を出してから降りる練習をした。なるべく響かせ方を変えずに、低いほうまで降りて行く。自然に彼女の場合は声がチェンジして行くのだが、声に段差が少ない。頭声は本当に良く響くようになった。後は中声域をどこまで伸ばせるかが課題だ。こちらも練習しないと声が出てこないから。
曲は、ラヴェルのギリシャ民謡から。La bas vers l'eglise...これはほとんど言うことはない。きれいだ。
Reveille toi perdrix mignonne!は、リズムの乗りを大事に。そして、修飾音符を忘れずに、こぶしのつもりではっきりと出して欲しい。それと、16部音符の跳ね上げ。具体的には、短くせずに長めにすること。Chanson des cueilleuses lentisques..これは、彼女自身のリズム感が感じられるようになった。まだ3連符の伴奏の場所に来ると不安になるようだ。こういう歌のリズムの伴奏が3連符の場合は、自分がしっかりしたリズムを持っていないといけない。そのためには、ブレスがしっかりしていないといけない。最後のフレーズ。Tous nos pauvres coeurs soupirent..の所は、soupirentの前でブレスを静かに入れること。音を立てずにかつ、ゆったりとブレスをして最後の言葉を充分伸ばして終わって欲しい。今日のレッスンで大体目処が立ったので後は暗譜を早めにして欲しい。


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10月3日

たにぐちさん。体験レッスン。声を聞くと本当に初めて出すような声をしていた。中学時代に合唱をやっていたようだ。が、今はカラオケもほとんど歌わない…ということらしい。息を吐くことを教える。歯で音を出してとにかく、吐く。前に吐く。脳天めがけて吐く。短く定期的に、あるいは長く。この練習をしてから声を出してもらう。取りあえず、地声は出さないで。彼女は地声を出さなくても、不思議と低音が出せる。メゾっぽい特性の声質だ。お腹に力が入ったときの一瞬の声は、なかなか良さそう。口の開け方、頬を上げること、下あごをだら〜んと下げること。これらのことを合わせて、とにかくしっかり声を出すことを練習する。曲は、イタリア古典歌曲集のカロ・ミオ・ベンを譜読み&イタリア語読みをする。イタリア語は随分とスムーズに読めた。譜読みもなんとか時間内で完了。後は、練習あるのみ。気をつけて欲しいのはブレス。彼女の場合はブレスに気を使ったほうが正解のような気がした。慣れていないせいもあるが、少し落着きがない。まずはブレスをきちんとするだけで、良くなると思う。声はお腹の問題さえ解決すれば、どんどん出てきそうだ。とても楽しい方で、笑 いが何度も出る。今後も楽しみにしてる。

ちばはらさん。喉声をなんとか乗り越えたい。何度も同じことを言っているが、そろそろ、自分で解決する何かをつかんで欲しい。総合的に見ると、高い声、苦しいときに、踏ん張ってしまう下への力が喉声を助長している気がする。しかし、彼の場合、実は一番問題なのは、音楽をするときのある種の集中力だろう。実は、ぼくが歌をやり始めた頃のことを、彼を見ていて思い出した。何とは言えない、一生懸命のように見えて、音楽的な集中力に欠けているのだ。曲を見て、聞いて、曲の持つ何かを一生懸命、集中して歌うこと。とにかく一生懸命しかない。闇雲でも良いから、音楽の力を身体の中から発散して見て欲しい。そのことだけに集中して一曲を歌い通すこと。後は、歌を通して練習するときに大きなリズム感を汲み取ってほしい。その練習のために、自分で大きく指揮をしながら、歌って見ることも有効だろう。声を出すときに、特にエネルギーを上に向けて欲しい。お腹から声を出すという意識は大事だけど、彼の場合、喉声になる原因はお腹から声を出そうというやりかたの、間違ったやり方だと思う。お腹は使うけどエネルギーは上に向けなければ行けない。とにかく乗り越えて欲しい。
プーランクのO magnum mysterium..はとても重い辛い曲だ。キリストの生誕がこれほど辛い重いものだとは…と思わせる、彼の宗教曲の真骨頂だと思う。この曲の持つ、重みを腹の底から感じて欲しい。


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10月2日

さたけさん。発声練習では、2点Dくらいから上の頭声を練習。ドレミファソ〜で上がる場合は、息の勢いで後頭部に軽く持っていく。これらの発声練習では勢いが大事。息で持っていくためだ。その次に少し強い声を練習。これは、例によってイの母音からエ、アに持っていく。大体出来ているのだけど、イがやや雑なため、エやアの母音が実際に上顎に響いているかどうか?があまり良く分かっていないようだ。下あごを下げないことで、響きが落っこちない。この感覚で2点Aくらいまでは、持って行って欲しい。あごを良く引いて、首を動かさないようにする。
曲は、フォーレの「尼院の廃虚にて」この曲は、音大時代に下手糞なお嬢さん達が、こぞってフランス歌曲というと取り上げていた。そのイメージがあるので、彼女には絶対にそういう歌を歌って欲しくないのだ。彼女には、中声用のキーは少し低い。が、まあやってみる。やはり、声が出し辛そうに聞こえる。フランス語の発音がまったく駄目。特にウ、そして、あいまい母音のウ。広い母音はしっかりと広く。oeの発音は思っているよりもしっかりと広くしなくてはいけない。したがって出だしのSeuls tous deux ravie chantantは広く狭く狭く広く広く広くという感じだろうか。これらの発音の基本に加えて八分の六拍子の八分音符をしっかりと扱うことが大事だ。ヴィクトル・ユゴーの詩にフォーレが付けた音楽だ。きちんとしたフランス語の発音と、端正な音楽を大事に勉強して欲しい。


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10月1日

さわださん。
発声練習を始めると、声に元気がない。喉声を気をつけているのだろう。割と気にするタイプだ。笑
イの母音で声を当てて、上顎に響かせるようにやり直す。声は良くなった。高音まで昇っていくとどうも最高音の辺りで、体の使えていない声になってしまう。腰を使うように促してみたが、ヘルニアをやったらしく使うのが恐いらしい。今度から腰を守るためのバンドを持って来てもらう。腰が使えないと本当の声が出せない。呼吸、特にブレスも見てみると、横隔膜の開きがもう一つ弱い感じがする。これが少しでも意識していれば、腰と絡めて声をしっかり出すきっかけになるのだが。
曲は、プッチーニのDonde lieta...この曲をやりだすと、やはり上顎に響かす感じが足りない。口をパクパクさせて歌うために、響きが上に行かない。この矯正をやってから、見違えるほど良くなった、特に2点G以上の声が発声練習で出来なかった、ビブラートのついた高音がしっかり出る。口を開き過ぎないほうが良いのだ。ToscaのVissi d'amore..出だしのVissiのEsの音が今一つ。もう少し息の混じった柔らかい響きが出れば更に良い。両方とも後は音楽の歌いまわし。早いところ暗譜して欲しい。しかし良い曲だね。思わず歌って指導してしまう。

にしさん。発声練習を始めると、どうも響きがこもっているし音程がフラットだ。どうしてこうなるのか判らないが、これも直す。特に軟口蓋の上がりを練習したけど、どうもうまく行かない。彼はとてもマジメなのだけど、マジメなあまり言われたことを守ってそれだけでやるために、結果として全然うまく行かないことがある。細かいところを直してから、再度普通の発声練習を始めると、とんでもない声を平気で出してしまう。どうしてだろう?と思うと、多分上記のようなことが原因なのだろう。細かいことをやってから応用して自分の声を出すことを心がけて欲しい。この辺りが教えることの難しさだ。いっそのこと余計なことを言わないほうが良い、ということにもなりかねないから。軟口蓋を上げることと喉を開くことは同義で、どちらかだけということは、あまりないのだ。口を開けてハミングから母音に変える練習をするのは、下あごを下げて、喉の開きを促すことに意味があるのだ。ただ、口を開けるわけではない。この辺りを充分んに分かって欲しい。曲は、トスティのSognoから。口、特に下あごを下げないで発声をして、上顎に響かすように歌って欲しい。特に、高音に上がる時に、 下あごを下げないこと。
Maliaも同じ。喉で押さないこと。喉で押さないために、あごを引くのだ。


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