2001年11月前半レッスンノート

レッスンノート目次
11月1日 | 11月3日 | 11月5日 | 11月6日 | 11月7日 | 11月8日 | 11月11日 | 11月12日 | 11月13日 | 11月14日
11月14日

たにぐちさん。彼女も月2回なので一歩一歩少しずつだが来る度に声は出るようになって来ている。
発声練習で声を聞くと地声からチェンジしたあたりの声はなかなか良い声になるのだが、高音になって喉が締まると、途端に声がか細く出なくなる。それで低音に戻ると元どおりになれば良いのだがそのまま痩せた声で元に戻らない。喉を開くこと、お腹を使って声を出すことが難しいのだろう。お腹は使えているのだがどうも声を出すこととリンクしていないようだ。お腹を使うことで声が出る、という順番がはっきり身につくと良いのだが。ドレミの3度でお腹を使って音程を上げることをやってみる。少し出来たが、相当訓練しないと難しいだろう。それから、姿勢が悪い。猫背である。また、あごが前に出てしまう。背中、背筋も弱そうだ。どうも真っ直ぐに立てていない。胸の開きも良くないので、高音で声を出すときに、ブレスがしっかりしないために、喉が開かない、支えがなくなる、という悪循環に陥るのだろう。ともあれ、地道に続けるしかないだろう。本人はメゾソプラノの普通の声の領域が美しくなることが目標のようだし、趣味はあるようだ。曲はモーツアルトのフィガロの結婚からケルビーノのVoi che s'apete..以前よりはきれいに声が出るようになっている。2点Dから上の領域の声が締まって痩せた声になってしまう。胸の適度な張り、しっかりとしたブレスを心がけて。次回を楽しみにしている。

11月13日

さたけさん。今日は発声練習から良い声が出ていた。発声の声はとにかくこのところ調子が良い。良く響いているし、安定している。伴奏合わせを早速する。「リディア」から。結局中声用を使ってやることにした。中声用で聞いてもとても安定しているので。低音も声量こそないが響きがある。さて、一通りやってみて前回よりもずっと良くなったが、発音が口を横開きにし過ぎるために特に狭い母音、ウとかユとかオなどがどうも締まりのない浅い響きでフランス語らしくない。口を縦にだら〜んとさせる感じで口先を丸めに使うように発声してほしい。これは他のどの曲もそう。後は、ブレスを中途半端にしないこと。なるべく長く、言葉の意味上、つじつまの合うところ以外ではブレスは基本的にはしてはいけない。「河のほとりで」も早めのテンポでとても良くなった。声を高いところに上げる時に、体も浮ついてしまうのが悪い癖。お腹を広げるように、腰を使って高音に昇ること。したがって体は動かない。同様に顔でテンポを取ったりして動かさないことも大事だ。緊張するかもしれないけど、顔を動かさないことが発声にはとても大事だ。実際に見た目もきれい。これもどの曲もそう。 「月の光」は出だしのところで顔を動かさないで、すっと入るように。これも高音に上がる時に、体を浮かさずに腰、お腹で昇る。これは今日実際にやってみて、とても上手く行ったと思う。今日注意したことだけど、きちんと出来ればとても上手く行くだろう。忘れないでほしい。

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11月12日

すぎえさん。仕事帰りで疲れているかと思ったが、意外と声は出た。しかし、やや上がり気味。地声がきれいに出てこない。彼女は地声から上がって行くと、声帯が良い感じで鳴るようにチェンジして行くのだ。お腹を使うことは少しずつ出来ている。喉を開くこと、お腹からしっかり声を出すことだけに集中しているだけで今は良いと思う。月2回なので、即効性はないけど、少しずつ良く声が出るようになってきた。それにしても、彼女には声を出すことがなかなか大仕事のようだ。体はあるのだけど、声帯が小さいのか、喉が締まるのか。。ちょっと判断がつきかねる。声を出そうとするあまり、力みがあるとかえって出来ないこともあるけど、彼女の場合は力みも感じられない。曲は、トマのミニョンから「君よ知るや南の国」これは、大分声が出るようになった。八分の六のリズムで、八分音符と16部音符の違いを間違えないように。Gran arbre..gratarbrとDの発音がリエゾンでTになることを間違えないで。
同度の音で低いところ、Ou rayonne et sourire comme un bien fait de dieux...しっかりとお腹に力を入れて声を出して、前に進むように。C' est la..のシのダブルフラットが音程が下がらないように。後は高いところは喉を開いて、お腹からしっかりと出すように。
今日は、グノーの「Faust」からジーベルのアリアをやった。「花の唄」だ。とてもとてもフランス的というか19世紀のグランオペラの雰囲気を持った曲。軽快なアリア部分と、レシタティーヴォの中間部で構成されている。さすがグノー!やはりフランスオペラも良いものだ!これも軽快な八分の六で小さなミュゼット風の伴奏がいかにもフランス的。2点Gまで出すが少々辛そうだった。フランス語で歌いながら喉を開けるのは至難の技。技がいる唄だ。これから少しずつやっていこう。

やぐちさん。

体験レッスン。合唱で歌っている。中学から合唱を続けて、OLさんの今になっても続けている本当の合唱フリークだ。本人は合唱団でもボイトレを受けているが、もう一つ声を伸ばしたいらしい。実際に声を聞いてみる。一番気になったのは、姿勢。顔を上げ気味にして、喉を楽にしているが、声帯がぶらぶらと収まりが悪く、浅い直接喉から出る声になっている。これは、注意してすぐ治った。これだけでとても暖かい声になるし、響きが落ち着いてくる。声の暖まりに時間がかかるようで、少々雑音が出るが、気にするほどのことはないだろう。後、お腹を使うことも、本人なりに分かっているようで、それを意識させただけで、声がしっかりしてきた。高音部も微妙に鳴るようになったし、頭部への共鳴が倍加したように思えた。お腹を使うことは、疲れるが疲れるだけのことはある。彼女、なかなかソプラノらしいソプラノで訓練すればとても良いソプラノになると思う。要するに典型的なソプラノ声だし、性格もソプラノだ。笑 性格と声というのは、どうも関係があるような気がするが、科学的な根拠はない。もしかすると声が性格を作るのかもしれない。。閑話休題。後は、唇。唇を反らしてラッパの口のようにするだけで彼女の場合、中音部から声に光りがついてくる。とてもとても効果的だった。素材としては長年やっていただけあって、とても良い基礎が出来ていると思う。後は、訓練だろう。早速歌を聴いてみた。フォーレのレクイエムから Pie jesu...幽玄にして優雅。まったくフォーレの独壇場の世界だろう。この曲は。素晴らし過ぎて涙が出る。彼女の声もこの曲にぴったりだった。ここでは、もう少し光り輝く声がほしかったので、喉の下の窪みに当ててしっかりした声を出させたが、これもバッチリ!ソプラノ特有の冷たいメタリックな強さのある声が出てきた。ちょっとしたコツをやれば、すぐに効果が現れてくる。フランス語も専攻していたそうなので、これからのレッスンが楽しみである。


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11月11日

今日も発表会の伴奏合わせ。
すずきさん。発声練習ではとてもきれいな良い声が出ていた。下降形で始めたが、最初のアタックの声がとても良かった。低音に降りたら、喉を開いて低音を促すように出すことが大事。高音の練習では4点Fまで出る!驚くばかりだ!高音になればなるほど声が出る。さて、「すみれ」は今日はポジションが高い声だった。高音の練習をした直後だったせいもあるだろう。もう少し低いところから声を出す意識が大切。それから、口をパクパクとアーティキュレーションし過ぎている。下あごをダラ〜ンとさせて、口の中を広げて発音するような感じ。飴玉をくわえながら歌う感じ。これが出来ると喉も広がるし発音がそれらしくなる。音楽的には盛り上げるところで、前に進んで行く意識が大切。楽譜通りに歌っていると緊迫感が出ない。暗譜してドラマティックに歌うところは、もっともっと感じを出すこと。夜の女王のアリアもなかなかしっかり歌えてきた。出来れば、これも中低音部の声をもっとお腹を意識してしっかりとした声を出すこと。3連符のボカリーズのところの音程を気をつけること。ブレスをしっかり取るためには前のフレーズの終わりを早く収めること。以上のことを守って集中してや れば、とても良い結果が出るだろう。

たむらさん。ひさしぶりに来た。発声はやらずに、歌だけを合わせてみる。何しろ初めての合わせだしボサノヴァだ。最初「黒いオルフェ」をやってみる。ピアノ用の伴奏譜でやってみるが、アレンジがダサい。そのために、途中で転調を余儀なくされ、音域が彼女にはちょっと高い。何とかなるけども、最終的にはギター用の楽譜で歌うことにする。これは一応ピアノでも対応できるコードがついているから何とかなりそうだ。2曲目のアナベラ。伴奏譜はわざわざ作ってもらったもの。最初繰り返しがおかしくて、合わなかったがどうにかなりそうだ。これは音域が丁度良い。暗譜をしてもう少し声をしっかりと出すと良いだろう。3曲目のCon coracaoは、リズムをかっちりと、あまり遅くならずにちょっと緊迫した感じ、軽い感じが出せれば良い。今言えることは、とにかく暗譜して、ピアノと通すことが出来ること。それが条件。

いそがいさん。
モーツアルトのAgnus dei。これも何ヶ月もレッスンをやっていたのだが、最後の最後になっても、同じミスが出てしまう。多分、声の調子に左右されてしまうようだ。声は暖まらなくても、喉を広げることと、喉に力を入れて声を出さないこと、そしてそのためにお腹をしっかり使うことが分かっていれば、それなりに対処出来ると思う声自体は良い声がすぐに出なくても、音楽を声で歌いまわす体の使い方を意識すれば良い。そんなわけで、声の調子に左右されてブレスが取れなくなり悪循環に陥るようだ。何度も歌って声が暖まってくるとなんとかなってくる。しかし、高音といっても、2点Fを出すのに喉に力が入り過ぎている。長いフレーズは最初から声を出し過ぎないで、お腹でしっかりと支えクレッシェンドするようにして、フレーズを乗りきるべきだろう。テンポは遅すぎず、早すぎず。今日の最後のテンポを守れば、何とかなるだろう。Quando m'envoは、これもテンポの設定が遅いと思う。もっと早いテンポのスマートな音楽を作ってほしい。音楽は難しいもので、余裕を持たせると、かえって集中力に欠けて、冗長な音楽になるし特に難しい高音はかえって出し辛くなる。勢いが大切だ。声のことだけど、ちょっとお腹を意識することを促せば、とても良い声が出ている。何度も何度もレッスンでくどいくらい教えているのだから、そろそろ、いつでもそれを実行できるようになってほしい。それから最初に楽譜を見てから始めたのだけど、今後は絶対に暗譜で歌うくらいの意識で歌って行くようにしてほしい。

たにさん。
声の調子はとても良かった。ただ、もう少し耐久力が出ると良いだろう。高くチェンジした声と低いチェンジの声で交じり合う音域を交互に、あるいは一つのフレーズでチェンジしたり、しなかったりという練習をしてみた。この練習は良いだろう。中間部の声をなるべく無理なく声が出るようにするためには両方のチェンジの声が混ざった感じが必要だから。ビリティスの歌、1曲目パンの笛は、落ち着いて歌えている。出だし1ページ目は、段々とゆっくりとなり過ぎる傾向にあるので、もう一度テンポを巻いてみた。出だしのフレーズのブレスが気になったので、歌に入る前の最後の和音と同時くらいにブレスしてそのブレスのリズムで声をポ〜ンと出す感じがとても良い。後は、この出方でリズムに乗って行けば良い。2ページ目のIl m'apprend a jouer..の件は、あまり早すぎないように、確実に。Nous n'avons rien a nous dire..からは内容的にも落ち着き過ぎないように。Et tour a tour nos bouches..のRitも最後のほうでさらっとやるくらい。ブレスがきつそうだから。最後のMa mere ne croit jamis ..これは緊迫感がほしい。髪は、低音をしかりと鳴らすように。息で声が抜けないように気をつけて。3ページ目のEt peu a peu..は、急いで緊迫感を持って。 Il m'a semble tant nos memres etaient confondues..は相当に早くなっているはず。最高音のMoiはチェンジした声で問題ないからそれなりに声を当てるように。Et il me regarda..の続きのtendre..は口を開けないほうが声が当たると思う。ナイアードの墓は、前回同様に、良い明るい声が設定できている。最後のページで息切れしてしまったが、一回の通しなら何なく行けるだろう。自分で怖がらないで、思い切って行ってほしい。以前に比べると高音もすごく楽になっている。


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11月8日

みくりやさん。発声練習では前回のお腹を使って音程を上げる練習をやる。喉でドレミと上がらないでどれだけお腹が使えるかどうか?あるいは喉を開いて出来るか?これはうまく出来た。ここに至るまでに本人は前回やろうとしたことを思い出そうとしていたのか、うまく行かなかったが、言葉で復習をして出来るようになった。どうも発声を始める時点では体と声がつながらないようだ。結局一番出しやすい声を出すところから始めていけば良いのだ。そこから直していけば良いのだから。あまり、神経質になることはないと思う。「ギリシャ民謡」は4曲目、ピスタチオ採りの歌から、練習をする。この曲が一番胆だから。堂々と歌うはずが、どうも力がこもらない。とにかく声を伸ばすところは堂々とそしてこぶしは素早く歌うこと。ブレスはどこを取ってもしっかりと充分に取って良い。Quell galant ! は、これもしっかりとちゅうちょなく声を出して。テンポが遅すぎないように。最後のJ'eime...は良く伸ばして終わってピアノにバトンタッチ!La bas vers l'eglise..これも軽い声で逃げないで。最初からしっかりと。中途半端に柔らかく歌うと、うまく行かないだろう。Reveile toi ! 今日は早いテンポで出来た。なかなか良かった。このテンポで決められれば大丈夫!発表会が近づいたから、一番大事にしてほしいことは声を中途半端に出さないように。思い切ってほしい。この思い切りが大事だろう。そのために、その集中を持つためにも暗譜をもっともっと確実にしてほしい。歌詞を書く事もやったほうが良い。まだ時間があるから練習をとにかくしてほしい。練習をしないと、結局本番で力が出せないから。甘く見ていると後悔するから、頑張ってほしいな。

あめくさん。発声練習では低音が地声の場合少し音質が暗くなる。アの母音でもオに聞こえるし少しかぶさったような暗い声になってしまうことを気をつけて。喉の状態はそのままで良いから口を横に開くくらいが彼女の場合は丁度良いだろう。高音まで良く出せるようになっている。チェンジしてからの声は前回もやったが、イの母音からエ、アとやって前に良く響かすように口を開け過ぎないで出すこと。それと、喉の下の窪みに思い切って当てるように出すこと。後は、姿勢。首が前に出る。あごを良く引いて。あごを良く引くことで、喉前部の筋肉に変な負担をかけないで済む。首の後ろの筋肉をしっかりと張って、首をまっすぐ立てることが良い。もちろん、お腹を使うことを忘れないように。
曲は、Sebben crudele..チェンジした声だと、どうもスカスカしてしまう。彼女の場合は、下の声と上の声の差が割とある。下の声は驚くほど声量があるのだがチェンジすると、とても軽くなる。思い切って下の声で歌ってみる。結論から言うと、まだまだ喉で押してしまうのだが、そうだとしてもやる価値はあるのではないかな。上の声と下の声が混じって丁度良いポジションを見つけるためには、この声でなるべく歌うことも必要だと思う。ちょっと喉の負担があるかもしれないけど、少しずつでも毎回やって行きたい。音楽的なことは今は言う必要を感じない。とにかく声のことだけだ。いずれにしても、とても良い声の可能性があるから辛抱して続けてほしいものだ。


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11月7日

さぶりさん。発声練習は下降形5度、上向形5度、上向ドミソで上がり下がり。彼は音程も良いし声も良く出ているのだが、気になる点はブレスと声のポジション。声のポジションは気になると言うよりかバスあるいはバリトンにしては声が軽いこと、高いこと、それから声質がやや荒いこと。確かに明るく前に出る声だがもう少しノーブルな方が良いと思う。あごを引くことをやらせただけで、その点が格段に良くなった。品のある声になる。いわゆる深みのある声というのだろうか。確かに声は前に出てこない感じだけども、前に出てくる今の声は近鳴りではないだろうか?喉の声が直接口から出てくる感じなのだ。もっと顔の中、首、後頭部に響くような声が良いのだが。ブレスだが、口でス〜っと息をする音が気になる。前腹を脹らませてそこだけで頑張って出している感じ。そのためブレスも短いし、フレージングをする技術に欠けている。彼は声を出す方法がかなり固定しているので、直すことは相当努力がいるだろう。相当自分で意識をして直さないと以上のことは直りにくいと思う。プーランクのO magnum mysterium,他を歌ってもらった。すべてに共通することは、やはり声のポジションが高いこと。ぼくの耳にはほとんどテノールに近い感じ。声量が落ちたり、暗くなっても良いから落ち着いたバスあるいはバリトンの声質を追求して欲しいと思う。最後にこの解決のためにやった練習は、低いバスの音域の声を出してから、5度上そして5度上と声質を変えないようにして音程を上げる練習。これをやると低い落着きのあるポジションを見つけやすい。ぼくがこのことを口を酸っぱくして言う理由は、人の声で和音を構成する際に、いかにピッチが大切であるか?と言うことが理由。人の声の音程感はそれほど簡単ではない。当たり前だが音程と声質とは非常に密接に関わっている。そう、いわゆる腹から出ていない声は、一見音程が合っているようで、実はやや上ずっているものだ。あるいはキンキンして聞こえる。落ち着いた音程、正しい音程の声は絶対にキンキンしないものだ。もちろんこれは、Sotto voce ないしはMezza voceでの声の話である。

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11月6日

さたけさん。伴奏合わせをした。発声練習では中低音の音域がすごく安定した。鼻腔はの共鳴もついたしとても良い。声量もついたようだ。後はなるべく高音域までこの声を変えずに持っていければ強い高音も可能だ。今でも2点Gくらいまでかなり良い線を行ってると思う。お腹を使うことと喉を開くことがうまく繋がれば喉にも負担がかからずに出せるだろう。喉を開けて強い声を出すためには必ずしも口を開けることが絶対必要なのではなく、声の当て方も関係がある。いつも言うように喉の下の窪みにぱ〜んと思い切り良く当てるやりかたが上手く行くとかなり声量がつくだろう。彼女は発声を良く見ているのだが、音楽になるといけない。前から伴奏合わせをあらかじめやっておいて。。とお願いしたのだが、やっていなかった。そのため、今日の合わせはあまり良くなかった。家でピアノ無しで歌の練習をすると、本当のリズム感がなかなかつかめないからだ。彼女の今のネックはここにある。リディアも出だしはとても不安定でブレスもきちんと入らないしリズムが合わなかった。緊張したせいもあるだろう。一度低声用でやって、なんとか出来たと言う感じ。最後に高声に戻して大丈夫だっ たが、これもひたすら伴奏合わせの回数が物を言うだろう。他の曲、「水のほとりで」「月の光」も同じ事。「水のほとり」では、上向形のフレーズを勢いをつけて昇るように歌うこと。「月の光」ではAu calmeのオ〜カ〜のカの子音を言い過ぎるためにレガートが切れてしまう。ここはくれぐれもレガートに歌ってほしい。

あゆみさん。発声練習を始めると以前の軽い声に戻っていた。彼女は2点Cくらいから突然声が軽くなる。いわゆるチェンジだけども、これが早い。下から声を上げていった場合に、ここでチェンジしないでなるべく2点Fくらいまでは同じように持っていってほしいのだ。お腹をしっかりと使って喉を開くこと。
声を喉の下の窪みに当てて声帯をしっかりと鳴らす感じ。それから口を開け過ぎないで唇を反らして声を前に出すこと。などなどいずれもお腹が大事なので、楽をせずにしっかりと出してほしい。2点Fから上の声は今の出し方でもまあまあ良いのだが、そこまでの中音域が息漏れが多く声がどうも前にしっかりと出てこない。このあたりが今後充分練習をしてほしい課題だ。最後にイの母音で練習をした。下唇を突き出してそこに声を乗せる感じ。これが少しずつしっかりと出るようになった。このやりかたで中音域の声を考えないと、音程も上ずり気味だし響きが弱い。良く練習してつかんでほしい。曲は前回のSebben crudele発声でやったことが成果となって現れないので少しずつやっていった。エの母音は口を横に開かないように縦にして、声を前にあるいは喉の下にしっかりと当てること。それから下あごをあまり動かさずに上顎に声を当てるように。とにかくしっかりと声を前に出すことを心がけてほしい。最後にTu mancavi tormentarmi..も譜読み。これも声が白くなってしまう。譜読みだから仕方ないけど常に今日の発声の感じを忘れないで、声の当て所、声のポジション、声質を大事にしてほしい。


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11月5日

さわださん。今日も伴奏合わせ。発声では、あくびの形を意識して。高音、2点Fくらいから先の声をあまり重くし過ぎないように。
ミミのアリア「告別の夜」は、歌の出だしが重くさせないよう、伴奏の上向形を進むように弾いてほしい。Torna sola Mimiの言葉の意味をはっきり出すためにRitということを分かってほしい。その続きのAl solitario nidoは早くというか、言葉のニュアンスで先に持って行く。Ritorna un altra voltaを息を吐ききることで、次のAintesserの前のブレスに劇的な効果を持たせる。ここの緊張感というか激しさを出してほしい。Addio この「さようなら」という言葉の言われ方。ここは恨みがましくならずに。笑
抜けたように、手早く言うこと。次のSenza rancor...もクリアに。Ascoltaのところは、ritenuto。。
充分に。その他、Ritのところとテキパキ言うところとの差をはっきりと。最後の声の頂点、La aricordo..からd'amorはブレスを入れるなら前のフレーズをやはり吐き切って、劇的にブレスを入れてほしい。最後のAddio...これは涙を流してほしい。。トスカ「歌に生き恋に生き」出だしのフレーズは拍を感じさせずにまっすぐな フレージングをしてほしい。もちろんイの母音を柔らかく。3連符が遅くならないように。Con man furtivaでしっかりと息を吐ききって。次のQuanteを思い切って出してほしい。次の3連符のフレージングも階段を転がり落ちるように行ってほしい。次のページからはどれも遅く重くならないように。やはり3連符が多いのでもたつかずに。最後のコーダの声はとても良い声が出ている。この人も時々驚くほどきれいな声を出す。声はとても良いのだからこれからは歌詞の意味、劇的な効果を良く考えて歌うことに集中してほしい。

にしさん。発声練習はおそらく今日が初めて、一回でとてもきれいに出来たのではないだろうか。そこで少し低めの音域を重目にかつ声を前に出すようにしてやってみた。これもまあまあ上手く行った。いずれにしても2点Asまではかなり確実に良く出せるようになってきた。取りあえずぼくのところに来た意味はあったのかな。。。と喜んでいる。曲はトスティ。マリアから。ピアノの前奏だけど旋律で歌うようにしてほしい。リズムで刻んで行くと音楽がとても固定的になってしまう。この曲は歌の旋律の上がり下がりで微妙にテンポを伸び縮みさせるために、ピアノがそれに柔軟に呼応できないと困る。左手の刻み、あるいはシンコペでリズムを固定的にさせないようにしてほしい。歌はとても良くなった。声をもう少し前に出すために、高音で口を開かないで唇を反らせて前に出すように。2番はPの表現を気をつけて。Sogno、これも前奏、特に同じ和音のアルペジオが続く場合には同じテンポ感にならずに先に向かってどんどn進む感じがほしい。そうすると、歌の出だしが入りやすいのだ。どうしてか?と言われても難しいが、そうなのだ。笑 あ!そうそう、この歌の出だしは言葉を語るように、言葉のスピードでフレージングするために、前奏の同じ和音形のアルペジオでとろとろしていると、入りにくいのだろう。話は前後するがこれはマリアの前奏でもも同じこと。セレナータ。これは前2曲と違いテンポをむしろメトロのミックにしてほしい。というのは、この曲のスタイルは民謡、それも手拍子付きで踊りながら歌う南イタリア風の歌だから。と、ぼくは思っている。一般にこの曲、とても流麗にテノールがカッコ良く歌うけど、むしろやや泥臭く、いかにも南欧の田舎の庭でテーブルを並べて宴会の途中で歌い踊る感じのスタイルだと思う。歌のほうは、Ritと書いてあるところと、急のCoda、Ah〜の件だけをテンポから外して歌えば良いだけだ。とにかく、手拍子を叩きたくなるテンポ!それも強拍の手拍子
あとは、西さん!歌う姿カッコ良いのだから、歌うときの手を口元に寄せる癖だけは直してほしい。笑
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11月3日

きょうは、ムジカC発表会を控えた生徒達の伴奏合わせをした。以下、簡単に。

よしおかさん。発声練習でちょっと心配した声だが、前回同様お腹からの声が聞かれるようになった。当日も発声練習が充分に必要な人だろう。ピアノとの合わせは無難に、ほとんど問題はない。意外とそつなく歌えている。問題は声。ブレスを急がずに、きちんとブレスしてお腹からしっかりと声を出すことに集中すれば大丈夫だろう。O cessate di piagarmi..は低い声の時に下あごを下げて喉を開くように。Star vicino..出だしの遅れを気をつけて。Sento nel core..良い声が出ている。ブレスを早めにしっかりと。暗譜はかなり出来ていたようなので完全にしてほしい。この人!意外と立ち姿がきれい!これは美点だろう。これに負けないようなしっかりとした歌声を聞かせてほしい。

すずきさん。彼女は風邪引きさんだったが、これが、不思議と良いのだ(笑)普通は喉が開きづらくなり声質が軽くなるのだが、不思議とふくよかさが出てくる。特に彼女のポイントである中音部の声。高いほうも難なく出ている。モーツアルトの「すみれ」は言葉のためにテンポが遅れないように。しっかり出すところと軽く柔らかく出すところの区別をきちんとつけてほしい。「夜の女王」は、これも何とかなりそう。良かった。これもブレスを気をつけて、フレーズの終わりを素早く処理してブレスを遅れないように。音程が下がり勝ちな所がある。気をつけて!とっても可愛いモーツアルトが聞かれそうだ。

たにさん。発声練習では、下の声、上の声取り混ぜてとにかく声を慣らすこと、鳴らすことをやった。声を出し始める時、音程を上げる時のお腹のアタックがもう少しあると、もっと声が出しやすく安定すると思う。下の声は高目になってきたら、あまり無理をせずに軽く出す方がきれいに行くようだ。ビリティスの歌1曲目は、ポイント、ポイントをきちんと声を出すように。1ページ目の出だしは良い。2ページ目のIl m'apprend a jouerからの3連符正確に。2曲目の最後、Et il me regarda...の件は気分を明るくし、やや早めに。3曲目は声質が明るく良いと思う。彼女の雰囲気にとても合った曲。後は言葉の意味を充分に伝えることが出来れば良いと思う。

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11月1日

みくりやさん。風邪引き明けということで、どうか?と思ったが思いのほか良かったと思う。発声練習は最初軽く声馴らし。次に、地声をしっかり出して上がって行く。この時に同時に音程の作り方を練習した。ドレミの3音の上向形。例によって、喉で音程を上げないで、お腹の力と喉の開きの意識で音程を上げていく。2点Dくらいから、声がチェンジしたがるが、チェンジしないで何とか頑張る。相当お腹の筋肉が必要だし、音程のアタックの際に声のポジションも高くならないように、みぞおちあたりから出すような感覚がないと、高音、チェンジする声をそのままの下の領域の声で上げていくことが難しくなる。彼女もどうやら地声の意識でしっかりと上がっていくと、しっかりとした声でチェンジしていく傾向が見られる。この方法でもっと練習していこう。
ラヴェルの「ギリシャ民謡」は、楽譜が大体頭に入ったくらい。1曲目は、声をしっかり出して勢いをつけて歌うこと。この曲が1曲目だからここでポシャると後が続かない。一生懸命集中して歌うことが大切。2曲目は、声を小さくしようとしないで、声のポジションを低く、深くして出すこと。そうでないと声が高くて辛くなる。後半は徐々に声を出して終わるように。3曲目。これは、堂々と、急がずに。ただ、ピアノが消えてアカペラになるのでリズム感を維持して。最後のEt c'est toi que j'aime,,は柔らかく易しい表現で。4曲目は、威風堂々と歌ってほしい。だから、急がずに、しっかりとブレスをして歌うこと。ブレスが続かなくても、知らん顔していれば良い。(笑)それくらい、堂々と悠々と歌う曲だということ。
3連符のところもテンポが変らないから、急がずにゆったりと。アカペラの所も声が小さくならないように堂々と歌うこと。最後の"Tout gai"はリズムを間違わないように。いずれにしても、一曲目でかなり集中すれば後は上手く行くと思う。

あめくさん。
発声練習を聞くと地声領域の声がかなり出るようになったが、そのために、喉のあたり、舌根に力を入れ過ぎてしまう。これはやり過ぎ。何事もやり過ぎは禁物だ。それと、唇を中に入れて歌う癖があるために声がこもり勝ち。唇は朝顔のように外に張り出すように緊張感を持たせたほうが良い。特に上唇、あるいは鼻の下、頬なおに緊張感を持たせると声が前に出るようになる。これを大事にしてほしい。今日はチェンジした声を練習した。最終的にはこの声の出し方と、下の地声の声とが混ざって強い美しい声になっていくので、どっちか?ということは今では言えないと思う。女性のチェンジした声は本当に良い声になるのには時間がかかる。後は、音程の上げ方をみくりやさんと同様にお腹の力でやっていくことを練習した。しかし、どうも声帯の保持というか開き方が上手く行かず、あまり効果的ではなかった。ただ、高音になった時の喉の開き方と、喉の下の窪みに声を当ててしっかりした高音を出すことはとても上手く行ったと思う。曲はSebben crudele..譜読みをして、イタリア語を付けて歌ってみる。彼女はイタリア語の苦労がない。Voglioのリョがちょっと難しいようだ。歌い出すと下あごがバクバクし過ぎて声がこもるし、響きが落ちてしまう。下あごを使わないでアーティキュレーションするために鉛筆をくわえて歌う練習を薦めた。今度は軽い声になり過ぎるので、口の開き方と声の質を調節して良いポジションを探してほしい。閉じれば良いというものでもないし、開き過ぎると声帯の閉じが悪いから。後は上向形のフレーズで自然なクレッシェンドが必要だが、お腹の力で押し進んで行くこと。彼女は譜読みが早い。声も来る度に良くなって声量が増してきた。メゾかアルトだろうが、こういうイタリア風の力強い激しさのある曲が向いているようだ。本人も楽しいというので、こちらも教え甲斐がある。



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