2001年11月後半発表会直前レッスンノート

レッスンノート目次
11月28日 | 11月30日
11月30日

やぐちさん。発声練習では、声のポジションのこと、声を当てることなどについてやった。声を出し始めると声が可愛い感じになってしまうことと、息漏れがやや多く、浅い響きが気になった。合唱のソプラノでは比較的多いのだが、声を軽くし過ぎてしまうように思えた。合唱は大勢で歌うため、声はなるべく一つになりたい、、という考えから、声に色をつけずに軽く出すことが多い。このやりかたは確かに楽なのだ。音程も一見悪くない。しかし、響きの基礎にある基音が弱く、倍音、それも高次の倍音が多い。女性の場合は特にそれが顕著。そのため、あたかも霧吹きに霧のように、声が立ち昇った、と思う間もなく、消えてしまう感じがある。大きいホールに行けば行くほどそうだ。合唱では、むしろ声の軽さを問題にするよりも、ビブラートを問題にしたほうが良いだろう。軽いというのは、そういうレベルで考えるべきだと思う。かねがね思うのは声は弦楽器に似ているということ。弦を弓で擦って音を出すのだが、弦の当て方で、音色は変る。弦の当て方を軽くし過ぎるとフラジオレットのようになるのだが、今の彼女の声は、これに近いものがある。いわゆる「白い声」に近いと思う。
矯正するために、姿勢、そして声の当て所を練習した。彼女の場合は、喉の下の窪みに当てるやりかたが一番やりやすいようだった。軟口蓋を上げること、喉をひらくこと、その両者のバランスも大切である。何よりも、喉を大事にし過ぎているように思えた。声帯にもっと意識を持って、あたかも弓を弦に当てるように、声帯そのものの鳴り方に注意を向けてみることも大事だ。そして、高音、特に2点C以上の声は、オクターブ下の声の出方を確認して、なるべくその感覚に近いところで、オクターブ上の声を出すこと。喉の上がりを抑えるために、あご、あるいは頭をもっと後ろに引くように。これらの練習で大分しっかりした声が出るようになった。
曲は、フォーレのレクイエム。名曲だ。ソプラノといっても、それほど高いわけではない。むしろメゾでも歌える音域だ。一番大切なことは、全体に声の出し方が弱いこと。もっともっとしっかりと大きく音楽を捉えて欲しい。ピアニッシモは、声の音量をしぼるのではなく、響きを可能な限り柔らかくすることと考えてもらいたい。息を使うエネルギーはフォルテッシモと同じだと考えて欲しい。後、中音部の声はもっとリラックスして声を楽に当てる、鳴らすこと。彼女の場合これでとても良い声が出る。今後どうなっていくか楽しみである。

さかもとさん。
ゴスペルグループで活動をしている。どうも喉が痛くて、疲れやすいということで来ている。元々彼女は姿勢が悪い。特に歌を歌うとすぐにあごが出てくる。また、歌わなくても猫背で首が前に出る姿勢だ。これをきょうは徹底的に矯正した。大変恐縮だったが、ポニーテールの彼女の束髪を後ろで斜め上に引っ張ってやると頭が丁度胴体の真上に乗る感じになる。その状態で決して首を前に出さずに声を出すこと。高音を出す際には特に下あごをしっかり下げて、喉の開きを促すこと。もちろん、お腹をしっかり使って声を出すこと。この3つだけをきっちり守れば問題はない。特に言えば、お腹から高音を出す際には、思い切りも必要だ。それと、やぐちさんと同じでポジションを高く意識しないために、オクターブ下の声で調音をしてみることも、高音の上がり過ぎるポジションを矯正するために良いだろう。彼女が歌っているゴスペルはとても素晴らしいものだった。アルトパートもあり、なるべく今は地声を作りたいと思っている。その地声をなるべく高音まで伸ばしてから、チェンジの声を練習しても遅くはないと思う。


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11月28日

たにぐちさん。
彼女は2週間に一度だけど、来る度に何がしか進んで帰って行く。そう言っては悪いけど本当に
ずぶの素人だけど、声が随分出るようになってきた。それも珍しいほうだけど、チェンジした声がすごくふくよかに鳴る。
今日会得したことは、あごをしっかり引くとチェンジした声でも声の鳴りがしっかりする、、ということ。
前回教えた姿勢が影響して、体の重心が後ろ過ぎる。丁度良い場所を見つけるのは難しいが、両肩がストンと落せる姿勢が良いと思う。ただし、首はしっかりと胴体の真上にあるように。
猫背の人はこのことを相当しっかり出来ないと声が出るようにならない。
曲はモーツアルトのVoi che s'apete...前回よりも更に良くなった。高い音域の声を出す際に、喉が締まる場合はオクターブ下の声を出してみること。そして、その時の喉の状態を変えないようにしてオクターブ上の声を一気に出してみる。これが彼女には良く分かったらしい。高音域がとても楽になって太い声になった。次回は、Time tosay good bye..をやってみることにした。


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