2001年12月前半レッスンノート

レッスンノート目次
12月4日 | 12月5日 | 12月6日 | 12月8日 | 12月9日 | 12月10日 | 12月11日 | 12月13日 | 12月14日 | 12月15日
12月15日

赤穂浪士討ち入りの翌日!

なかがわさん。発声からきれいな声を出していた。透明感があって、美しい。透き通ったガラスのようだ。ただ、2点C以上の声の話。チェンジしてから4度くらいの間の声は、もう少し鳴って欲しい。口をあまり開けないことと、お腹を意識することは大事だ。中音部の鳴りを目覚めさせるために、地声領域の声をしばらくぶりに練習してみた。地声から上の声に、もう少しつながりが持てると良いのだが。声帯の位置がまだ高いのだろう。首を前に出さないで、胴体の上にしっかり括り付けるように姿勢を気を附けて見てほしい。またそのために、あごをきちんと引くことも大事だ。口は、開けすぎずに唇を突き出して声を前に押し出す感じをつかんでほしい。中音部はとにかく、前に、しっかりと鳴らすように訓練が必要だ。曲はモーツアルトの「夕べの想い」これも彼女にはやや音域が低いが、低い声の練習でもあるので、やることにした。でも、低音部も時折とても良い声が出だしている。焦らないで少しずつ伸ばしていけば良いだろう。今日は初めてドイツ語を付けて譜読み段階なので、もう一つ声の調整が出来なかった。音程もまだ不確かなので、その辺も良く復習してほしい。以前にもやっ たけど発音のこつとして、口先は狭く、口の中は大きな感じ。口を横に開かずに、縦に開けることを忘れないで。今はとにかく低音の声を訓練したい。

にったさん。彼女は、声の鳴りが良い。しかもコンパクトに響きが収まっているので無駄がない。高音部は特筆もの、美しい声だ。イタリア風にいうと、リリコレッジェロ。18世紀のバロックなんか歌うときれいだろうと思う。なかなか豪華。お腹を見てみると、本人はあまり意識してないが、腰の座りが良いらしく、声の上ずりが少ないようだ。立ってもどっしりと立てるので、声に良い影響を与えている。ただ、フレージングで声がフラットに鳴る傾向がある。特に中音部。下降形で降りる際に、低音になるほど、音程がフラットになる癖がある。最初に出した声の響きを変えないようにして、滑らかに下りることが大事。そのためにお腹を使ってみる。前下腹部を中に入れるように、あるいは、腰を膨らませるか、側腹部を張る感じ。あまりやり過ぎると、胸や首まで固くなってしまうので、ほどほどに。このやり方で高音に行くと、ちょっときつくなるだろう。軟口蓋を上げるためには、頬も少し高くしてみることなどトライしてほしい。それと、声のアタックがやや雑だ。ブレスして声の準備が出来ないうちに、声が出てしまっている。ブレスそして声を出す際の間を声の当て所を確立することで、声 のアタックが雑にならずに、自然になれると思う。曲はサティのJe te veux..フランス語を教えて取りあえずカタカナ読みでも出来るようになっている。彼女語学のセンスは悪くない。ただ、リズムのシンコペーションが苦手だ。これは、初心者は特に苦手だけども、手を叩いて見て合わせれば出来るので、自宅で充分練習をして見てほしい。歌の声のことまで間に合わなかった。

たにさん。
発声は、ゆっくりと始めた。声は柔らかく喉は良く開いていると思う。ただ、中音域が鳴りが悪く不安定。やや、口を閉じ気味にして、声帯を合わせる感じをつかんでもらう。そうすると声は鳴るのだが、まだ声帯の合いが不安定な感じ。お腹を使っているかな?というところで、どうも使えていないようだ。ここのところチェックをしなかったが、そこが弱いところだろう。ブレスの際にも少し横隔膜を下げるためには側腹を広げるようにブレスして見て欲しい。その状態を維持して声を出すと、ちゃんと胴体から鳴る感じで声が出ている。ブレスする際に胸に息を入れることはあまり重要でなく、むしろお腹を広げる感じを意識して見て欲しい。そして、声を出す際にそのお腹の筋肉を使って声を出すこと。このことだけでも、常に意識して習い性になってほしい。声のチェンジの問題は、今日やったカロミオベンでの範囲であれば、あまり意識せずとも、お腹の使い方で、解決していくくらいに思っていて良いのではないかな。基本的には、高いチェンジの声を練習、あるいは、出すことが大事だけど、お腹が使えるときには、無意識のうちに、下の声と上の声が混じった声で、高い声にきれいにつなっが っていると、ぼくは思った。肉体の各部分を同時に使うことになるから、混乱するのだろう。あまり解説し過ぎないでシンプルにレッスンをやることが大事なのかな。。今日やったことのうちで他の事は忘れても言いから、ブレスの際のお腹の使い方、声を出す際のお腹の使い方を必ず覚えて、いつでも出来るようにして欲しい。彼女の場合、どうも腹筋よりも背筋がしっかりすることが大事ではないかな。モーツアルトのスザンナのアリア、Deh vieni non tardando ..に挑戦してみることにした。楽しみだ。







12月14日

赤穂浪士討ち入りの日!笑
あめくさん。発声練習を始めて気が附くのは、声の鳴りが悪いこと、声がこもること。鳴りはともかく、声を明るく前に出すことを教える。下あごを固く下に下げる癖がある。それに、声を外に出さないでこもらせてしまう。結局鳴りにくい中音域では、声帯を合わせるために、あごをなるべく下げないこと、頬を上げること。この二つを徹底してやってみる。声帯は合うし、声は明るくなるが今度は響きが浅くなる。お腹を使っていないことと、首の座りが悪いこと。これらを徹底してから曲の練習に入った。
イタリア語を読んでみると、これまた声のトーンが低すぎるし、声を出していない。もっと高くしっかりと出してみることを徹底してみた。彼女のように、声の鳴りが悪い人、あるいはぼそぼそと喋る人は、それを直すためにも、歌をやることは良いし、逆に普段の喋り声を意識してコントロールすることが出来れば歌声も良くなる。両者は違うものだが、背中合わせの関係だ。曲は、イタリア古典歌曲集。
Se tu della mia morte..最初はラララで譜読みをした。発声に気を附けて。最後にイタリア語を付けて歌ってみた。発声でやった、声を明るくすること、前に出すことは出来た。ただ、全体に声が軽い。お腹からしっかり出すことを忘れないように。どうも、気になるので、もう一度、以前に練習したような、地声で歌ってみた。そうしてみると、確かに地声領域の声になるのだが、微妙にチェンジしていて、以前には出なかった、高い声までそのまま楽に出せている。あるいは、自然にチェンジしているというべきかな。そうして聞いてみると、彼女の声は珍しいがアルトである。シャレじゃない。笑
男のカウンターテナーとほぼ同じ領域になる。あるいは、声質が似る。これは貴重だし、美しいのだ。
シューベルトなどのドイツリートをやってみたいな。あるいは、バッハなどのカンタータもきれいなのがたくさんある。一般的な意味ので女声のためのレパートリー、特にオペラのレパートリーは少なくなるが、逆の意味での希少価値は大きい。この路線で頑張ってみたいな。。


12月13日

みくりやさん。発声練習では、ブレスのお腹や腰の使い方と首をまっすぐにする方法を教えた。発声を始めると、胸は上がるわ、体は浮つくわで、大変だったので。。笑
体が、動いてしまうということが、ブレスにしても声を出すときにしても良くないのだ。
首も声を出す際に動いてしまうことは良くない。頭も胴体も頑丈で重い岩のような状態になったほうが良い。固くする、、という意味ではない。自然に、しっかりと動かないでいられる状態にするということ。
まっすぐな壁に、後頭部、背中、腰、かかとをぴったりと付けるようにして立つ。後頭部はむしろ首の後ろが壁につくくらいの感じだ。これで、少し発声をやってみる。腰が壁から離れているなら、そこにブレスを入れて、腰が脹らむように、あるいは、声を出すとそこが脹らんで壁に腰が押し付けられるように意識してみる。彼女の場合声が、喉っぽくならなくなり、頭部に響きが行くようになった。
さて、この練習をする前に、頭声の練習をした。やはり、彼女は声の響きがやや低い。喉を使ってしまうのだ。喉は使うのだけど、響きを頭部に持っていくことを習い性にしなければいけない!と思った。
そのためには、彼女の場合鳴る声よりも、むしろ鳴らないで頭部に響く声を作ることが大切なのでは?と思ったのだ。口を開かないこと。そのために、ウの母音で、声の出だしを軽くして、やや高目の音域で下降形の発声をやってみた。鳴らそうとしないで、息で声を当てて回していく感じ。これが出来てからウ〜オ〜アと母音を広くしていく。広くする際に、響きが絶対に喉に行かないように気を附けること。これから、このような方法で声を作っていきたい。曲は、フォーレのレクイエムから"PIe jesu"ラララで、発声を大事にしながら譜読みをした。この曲は音域が狭いのだが、とてもノーブルで安定した声質を要求される。彼女曰く。。クラシックっぽい声(笑)を作るには打ってつけだろう。


12月11日

さたけさん。発声練習は、とても良い。良く声が出るようになったし安定している。特に下降形の発声で、2点Fisから上の声を軽く当てて、きれいに出しているところは、見事だ。ぼくが今まで教えてきたことをほとんど分かっているかのよう。声質に対してのセンスがあるのだろう。。バイオリンをやっているのが良いのだろうか?さて、音楽になると、また違う問題がある。出した声でメロディーをフレージングしていかなければならない。ブレスが足りない、そして力んでしまうのは、声を使ってメロディーを紡ぎ上げて行く技術が不足しているからだ。結局ブレスになるのだが、むしろ息を吐いていく課程でお腹を支えて使っていくこと。これは、実践で覚えていくのが一番効果的だし、無理がないと思う。発声練習で声を作る第一段階は終了したといっても良いかな。早速、曲を見てみる。フォーレの"Notre amour"エの鼻母音が狭すぎること。全体に、いつも言えるのだが狭い母音が狭すぎて、違和感がある。それと、良く聞くとフレーズの中で高い音に移動する際に音がはまらない傾向がある。下あごを動かしてしまうこと、首を動かしてしまうことで、響きが逃げてしまう。落してしまう傾向がある。発音と口の関係を良く勉強する必要があるだろう。中音域では、あごをあまり動かさずに、喉を広げ軟口蓋を上げて発音することを気を附けて欲しい。Chanson d'amour..は、Yeuxの発音が、ジューになってしまうことに注意。最後にイタリア歌曲集から、Per la gloria..リズムの譜読みがまだ不完全。レコードに頼らずに、自分の頭でリズムを理解し、体に叩き込む練習が必要だ。

せきもとさん。

久しぶりに2回目のレッスン。良い声の持主だが、フランス語を学んでフランス歌曲などから声のニュアンスを学びたい。。らしい。強い太い声のソプラノだが、5線の上の音域でややフラットで厚ぼったい声を出す傾向がある。喉あるいは舌根に力が入っている感じ。もう少し頭声を訓練して薄いきれいな高音も身に附けて欲しい。今日持ってきたデュパルクは彼女には打ってつけの課題だろう。中低音域のしっかりした声ときれいな頭声の両方が要求される。言葉のニュアンスと声質との関係も要求される。それでいて、オペラアリアのような大きな音楽だ。"Chanson triste"からやってみた。中音域の声は良いが時折出てくる高音がフラット気味。頭声を使って細くきれいに当てること。発音だが、読みながらやっていった。さたけさんと同じく、Yeuxの発音がうまくいかない。長い音符に当てはまっているときは急がないで2重に聞こえる母音をゆっくりと良く出すことを心がけて欲しい。それから、SとZの発音が苦手のようだ。いずれも、ス、ズだが、シュ、ジュになりがちである。舌がどうも長い傾向にあるのではないかな?鼻母音がNの響きがなさ過ぎる。イタリア語の例えばQuandoなどから、Nの発音を取り出して、そこから、Nを取ってみる。鼻に響かすのではなく、胸に楽に響かす感じが大切。フランス語といえども声楽である。滑らかで違和感のない響きを持つためには、喋り言葉のフランス語と同一に考える必要はないだろう。広い母音と狭い母音の2つに大別してフレージングの時点で決めていくこと。後は、上記の苦手な子音と母音に注意すること。以上である。最後にやった、L'invitation au voyage..はとても合っている曲だと思った。今後は、出来ればフランス語を自力で読めるようにしてほしい。そうでないと、声にニュアンスをつけて歌っていくことは出来ないから。


TOP

12月10日

さわださん。発声を始めて気が附いたのは、声が重いこと。中音部の声を集めるために口を閉じて出すのだけど、やや喉を下げ過ぎている。力が入っているので、安定しているのだが、2点Dくらいからメゾの太い感じで出しているのが分かる。そのまま上がっていっても、声質が変らないから2点A以上は苦しくて出なくなる。頑張れば出るのだが、悲鳴に近い。彼女、喉が強いのだがやや無理をして出してしまう傾向がある。軽くすると、浅くなるし、その辺の声質の追求が課題ではないか。取りあえず中音部の声を軽くしてみる。単純に喉の力を取る。軟口蓋をしっかり上げて、そこに声を当てる。下降形でやると、一番最初の高いことの音程がややフラットであることが分かる。軟口蓋を上げてそこに当てることを忘れないように。それから、ブレスの際に、軟口蓋を上げて準備を整えることが出来ていない。ブレスの度にお腹を使って、よっこいしょ。。。となってしまう。軟口蓋を上げて、上を開くことは、ブレスしなくても意識できるので、声を出すときはこのことを常に意識して欲しい。これらの練習で少し軽い声になった。声を軽くすると、今度は、喉が上がって、喉が開かない傾向になる 。喉の筋肉で喉を下げようとせずに、首の位置、支えで、自然に声帯が落ち着くような姿勢を心がけるべきだろう。
曲は、発表会でやった、アリアを復習した。2曲ともそうだが、中音部の声が、浅くなっていた。声のポジションが高いままで声を出していたので、スカスカして音程が上ずった感じがあったのだ。自信がなかったのもあるかもしれない。どんな音域でも、しっかりと、安定した声を出すことを心がけて欲しい。ポジションは高すぎず、低すぎず。最適なポジションを心がけること。。
今日、話をしたのは、歌の語りが下手であるということ。このためには、朗読を勉強することが大切。聞き手の存在を意識して、語ること。音楽もこのことは大事だと思う。これらの練習のためにしばらく日本歌曲を勉強してみることにした。手始めに、山田耕筰辺りを。。


TOP


12月9日

はたけやまさん。ドビュッシーのArittes oublieesから、C'est l'extase langoureuse..を持ってきた。この曲も独特の曲だ。ドビュッシーがフランス音楽を開拓したことの意味が良く分かる。それまでのドイツロマン派の上品さに比べてあきらかに、俗っぽいものが混じっている感じ。久しぶりに発声を聞いたけど、少々喉で出している感じがある。良い声だけど、喉に力が入っているので音程がやや♭だ。高音は強いけども、そのまま2点A以上も出すために、喉に来るだろう。。という感じ。声の転換にもう少しデリケートになって練習したほうが良いだろう。早速曲に入った。フランス語の読みをふっていないのだが、どうにか読めている。聞くと、やはりCDを聞いて音で覚えているようだ。それでも良いからなるべく読みをふらないでやってほしい。譜読みも一応出来ている。こうなると、声のことが気になってくる。中音部もきれいに出ているのだが、声帯が少々詰まっている感じ。もっと開放弦を楽に鳴らす感じの中音部がほしい。お腹も喉も力を込め過ぎではないかな。今後は、この辺を教えて上げたい。次回には、同じ曲集から Il pleure dans mon coeur と Greenを持ってくるとのこと。楽しみである。

あんどうさん。発声練習で声を聞くと、口を開いて、声をこもらせている感じが相変わらずだった。少し続けると声の鳴りは出てくるので、それなりには悪くない。しかし、声帯を合わせて鳴らす感じがないので、その辺を練習した。理屈抜きで鳴らすために、口をわざと横開きにして出してみる。そうやってしばらく発声をすると、微妙に声帯が合わさってくる感じ。それでもまだまだ弱い。イの母音もしばらくやったが、どうも彼女の場合ブレスをすることで、悪くなっている。ブレスをする際に、喉が上がってしまうのだろう。胸も上がる癖がある。これを直すには、むしろブレスをしないで、いきなり声帯を合わせて声を出してみる。案の定鳴りがあるし、声のポジションも低く収まる。ブレスに関しては考える余地があるだろう。口を開けないで、声帯を合わせること、ブレスの際に声のポジションが上がらないこと、この2点を気を附けて欲しい。

よしおかさん。発声練習をすると、意外と声が出るようになっている。ただ、声のポジションがどうも高いのは変らない。色々と聞いてみたり観察をすると首の位置が微妙に前に出ていること、ブレスの際のお腹の緊張感が足りないこと。そして、ブレスの際に喉を開く準備が足りないこと。これは、ブレスのタイミングも関係あるだろう。一通り発声をやって、発表会の曲を復習してみた。彼女が一番苦手であろうStar vicino..をやってみた。ブレスの準備でお腹にブレスが入っていない!横隔膜が少し開くことを意識して、お腹を広げる感じでブレスをして欲しい。その際に、喉も開くこと。口の中があくびの感じになることを意識して。ゆっくりやれば、一連のこれらのことは出来るのだが、実際の歌の中ではブレスの時間は短い。瞬時にこの体勢を整えられることが必要だ。これは、一にも二にも経験だろう。
ともかく、Star vicino..で練習してみる。出だしのフレーズはとても感じが変った。声のポジションが落ち着いて、響きがそれまでの可愛い声から、大人っぽい声に変る。これは効果があるようだ。今日やったことは、声を鳴らすために口をあまり開かないでやること、ブレス、喉の準備。曲は、増やさないでしばらくこの練習を続けよう。

なかがわさん。発声では、久しぶりに地声の練習を少しした。チェンジしてからの声の落着きが違う。地声の練習もいつもしたほうが良いだろう。彼女も首をしっかりさせることをやってみる。すると、響きが前に出るようになる。そして、口を開かないで発音する練習も声を前に出すことに効果がある。彼女は、以前に喉の準備、あくびの形を教えたので出来るのだが、しばしば忘れてしまう。まだ、そのことが確実に身に附いてないのだろう。人にもよるが、歌う際に喉が高い人は、このあくびの形で声を出してみることが効果がある。首も、しっかりさせてあごが前に出ないようにすることも大事にしてほしい。曲は、以前にやったAn chloe..をやってみた。この曲で、ブレス、喉の開きが大事なことが良く分かる。音域が全体に低いからだ。声の鳴りは中低音で悪いが、そのことよりも、声の響きが高く浅くならないことが、まず大事だろう。高音域は以前よりもはるかに楽に出るようになっている。新しい曲に同じくモーツアルトの歌曲「夕べの想い」を譜読みした。彼女は不思議とモーツアルトが似合う。声に癖がないのと、けれん味がないからかな。この曲は本当にほれぼれと美しい曲だ。暖かい春の夕べの雰囲気がしてくる。桜の咲く頃の暖かい春の夕べ。桜が咲く頃には、良い歌が歌えるようになるだろう。。


TOP

12月8日

こぬまさん。前回同様、中音部の声に集中した。低音で変る地声は、今回は一切出さずに、その上のチェンジの声を勉強した。声帯そのものを鳴らす練習はせずに、姿勢の矯正を徹底した。あごを引くこと、同時に、首をしっかりと胴体の真上に載せること。必然的に頭を少し後ろにずらす感じがある。これだけで、声帯の位置が、適度に下がって、体に響く声になる。それとイの母音からエ、そしてアに変えて、声帯の合わせ方を勉強した。彼女、イの母音は中音部で良く鳴るのだ。このやりかたで大分中音部が安定したし、本人も納得してくれたようだ。歌を歌ってみたら、声域全体に統一がとれて、滑らかになった。声楽は高音の美しさも大事だが、中音部の安定感が音楽性にはとても大事なのだという良い証拠だと思った。

まえもとさん。
体験レッスン。体の大きな方で、どんな声だろう?と興味を持った。聞いてみると、ソプラノの声で基礎が良く出来ている感じだった。経験年数は少ないのだが、良い先生についていたのだろう。口の使い方、お腹の使い方は、悪くないと思ったのだが、長い音符の際に独特の声の震えが気になった。お腹を見てみると、胃の辺りをフレーズの途中でググッと独特の力の入れ方をしている。とにかく前腹の高い位置をかなり固くしてしまっているようだ。カロミオベンを歌ってみると、声質はとても良い。中音部でやや息漏れがあるが、これは、すぐ治る。ただ、前述のお腹の奇妙な力みのせいでちょっと声の震えが気になるの。お腹の使い方がこれからの課題だろう。声質は、メゾでもソプラノでもどちらでも行ける深みのある、品のある声だ。声のポジションも良い。これからが楽しみである。

あめくさん。
発声練習でも、何度もやったのだが、どうも声のポジションが高いような、喉の開きが悪いようなところが気になった。チェンジの声で練習を重ねているのだが、中音部で声の鳴りが悪いのと、ポジションが浅い感じが気になる。声の鳴りが悪いのは、アの母音の際に、声をこもらせてしまう、口の使い方の癖にある。アなのに、オになってしまうのだ。それは、下あごをやや下げて下唇が内側に入り気味になることにある。唇は、なるべく前に突き出すように、そして、あまり下あごを下げないで出す練習をしてみた。しかし、曲に入っても、どうもしっくりこない。業を煮やして、思い切り下あごを下げて喉をしっかり開いて歌ってもらう。すると、とても良くなった。要するに喉の位置が高かったのだろう。喉の位置。そして声を前にしっかり出すこと。これからの課題にしよう。

にったさん。初めてのレッスン。カルチュアセンターでの2年間が声楽経験とのこと。早速発声をして声を聞いてみる。それが、驚くほど良い声でびっくりした。グレートな声ではない。チャーミングな声なのだ。典型的なソプラノの声なのだが、細くしかし、固くきっちりと当たった声だ。高いほうまで行くと2点Gまでは、きちっと前に当たって、それ以上になると、少し軽くなって上に当たる声にきれいに変って3点Cまで問題なく出ている。逸材である。今日は、トスティのセレナータを歌ってみるが、歌そのもののテクニックはまだまだ。下降形の場合、中音部の音程がやや不安定である。上ずってみたり、フラットになってみたり。中音部の声を安定して、音楽の経験を積めば、相当歌えるようになるだろう。Je te veux..が歌いたいとのことで、次回からやってみることにする。後はO mio babbino caro,,楽しみである。

みくりやさん。
今日は、曲をやらずに発声練習に費やす。声が喉っぽいこと、意外と高音で当たらないこと。これらが課題である。今日も最初はそうだった。彼女は、色々なことをやると、混乱してしまうので技術をうるさく言うことは避けてきたけど、もう避けられない!これがラストチャンス!と思って教えることにする。ブレスの仕方。お腹を使ってブレスすること。お腹を使って声を出すこと。まずこの2点を徹底したい。今日のレッスンで、高音、特に2点Fis以上の声を徹底したけど、どうにか、鳴る声、当たる声になってきてはいた。声を当てる場所を決めること。今日はおでこに当てるように意識してみた。それだけでずいぶんと声が出るのだが、口を開き過ぎて、響きがやや落ちてしまっている。ウなどの狭い母音でやると、響きが落ちずに上顎部に当たる声になるようだ。これも大事な点である。最後に昔やったモーツアルトのスザンナのありあ、Deh vieni.をやってみた。全体に上手くなってきたな。と思えたが、高音が今一つ。ブレスが伸びないところは、お腹をしっかり入れるようにしたら、それだけでブレスが伸びた。何だ!出来るんじゃない!ということで、レッスンを終わった。一度言ったことは何度も何度もトライして欲しい!そして、忘れないで!そんな彼女に今後の頑張りを促すために取っておきのフォーレのRequiem から、Pie jesuを課題に与えた。美しい曲だ。頑張ってうまくなって欲しい。


TOP

12月6日

たにさん。発表会までは、低音から中音の声域で地声で声を処理することを中心に勉強した。それまでもチェンジの声は練習をしていたが、次第にスカスカだった声に色がついてきていた。ここら辺でチェンジの声を磨かないと、本当に広い音域で歌うことが難しい。チェンジの声をこれから中心に勉強していくためにイタリア歌曲集をやってみることにした。発声では、チェンジの声でも中音部、1点F〜2点Cくらいの声を磨かなければならない。これが難しい。まず、そのまま出すと喉が開き過ぎるか、喉が上がってしまう。喉の開きは欲しいが、開くと声帯も開いてますます鳴らない声になる。問題点の一つは声のポジションが高いこと。喉の位置が高いことが関係がある。喉を下げることは喉を開くことに通じるが、口の使い方で、声帯を閉じることは出来る。喉の位置、声のポジションを下げるためには、難しいことは言わずに、単純に声の出始めを体の低い部分、例えば、胸やお腹あたりに意識すること。口の使い方は、イの母音が一番鳴る。この鳴り方をエそしてアと開口母音に応用することは、ここでも何度も書いていることだ。何度も言うが、声の出だしを低く、そしてイの母音の鳴り方 をアの母音に応用すること。これをやると分かると思うが、アの母音でも口の形は必然的に唇を突き出すように、そしてあまり大きく開けない形になると思う。このやりかたで、声帯を合わせることを覚えて欲しい。チェンジした声でも、何度も練習してこの方法で声を前に集めるように意識することを徹底して欲しい。そして声の出だしのポジションを高くしないこと。このことは、高音に行っても有効だと思う。実際に歌ってみても高音の声もしっかりと、良い意味で太さのある声になった。曲はCaro mio benの中声用。
最初の2点E♭をしっかりと、お腹から出す。benがチェンジの声だと鳴らないが、喉をしっかり開けてかつ、口は開け過ぎないで、声を前に出す感じ。ブレスの度に声のポジションが狂うのは、ブレスの準備で喉の状態が確保できていないからだ。常にブレスで喉を軟口蓋を開けるように練習して欲しい。ブレスの際に、ちょっと息を止めて息む感じにすると、喉の状態が良くなる。
今日やったのはこんなところかな。。しばらくイタリア歌曲集でチェンジの声の練習を続けてみよう。


TOP

12月5日

さぶりさん。相変わらず良く鳴る声だ。明るく若々しい声だけど、ややテノーラルな声質がバスパートとしては気になる。発声練習で何度も良く聞いてみると、やはり胸声の響きがあまりついていないのだ。結局、体に響くというよりも、頭部だけで響いている、あるいは喉の響きがそのまま直に出ている感じがする。喉を開くことを覚えると良いだろう。そのために、彼の場合一番の近道は歌の中で発音の際に下あごをもっと使うことだと見た。彼は発音の際に口を横開きにする癖がある。特にエとイ。また場合によってはアの母音もそういう傾向がある。発声練習ではオの口でやってみる。そこからアに変えてみる。オの響きとアの響きが変らないようにする。これらをやった後、ジョン・ラターの曲で色々声を直してみた。下あごをもっともっと使うようなアーティキュレーションをやらせてみた。すると、とても良い響きが胸から出てくる感じになった。自然に喉が開いて来ているのだろう。そのことで胸声が無理なく楽に出て来ているのだ。あとは彼がこの声質をどれだけ気に入るか?出そうと思うか?だろう。頑張って欲しい。

TOP

12月4日

もう今年も最後の月になった。。色々な人がやってきた一年だった。色々な人と知り合えて自分の人生も多分このアトリエで変っていく予感がしている。来年はどうやら転換の年になりそうだ。。

あゆみさん。発声練習では、声の当て方をやった。難しいことは抜きで、とにかく声帯を合わせること。声が全域でスカスカしてしまう。地声領域で声を出しても、息漏れが多い。以前はもう少し鳴っていた気がするのだが。姿勢も首がまだ少し前に出ている。喉を楽に、とにかく力を入れないように。。というのは分かるのだが、そのために息漏れが多く、声帯が合わない状態で歌っている。それはそれで良いのだが高音部に行くと、ポジションが高いので更に痩せた白い声になってしまう。これらを矯正するのはなかなか大変なことだ。アマチュア合唱団でソプラノをやっている分には良いのだが、少なくともソロでイタリア歌曲集を歌うためには、もう少し声が出るようにしてあげたい。との思いでビシビシと始めるが、一度ついた癖はなかなか抜けるものではない。歌って見るとブレスも足りないために、コントロールが効かない。全てに渡ってコントロールが効かないために、苦しくなっている。ブレスが足りないことと声帯が合わないことは関係がある。要するに声が鳴らないために、息を余計に出して、息漏れが多いために、ブレスをすぐに使い果たしてしまうのだ。悪循環。一番効果的なのは、 とにかく喉声で良いから声帯を合わせるという意識をつかむことだ。喉を壊さない範囲で、とにかく合わせることを覚えること。アの母音よりもイとかエのほうが良い。これらの声帯が合い易い母音で普通の声で良いから合わせる癖をつけてみる。次に歌声でやってみる。喉の筋肉、胸の筋肉、あるいは首も張りが必要になるだろう。そのために。あごを下げること、舌根を下げてみること、などなど色々と試して欲しい。高音がポジションが高いために、苦しくなるのは声帯の位置が多少高いのだと思う。そのために、高い声を出すときには、しっかりとあごを下げて声を口から吐き出すように意識してみること。などなど色々とやってみた。本人は大変そうだった。体を使うこと、喉を使うこと、などなど人にもよるが、声が出るようになるためには力を抜くだけでは駄目だ。しばらくこの練習を続けて様子を見よう。



TOP

TOPPAGE