2001年12月後半レッスンノート

レッスンノート目次
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12月29日 | 12月30日
12月30日

とうとう今年最後のレッスンとなった。ラストレッスンはにったさん。
最近来るようになった彼女は持ち声がとても良いのだけど、体を使って声を出せていない感じがした。それは、レッスンが終わってみたら喉枯れが起きているようだったから。
発声練習を始めると中低音域はそれなりに鳴る声なのだけど、音程がやや下ずる傾向があるのと、声のアタックがやや唐突な感じになることが気になった。それと、下降形の時などは、低い音程になるほど今度は上ずる傾向があった。低い声は低いポジションを意識すること。
今日はやらなかったけど、声のポジションの感じ方をもう少し詳しく勉強してみたい。それとブレス、そしてフレーズ時のお腹の使い方。今日は少しお腹を使ってみることを教えた。多分今までほとんど意識してなかったのではないか、と思われる。前腹特に下腹部を意識して中に入れるようにして息を持続して吐く練習から、声を出す際にもそれを応用すること。特に昇りのフレーズの時には思っている以上に、このことを意識してほしい。
このことを感じたのは曲の勉強に入ってから。Je te veux..は彼女にはやや低い音域だけども、高音に昇るフレーズに迫力が感じられないし、全体に棒歌いと言われる感じが確かにある。
歌というのはきれいな声だけで成り立つのではなくて、息の芸術と呼ばれるように、フレージングの妙がとても大切なのだ。これはお腹、横隔膜の意識で声を出すテクニックを持たないと、出来ないこと。ピアノ伴奏の助けがなくても自分の息の力で旋律を織り込んで行く力のようなものだ。
彼女の高音はほとんどいじる必要がないし、仮にいじるとしても、上記のことが出来れば自然に力強いものになっていけるので、とにかくお腹の使い方とフレージングだと思う。それを助けるための、姿勢であり、口の開き方使い方だと思う。大体傾向が分かったので、次回から細かくレッスンをしていきたいと思う。


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12月29日

にしくん。発声練習を始めたときに気になったのは、上半身が固いということ。それから、あごを浮かして喉で声を調節していること。
お腹のことは観察しなかったけども、どうもお腹を使うことと声を出すことの関係がまだ出来ていないように思えた。それから、声を出すことと喉が上がることがくっついていて、その悪癖がどうしても取れないのだ。声を出す準備の段階で喉や口の奥あたりに力が入ってしまうのだろう。
例えば何度言ってもブレスの際に、口をすぼめてというと、今度はすぼめ過ぎて力が入ったり、一度発声の準備状態を作ると、それを維持し過ぎることなどが上げられる。状態は固定的にせずに、力を抜く瞬間も持たなくてはならない。
簡単に言えば、ブレスの瞬間、声を出している間、声を出し終わった瞬間それぞれで、喉に力が入っていないな。。と確認する余裕がほしい。声を前に出すこと、特に口から前に出す感覚が強すぎるのではないのか?と思う。
声を前に響かすことは大事だけども、それは口から前というよりは、鼻の上からおでこにかけての前に向かってという感覚だろう。そのために、軟口蓋を上げること、そこで音を創り出す感覚がどうしても必要だ。喉は上がって欲しくないが、それはお腹でブレスをした瞬間に喉が下がって喉が開くことで出来ること。
あごを引いたり、首を後ろに引いてやると、喉が苦しくて声が出ないらしいが、それは、声の出し方が違う!くらいに思わないと駄目だろう。これは声を出す方向とか出し方とかになってくる。これをやり出すと大変だけどこれが分からないと本当の声にはなれないと思う。

たにさん。発声練習はとてもスムーズに行くようになってきた。ブレスも良い感じだ。
ブレスしてから、声を出すときには今度はお腹を引っ込めることをきっかけにして、声が出る。。という状態も徹底的に意識して欲しい。お腹は下腹部をずーっと中に入れていく感じ。声を出すのはお腹だ。。くらいに思って丁度良い。声のきっかけはお腹。声だけど中音部から低音部にかけて特に1点bから下、1点Fくらいまでの間の声は、もっとしっかりと出すことだけを考えてほしい。
そのためには声帯を合わせるように意識して欲しい。以前はこの辺りの声域を声を出そう、声帯を合わせようとすると、完全に喉で調節する地声の感じだったけども、今は自然に上の声が混ざった状態で出るようになっている。
本人は地声だと思っているかもしれないが、そんなことはないと思う。
心配せずにしっかりと出して欲しい。発声では、あまり問題はないのだが、どうも曲になると声を出すことにおいてちょっと消極的というか、しっかりと出す感覚が薄れてしまう。声のイメージがあるのかな?チェンジした柔らかくてかつ美しい声をイメージしているかもしれないけど、その前に、基本的に鳴る声を作らないと、そこには到達できないと思って間違いがない。チェンジした高音ももっとしっかりと出して欲しい。
モーツアルトのフィガロの結婚から、Giunse alrin il momento..イタリア語をつけないで、発声から徹底的に作らないといけない!痛感した。とにかく中音部低音部をしっかりと作ること。高音は心配しなくても後からついてくるから。
ソプラノの声でも良いのだけど、声の深さを犠牲にしては絶対にいけない。品がなくなるからだ。そのためかどうかしらないが、どうもポジションが浅くなる傾向にあった。ポジションは深くとって、声をしっかりと出すことをもっと心がけてほしい。


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12月27日

たにぐちさん。発声は中音部がチェンジした声が良い声になって来ている。ただ、ブレスから声を出すまでの動作というか準備が粗雑でやや乱暴だ。勿体無い。彼女の場合、ゆっくりと楽にブレスをしてしなやかに声を出す一連のことが落ち着いて出来ることが、上達のもっとも早道だろう。
曲は、Time to say good bye...歌い出して気になるのは、これも気がせいてリズムがぐずぐずでつんのめりながら進んでいくリズム感。きちっと、ゆっくりとやって欲しい。発声と関係があるのだが、メトロノームで指示のテンポよりも少しゆっくり目できちんとしたリズム感を訓練して欲しい。
後は、3連符が苦手なので、これも正確に3つと2つを重ねられるようにする訓練が必要だろう。
高音も問題だ。2点Gと2点Aがあるが、Noという母音になると途端に喉が締まる。Nの子音を発音する口の中の動きが喉を絞めている。最後のTeという2点Aの声は比較的喉が開いているので、子音のせいであることは間違いない。いずれも高音に飛ぶ際には、お腹をしっかりと入れることと、口をしっかり開くことを同時に行わなければいけない。息をしっかりと吐き出すように。喉に来ないためには、思い切りも必要である。
しかし、来る度に少しずつ覚えて進んでいるから心配はないだろう。なかなか頑張る人である。

みくりやさん。発声練習はいつも通り。まあまあきれいに出ている。発声で特に注意することはしなかった。実際の歌で色々とやってみた。歌はフォーレのレクイエムから"Pie jesu"
出だしの1点bの響きがどうも落ちてしまう。強く出すと太いし、細く出すとスカスカする。上顎部に響きを載せるために、この場合イの母音なのでMiミミミで練習をしてみる。これでやると、鼻腔に響くようにはなるのだが、本当の意味では軟口蓋の上がりが悪いのかもしれない。
口の使い方を見ても、イの母音が苦手のようだ。やや喉っぽい感がある。それと、歌っているところを真横から見るとやはり首が前に出ている。これも響きが口に落ちてしまう原因の一つ。
首を後ろに下げると、少し喉が苦しい感じもあるのだが、実はこの状態が良い状態だということに気づくのに時間がかかるもの。
それから、やはりブレスの準備とお腹の使い方。ブレスではまだまだ意識しないと胸で呼吸をしてしまいお腹、横隔膜を開く準備が出来ていない。それと、声を出している時の横隔膜の使い方。
これは、相当しつこくやらないと、なかなか身につかないことだ。今日は、しつこく教えたので、どうにか出来るようにはなった。うまく行くとフレーズのブレスが確実に伸びる。
彼女にはいままであまり発声の理屈を言ってこなかったが、本人もやる気を出しているので、次の発表会までしつこくしつこく教えていこうと思う。

あめくさん。彼女の喉はどうも暖まりが遅いらしく、声が乗ってくるのにやや時間がかかる。それと、姿勢と口の開き方だろう。首の座りが悪いことと、口の開き方がうまくない。こちらが、指であごを押してやると明解に響きが変わる。要するに、首をもう少し後ろにひくことと、下顎を後ろにひくようにして開けること。お腹は大分使えていると思う。
以上の点をいつもいつも気を付けて欲しい。最後にイの母音からアに変える練習をした。エの母音は良いが、アになるとまだ響きが薄くなる。これも研究課題。でも大分良くなった。
特に高音がずいぶんと伸びるようになり。3点Cまでストレスなく発声が出来るようになった。曲はSe tu della mia morte..大分音楽的に歌えるようになった。
下の声、特に1点F以下はやはりチェンジボイスだと響きが出ないので、地声に落してやると、上に登る際に段差が出来て滑らかに行かないところが、難しいところ。最終的には上のチェンジした声で下の少なくとも1点Cまで使えると良いと思う。
やや高目の2点C〜Dくらいのフレーズになると、声のポジションが高くなってしまうことに注意。これが、うまく行くと声もしっかりとする。後は発声でやったアの母音など開口母音を前に響かせることを注意して欲しい。後は、ブレスの時の準備。横隔膜をしっかりと開いて声をしっかりと出すことをいつも心がけて欲しい。彼女は全体に声を押さえる傾向にある。楽譜に書いてあるダイナミック、小さく歌うことはあまり意識せずに、むしろクレッシェンドすることを積極的に意識してみることも、発声の訓練になる。カウンターテナーのような、アルトボイスの可能性もあるので、少しドイツリートも歌わせてみたい。CDなどを聞いてみてほしい。


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12月25日

さたけさん。発声は調子が良い。お腹の使い方も悪くないしブレスも良い。声の響きも安定してきた。ぼくが教えた通りのことを忠実にやってくれているので、教える甲斐があるというものだ。声域だけどこれはソプラノでもメゾでもどちらでも良いと思う。基本的にはソプラノだが、音域をもう少し上に上げることと高音域の声の錬磨が更に必要。さたけさんのレパートリーというか嗜好からいくと、どうもメゾのほうが楽ではないかな。その代わり今以上に中音域の声質を錬磨しなくてはならない。発声ではあまりどうこう言うこともなかったので、曲をやった。
フォーレのNotre amour..これも良い曲だ。出だしのタイミングを送れないように。2小節目の4拍目から準備して、ほんの心持ち早くアタックして欲しい。フレーズの前に、発音に難がある。Eのあいまい母音がエになりがち。前半はそんなところで時間を費やした。後半、特に最後のページの高音に昇るフレーズだけど、ブレスで相当にお腹を開いて、高音をお腹からしっかりと出して欲しい。そのために、口もしっかり開いて喉の開きを促すこと。胸からの高音をはきだすかんじで出して欲しい。そうでないと、この曲の最後の華やかな破裂するような歓びが出てこない。痩せた高音では、淋しいのだ。
2曲目、イタリア古典歌曲集のPer la gloria d'adorarvi..イタリア語の発音はほとんど問題はない。声の使い方。Mf以上の張った声は。口、下あごを開かずに上顎部に声をピンと当てるように、輝かしい声を出すこと、逆にP以下のダイナミックは、口を良く開いて息を良く混ぜた声を出して欲しい。一般にこれらのダイナミックの違いを声のエネルギーの大小で捉えてしまうことは良くないことだ。むしろP以下のダイナミックのほうが息を太く強くおくるために、肉体的なエネルギーは大きくなると思って欲しい。お腹をしっかりつかうし、喉を開くから。それと、音楽。
この曲は3拍子だけど、2拍子のマーチの勇猛さを持っている。音楽の中で2拍子の単位を感じてみることがイメージの助けになるだろう。また、逆にPの表現では3拍子の優雅さを感じて欲しい。


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12月24日

かわのさん。体験レッスン。学生時代にコーラスをやっていて、ボイトレにもついていたが、しばらくやっていないので、またやりたい。。と言ってやってきた。声を聞いてみるとスカスカしてたしかに鳴らない声である。だが、一般に良くいるタイプである。特に合唱などをやっていると、鳴らす方向で喉声のままになり嫌われるので、鳴らさないのだ。
特徴はあごをすぐに下げて、喉を開いて出そうとするところ。これだと、声帯が合わないから声は鳴らないだろう。それと、俗に言うお腹から声が出ていないのでポジションが高い。そのため、5線から上の声はほとんどでなくなる。あごを下げて出す割りには本当の意味でしっかりと口を開けないところもある。お腹はある程度使い方が分かっているのだが、要するに声とリンクしていない。地声を出してみようと試みたが、ほとんど無理だった。
声のポジションと声帯を合わせるために、イの母音でオクターブ低い1点Aを出してみる。地声に近い鳴り方でしっかりしている。ここからつなげてオクターブ上の声を出してみる。時々うまくいくが、なかなか思うように低いポジションがつかめないようだった。上手く行った時にイからエそしてアとやってみるが、まだまだ不完全で思うように行かない。
全体に、地道な練習をこつこつと積重ねないと、声は出ないだろう。以前に出していた癖が相当に頑固である。口の開き方、姿勢などを徹底的に矯正する必要があるだろう。声自体は癖がなく、低い響きが混じった良い声の可能性を持った方である。

まえもとさん。発声を聞くとそれなりに良い声を出す彼女。体格があり、相応の響きを出している。
本人は息漏れが気になるし、今までも良く指摘されてきたと言う。確かに中音部の声にはシューシューという息漏れがついている。車の風切り音のよう。高音部まで発声をして戻ると少し治るが、根本的なことだろう。中音部の声をもっと集めるために、下あごをあまり下げずに響きを上顎に集めることをやってみた。
イの母音を出してみると、やや開き気味の口の開け方で、やはり喉を開ける傾向がある。口を閉めてミミミなどで発声をして、声をおでこあるいは鼻梁に向けて出す練習をしてみると、息漏れがなくなり軽い声になる。本人の声の出し方、声質に対する注意で息漏れのある中音域はすぐに治るだろう。それよりも、歌って見るとフレーズの中で声が妙な揺れ方をする。歌は、カロミオベン。仔細にお腹を観察するに、一音一音で声を出すお腹の力を変えているようなところが見られた。前腹上部を前に突っ張るように力を込めて声を出している。
声の足場が違っていると思う。足場は腰、背中、お尻を意識して欲しい。このために声のエネルギーをフレーズで処理出来ていないのだ。要するに一本の息でフレーズを歌いまわすことをしていない。これを直すために息だけを吐く練習をした。短くあるいは長くお腹を使って(へこませて)息を吐く。この動作を声を出す際に応用することをやった。短い単位から段々と長くしていく。長年の癖でなかなかすぐには治らないが、しつこくやっていけば、出来るだろう。
曲は、シューベルトのAn die musikをやってみた。まだドイツ語がついてないので、次回までにドイツ語の読みをしっかりとやっておいてほしい。


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12月23日

なかがわさん。彼女は声が薄い感じがあるのだけど、喉の奥が開いて軟口蓋が上がった良い状態で声が出るととてもきれいに響く。声帯の位置が高くていわゆる太いしっかりした中音が出ないのだけど、口の奥を大きく開いたポジションで軽く出せればそれでも、良いという気になる。
高音はかなり出るから。それでも、喉を良く開くこと、軟口蓋を上げること、この口の中のポジションの取り方を常に忘れないでほしい。口の開き方も横開きにならないよう、縦に開くことを忘れないように。ブレスも気を付けないと胸で息を吸うだけになってしまいがちだから、気を付けてほしい。お腹を少し広げるように、その時に口の中のポジションを同時に準備すること。今うるさく言えることは取りあえずこんなところだろう。
曲はモーツアルトの「夕べの想い」彼女には低い音域が多く、これだけでも難しいだろう。ていねいに声を出すポジションをブレスで作り出すことに専念することが、この曲で勉強することだ。声を押そうとするのではなく、良く響かすこと。発音では、口を縦に使うこと。高音に行ったときに、お腹の力と口の開き方が悪いためにしばしば音程がフラットになることも気を付けて。
少しずつだけど確実に良い声になって来ている。ちょっとしたことが、大きな効果を生むから、くれぐれも上記のことをていねいに大事にやってほしい。

やぐちさん。発声を始めて気になったのは、声のポジションが高くて喉が苦しそうに感じること。子供っぽい声になってしまう。あごが上がって、声が喉っぽいこと。姿勢の矯正と、声のポジションを低く取ることを教えた。姿勢は、ここで何回も書いているが、首を胴体の真上にきちんと載せること。
一般に日本人は首が前に出ている。背骨を真っ直ぐにして首が胴体の真上に行くようにするためには、自然な位置よりも後ろに行くような感じが良い。口を開くにしても、あごが上がらないようにすること。これだけでも響きは口よりも上の上顎部に響いてくるのが分かると思う。首の位置の嬌声によって、声帯がきちんと正しい位置に保持される効果もあると思う。
なかなか治らなかったのだけど、イの母音で声のポジションを低くして、この母音からエそしてアに以降する方法で、きれいなアの母音の響きになった。
曲はモーツアルトのレクイエムから"PIe jesu"これも出だしの1点bの音のポジションが高すぎる。相当に位置を低く感じるために、オクターブ下の声を出してから、実音に戻る練習をした。これですっかり良くなった。後は、フレーズの息の配分の問題。ブレスが足りないのはブレスが遅いために、テンポの中でブレスを取れずに後手に回って、きちんとブレスが出来なくなることの二つが原因だ。
フレーズの歌いまわしは一般に、フレーズの終わりのほうで息を吐ききることが出来るように、息を配分すること。ブレスが後手に回らないためには、ブレスを小節線の前で、素早く取ること。
今日はこの練習だけでこの曲がすっかり良くなった。
フォーレは音楽が一見地味だけども、その分、演奏者の技量で美しくも汚くもなる。フォーレは音楽で厚化粧をしない。だから、難しい。難しいから練習になる。

たにさん。彼女の発声も大分進展を見せてきた。なかがわさん同様難しいタイプの声だったけども、徐々に地声領域の声と上にチェンジした声が混ざり合って、上の声の出し方でも中音部の輝きが増してきた。あたかも二層の声の響きが混ざり合っている感じ。芯の部分に下の地声領域の鳴る響きを廻りを上のチェンジの声が包んでいる感じ。
もう、ほぼ上のチェンジの声で一曲全部料理出来るまでになった。以前は、地声の声でないと歌いきれなかったのがウソのようだ。高い声も練習したが、口の開き方とお腹の使い方がリンクすればきれいにす〜っと伸びる高音が出ている。ただ、高音域なのに口を閉めて出すために喉が締まってしまいがち。これは気を付けて欲しい。特に2点Aくらいから上の最高音になったら、中音部とは反対に声を鳴らそうと思わないほうが良いと思う。
口の開き方だけど、下から上がる場合は、最高音で一番開くのがセオリー。この場合、下あごを下げると同時に上顎も上に上げるような感じ。また、口を開くことは喉を開くことと関係があるということを忘れずに。お腹の横隔膜を開くことと一緒にやってほしい。何度も書くけどお腹を開くこと、横隔膜を使うことと声を使うことは同義だ、くらいに思ってほしい。
今日は、モーツアルトのスザンナのアリア"Giunse alfin il momento.."を譜読みした。イタリア語の譜割りは意外と難しい。リエゾンなどで二重母音になる場合、音符にはめるの母音はなるべく長母音や広い母音をはめるほうが良いと思う。
譜読みだけど、くれぐれも喉の開かない喉の上がったチェンジの声でやらないほうが良いと思う。なるべく、お腹を使った喉の開いた声で少しずつ譜読みをすることが、喉のためにも良い。喉と言うのは意外なことで痛めることがあるし、弱体化の原因にもなるから。

よしおかさん。
発声を始めたが、どうも体調のせいか声に元気がない。背中が相当に、こっているらしく体を使えないような感じがある。何が良くないかと言うと、お腹、腰の使い方がうまく行ってないのと、口の開き、要するに喉の開き、軟口蓋の上がりも良くない。そのために、音程がどうもはまらないし、低い声は上ずってしまう。あちら立てればこちら立たず。。。みたいな感じで理屈をこねて、声を作っても仕方がないかな?と思わせるものがあった。取りあえず、声を暖める程度にして新しい曲の譜読みをしてみた。
これが案に相違して、声が出たのだ。発声の元気の無さがまるで嘘のように声が出る。聞いてみればこの曲が好きだとのこと。声と言うのはそういうものだ。理屈だけではなく、曲に対する思い入れというのか気持ちの乗りだけで全然違うものだ。
これは個人差があるので、一概に言えないが。。あまり音楽にのめり込まなくても、体を機械的に使って声を出せる人もいる。こういう人は一見上達は早い。が、逆に音楽の持つ魅力、その人自身の魅力を歌にすることは下手である。どちらが絶対良いというものでもない。歌とはいっても、クラシックの声楽は声を楽器のように扱うところに妙味があるのも事実だから気持ちだけで良いと言うものでもない。しかし、ともかく声が出ることは良いことだ。発声の理論や実践に息詰まったら好きな曲を思い切り歌うところから、再度挑戦し直すことも大事である。
というわけで今日は発声の理屈はまったく言わなかった。曲は、以前にさたけさんがやった、バロック時代のイタリア歌曲"Intorno all'idol mio"これは彼女が気合い込めるだけあって美しい曲だ。逆に言えばこういうバロックのエレガントな曲に対する嗜好があるということだけで、声楽家としてのセンスがあるといえる!譜読みだけど、CDを聞くだけでなくリズムをきちんと自分の体でつかんで欲しい。リズムは絶対に誤魔化せないから。


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12月22日

あめくさん。発声練習を見ると、相変わらずあごで支えて声を出している。あごは使わないほうが良いと思う。あごで何かをして声を出す、あるいは鳴らす響かすというのは、良くないと思う。あごは本当に力を抜いて、首の後ろに張りを持たせておけば、首というか頭が胴体の上にしっかり乗って声帯も保持されるからその状態を見つけて欲しい。一番分かり易いのは、壁に背中から後頭部、腰などをピッタリ付けるようにして立つ。そして歌ってみるのが良いと思う。最初は少し卑屈な感じがあるが、それが一番姿勢としては良い状態になっていることが多い。今日はこれをやってみて、良くなった。声帯の位置も決まったし、声も明るくなった。この状態を見つけてから、曲の練習に入った。曲はイタリア古典歌曲集からSe tu della mia morte...歌い通して思うのは、声をチェンジして出す場合にやはり喉の位置が高すぎるために声のポジションが高く、浅い聞きづらい声の響きになっていることだ。またこの出し方だと中低音部がスカスカして鳴りにくい。前回のレッスンの最後に下の地声領域の声でやってみたら、この曲の音域のほとんどがうまく出来ていたので、もう一度それをやってもらった。
声の出し始めでちょっと出し過ぎのため、というか、まだお腹から繋がらずに喉で出してしまうために危なっかしいところがある。出し始めをていねいに、やっていけば、この声の出し方できれいに行けると思う。あごをきちんと引いて、お腹を使って声を出すことを忘れずに。しばらくなるべく下の声を使ってみてほしい。上の声も混ざりながら最適な声のポジションが段々と見つかると思う。ただ、くれぐれも喉で押してしまわないように。喉を壊すことだけは気を付けなければ。。


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12月21日

みくりやさん。発声を始めるときの声に力がないので、ドレドレのパターンでお腹から声を出すことを促す。これで、声は鳴るようになった。ドレミファソの音階で高音3点Cまで楽に昇れるようになった。しかも5線の上の音域が、きれいに頭声でかつ美しい声が出るようになった。多分始めてではないかな。
発声の感じはとても良かった。曲になってから苦労した。フォーレのレクイエムの"Pie jesu"はシンプルだけどフレーズが比較的長くて大変なのだ。彼女はまずブレスが持たない。観察していると、声がきれいに響きになってないので、喉で押してしまって息を無駄使いしているのが分かる。声帯の使い方の問題と、ブレス時の声を出す準備の仕方に問題があるのだろう。これは、ずっと前からのことだけど、ここらで決着をつけたいので徹底的にやることにした。まずブレスでは、息を吸おうという意識を捨ててお腹の横隔膜周辺の筋肉を広げて準備をするようにしてほしい。それと、軟口蓋を上げる、いわゆる喉を開く準備は同時に出来なければならない。舌先を硬口蓋につけて舌の後ろの上、要するにのどちんこの所に息を貯めるようにブレスする。ここだけで声を響かせる感じ。お腹を開く準備と喉、あるいは軟口蓋を高くすることが出来ると、これで、楽器としての準備が出来る。ブレスの際にこれがいつも出来るようになると、声も響きになるし、結果として息を対して意識しなくてもフレーズを歌いまわせるのだ。言葉にすると簡単だけど、実際はなかなか難しい。今日覚えてほしいことは、ともかくブレス時に胸で息を吸うのをやめて、お腹を開くことだけを練習するようにし てほしい。喉や軟口蓋のことは後からでもすぐ出来るようになると思う。次回の発表会までに、きょうの問題を徹底的に出来るようにしてあげたい。


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12月19日

よしおかさん。前回の地声練習からどうなったかな?と思ってレッスンに臨んだ。低いほうから3度で上がって練習を始めた。下の響きをそのまま持っていくために地声領域から始めたが、2点Cくらいから返したがっている声帯を下げるのが苦労だ。前より少し出来るが、まだまだ。そのまま上がっていくと2点Eから更に薄くなっていく。この2点Eまでを、下の響きで頑張って上げていくためには、喉が上がらないようにしなければならない。喉周辺や舌根で押し下げるのは、良くない。あくまで、お腹の横隔膜を開く筋肉と連動しなければならない。歌ってみる。イタリア古典歌曲集のTu mancavi tormentarmi,,,彼女の声を太くしっかりさせるのには、最適の曲を選んだものだ!全体にやはり声が軽くなり過ぎる。彼女の腰、側腹を触わってみると、声を出す際にお腹を使っているのだが、その筋肉が声と連動していない。これは、単にお腹を動かしているだけで、声を出すことと関係がなくなっているのだろう。そこで、お腹から声を出す練習をしてみる。歌声ではなく、ハ〜と声を低いところから出すのだが、その際に、腰を使って声を出すことを忘れないこと。喉から声が出るのではなく、腰の筋肉の力があるがために、声が出る、、、という順番というか、きっかけを持って声を出す。音程を上げて段々と高い声にしていく。こうやって、お腹と声の関係を直接的に体験してみる。彼女、これで大分わかったようだが、相当疲れるのだろう。スタミナ切れで終わった。彼女の今年のレッスンは今日で終わりだが、来年もこの練習をしっかり続けて、体から発する声を手中にしてもらいたいものだ。頑張ってほしい!

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12月17日

きょうは、ほとほと疲れた。。レッスンも短めだった。ゆえにレッスンノートも短めに。

さわださん。発声では、最初中低音部の声が、暗いな。。。と思ったけど、高音が軽くてきれいに鳴るようになっていた。中低音部の暗いのは、上唇や頬を上げることで意識してほしいと思う。
日本歌曲を持ってきた。荒城の月は意外と合っている。フレージングをもっとしてほしい。特に高音へ昇るフレージング。それと、日本語でもレガートを忘れずに。浜千鳥や、早春譜などやり、最後に山田耕筰をやる。ペチカ。これは、やってみると、確かに難しさがある。それまでの曲と違って、きれいに歌えば良いというものではない。。という部分。きれいに歌ったうえで、かつ表現がほしい感じ。これからこの曲で練習していこう。

にしくん。発声練習を始める瞬間の彼の体を見ると少し固い感じがまだ残る。上半身が固くなっている。また、声を聞くとずいぶんと音程感が良くなっり、高音もチェンジして出そうという努力が感じられて良いと思う。ただ、まだ喉の奥、どこかが固い。。。という感じの声が抜けていない。上半身の力を抜くために、上半身をぶらんぶらんとゆすりながら、歌って見る。喉の力は抜くが、腰はしっかりさせるのと、あごが浮かないように。抜けた感じの良い声が出ていた。これもつかんでほしい。曲はイタリアイタリア古典歌曲集のO del mio dolce ardor..高音のほう。最初高音を怖がっていたので、とにかくイケイケでどんどん歌わせたらうまくいった。笑
高音に行く前に、体が逡巡しているのだ。これは良くない。思い切り良く行くことが大切だ。
しかし、次にやったTu lo sai..これは駄目だ!喉が上がってしまう。その前に、声を開いた状態で出す曲ではないから、うるさすぎてしまうし雑になる。バロックの典雅な曲だから、声を抑制して美しく出さなければならない。そのためには、口を開かないポジションで対処してほしい。ボールペンや鉛筆などをくわえて練習して見てほしい。きついけども、通らなければならない道だろう。。。




12月16日

今日は、晴れていた。珍しく二人だけ。。

たにぐちさん。彼女はちょっと落着きがない。ぼくも以前はそうだったけど、それにしても落ち着きがなさ過ぎる。そういうことが、声楽などの身体を使ってやることには悪い影響が出ることがある。ブレスがそうだ。落ち着かないので、体がどうもリラックスしない。しないから、しなやかなブレス、即ち呼吸器官や発声器官が準備できないうちに声だけを出してしまう。いきおい声が喉声になって苦しくなる。
それでも、彼女なりにぼくの言うことを聞いて、良い声になってきた。特にチェンジしてからの声は、意外とふくよかで、声も良く鳴っている。ブレスをきちんと意識すること。この場合のブレスというのは、息のことではなく、声を出す準備のこと。横隔膜を緊張させて、声をいつでも出せるようにすること、喉や軟口蓋を上げて、いわゆる開くこと。中音部では、良いのだが、高音になると、喉を絞めてしまう。口を開くこと、そのことで、喉を開くことを促すこと。彼女が「口を開くのではなく喉を開くのでしょう?」といったけど、喉だけを開くのは分からないうちは難しい。また、日本人は単純に口が開かないから、下あごも下がらない、から、喉の開きも悪くなっていることは多い。口は開けば良いというものではないが、元来開かない人は、ともかく口を開くのは、喉を開くためには良いと思う。逆に喉が元来開いている人が、口をぱくぱくすると、開き過ぎで声帯が合わなくて鳴らない声になってしまうのだ。
ま、ともかく、高音をしっかり出すために、まず腰を意識させて口を開くことを教えた。腰から上の上半身を前に少し倒して歌う。腰を背筋を意識しやすいから。その状態で発声をやってみた。力は入れやすいようだ。口の開き方が全然足りない。高音を力強くしっかりと出すために、お腹を入れることと口を開くことが同時に出来るように、練習が必要だ。曲は、Time to say good bye..これも高音が出てくる。低音部の地声、中音部のチェンジを織り交ぜながら歌うのは、とても器用にこなしていた。ただ、音符の読み方があまりに雑である。こういうところに、落着きが必要なのだ。声を出すことも大事だけど頭を使って冷静に、対処してほしい。

よしおかさん。発声を始めると、声量はとても出て来ているし、特に5線の上の声が強くなっていた。しかしどうも、声のエネルギーが下向きで、明るく上に行かない。力を入れるために下に踏ん張るだけになっているようだ。声は難しい。下に踏ん張る力と同時に、上に前に、声を放射することも必要になる。そうしないと、声質に倍音がきれいに乗らずに、暗い声になってしまうから。前に声を出すことや軟口蓋を上げること、そのために頬を少し上げるように声を出すことをしつこく言うのはそのためだ。
今度はこちらに神経を集中すると、お腹を使うことや踏ん張ることがおろそかになってしまう。あと、発声をしていて気になるのが、さいしょの声よりも、次の声、その次という具合に、フレーズの中の音程がややフラット気味になること。声が上に放射されないこと、暗い声質になってしまうこととも関係があるが、音程は慣れと声を流して行くお腹の力、も関係があるだろう。家でやる場合に、出来れば、ゆっくりと一音一音、キーボードで音程を確かめながらやってみることも必要ではないかな。今日はそれよりも体のエネルギーの少ないのが気になった。どうも疲れているらしい。後で聞いたところによると、背中がバリバリらしかった。腰や背筋を使うから、背中が痛んでいるくらい疲れていると声を出すには無理ではないかな。仕事で忙しいから無理もないけど、体も適度にいたわってほしい。発表会の曲を順次復習してみた。Star vicino..は、声のポジションが高くなってしまうこと。オクターブ下の声を出して、その肉体的なリラックスを維持しながら、ブレスでうまく間を取って、オクターブ上の声を出してみる。これで、彼女の場合ほぼうまく行ける。後は、発音、特にエやイの母音で響きが変らないように工夫すれば大体きれいに行けると思った。Sento nel core..これも同様にやってみた。前にも指摘したSento nel..のNの子音をしっかり使って響きを前に当てることで、音程の下がるのを避ける。というよりも元々そうやって歌うのだ。このような随所の工夫をしながら、やれば、今の欠点は大分克服されるが、最後に気になったのは、発音によって、響きが切れてしまうこと、あるいは声質が変ってしまうことである。それから、舌根に力が入り過ぎていること。声を出す余りに、多分力が喉を押し下げることに行き過ぎていたのだろう。腰が使えないために、喉で声帯を下げて、ポジションを下げたり、声を出そうとしたいたのではないかな。最後にヘンデルのLascia ch'io pianga..を歌ってみたが、高音はとてもきれいに出るようになった。


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