2001年1月レッスンノート

レッスンノート目次
1月7日 | 1月8日 | 1月10日 | 1月12日 | 1月14日 | 1月15日 | 1月20日 | 1月21日 | 1月24日 |

1月25日 | 1月29日
1月29日

さわださん。発声で相変わらず簡単に声を出すので、最初の声出しの際の喉の感覚を教える。
本当は自分の声で教えたくないのだけど、気がつくと声を出してしまっている。それ良い場合もあるし悪い場合もある。彼女は深く喉を広げる方法を教えると、すぐ出来るのだがそれが身についていないのと、それが良い声だ…ということに気づいてないか良い声だと思ってないかどちらかなのだろう。
ちょっとした加減で声の質は変るし出方も変るので、結局本人の自覚次第でどうにでもなるのだ。
ぼくは、彼女にはメゾソプラノらしい声の出し方を身につけて欲しいと思っている。声帯も比較的大きいみたいだし、日本人離れしたやや太くて艶のある良い声になってほしい。また、慣れると思っている。
曲は、イタリア古典歌曲集から「Piacer d'amor」そして「Lasciar d'amarti」「Gia'il sole dal gange」のp3曲。彼女はウの母音が苦手だ。ウを発音する際には最大限喉が開くはずだし開く必要があるのだが、彼女はども喉が開きにくい。音階による発声の前に、ウの発音を声に出してみる。彼女は喋り声になるととてもピッチが低いのだ。それ自体は、声帯をリラックスさせているから良いのだが、やや周辺の筋肉などに緊張感が無さ過ぎるのだ。こういう場合、少しピッチを高くして喋ってもらうのだが、それがなかなか理解できないものだ。ぼく自身も経験がある。Mauraneに良く、Parlez tres haut !と良く言われたことを思い出す。言われた時は、言っている意味が良く分からないのだ。
これは、のどぼとけを良く下げることと、軟口蓋を閉めて喉の奥に空間を良く作ることが大事だ。
口はすぼめるから、当然声を前に出せないのだ。特に高い声域になるって声を前に出そうとすると喉が詰まってどうにもならなくなる。
3曲目のガンジス河になると、高い声域の声のポジションが落ち着く。しかし母音や声域によって時々声がラフに出てしまう。これが課題だ。

TOP

1月25日

からしまくん。彼はアルバイトをしながら勉強もしなければならず大変だ。しかし、どんなに言い訳してもプロになることを考えると、勉強を練習を今積み重ねないと後々もっと大変な事になる。
中途半端なことが、いかに後で後悔を産むかは自分のことで骨身にしみて分かっているから、ついつい説教してしまう。
人の倍3倍やってやっと人並みだと思わないと、この世界では生きていけないぞ!
と脅すまでもなく彼は良く練習してきたと思う。笑
ただ、今日の最初の歌を聴くとやはり、小さくまとめて小奇麗にしてしまう傾向が良くない。
ブレスもぎりぎり、声もぎりぎりの所で音楽を大きくまたリスキーに表現する事を最初は初心者は大事に考えてほしい。
発声は、中音部から下向の音形で最初の声のアタックを頭声で軽く細く、ピッチをきれいに取る練習をする。その際に平べったい鼻声にならないように、少しだけ胸の声を混ぜるために口のしまりをほんの少し開いて音質を調節する事。彼は頭を下に下げ過ぎる事と、目をつぶる悪い癖がある。
目はまっすぐ前を見る事。首も背骨の上に真っ直ぐに乗せるように。胸を高くして、胸の部分から音質の幅を感じる事を大事にして欲しい。声のオリジナルは、胸声である。しかし、きれいなピッチを作るのは頭声である。この両者の配分で、美しい声、音楽を作らなければならない。それを作るのは本人の仕事である。私は適切な助言を与えるだけだ。

歌は、フォーレの「夢の後で」
この曲は、イタリアのカンツォーネのような歌いまわしだから、ブレスをけちってしまうと興醒めである。
ブレスは苦しいが。ワンフレーズを大きく取って息の大きなまわし方を充分に表現してほしい。
低めの声、1点gからfくらいの音に降りる時はしっかり、その音程に下がる事を気をつけてほしい。
時間があったので、リディアを復習。これも最初のFの音のポジションを問題にする。
ピアノの前奏は、気をつけないとト音記号の1点Fの音ばかりが耳に残る。しかしバリトンの歌い出しの実音はその1オクターヴ下の音なのだ。声のポジションをしっかり下げ、柔らかい艶のある胸声を響かせてほしい。その際に、声が下品にならないように充分気をつけて、息を十分混ぜて口の前よりは後ろに向かって響かせるようにすることがこつである。

TOP

1月24日

たかはし女史。彼女は喉が開かない典型であるのと、声が鼻声になる。そして腹筋が弱っている傾向にある。
開く事を何気に意識させるために、物を吐くように口を開けながら声を出す練習をする。
5度の上向で最初の声のアタックで、絶対に口から上に声を当てない事。
最初にこうやるんだよ…といって私がやってみせると、真似してとてもいい声が出た。
こういう調子で、やっていく。最初の声のアタックは良いのだが、3度そして5度に上がる時に喉が動いてしまうのだ。ド〜レは良いのだが、レ〜ミとミに上がる際にポジションがすぐに上に移動してしまうのだ。そして、ファ〜ソの際にも動いてしまう。音域が上がるに連れてそれが顕著になってしまう。
胸の声の場所を良く感じて、喉に力を入れないようにしながら、腹筋横隔膜の広げ方で2度の音程を下のポジションのまま(胸声)で上げていく練習だ。胸の高さ、広げ方、首の座り加減など注意しながら2点Fまでやっていく。段々と良くなって行く。発声練習では、やるたびに良くなるのだがいかにせん休みが多くて一度身に付けた事が、すぐに元に戻ってしまうのが残念である。
このように、最初の体の使い方は、間をあけずにレッスンして身にしっかりつけないと、後々苦労する事になる。
曲は、バルバラのシャンソンと、プレヴェール−コスマのシャンソンの「バルバラ」
バルバラのQuand reviendrais tu?は前も書いたけど詩が良いし、音楽がその詩を引き立てているような曲だ。言葉のディクション、アルティキュラシオンがきちっと出来ないと、やる意味がない。
倍くらいのゆっくりのテンポで、言葉の発音や力点を確実にして行った。彼女の癖はGaの濁音が鼻濁音になってしまいがちなのと、RとLの発音お区別が甘い。ディクションの前にこういった基礎的な子音の扱いだけでも、フランス語らしさの違いが相当に出てくるのだ。何しろ扱っている言語が日本語ではないのだ。
そして、プレヴェールの「バルバラ」何度やってもこの曲が持っている熱には、あきれてしまう。
素晴らしい曲だ。音楽がオペラのアリアのように劇的なのだ。そこで音楽の句読点をはっきりさせて緩急の付け方を教える。軽いテンポ、重いテンポの両者の使い分けがこの曲の表現には特に大事である。

TOP

1月21日

みむらさん。発声練習の高い声域で少し喉を開く事。まだ怖がって出来ないが、少しずつ意識できるように…胸声の配分と、頭声の配分の問題だ。まだ頭声の配分が強く、胸の引っ張り喉の開きが弱い。ただ、一気にやると喉を壊すし焦る事はないと思う。Oh del mio dolce ardordeでも全体に声質がシャラシャラしてしまう。口の開きをなくして、声を中に閉じ込め喉、軟口蓋の上がりを意識させる。そして声のポジションを低く意識させる。最初は少し不自由で我慢がいるが、慣れれば大丈夫だ。
Lascia ch'io piangaでは、レシタティヴォの練習に時間をかける。イタリア語の抑揚と気持ちの強さを声にどう乗せるか?中音から低めの声のポジションがまだまだ高い。音が降りるところはしっかり降りること。
歌の入りは驚くほど良く出来ていた。練習してきたのだろう。後は高い声のポジションがやはり高すぎる。そのため声のピッチが定まらず声の音色が開いたものになってしまう。もう少しだ。
再現部で再び...Lascia ch'io pianga..と入る所は難しい。その前のフレーズの終わりを極端にDiminuendoし、間を取って、Lasciaに入ってほしい。

ゆうこさん。
彼女は相変わらず楽しいレッスンだ。鼻の香りを嗅ぐように口を閉じてブレスをする練習。
発声練習に40分かける。ゆっくりのテンポの発声では、ゆっくりと、早いテンポの発声では早くブレスを取る事、それもリズミカルに。腹筋をブレスで緊張させても、声を出した途端に緩んでしまうのが
彼女のくせだ。我慢する事、むしろ声を出してから更に緊張感を増すように腹筋、横隔膜を使うようにすること。F〜Gくらいの高い声で声を逃がさずに首に向かって当てるようにすること。そのために首の座りに気をつける事。
曲は、ベッリーニ。Vanne o roza fortunata では、なるべく8小節をノンブレスでやること。これも高い声で声を引かずに、首に当てるように。しっかり出すこと。この際に口はあまり開かないこと。
Tu d'invidi a e d'io d'amorのウの母音がうまく行かなかったが、体浮かないように肩を押さえてやるとうまく行った。最初は喉が詰まったような気がするこの発声も、開発されてくると、声の当たり所が分かってくる。結局喉が上がらないようにして、喉を開く事になるのだ。
Vaga luna che inargentiでも同じことだ。まだ言葉がしっかりついてないので、2ページ目からがうまく行かない。最後のEi sospirのEiで声をすぐに引いてしまう。

TOP

1月20日

きょうは2回目のたむらさん。彼女はポップスが好きなようでボサノヴァのCDを持ってきた。驚いたのはアントニオ・カルロス・ジョビンのInutil paisagemを歌いたいということだ。暗譜で覚えて歌える。ポルトガル語の発音も私流で音で覚えたらしい。それとアフリカの歌手のこれまたショーロのCDを持ってきたので驚いた。彼女はボサノヴァも好きだが、ラテン系の音楽、ラテン系の歌声が好きらしい。
将来性はあるぞ!笑
そうはいっても、クラシックの基本から勉強するというので今日からイタリア古典歌曲のアマリッリを勉強する。発声の面では、首の座りと、姿勢を直す。そして腹部横隔膜の張り方など。一遍に横隔膜を張らずに、少しずつ。
声は素直で無理がない。変な癖もないし体もそこそこある。訓練すれば声はもっと出るようになるだろう。
後、リズムの理屈譜読みからリズムを理屈で取れるように訓練する事も大事だ。

TOP

1月15日

さわださん。今日は体調のせいで、あまり声が出せなかったがセーブした分、巧く行った。
低い音域から徹底的に鼻腔に向けて声を響かすことを練習する。鼻腔といっても鼻声ではなく軟口蓋を高くすること。そこに声を軽くあてるように・・・・
そして、口の開け方。あごをあまり降ろさずに唇で縦に開く事。大分ノーブルな声になる。
元がかなり出来ているので、ちょっとした工夫で声が良くなる。
Piacer d'amorをやる。中音域がとても落ち着いて良い声になった。きんきんとしないふくよかな、どちらかというとメゾソプラノ的なノーブルな響きだ。Lasiar d'amartiもやるが同様にとても良い声が出たので祝いたい気分。彼女はレッスン回数が少ないが、毎回やったことを復習して考えてくれるので進みが速いのだ。後は、2点F以上の高い音域で響きが浅くなることを直していきたい。

TOP

1月14日

みむらさん。久しぶりだが、変わらずきれいな声を出していた。少しずつだが、声も前に鳴るようになってきたと思う。無理はしないで、少しずつ芯のある声になってくれれば良いと思う。なによりも旋律をきれいに歌いまわす事が出来れば良いのだから。彼女の場合、発声練習の際に自覚して出しているので一番分かっているのが本人なのだ。声慣らしもそこそこに、曲に入る。
Oh del mio dolce ardorを復習。声は取りたてて文句はないが、2点Gの声がもう一歩膨らみのある声を出せれば満点といえるだろう。取りあえず「上がり」にして、ヘンデルの「Lasia ch'io pianga」をやってみる。まず、最初のモティーヴの2小節が、In tempoで出来ない。PiangaのPiaを発音するのに時間がかかり過ぎる事、その前のアウフタクトの八分音符、Ch'ioが逆に長すぎる。そして、最初のLasciaの出だしが、はっきりしたテンポ感がないまま入ってくる。要は、In tempo できっちり歌う事が基本だ。特にヘンデルらしいきれいでノーブルな3拍子であるこの曲はかっちりとしたIn tempoを扱う事がとても重要である。
そして、最後に・・・最初の音・・1点Aの声質。これは、ソプラノであるが、深みのある、良く喉の開いた落ち着いた声がほしい。きんきんとした、浅い響きは絶対禁物である。この曲も楽しみである。

ゆうこさん。
今日は、発声練習にたっぷりと時間をかける。
彼女に関しては、一年間発声の理論に関する難しいことを反復して集中した訓練をしなかった。彼女自身の美点である、歌心を壊したくなかったからだ。
しかし、一年頑張ってくれた彼女のために、逆にこれからは彼女の課題である、腹式呼吸と声のピッチの問題を、徹底的に直したいのだ。
ピッチといっても、基本的な音程感は良いのだ。しかし、呼吸と関係があるが、出だしでかなり声を出してしまう事によって、呼吸が持たなくなる点が、結局彼女自身が本当に楽しく歌を歌う事を阻害しているのをなんとか直してあげたいのだ。
ベッリーニのVaga luna でも、あごを使わないで、唇だけを使ってアーティキュレーションするようにすることと、腹部の使い方を徹底的にやること。そのために声のアタックの作り方を教える。まず息を止めて声帯を開くことで、限られた少ない息を小さな声にする練習をする。ヒッヒッヒッヒ・・と出すのだ。
それが、きれいにできるようになったらその声を伸ばすようにしていく。こういうことから、息うまくコントロールされた声を作っていく。
レッスンを終えてから、彼女自身が言われた事一つ一つがわかるのだけど、それらがうまくつながらない・・と言っている。まさにその通りで、それぞれがまったく別個のことではなく、つながっているということだ。そして、その基本にあるのが腹式呼吸なのである。

たむらさん。
彼女はきょうが初めてである。まだ大学を出たばかりであるが、NGOの仕事をしているようだ。発声をやってみる。とても素直な声で無理なく1オクターブ半くらいの音域である。音程も悪くない。少なくとも地声が最初から出るタイプではなく、チェンジした声が自然に出てくるのだ。彼女自身はもっと声量が欲しいらしい。発声している様子を見ると、ポジションを高くして息をまわすように歌っているので、はは・・合唱でもやっていたかな・・と思ったらやはりそうだった。何がしかのことをやった人はやはり、体にそういう癖が出てくるものである。
最初に地声の練習をして、意識して地声を出す事をやってみる。
その後に、腹の使い方、喉の使い方などを、さまさまな方法でやってみる。
腹部の柔軟さや、体付きを見ると体がかなり柔らかそうなので期待できると思う。
彼女自身は留学生活があり、フランス語も出来そうなので、ぜひフランスの歌に挑戦して欲しいものだ。まずは、イタリアの古典歌曲集で発声の基礎を教えて上げたい。

TOP

1月12日

新しい人が来た、鈴木さんという女性。ロシアに5年も留学していたそうだ。
未だ若いが、留学時代そして日本でもレッスンは少し受けていたそうだ。
ロシア語の歌をちゃんと歌えるようになりたいらしい・・・・
早速発声をやってみるが、やや高い声が鳴らない。高い方は、2点Dくらいから鳴らなくなる。
とにかく、色々やってみる。まず、立って歌うと肩がこちこちになるので、座ってやってみる。
そして、椅子を両手で持って、持ち上げるような力を使って高い声を出す。後は、声の当て所を押さえる事。喉の下のくぼみに声を当てて、鳴らす。腹筋を教える。取りあえず教えるが、少し継続して教えないとなかなか身にはつかないだろう。
彼女がまた来てくれれば良いのだが・・・

TOP

1月10日

きょうは、高橋女史。レッスンと同じ時間喋る。彼女は会話が好きだ。
こうやって、レッスンといっても周辺のこともレッスンの内である。
レッスンは、低い声を地声で強く出していた今までのやり方を改めて、なるべく地声を使わないように改める事にした。声帯が充分に鳴るようになってきたからだ。
相変わらず、あごが硬く口が開かないために、喉を絞める癖が強い。かといって、口を開けさせると今度は開き過ぎで逆にあごが硬くなる。口を開いて喉の開きを促す事と、腹筋が連動するようにする事が大事である。
曲は、バルバラのQuand reviendras tu?これは美しい曲だ。前半が低い音域で語るように、そして後半のリピート部が歌になる感じ。
先日ある人が言っていたが、ジャン・コクトー曰く・・・「幸せとはなんと醜く、不幸とはなんと美しい」
という言葉を思い出させる。シャンソン、ひいてはフランスのカルチュアにある、ある種の憐れみへの憧憬といった風情を感じさせる音楽である。まったく現代の世の中にあってこんな美が存在するなんて・・!
この曲はとにかく、語りをゆっくりとやり、フランス語の美しさを際立たせたい。ゆっくり練習する事。
そして、これまた、プレヴェールのBARBARA!こちらは音域が高く、ドラマティックである。
難しいがやりがいのある曲だ。


TOP

1月8日

きょうは、さわださん。彼女は本当に歌が好きなのでこちらもレッスンしていてやりがいがある。
高校時代に音楽の先生から、声楽を習っていた頃にうまく出来なかった曲…というのを、ぼくの所に持ってきて自分がどれくらい成長しているか?を確かめるのだ。若い頃からの思いがなんだかひしひしと伝わってくる思いがする。そういう純情な気持ちがとても貴いものだと感じる。
さて、いつものことだけど、発声練習でもうすこし首の座りや、姿勢などに注意を払って欲しい。
それから、あごをバク!っと開いて声を出す悪い癖が直らない。特に低い声の時に何も考えずに口を開けるものだから、声が鳴らなくなる。そして、開けすぎる事で逆にあごが硬くなってしまっている。口を開け過ぎる人は注意して見て欲しい。開けない事で、喉の中の部分を開こうとする、感覚や声帯を合わせる感覚が身に付いてくるはずである。勿論そのためには、声を張り上げない事が先ず大事であるが・・・曲は、以前にやったLasia ch'io piangaを復習する。出だしの低い声の音色の徹底的にやる。こういう低い声域の音色、ピッチ、など、声の総合的なポジションを大事にしないと、音楽的な声楽家としては失格である。
ベッリーニのマリンコニーアも中声用で練習している。中音域を柔らかく美しい音色で歌えれば鬼に金棒である。
彼女は声を持っているので、そういう基礎から徹底的に学んで更にスケールの大きな歌手になってほしいとおもっている。

TOP

1月7日

きょうは新年最初のレッスン。レッスン初め!
ゆうこさんが来た。発声をやりだすと、2週間の休みと、仕事の休みで体がなまっているのがすぐにわかる。ブレスがきついようだ。体というものは不思議なもので怠けるとかえって疲れる。疲れ過ぎても体がきかない。
彼女は声のピッチがそれほど高めに行かないのだけど、それは地声成分がやや強いからだ。
少しそれを直してみる。イの母音で、高めの音程から降りる練習をやる。しかし、声が強すぎる。
このピッチの練習をメッザボーチェ(ハーフヴォイス)でやろうと思ったが、彼女が普段いかに強く声を出しているかが良く分かった。しかし、声を抑制しようとすると、今度は抜け気味になってしまう。
声を抑制させるために子音をつける。イの場合はM。ミミミでやってみる。鼻先から目にかけて音程と響きを乗せるように・・・しかし難しい。ブレスの取り方と、声の使い方を等分に訓練しないとうまく行かないようだ。
曲は、フランスの古いシャンソンの復習。そして、ベッリーニの歌曲。シャンソンは発声の成果が少し出る。声の適度な抑制と、フレーズ感を大事に。ベッリーニの歌曲では、抑制よりもフレーズの息の流し所を押さえて、充分に息を伸び伸びと流してやるように。
元来明るくて、暖かみのある彼女の声はベッリーニの根源的な、温かさを良く表現できるようになるだろう。

TOP

TOPPAGE