レッスンノート

にったさん。今日は伴奏合わせをやった。プーランクのLes chemins de lVamourと、サティのJe te veux..をやった。声は良い声だけども、ポジションが少し高いのと、響きを細く前に当てるだけなので、ややふくよかさに欠ける声だと思う。特にフランスものなどの歌曲は、発音のニュアンスと音色が大切になってくるので、固定的な声の当て方は、この影のあるニュアンスを伝えるには不向きだ。仮にイタリアのソプラノ的な声の特徴なのだとしても、ポジションは高いと思う。要するに喉の位置がやや高い。喉が強い方なので、それなりに出してしまうがやや雑な感がある。ブレス→声を出すという間合いがないので、準備が出来ていないのに声が先走ってしまう傾向にある。そのため、ポジションも確立していない。これらは、ブレスの時点で確立していないと本当に良い声にならない。多分頭では分かっているのだろうが、体が追いていかずに気が付くと声が出てしまっている、、という感じだろう。今回は急遽発表会なので間に合わないかもしれないけど、この基礎はとても大事だから、終わったら徹底できるようにしてあげたいと思う。
どの母音ももっと広く口を使うこと。息を回すように歌うこと。それだけでも大切にしてほしい。

さくらいさん。体験レッスン。大学時代に3ヶ月だけの合唱経験ということで、歌を歌いたくなり来たとのこと。声を聞いてみる。意外と響く声をすぐに出せた。最初はおずおずとしていたが、息の使い方、お腹の使い方を教え、声の出だしの息の使い方を覚えると、声はすぐに響くようになった。背の高い方である。体は細いが喋り声は低く、いかにも声帯がスンナリした良い状態であるような印象を持たせる。実際声を出してみるとチェンジを感じさせない声だ。息の出し方を覚えてアタックがしっかりしたので、そのまま発声をして音域を調べてみると、低い方はヘ音記号のソくらいからやっと地声になり、そのままヘ音記号真ん中のドまで声が出る。高い方は、少々喉がつまるのと、奥に引っ込めてしまうので響かないが、これも軽く2点bくらいまで上がれる。自然な共鳴は、大学時代の3ヶ月の合唱経験で口の使い方、要するにあくびの状態を教わり、覚えていたとのこと。これも驚きだ。素人に教える部分はほぼクリアしているので、早速歌を聴いてみた。
荒城の月を歌える、、とのことで、歌わせてみた。やはり、高いチェンジしてからの声が、うまくチェンジできず喉につまってしまう、あるいは奥に引っ込んでしまうが、ちょっとやればすぐに治るだろう。

あんどうさん。発声を始めると声の回り、息の回り方がとてもスムーズになったことを感じた。声のポジションも以前に比べるととても落ち着いてきた。お腹を使っている感じがある。下降形の場合、真ん中のチェンジから下くらいで、響きが落ちる傾向があるので気を付けてほしい。要するにト音記号の真ん中辺りの音域だ。軟口蓋を上げるように。。響きが落ちることを防ぐために、軟口蓋を上げることが必要だけど、今度は喉が上がってしまうから、そのバランスに留意しなければならない。喉が開き軟口蓋も上がった状態で声のアタックの際にやや下に向かってバウンスするようにした方が、声の安定と響きが出る。要するに胸声の響きも必要だ。この胸声と、頭声のバランスをいつもいつも気を付けると良い。メゾをやっているから、下の太い響きも大切。5線から下の領域では、恐がらないで、喉を開き軽い地声にチェンジすることも、声の響きの幅を広げてくれる。Sebbe crudele..をやった。これもエの母音のせいで、喉が浅くなり勝ち。エの母音だからといって浅くならずにむしろアの母音のつもりの喉になるように、発音を注意してほしい。ちゃんと出せば、メゾらしい良い声が出ている。合唱の場合は強く当てない方がいいが、ポジションは同じだ。音程を気にするあまり喉が高くなり過ぎないように。喉を上げないで、軟口蓋を上げること。

にしさん。発声を始めると、妙に喉の下がった鼻にかかった声になっていた。おいおい、一体今度は何を始めたんだ!という感じ。(笑)研究熱心なのは良いが、少々やり過ぎの感がある。しばらく発声をやっていて、やっと治ってきた。とにかく鼻声は良くない。鼻腔に響かせることと鼻声とは違う。これは、フランスでもきつく言われたこと。日本人は鼻声が多いとも言われた。あちらでは、ナザールがあるから、さぞかし鼻声の発声をするのでは?と思われるかもしれないが、ナザールと鼻声とは全然違うのだ。
それはともかく、結局、半母音を使って、あごをあまり動かさずに顔面に響きを当てるような練習方法が彼には向いているようだ。それと、高音になってきた場合、あるいは高音に限らず、胸声と頭声のバランスをくれぐれも大事にしてほしい。今日はそのあたりを徹底してみた。軟口蓋を上げること。そのイメージは丸天井が口の中に出来る感じといえば良いだろうか?上顎の中が全体に丸天井になったように感じ、そこで響かせること。その際に、喉が上がってしまっても良くないが、特に彼の場合は、喉が下がり過ぎ、胸声がバンと当たってしまう弊害の方が問題だ。音程が全然出なくなるからだ。この辺りの繊細な感覚を常に磨いてほしい。曲は、まずStar vicinoから。これはとてもうまく出来ていた。これに気を良くして、Tu lo sai..これも前回よりうまくなっていた。特に狭母音の高音の処理がうまくなっていた。喉を開いて、息を殺し息の辺りを極端にコントロールさせていた。これで、どうにか音程を声量がコントロール出来、音楽的に処理できているのだ。ただ、狭母音の場合も軟口蓋、鼻腔の空間の感覚がもっと出来ると、もっと楽に響かせられるし喉も楽になるはずだ。ともあれ、良くなってきたので一安心。

よしおかさん。発声ではしばらく開いたポジションでやった。音域、特に低音域が苦手な感じだったので下降形で低い声になればなるほど、喉を開くような感じを持ってもらう。やっていると、意外と良く低音が出るのだ。今度は徐々に高音に上がって行く。今度は一番上の音に向かって声を広げるように意識してもらう。これらの発声は良く出来て来ている。ただ、曲になった時の応用がなかなか効かないようだ。問題点はエとイの響きが高音で喉っぽくなってしまうことだ。ゆっくりやると出来るのだが、曲の早いテンポの中で口の使い方あるいは、喉の使い方が間に合わないのだろう。声を出そうとすると、音程が悪くなり響かそうとすると今度は声量が出ない。というか喉が高すぎるという感じ。この辺りが彼女の難しさ。特に中高音の声がどうも喉っぽい傾向がなかなか取れない。例えばイの母音は口を横に引くと声帯がぺったり合ってしまうし、縦に開くと響きが落ちてしまう、、といった感じだ。Star vicinoにしても、Intorno alVidol mioにしても、歌っている様子を見ていると、あごが固いし、表情が硬い。固さを取るために、柔軟にあごを動かすのも良いとは思うが、、、う〜む。。声はしっかりしてきているから、とにかく中音部の程とイエの喉っぽいのが直ると良いな。

あめくさん。発声の声も無理がなく美しい響きが出ている。中低音部の声は、もう少し軟口蓋に広く響かせる息の強さみたいな感じがあると良いのだが。オルフェの歌も、低音も無理せずにきれいに歌えている。上向音形が自然なクレッシェンドを出来るようになっている。声の基本は高い声に行くほど響きを広げていくのがベスト。これはイタリア流だ。コーダの高い声もしっかりしてきた。しかし、高音がもう一つ細くなる。特にエの母音。何度も言うが、あまりエと思う必要はない。高音の場合は、母音の形よりも、喉が開いているかどうか?という条件を大事にしてほしい。高音を出す際にもう少し喉が開くと良いのだが。喉の開きがきちんとできる前に声が出てしまうので、仕方がない。まあまだ若いからあまり無理な重い声は薦めないが。。。モーツアルトのケルビーノのnon so piu ,,,も音符は良く追えている。イタリア語も破綻がない。まだテンポは遅目だが、ピアノがきちんと入れば問題なく対応できるだろう。発表会では、緊張せずに出来るかな?これがうまく行ければ、将来の音大も可能性大だ!!




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