レッスンノート

 今ごろの曇り空、冷たい空気に触れるとパリを思い出します。 同様にプーランクの歌が一番パリを思い出すな。。。 歌って自分のために歌うのが一番楽しいね。 プーランクの歌を歌うことはぼくにとって、その最たるものです。。 プーランクの音の中にはパリの空気が一番濃厚にあります。 それは、プーランクの時代と違うものかもしれないけど、ぼくには 間違いなくパリの空気そのものを思い出させてくれるのです。 冷たくて、曇り空で、ワインときつい香水と葉巻が混ざった匂いと。。 今ごろはレストランの前に牡蠣売りが立って、夜には鈍い裸電球の 光が街灯を照らしているでしょう。ポンヌフの長い二重橋には 素敵な街灯が延々と遠くまで続いて見えるでしょう。 コンコルド広場の街灯も同様に。 こぬまさん 発声は、最初暖まりが悪いので、開いた母音で楽に上り下り。 低音が響きが落ちてしまい、喉が当たり過ぎ。 Pops的な声になってしまう。 当たっても良いが、響きは高い方が良いと思う。 声が暖まらないうちは声を押さずに、ということは当たりの悪い 声でも我慢して、とにかく上を開くことに集中したら良いと思う。 上を開くために、前回同様、Luで適度な高さまで上り下りしてみた。 低音部は、喉を下げる癖が大きいため、喉が下がり響きが暗いと思った。 この練習の最には、喉の開きではなく、軟口蓋を上げること、鼻腔に 響かせることだけで良いのだが、、、 次に今日は高音を少し集中してみたが、風邪の名残か少し調子が悪そうであった。 下降形だと、3点Cまで到達するのだが、上向形だと、かすってしまう。 口先を開き過ぎる傾向がある、と思ったので、狭いLuで高くまで 上がってみたが、辛そうなので止めにした。 曲はコンコーネの9番と10番 コンコーネは、その曲調や出自から行っても、完全にイタリアンスタイル のソロボーカル用練習曲である。 声のためでもあり、それは声の出し方のスタイルを決めることにも やる意味がある。 9番は穏やかなレガートな曲調で、上向形の小さな音程差のフレーズを 滑らかに、息を膨らませるような点を大事に歌ってほしい。 譜面に何も書いていなくても、息を大きく流すように歌いまわす点はセオリーだ。 10番は、反対に、明るい活発な曲である。 マルカートをはっきりと出すためにも声をスピントに、息の出を素早く ということは、声のアタックを切れ味良くすることに留意してほしい。 息の素早いスピードと同時にブレスの素早さが要求される。 いずれも、Luで歌うと声質も滑らかで音程も良いが、開いた母音にすると 声がガサガサしてしまい、練習にならなかった。 どうもアの母音にすると、日本語のアになり、声帯がペタッと合い過ぎて 少し充血した声帯を余計酷使して、ガサガサチリチリしてしまうのではないかな? 当てた響き、声帯の合ったスピントな響きは、彼女のような声帯のデリケートなタイプは、 最初からやらない方が良いと思う。適度に開いたところから、徐々に 合わせて行くことを覚えた方が本当の良い、声帯の合った響きが 作って行けると思っている。 Luでの発声練習では、2点Cくらいから上は良いのだが、低音部の響きが低いし暗いので、 もっと上顎に当てること、軟口蓋を上げ鼻腔に響かすようにやってもらいたかった。 ところが、それに対して、お腹を使って声を出すことをしているので、こうなるんです、 という説明があった。そう言われちゃうと、何も言えないな〜。笑 ところで、発声なんだけど、一つのことで全てが上手く行くように練習をやるのはとても無理だ。 ある段階を経て、その上でまた違うことをやる、両者をバランスを取りながら 最終的にパーフェクトなものに仕上げていく、、ということを理解してほしい。 お腹を使うこと、ポジション、響きの高さ、それらを一遍に100点取るような 練習方法はない。 何かが欠けているから、まずそれをプラスに補い、、という段階を経て 真っ直ぐにして行く。 例えば、真っ直ぐに立っていない左に傾いた棒を真っ直ぐにするためには、 まず右側に同じ位傾かせることで、最終的に真っ直ぐにするようなものだ。 練習というのはそういうものだと思う。 みくりやさん 発声はいつもの彼女の声で、少しずつ少しずつ調子を上げていった。 可愛い声から、段々と響きを付けていく。 元々音程の良い声だけど、響き自体は低い。ここで言う響きとは 実際に例えば彼女の前に立つと、喉、あるいは口当たりから声が響いて いる感じといえば、分かるだろうか? もう少し顔の上半分から響いている感じを、特に中低音で作ってほしい。 今日はそのために、下顎を下げずに声を出す練習をした。 指をくわえて、練習。 鼻から上に響くような感じ。そして、2点Eくらいから響きが変ってくる。 これもすぐに口を開けないで、声を当てる場所を少し高くしていき 響きが出る場所を見つける。上手く行くと、共鳴が出るような開いた 響きが出る。この調節をいつも見つけてほしい。 この調子で、2点Aまでは、きちんと響いた声が確実に出せるようになってきた。 ただ、ここに来て調子が出るまでに少し時間を掛ける必要があるが。。 それでも、以前に比べるとずいぶんと理解してくれるようになってきた。 そして、いつのまにかブレスも結構長くなってきた。 革命的にある日突然上手くなる人をぼくは知らない。 大体が声は徐々に徐々に気が付かない内に上達しているものだ。 根気良く続けて来てようやく少し見えてきた感じかな。 曲は、プーランクのCe doux petit visage. フランス語を付けて声も発声練習でやった口をあまり開かずに響かせる 方法を使って歌えるようになった。 Rien que ce doux petit visageのce doux petitが音が低くなるが ここで響きを落さないように、高く当てた響きの同じ場所で歌いまわすこと。 同様に、Sur la jeteeの狭いエの母音も開かずに、鼻先に抜かすように 発音。 1ページの一番下、A la sortie de lVhiverの最後のエの母音。 これも口を開いてしまわずに、響く場所を探して、上手く抜ける ような感じにすると、音程も良くきれいに響く。 こうやって、口を開かないことで、響きを当てる場所というか うまく息と声が抜ける場所を見つけてそこに声を当てる息をあてる ということを忘れないように。 これらの発声を丹念にすることで、この曲のレガートが完璧に 出来るようになる。声を重く大げさに歌う必要は全然無い。 小さいけども豪華な宝飾品のような曲だから。 むらたさん 彼女の発声を聞いていて、良い響きが少し出ていることが感じられた。 それは、普通にアでやっていて、少し喉っぽかったけども、響きが顔の上に 出ている感じがしたからだ。 これを伸ばしてみようと思い、やはりLuで練習をしたらとても良かった。 息が楽に自由に声と共に伸びるのだ。 特に2点Dを過ぎて少しずつ下顎を開いてやってみると、響きが上に当たって かつ、息も流れている良い高音が出せていた。少なくとも2点Gまでは バッチリだ。今はこれで充分だと思う。 ここから、少しずつ開いてアのように聞こえる母音を練習した。 彼女、なかなか勘が良くてこの下顎をやたらと動かさない発声を すぐに会得して、曲にも応用出来ていた。 Caro mio ben最初は、Luで練習し、次に狭いLaで練習し最後に 言葉を付けた。 今までで一番良い出来であった。今日で上がりとなった。 良かった良かった。良いこと尽くめである。 まあ、長い期間休んでいたけども、積重ねたことは無駄ではなかった。 これで完璧に良いわけではない。ただ、今の時点では無理をせず、この 狭い口で響きを高く細く作ることを徹底し、これが確実になってから もう少し太く、声量を増していくようにすれば良いだろう。 きのしたさん 彼女の声は、全体に息漏れが多いというか、規則的で、特に発声の スケールの練習ドレミファソなどは、一つ一つをハハハハとやってしまう。 最初に出した声をそのままつなげて息で伸ばして行くようにすることを 大事にしてほしい。 それから、例えばみなに教えているように狭い口で響きを高く 集めるように言っても、どうしても口を下に、縦に開く傾向が 強い。 これは、逆にみなに言えることだけど、縦に開くのが悪いのではなく 響きが上顎に集められていない内に、縦に開いてしまうと、響きが 落ちて、低い喉っぽい響きになってしまうこと。 特に低音は、これをやると、響きは太くなるが、高く響かないので 潜った、通らない響きになってしまう。 これは効率が悪いし、喉にも良くない。 多分合唱団にいると、他の響きの無い子、浅い響きのこの声と 一緒だから、響きを深くするために、そういうある程度偏った ことを要求されるのだと思う。 合唱で歌うことの難しさである。 一人一人ではなく、全体で判断されてしまうのだ。 曲は、ヘンデルのメサイアからI know that my redeemer liveth 歌い出しから、上記の発声で歌うので、どう言う声になりたいの? と聞いたら、本人はソプラノらしい明るい細い声が良いとのこと。 意外に思ったら、先生に要求されるし、一番前に立っていると、 言われたことをやらないわけに行かない、だから癖になるのだ、とのこと。 というわけで、まずは、お腹の力みを取ること。 何もせずに声を平たくてもべたーでも良いから、楽に高く 声を当てるように、といってやらせたら、実に丁度良い響きになった。 前も書いたけどもやはりお腹を下に踏ん張って、力んでいたというわけである。 力まずに、まずはお腹など無いかのように、むしろ喉だけで楽に 歌うということも、ある段階では矯正のためには良いという見本である。 それだけで、丁度良い具合になる。 後は、フレーズの中で高音に飛ぶ場合や、長い音符を伸ばす時など、必要最低限の場所だけで お腹を使えば充分である。 このやりかたで、次回もやってほしい。 よしおかさん 発声は、徹底してLuでやって、狭い口で高く細く響きを作る練習をした。 何度も言っているけども、音程が変っても同じ場所で響かせることを 忘れないように。 Luの発声は、低音から始めると、やや響きが落ちてしまう。 やや高い2点Cくらいから降りて行くと、低音も響きが落ちないで 良い響きになるようだ。といえば、低音の出し方が分かるだろうか? 響きを喉に落さない、ということは、チェンジさせて地声っぽくならない ように充分注意すること。鼻根の辺りに響きを集めるだけで良い。 声を押したり、声量を増そうとしない方が低音部は良い。 ただ、ある程度響きが乗ってきたら、お腹を使って息をその鼻根辺りに 送るようにフレーズして歌うことは忘れないように。 高くなってきたら、徐々に下顎を開いて行き、声を前に集めるように してほしい。このやりかたで、2点Gまではしっかりと前に響かせる ことが出来ると思う。まだ、高音が逃げてしまう傾向にあるが 中音部から中高音、2点Fくらいまでは、とても良い響きになった。 むらたさんと同様に、今はこの発声だけに集中してほしい。 これが、習い性にになってから、声をもう少し太く、力強くするための 方法を足して行けば良いと思う。 曲は18世紀のシャンソンBergerette ほとんどフランス語の発音の勉強をした。 大人になってからの語学の練習、特に読みは、理屈を覚えてほしい。 子音に挟まれたEとアクサンが付いたEはほとんどがエと読むこと、 語尾のEは、これもほとんどがあいまい母音。 などなど、http://www.musicac.org/france/etudier/yomikata.htm を読んで復習してほしい。 後は、フランス語の詩の脚韻や、韻を踏んだ語尾の用法などを教えた。 何度も何度も読んで、諳んじて読めるようになってほしい。 先に進まずに、まずは今やっていることを覚えて、すらすらと 読めれば、そこから先に進むのが容易になると思うから。




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