2002年1月前半レッスンノート

レッスンノート目次
1月5日 | 1月6日 | 1月7日 | 1月8日 | 1月10日 | 1月11日 | 1月13日 | 1月14日 | 1月15日|
1月17日 | 1月18日 | 1月19日 | 1月20日
1月20日

よしおかさん。きょうの中で一番大事なことは、下あごを前に出さないこと。彼女は下あごを前に出してそこで声を支えようとしてしまう。それと、声のポジションがまだ浮つき気味。どうもあごの使い方と姿勢、お腹の使い方、などなど絡んでいて、難しさがある。どこかで何かが止まってしまっている感じなのだ。。まず、発声の下降型では、一番下の音が上ずる。喉が開いてないのだろう。下に降りるに連れあるいは、上に上がるつれ、口をもっと柔軟に使って、喉を開くことと、軟口蓋を上げることに神経を注いでみて欲しい。ただ、ここで問題なのは、下顎の使い方。どうしても下顎を前に出したがる。ということで、他のことは捨てて、とにかく下顎を前に出さない。後ろにひくように開けることだけを憶えて欲しい。曲は、Intorno allidol mio..今は表現や音楽のことよりもひたすら、発声。曲を歌う中で発声をどう応用していくか?なおざりにせずに、徹底してやっていきたいのだ、当分同じ曲で勉強していきたいと思っている。

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1月19日

なかがわさん。彼女の声のもっとも難しいところは、中音から低音にかけての声のポジションの高さ。
喉が開かないし、声のポジションが高すぎるのだ。喉の下をしっかりと開いて深いところで声を鳴らすこつを早く覚えてほしい、。それには、ブレスを気をつけること。彼女もブレスが浅い。胸の高いところで吸ってしまう感じがある。姿勢を良くして、お腹の横隔膜だけを軽く広げるようにして、喉の一番下を鳴らすようにいつもいつも注意してほしい。非常に微妙な感覚だけど、とても大事なこと。歌になってもまだまだ声質にばらつきがあることに気づいているかな?エの母音や時としてアなどの母音が浅くなって不用意な声を出してしまう。モーツアルトの「夕べの想い」をやった。これは中音部がとても大切だが今のままでは、中音部がまったく不十分。声量、声質、そして粒の揃った声質。このような中音部を多く使った曲でもう少し声が出るようにしたい。後は、モーツアルトのオペラコシファントゥッテからデスピーナのアリアをさらう。譜読みで留まった。

たにぐちさん。
発声では、やや喉の締まりが見えたので、喉を良く開くこと、あくびをする感じを教えた。彼女は月2回だけど、少ないだけに来た時に憶えたことは確実に憶えてくる。これは良いことだ。今回、教えた中で、一番効果があったのが、五線の上の高音領域のフレーズの声の出し方。口を指をくわえてお腹でしっかり支えて声を出す。うまいところに入ると、共鳴がついた良い声が出た。きょうの収穫だろう。

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1月18日

ちばはらさん。発声では、喉、軟口蓋を開けて声のポジションを高くしないで歌う方法を練習した。喉に頼り過ぎる傾向があるからだ。これが案に相違して上手く行った。声のポジションがとても落ち着いている。ただし、5線から上はあまり練習しなかった。とにかく中音部で徹底的にこの体の使い方を覚えてほしかったから。曲は、アマリッリ。最初は中声ようでやる。とても良かった。まだ声に無駄なビブラートというか、揺れがあるが、基本的な声のポジションがとても低くなって、落ち着いた男らしい声になった。調子を良くして高声用でやってみたが、どうにかなる。喉声をなんとか避けて歌える感じはある。気をつけないと、まだ喉が締まる。こうして合唱のテナーといっても、ソロで勉強すれば彼には彼の声があることが、よくわかる。問題は合唱団の中でどうやって、同じような声質に持っていくかどうかだろう。

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1月17日

さたけさん。彼女の発声練習は、必要充分なことを満たして出来るようになってきている。教えた通りにきちんと出来るようになった。長足の進歩である。後は、応用して言葉がついたとき、フレーズの様々な対応、そして音色の使い分けを覚えてほしい。発声練習はフレーズの最低限度、旋律のもっともシンプルな単位である。声を暖める意味もあるが、歌を歌うために必要な体の使い方をこの発声練習で確認できることが、大切である。発声の意味を本人が確認して理解し、実際に出来ることが一つの技術の会得といっても良い。
曲は、Per la gloria d'adorarvi..前回よりも良い。バロック風な同じテーマの繰り返しを声の音色音量の使い分けで並立するスタイルは声楽の練習にピッタリだ。喉を良く開き軟口蓋を高く上げて柔らかい音色で歌う場合、口を閉じ気味にし、声を前にしっかりと当てる強い声。これらの使い分けに習熟してほしい。発音では、ウとイの母音がおかしい。ウの母音は唇をしっかり前に突き出すよう。イも同様だが、口を横に引かないように。

みくりやさん。発声で基本的なことをやった。ブレス時の胸を上げる癖をなくすこと。息を吸うことをあまり意識せず、吐くことを覚える。その際にお腹を使うこと。それを応用して声を出すこと。もっとも基本的なことだが、ここが彼女には難しい。せめてお腹を使ってしっかりと息を吐くだけでも出来れば良いのだがお腹がどうも使えない。息を一杯吸って吐き出す分だけそのまま声を出す癖がなかなか抜けない。これでは、ブレスも持たないし声のコントロールが利かないのだ。しばらくはこの基本的なことをしっかりとやらないと駄目だろう。フォーレのレクイエムの曲もなんとか歌えるが、ブレスがあまりにも短すぎる。これからは、発声を徹底的に教えよう。

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1月15日

あめくさん。発声練習は、大分滑らかに明るい声で出来るようになった。最初があまりに重くし過ぎたので今度は軽い感じがする。その代わり、高音は楽に出るようになっている。3点Cまで出した。実際の曲になると、低音が弱くなる。曲の中では下の地声に落して歌ったり、チェンジしたりを混ぜながら声の調節を覚えて行くのが良いだろう。中高音の長い音符はお腹の使えた良い声が出るようになっている。今日も確認したが、ちょっとチェックを怠るとお腹を使うことを怠けてしまうようだ。これを怠ると結局何もならない。体を使って疲れる作業だけど基本中の基本だから、必ず忘れないように。。


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1月14日

まえもとさん。発声を始めて気になったのは、口の開け方とあご。彼女は美声の持主だがちょっと声がこもって暗い。横に回って仔細に観察すると、下あごを開き過ぎる傾向があるのと、声を出す瞬間に、あごと首が前に出る。そのため、胸や首にまで微妙に力が入っている。首とあごで声を出している感じだ。ドレミの短いフレーズで口を開かない母音、、、たとえばあいまいなアとかウなどでやってみる。あごを押してやると、声に芯が出て、上顎に響く声質になる。彼女は中音部が息漏れのある声なのでこの辺りが、息漏れをなくすコツだろう。ただ、ブレスも悪い。胸で吸ってしまい、首や胸に無駄な力が入っている。ブレスは息を吸おうとせずに、軽くお腹を開くだけ。声を出すきっかけはお腹の軽い動きで。これを会得するのに時間がかかるが、毎回意識してほしい。背中を平らな壁につけて首の後ろも付けるようにして、首の位置の矯正もやってほしい。声を出すときに首、頭部を絶対に動かさずにお腹の一撃だけで出すこと。これらを徹底していくことを、これから大事にすること。
曲は、カロミオベンから。とにかくお腹を固くするあまり、声に変なビブラートがつくのを直した。簡単にいえば声をまっすぐにしようと思うだけで良い。実際、これだけできれいなまっすぐな声になった。力を入れ過ぎないこと。彼女曰く。。こんなに楽に声を出せるとは思わなかった。。と。響きがあれば、力は要らないと思う。母音だけと、オの母音が狭くなる傾向にある。アの口で頬を締めるようにして出すと丁度良い明るいオの母音になる。最後に、シューベルトの音楽に寄す。。をやる。彼女にはちと音域が低いと思うがともかくドイツリートは彼女の声には合っていると思う。

さわださん。いつものことだが、発声練習の始めは調子が出ない。喉、軟口蓋の準備が悪い。そろそろ口の開け方や喉の状態をブレスの準備ですぐに決められるようになってほしい。ある程度やっていくと出来るようになるのだが、来る度ごとにやり直すようではいけないな。。上顎を上げる意識によって軟口蓋を上げることが出来るから、いつも意識してほしい。そして、上を意識しても喉の開きを忘れないように。しばらく声を暖めると高い方まで調子良く出せるようになった。3点Cまで軽く出るようになった。以前は重い声を作っていたが、高音が出ないから声のチェンジを意識してもらうように下のだ。ただ、もっと軽いきれいな高音が出せると思う。軽いというか、声帯の良く開いた声である。まだやや喉に依存した響きが残っている。
曲は、日本歌曲から。荒城の月は、前回注意したことはほぼ直っている。んのハミングはもう少し口を開いて響かせること。イの母音がまだ浅くて他の母音と響きに段がついてしまうことが気になった。
山田耕筰のペチカ。これも大体聞ける音楽にはなっていた。5番まであるこの歌詞をどうやって表現するかは至難の技だが、すくなくとも、毎回出てくる「雪」「楽しいペチカ」などの言葉のイメージをたくさん持つこと。春を待ちわびる明るさ、楽しさを基本に持って歌ってほしい。最後にプッチーニの「ボエーム」から「私の名はミミ」をやる。まだ譜読み途上である。イタリア語を付ける前にリズムが問題であった。基本的なリズムの読み方を徹底すること。ピアノ伴奏が付くと惑わされてしまう。4拍子なら手で叩きながら、そのなかできっちりと歌う練習をして来てほしい。


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1月13日

こぬまさん。発声では、特に上向形の時に声のアタックの口の開き方を注意。最初から口を開き過ぎるために中音部の鳴りが悪くなること。すかすかしてしまう。総じてあごの使い方が固いこと。ドレミファソ〜と歌う際に、最初は口を閉じ気味にして高音に行くに従って、口を開いて行く。あごは下に下げずに引くようにして開けること。曲は、ちょっとしたコンサートでソロを歌うというので、ドナウディのFreschi luoghi prati aulenti..を与えた。譜読みしたばかりだが、そこそこ無理なく歌うところはさすが。しかし、発声のことと関係して音楽がもう一つ。それは、フレーズの終わりが音楽が進めなくなって遅くなってしまう。それから、発音が下あごをパクパクさせてしまうこと。そのため、言葉さばきと音楽の優雅な軽やかさが特徴のこの曲が、もっさりとした印象を与えてしまう原因ではないか?鉛筆をくわえて口を開かない声の出し方を練習してほしい。声としては、喉の開きが少し弱い、というか喉の位置がもう一つ高い感じがした。首から上、口先だけで声が出ている感じ。もう少し体を使った声が聞きたい。これは、すぐには直らないから音楽をゆるめずに積極的に歌い込んでいく集中を取りあえず身に付けてほしい。出来るだけ、暗譜することだと思う。

ゆきえさん。久しぶりだったが、発声練習は調子が良かった。2点Eくらいからチェンジが始るところを変えないで声帯をしっかり合わせる彼女特有の歌唱法は、変らないがこれはこれで、スムーズに上まで行ければそれでも良いかな。。という気になる。以前ほど、無理が感じられないし。不愉快な響きでもない。彼女が自分で開拓したい、というクラシックとポップが融合した音楽を歌にするためには、完全にアカデミックなものでなくても良いと思う。要するに美しければ良いのだ。ただ、この声の出し方だともっと高い3点Cからの音域につなげるのが無理だと思う。きょう、初めて聞いた声だけどフラジオレットのような鳴らないけども、笛のような軽い声も少し練習していつでも出せるようにしておけば、本当の高音域が出し易くなるのではないかな?
曲は、O mio babbino caro,,音楽的にもとてもスムーズで上手く歌えるようになった。フレーズの高音は広げるように、明るく出してほしい。2点E以上の声を出すために、特有の口の使い方があるが、そのためにやや暗い音程の低めの声になりがちなので、上顎も開けるような口の開き方を心がけてほしい。もちろん、お腹をしっかり使って。グノーのロメオとジュリエットと、カルメンのハバネラを与えた。フランス語はなるべくカナを振らないで発音記号を読めるようになってほしい。

よしおかさん。発声の始まりに力がなく声帯が高い。それで、しっかりとお腹から出すイメージを持ってもらう。声を出すポイントが高いために、喉声になってしまう。横隔膜の緊張を作ることと声を出すことがリンクするために、腰、お腹、など低いポイントをイメージして声を出すこと。フレーズで高く上る際には、イメージは逆に下に向かって行くことを大事に。ブレスではお腹を開いて、声を出したら更にお腹を開いて、落さないように。そして、中低音部では声帯の鳴り方が分厚いために、音程を上げる際には、軟口蓋を高くするように口を開いていかないと、音程がはまらないことを分かってほしい。そのためにも口を柔軟に開けていくようにしてほしい。これが、簡単なようで、なかなか難しいこと。出来ないことは悪いことではない。ただ、いつもいつも忘れないようにしてほしい。もう一つは気を付けないと声を低くイメージさせるために、下あごを下げて、下あごで声を支えてしまうこと。これは良くない。
今日は、高い声はあえて、やらなかった。下の1点Cくらいから、2点Esくらいまで。ともかく今日やった声はで上手く行ったから、この音域内だけは、忘れないでほしい。
曲は、Intorono all'idol mio..さすがに発声が上手く行っただけあって、大分落ち着いた声になってきた。良かった!細かいフレーズの上がりで、声が喉声になってしまうのは、その前の音の時にお腹を開く準備が出来ていないため。気が付いたら出しちゃった!では駄目なのだ。しかし、全体に声のポジションが低く定まったので良い状態になれたと思う。この調子を持続してほしい。

あゆみさん。発声は、声が比較的前に出て良く響いていた。中高音部はもっと意識して前に出すこと。特に彼女の場合1点Cくらいから上が声のチェンジが早いため、この辺りから上は前に出すよう意識すること。そして、2点E以上は今日はあまりやらなかったが、今度は口を開いてもっと吐くように喉を開いてお腹を使って出すこと。Tu mancavi tormentarmi..は全体にそつなく歌えるのだが、この曲特有のドラマティックな声の表現までには至らない。声が集まらないこと、息の力が弱い感じがすること。声がうまく鳴らない集まらないために、ブレスが持たないこと。これらの相乗作用で、力のこもった歌唱にならない。お腹をしっかり使うことだけど、背中を意識して胸に向かって息を当てるようにしっかりと声を出すこと。難しいけども、腰が中に入り過ぎると、逆に腰や背中から胸にかけての力が使えないと思う。彼女は頭声というか、仮声区の声にすぐなってしまうために、声帯の分厚い一番しっかりしたところが使えない傾向にある。それを矯正したいため、なるべく声を頭に響かせずに胸に当てるように意識した方が良いと思うのだ。これは、開発途上のやりかたである。人によっても違う。もっと簡単に言えば、声が出ている場所は、口から上よりも、胸や胴体で歌う・という感覚を持つべきた、といえば分かるだろうか?Sebben crudeleやLasciar d'amarti..などもきれいに歌えていたが、中音部の声が音程が下がり気味になる。鼻声(ハミング)から母音に瞬時に変える練習をしてみた。この練習は、軟口蓋を下げないようにするための練習。これを練習したら、中音部は比較的声が集まるようになった。本人は一生懸命やっていることは良く分かるけど、なかなか時間がかかるので、歯がゆいだろう。ともかく、今は、あまり高い音域よりも、中音部でお腹、腰、声の出し所背中腰から胸にかけて当てるような感覚でしっかりした声を出せるように目指していきたい。


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1月11日

みくりやさん。発声練習で、少しお腹の使い方と姿勢について詳しくやった。初めてのことではないが大事なことなので何度も分かるまでやらなければいけないと思った。お腹は中に入れるようにして声を出すこと。中に入れるというよりも、下腹部を上の胃の方に向けて締めるような感じでやると良い。声を出して音楽を進めて行く推進力として、ということは、音楽のリズムも含めてお腹(横隔膜)が動いて成立すること。ドレミの簡単な上向形のフレーズでなるべくお腹だけで歌う練習をした。それから軟口蓋を上げて、上顎部に声を響かせる練習。まず、ン〜と口を開けたハミングを練習。それから、ハミングから母音に変える練習。この場合は口の開け具合も大事。次に姿勢。首の張り。壁に背中をつけて立って、首、後頭部が壁に付くようにしてやってみる。以上の3点を徹底的に覚えていつも実行してほしい。曲は、フォーレのレクイエムからPie jesu..彼女の場合以上の発声の問題と絡めてブレスが足りずに、フレーズを歌いきることが難しい。これは、ブレスの問題。息が胸に入るばかりで、お腹の横隔膜を開くことにつながっていない。胸が上がってしまう状態。このため、喉頭器官が緊張を強いられること、結果として声帯がうまく機能できないために声帯がきれいに合わない息漏れの多い声になる、そしてブレスが持たない。。という悪循環になるのだと思う。何よりも胸が上がらないで、楽な自然なブレスが出来るような練習をしてほしい。お腹の横隔膜を全体に広げるように。そして、その横隔膜を刺激することで、声が出る、ということを見つけてほしい。発声でやったように、下腹部を上に締め上げる感じでも良いけど、これは、どちらかというと声の出し始めに有効だと思う。フレーズの途中で音程を上げる場合は、側腹を張り出すような使い方も試してほしい。
これからは、これら、同じことの繰り返しの練習で嫌になるかもしれないけど、これがクリア出来ると本当の声楽の楽しみが分かると思うから、何とか頑張ってほしいな。フォーレの「夢の後に」を課題に与えた。

あめくさん。発声では今までぼくが言って来たことが良く分かってきたようで、とても良かった。中低音部の声を出す際に、あごを固くして喉を下げた固く暗い声だったのが、口の開け方が自然になって、明るい、前に響く声が出ていた。これは、チェンジした声。上向形の場合、声の出し始めはあまり口を開き過ぎずに自然な口の状態から、上に昇るに連れて、上顎を上げるようにして口を開くと、軟口蓋が上がった、自然な明るい響きになる。このやりかたで、発声を高い方までやったが、3点Cまで難なく楽に行けたのは驚いた。来たばかりの頃に比べてその点でとても良くなっていると思う。お腹も良く使えている。ただ、曲になった際に、母音によって響きが変わり易いこと、特にエの母音がどうしても浅くなってしまう。この辺が課題かな、、と思った。これはどうしてだろう?喉頭も上がってしまうようだ。今度から、同度で母音の違いを練習することもやってみようか?この問題は、Se tu della mia morteよりも、最後に復習したSebben crudele..で感じた。前者の曲は大分良く歌えるようになったと思う。言葉によってレガートが切れること、所々、母音によって響きが浅くなってしまうことなどが問題であったが、気を付ければすぐ直る。ただ、確かに中低音は鳴りにくい。地声の練習と含めてもう少し鳴るポイントも見つけなければならないだろう。彼女は譜読み自体は早いので、曲を多くやるよりも同じ曲を繰り返しやりながら、問題点をクリアしていく方法を取ってみようと思う。ただ、今の声でシューベルトなど、ドイツリートも聞いてみたいので、シューベルトの楽譜を買って見てほしい。


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1月10日

たにさん。発声を聞いていて思ったのは、声を出すときに喉で調子を見ているな。。ということ。これはなかなか難しいけど、発声練習の際にはなおのこと、お腹を使って声を出すことに留意してほしい。
特に声のアタック、声の出し始めでは癖になるまでお腹をしっかり入れて息をしっかり送る癖をつけてほしい。喉先で軽く出さないほうが良いと思う。そして、喉の状態として喉周辺やあごの下に力が入らないような首の姿勢、あごの引き具合を探してほしい。首の後ろは張りを持たせて、壁にぴたっと背中や首の後ろ後頭部を付けるように立ってみると、良く分かると思う。
というのも、曲を歌ってみると、上のチェンジの声だとどうしても声がすかすかで、喉が高い感じがする。要するに喉が開かない。かといって、声帯が合うという感じもない。どうも声帯(喉頭)の位置決めと息の送りが弱いのだ。で、下の声と思われている声でやると、声帯が合うのだが高くなると舌根に力が入って野太くなってしまう。姿勢を見ると、高い声を出す際にあごが前に出てしまう。そして、舌根を下に押し下げて喉頭を下げている。このやりかただと、やはり無理がある。喉頭は下げることも必要だし上げることも必要。ブレスの時点で、ある程度下がるポイントを維持して、歌う際には、ある程度喉頭の位置の自由さも確保しなければならない。無理矢理下げたら下げっぱなしでもいけないのだ。
ちょっと難しいが、そんな状態を作るためには喉周辺で声帯、喉頭を下げるのではなくて首の後ろに張りをもたせて、真っ直ぐな状態を作る。あごをある程度引いておく。それだけで良いと思う。あとはお腹の入れ方で声が自然に決まる。お腹が声を出すエネルギーのエンジンだと思えば良い。
今の曲は音域が丁度低いところから高いところまで適度な広さがあるから、練習には恰好だと思う。長い音符の際にクレッシェンドするために、お腹をしっかり使うこと。なるべく、下の声の出し方で全体を見通すことを忘れないで。最高音を出す際には、軽く出さないでしっかりと体を使って喉を良く開けて出すように。


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1月8日

さたけさん。発声は調子が良い。ただ、音程差が出てくると、お腹の使い方が弱いのと下降の際のお腹の支えが弱い。たとえば、ドミソ。。なら良いが、ドミソドとオクターブになってくると、きつそうだ。
特に下降の際ドソミドで、お腹がゆるんでしまう。あと、あごを下に下げるだけなので、やや音質が暗いのとややもすると、音程がフラット気味になる。頬を上げること、口をもう少し横開き気味にするほうが彼女の場合は良いと思った。
曲は、イタリア古典のPer lagloria..小さな音程差でレガートに歌う場所がどうも切れてしまう。音程が上がる際に首を動かしてしまう。身体も全体に上がろうとしてしまう。音程を上げる際に身体や顔を動かしてしまうのは禁物。絶対に動かさないこと。音程はお腹で締めることと、顔面に当てるように意識することで行けると思う。
それと、音量の違い。この曲の場合、Mfの始まりと、次の同じフレーズの繰り返しによる、Pの表現、前回も書いた通り、喉の開き具合と、声の当てる場所の違いで表現すると思ってほしい。音量を小さくするのではなく、声質を変えると思ったほうが良いだろう。
新しい曲を持ってきた。Bocca bella。。声を回すやや長めの曲。難しいけども健闘している。良く勉強をする積極的な姿勢を買いたい。丁寧に、ゆっくりと音程の違いや装飾音、リズムを見て来てほしい。


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1月7日

どうも正月明けの月曜日は疲労困ぱい。。ノート止めようかと思ったけど、少しかいておく。

さわださん。風邪気味らしいが、調子は良かった。彼女は声の暖まりが悪いけど、それにしても中音部の軟口蓋の上がり方、お腹の使い方が弱く、声が喉っぽい。もっと軟口蓋を上げてそこに響かすように声をアタックしてほしい。後は特になし。
日本歌曲は荒城の月から。きれいな声だが、言葉で旋律が途切れ勝ち。それと、が。。の鼻濁音が上手く行ってない。気を付けてほしい。長唄のように歌うんですね?と言われた。うまいことを言うなと思った。笑
まさに、母音で旋律をつないでいくことを主眼にして子音で歌わないほうが良いと思う、それでも充分に言葉が分かるから。この曲はシンプルなフレーズで旋律の美しさを強調したほうが良い曲だから。
山田耕筰のペチカは、難しい。出だしの雪の降る夜の「ゆ」の入り方。響き。それと、お腹で歌うことが大切で、音符を追った歌い方では駄目。お腹で歌うというのは、お腹の筋肉(横隔膜)の伸縮でフレージングしてリズム感が決まってほしいということ。フレーズの終わりを次の小節の頭まで伸ばしてピアノの出だしにバトンタッチしてほしい。曲は、新たに蝶々婦人のアリアと、ミミのアリア、などをやってみることにした。

にしさん。発声を始めるも、やはり喉で歌っている感が取れない。あごを浮かして喉で歌っている。これを少々無理矢理矯正してみた。何よりもお腹を徹底的に使うことで喉を忘れること。喉は楽な状態を保つことで逆に喉を使って歌ってしまう。そのためもあるし、喉の位置を保つためには何度も書いているようにあごをひいて、喉頭が上がらない状態を作る。このことで、舌根やあごを固くしない体勢にもなれるから。喉を使う意識は癖になると並大抵なことでは直らない。お腹を使って息をしっかり送ることで自然に声帯が鳴るような感じでやってみてほしい。声帯で出来た響きは口から出るのではなく上顎、鼻根に向けて通るような感じ。発声では結構良い感じで出来ていた。シンプルなやりかただから発声だけでも練習して見てほしい。
曲は、イタリア古典歌曲集からTu lo sai..これは、難しい。のっけから彼が一番苦手な狭母音。特にウの母音の高い音だ。声を出すときに、習慣的に喉頭を動かす癖が抜けないために、喉頭の良い状態がまったく作れない状態。声が出なくても、喉頭をもっと後ろに引いた感じで出す練習が出来ると良いが、そのためには首の後ろに向けて声を出す感じ。最初から強い声でやらずに、ただし、喉が上がらないように。頭も喉も絶対に動かさないようにやってみてほしい。この練習はかなり時間がかかるけど、少しずつやっていけば、必ず出来るようになると思う。今日は最終的には開いた形でどうにか歌ってみた。お腹を使って響きを上に上げるように。


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1月6日

なかがわさん。発声でいつものことだけど、最初に低音から始めると声が上ずり気味。この際もう一度お腹を使って声を出す練習をしてみた。まずブレス時に胸で息をする癖を直す。喉で息を吸う音をさせないで、お腹を開くだけにする。息を一生懸命吸う必要はあまりないと思ってほしい。それよりも横隔膜が声を出す準備が出来る状態をブレスの際に作ることが大切。息は嫌でも自然に入るから気にする必要はないのだ。声はお腹、前下腹を中に入れるきっかけで出す。首をまっすぐに前に出さずにあごを引く。これだけを注意してやると、うまく行った時に声が上ずらない。彼女は声帯を高くしないために、あごを下げてややあごに力を入れる癖があるが、これもあまり良くない。あごにはあまり力を入れないで自然な状態が良いと思う。声自体はわずかに鳴りが良くなるくらいだけど、何よりも中低音部の音程が上ずらないことが良いことだ。お腹がキッカケで声が出ることを徹底的に覚えてほしい。
実際に曲で歌ってみると、これだけのことがなかなか難しい。下腹部にいつも緊張感があることが、横隔膜の適度な緊張感には大事だ。いつも下腹部が少し中に入っているような感覚でいれば良い。
そして、フレーズの中では常にお腹が中に入っていくように、音程差があるときには強く、同度で低い音域で歌っている時も同様にお腹をしっかりと使ってほしい。それから、音楽の中で歌い出しのきっかけ。特に低音部は声が出難いせいもあるけど、入りがやや遅くなる。これは、子音の扱いが弱かったり出来ていなかったりもある。子音のきっかけは微妙に早く処理しないと母音のタイミングが遅かったりする。声が出ないとこれはなおのこと目立つから。勉強することはまだまだいくらでもある。でも、きょうはとにかくお腹を使うこと、その準備のことをしっかり覚えておいてほしい。

よしおかさん。
発声を聞いたら意外と声が良く出ていた。休み明けのせいか、疲れが取れているのだろう。音程が時として悪くなったけど、やり直すと直ったので意識はあるのだろう。フレーズ全体の響きを同じように、あるいは同じ場所で響かすようにすること。後は、なかがわさんと同様に、お腹をしっかり使ってほしい。お腹の動きを見ると、まだまだ弱い。また、下半身が弱いように見えた。背中、特に腰の辺りがしっかりしていれば、もっと下腹部の筋肉が使えると思うのだが、どうもその辺りが弱いように見える。使い慣れるまでは使い過ぎるくらい使ってほしい。高音、とくに2点E以上の声が細くなって弱いので、しっかりと喉を開けること、そのタイミングとお腹をしっかり使うことがリンクできていない。物を吐くようにしっかりと口を開いて喉を開ける、おなかをつかうという一連のことを忘れないでほしい。中音部でもそうだが、すぐに喉声になってしまう。喉の開きとお腹から声を出すこと。これだけをしっかりと早いうちに見に付けてほしい。これは結構腰を使うことになるので、腰が弱いと良い効果が出ないことは覚えておいてほしい。曲は、Intorno al'idol mio..今日は歌をやるよりもイタリア語を徹底的に読んだ。
少ない言葉数なので、言葉を早くすらすらと読めること、イタリア語といえども言葉の語感を早く身に付けることを薦めたい。要は言葉を早く覚えてしまってほしい。長い音符の時にしっかりとお腹を入れて息を流すこと。ラララで歌うと声はしっかりと出るのだが、イタリア語になると、まだまだ喉声で歌ってしまうから。母音による響きの違いをなるべくなくしてほしい。特にイとエの母音が浅く聞きづらい響きになってしまう。まだまだこれからの勉強が必要だ。頑張ってほしい。


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1月5日

こぬまさん。2002年最初の初レッスン。良い声が出ているけど発声練習で気になったのは、下降形で声のアタックがやや強いこと、その割りに尻すぼみの声になる。中音域なので低い声、中音域の声が出ないせいもあるが、フレーズの最後に一番エネルギーが出るようにお腹を使うことを教えた。あるいは、イメージの持ち方として声を真っ直ぐ前に遠くに向かってフレーズを伸ばしていくような感じ。下降形の場合、最後の低い音に向かって段々と音程が低くなるというか、響きも落ちていく傾向がややみられたからだ。後は首の座り。まだあごが前に出ているせいか、喉が安定しない。どうも中音域では喉を浮かせ気味になるために、チェンジしたりしなかったり、不安定になる。しっかりあごを引いて、喉が安定するような姿勢にしたほうが良い。これは、曲でもそうだった。曲はトスティの二曲。近々ソロで歌う機会があるらしいが、どうも彼女のような柔らかいソプラノには、合わない気がする。ドナウディのFreschi luoghi aurenti..を薦めた。音域もトスティはやや低い。元来テノールのために書かれている。。と思われるのは、中音域が多く、その辺りの声の艶とか強さが要求されるからだ。発音だが、やはり、口を横に引く癖が取れない。このために、響きが浅くなったり、母音や音程差によって、響きが変ってしまう。日本語には、良い場合もあるけど、基本的に、口を横に引かないでアーティキュレーションする発声を見に付けてほしい。それで、声質が安定できるようだったら後は自由に口の開きは使っても良いと思う。

たにさん。発声でやったことは、下の地声領域。。(正確には地声ではなく、中声域)から頭声に切り替える練習。最初しばらく中声で上がり下がりした後、上に昇りながら、自然に頭声に変えるように練習してみた。発声ではそれほど問題もないが、中音域がやはり不安定。これは後に出るが、歌の場合も頭声に切り替えてからの声質の落とし所が安定しないからだと思う。彼女の場合、頭声域になると、途端に喉が締まって、痩せた響きになりがち。確かに頭声という以上、喉を開く必要がないようなところもあるけど、そうすると響きが細すぎて痩せてしまう、やや聞き苦しい響きになる。ただ、喉を開くだけだと、今度は声帯が合わずに、響きが出なくなりがち。この二つの違った問題をどう処理するか?が難しいようだ。喉を開くには下あごを下げて、開きを促す。声帯を合わせるためにはどちらかといえば、口をあまり開かないほうが良い。この練習をするために、中音域、1点bくらいでイの母音で声を作ってみた。口を横に開くと喉が上がり締まるので、口は丸くする。その状態でうまく出たイの響きは、胸にもやや響く太さのある響き。これを確立してから、エそしてアと同じ響きを保って母 音を広くしていく。エは良いが、アになると、やや響きが抜けてしまうのは、口を横に開く傾向があるからだ。胸の響きを変えないで、響きを前に押すようにしてアの母音にすると、うまく行くと思う。まだ強い声までは行かないが、響きのついたアの母音が出ている。中音の一番不安定なところでこのアの母音がいつでも出せるように練習してほしい。口の開きだけど、声のアタックの時から開けずに、狭い口でアタックしてから口を開けば、声帯の合わせも良く良い響きになる。今やっているモーツアルトの"Giunse alfin il momento"では、最初ラララで声の響きの練習をしてから、言葉をつけてみた。この曲は上向形が多いが、どちらかといえば、上に向かってクレッシェンドするようなフレージング感を基本に考えてほしい。それと、お腹をしっかり使った弦を弓でしっかりボーイングするようなレガートなフレーズを心がけてほしい。最後の2点Aが出るフレーズは、高音が頭声でも、しっかりと喉を開いて吐くように、お腹をしっかり入れて出すこと。声を出してから開いても駄目。思い切りが必要。声帯の合わせと喉の開き(喉の下がり)の関係が少し分かってきたみたい。



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