2002年1月後半レッスンノート

レッスンノート目次
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1月30日

さぶりさん。
発声を始めて聞こえてきた声は、以前と変らぬさぶりさんの声。どうも声帯が良く合って、しっかりと良く鳴る声だと思う。思うけども、美しい響きというのとは、違うような気がした。近鳴りする声と言うのか、声帯の鳴る音が直接聞こえて来るような感じ。もう一つ喉が開いてないと思うし、軟口蓋が上がって、きれいな頭声がミックスしていないと思う。悪い言方だけど、確かにデカイ声だと思う。あくびの形、Ngaの練習などをして、軟口蓋を上げること、喉を開くことを練習した。彼自身がまだ慣れないせいか、もう一つだけど、ぼくはこの方が良いと思った。響きが少し後ろに行く感じだけども、元来バリトンやバスというのは、こういう響き方をするものだと思う。もう一つは声質がノーブルになるということ。彼は、自身の直感でこういう声は作られた声だという気がする。。と言っていた。確かにそう。西洋音楽で使う声楽の嗜好というのは、向こうの文化を背負っている。
我々は、それを認識してそういう声作りをしないと、そういう声は出せないのだ。そのためのテクニックである。それだけに、非常に客観的にそういう技術を技術として会得できるとも思うのだ。
その上で、日本語にあった発声を模索していくべきであり、最初から日本語の文化で声を作ってしまうと、日本語でしか対応できないことになると思う。この辺りの声に対する嗜好は難しい。
我々はルネサンスの音楽もやれば、現代邦人作曲家の音楽もこなさなければならない。
しかし、我々が今扱っている音楽は所詮その基礎が西洋の音楽に準拠していることも事実である。ぼくとしては、ぼくが学んだ西洋の嗜好を基本にした発声を教えるだけだ。後は、それをどうモディファイしていくか・・・これは、実践でぶつかって考えて作り直していくしかないだろう。

ちばはらさん。
前回勉強した通り、良く喉を開けて、軟口蓋を上げたポジションで発声を一通りやる。大分出来るようになって来ている。彼の癖は、音程を上げる際にすぐに喉で押してしまうところにある。声帯をもっとデリケートに感じて、響かせる意識をもっともっと持つべきだ。そのための口の開け方のポジションである。響きに敏感になってほしい。そのためには、出来れば練習の最には、キャパシティの狭い、音域の狭いもので、今やっと会得した技術を壊さないように、身につけるように大切に練習してほしいのだ。意外と低めの音も、大事である。良く喉の開いた、声帯が柔らかく合った、響き音程の正確なものを大事につくってほしい。今、これが大事なことだからくれぐれも大切に。
喉で押さないこと!響きを大切に!

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1月29日

あめくさん。前回覚えたあくびの口。喉を広げることや軟口蓋を上げることを意識して声を出すこと。アの母音は比較的やり易いのだが、彼女の場合はエになると、途端に喉が締まる。喉が上がってしまうのだ。また、実際に曲になると、特に高い音で喉を良く開くために口を開いてしっかり出す際に、お腹がついていかないために、喉に来てしまうことがしばしばある。これらの課題を勉強するために、イタリア歌曲集の"Sebben crudele"を取り上げた。最初エ続きのこの曲では、喉が上がってしまい、聞きづらい響きになってしまう。ただ、この出しづらいエの母音は低音部で顕著だ。声のチェンジと関係がありそう。喉を開くと下の地声に変ってしまいそうなのだろう。また、曲の頂点の声は喉の開き、軟口蓋の上がり共に足りない。その前の口をあまり開けないポジションのまま上がってしまうために、大事な響きが出てこない。SempreのSをしっかりと発音しようとすることでお腹に力が入り、喉を瞬時に開けるエネルギーに替える。そんな辺りが最後に課題として残った。次回はその辺りを練習しよう。

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1月28日

さわださん。発声で、軟口蓋と喉の開きを教えた。大分良くなっているが、口の開き方と喉の開きや軟口蓋との関係がまだリンクしていないように感じたからだ。いままでみなに教えているあくびのポジションを教えた。彼女の場合これを教えると、気をつけないと喉が上がってしまうのだが割とすんなりと上手く行った。これに気を良くしてプッチーニのミミのアリアを勉強したが、この発声を生かしてもらってとても良くなった。最初、言葉でぶち切れてしまっていたが、喉を開きつつ口先でうまく発音をするコツを教えたらすぐに出来た。以前に教えていたのだが、急に分かったみたいだ。そんなものだろう。以前に鉛筆をくわえてやることを教えたのだが、その意味が分からなかったのだろう。今回は喉の開きと言葉の発音との関係を指摘したのが良かったのだろう。最近まで中音部の発声が不安定だったのがとても安定して、ふくよかな響きになった。イタリア語がまだついていないが言葉にも慣れて譜読みも早くなったようだ。彼女の声はやはり、このような大型のオペラアリアに向いている。とても良い声だ。これからまた楽しみ。

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1月27日

あんどうさん発声練習は1点Gから下降形5度で始めた。力のない声が出ていた。多分声のポジションが高いのだろう。まずは、声を慣らすこともあるので、そのまま上下してみる。下の地声は自然に出るようになっている。しばらく発声を続けて、上に上がってから降りると、声のポジションが良いところに収まる。しかし、一度止めてから、再度発声を始めると、やはり声のポジションが高い。これは、ブレスの仕方が大きな意味を持つのだろう。声も出るようになった。ポジションを低く意識してもらうだけで、声も出るし声の収まりが良い。合唱系の人は音程に神経質になるあまり、声の質から離れて音程が下がらないようにすることだけに留意してしまう。これが良くない原因の一つだ。声のポジションを上げてしまう。ブレスのことは、今日はあまり言わなかった、素早いフレーズの練習をすれば自然に息は入るからむしろ、吐くほう、声を出す際にお腹をしっかり使うことを注意してほしい。とにかく声のポジションが上がらないように、腰お腹をしっかり支えて、声を出すことを注意してほしい。

たにぐちさん。

発声はずいぶんと声が出るようになった。音程が悪いので、喉の開き、軟口蓋の上げ方を教えた。Ngaの練習。常に軟口蓋を上げる意識を持つこと、響きをそこで取ること。彼女は教えることを一つ一つ確実にものしていく。これは、なかなかな才能だ。来る回数が少ないのだが、来る度に新しいことを覚えて、次回には必ず出来ている。中低音から中音部、2点Esくらいの高音へのチェンジまでは、口を使って喉を良く開いたポジションで前にしっかり出すこと。そしてそれ以上の高音になったら口をあまり開けないポジションに変えて、声をうなじに向けて当てるような意識に変える。これらのことが一応出来るようになった。下の声から上向形で上がる際にも、口をうまく使って軟口蓋を上げることと喉を開くことを同時に行うように柔軟な発声が出来ていた。それらの気遣いもトレビヤン!発声が大分良いのに気を良くして、前にやったモーツアルトの「フィガロの結婚」からケルビーノの"Voi che s'apete"を復習。声が良く出て安定している。多少高音の出し方に喉っぽさがあるが、飛躍的に良くなったと思う。Time to say good byeも中音部は第一段階終了くらいの程度になった。高音はまだ練習の余地があるが、後一回くらいで行けるだろう。とても良くなった。

よしおかさん。

発声練習の始めは、やはり声に力がなく軟口蓋が上がらない、喉が開かない声だった。昨今、みなにやらせている、あくびの口の状態を教える。最初はあくびを確認。それから、Ngaで軟口蓋を上げる意識を作る。口を開いたハミングからだが、彼女の場合は少し大き目に口を開いたほうが良い。それは、軟口蓋と共に、喉の開きも良くするためである。軟口蓋だけに意識が行くと、今度は喉が締まって狭い浅い声になってしまうからだ。この練習をしてみて、大分声に太さと響きが出るようになった。この口の中の状態は、ブレスの際に出来ていなければならない。声を出す前に準備が出来ていること。そして、お腹の力で上に向かって声を出すエネルギーの力で軟口蓋が上に上がるような、意識があるとベストだ。ただ、ブレスだけど、むしろ息のことよりも、この喉を開くこと、お腹が開くことが一番大事なこと。お腹を開くためには、その前にお腹の筋肉が弛緩していなければ緊張状態は作りにくい。むしろ、お腹を緩めるように緩めるようにすることで、自然と横隔膜は開くものだ。この自然なブレスが会得出来ると、声も飛躍的に良くなる。そのために、声を出すためには準備をせずにいきなり出し てみることが大事。これも練習が必要だが、慣れてほしい。
曲はIntorno all'idol mio..曲なのかでは高音のSpirate..のSpiという子音をしっかり言うこと。このためにお腹を使うことが高音を安定して出すコツ。これは、とてもうまく出来るようになった。後は全体にあくびの形を取るための口の開きがまだ足りないので、充分に練習してほしい。

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1月26日

たにさん。発声では、下の声を中心に最初は低めの音域で声を鳴らして、最後にチェンジした声で高音、2点Aくらいまで出した。発声での高音はしっかりした声が出るが、特にチェンジの声は喉の開きが足りない感じが相変わらずある。喉が上がってしまい勝ちだ。喉が開いて軟口蓋が上がった、俗に言う喉の空いたポジションを教える。あめくさんにも指摘して上手くいったあくびの口の形。口の形よりも実際は口の中の状態だ。たにさんの場合は、喉も意識すれば良く開くのだが、今度は上(軟口蓋を上げる)の意識が足りなくなり勝ち。そのため、やや胴間声になってしまう。それと、お腹の力、腰の支える力が弱いためにどうしても、喉によりかかってしまって、そういう声になってしまうのだろう。声を出すエネルギーはお腹、腰からである。これだけは、相当鍛えても鍛えても鍛え足りないことはないくらいだ。このあくびの口の中の状態をブレスの際にすでに作っておかなければならない。ブレスの前にも準備出来ていれば、それに越したことはない。
曲は、モーツアルトの「フィガロの結婚」からスザンナのアリア、"Giunse alfin il momento"あくびの口の形がやや分かって、落ち着いた声になってきた。ただ、高い声の喉の開きとお腹の力が足りずにどうしても浅い狭い響きになってしまい勝ち。喉を開くためにしっかり口を開けるよりも鉛筆をくわえる程度の口の開きで、お腹をしっかり使って軟口蓋で歌うような感じだと滑らかに上手く行くようだ。喉の問題よりもむしろ、腰やお腹あるいは足腰がしっかりすることが、一番大事なことではないかな。。

にしさん。
発声では、中低音で素直な良い声が聞こえてきた。ただ、彼の場合2点Cくらいから上の声の問題が残っている。彼も他のみなと同様に、喉の開き方、軟口蓋の上げ方が分からないために、上のチェンジの声の出し方に苦労している。喉が上がってしまう。軟口蓋が上がらない。この問題は個別に見ると難しいが、最近みなに教えているように「あくび」の状態をまず自分で確認して見て、その状態で声を出す。もちろん声は、お腹の力でポン!と出すこと。喉から出さないこと。このことを重点的に見てみる。それと、彼の場合大事なことは、声を出す際に、首を絶対に動かさないこと。特にチェンジしてから上の声は、喉が恐がってしまってどうしても首、顔が動いてしまうことが問題だ。絶対に動かさずに、お腹の力だけで声を出す。喉はナチュラルに、なすがままにしておくことが大事。あくびの状態は、喉が開いていること、喉の深い感じがあること。そして、軟口蓋の上がりは、口を開けたハミングで、意識できるはずだ。このことはとても大事なことだから、常日頃から充分に練習しておく必要がある。それから、お腹を使う際に使い過ぎて胸がバウンスするほどにやり過ぎないこと。何事も適度に やる。。ということが大事。
曲は、トスティのNo t'amo piu..練習の際に、テンポを急がずにやること。それの意味は、特に音程が上がる際の上げ方に細心の注意を払う必要があるから。その際にお腹が開いているか?軟口蓋が上がっているか?喉は開いているか?そういう一つ一つのことを確実にクリアしていきながら譜読みをしていかなければならない。歌い急いでは駄目なのだ。

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1月25日

あめくさん。発声練習で、前から気になっていた喉の高さ。あくびの口の状態を教えて、とても良くなった。あくびの口の形は、喉を広げ軟口蓋を上げて、声の響きを良くする効果がある。要するに口の中が広くなるのだ。お腹は大分使えるようになっているのだけど、チェンジした声は喉が高くて響きがつかなかった。自分がやってみせて、すぐ出来るようになったのは彼女が元来喉に無理な力を入れていなかったのだろう。また、何事も無理にやり過ぎることがなかったのが、良かったのだと思う。このやりかたで、実際に歌う場合に、彼女の場合は口を思ったよりも縦に良く開ける必要があること。おおむね口が閉じていく傾向にあるのだ。また、あごを 前に出して、唇を中に入れてこもらせてしまう傾向がある。これらの癖を直すことと、喉を開けた状態で様々な発音に対処していくことは、実際に歌を歌って覚えて行くしかないだろう。Se tudella mia morte..は、響きがなくて辛かった中低音部にも厚みが出て、良くなった。課題は特にエの母音だろう。エを発音すると喉まで上がってしまう。これの直し方までは、行けなかった。エの母音でいえば、sebbe crudeleはもっと難しくなる。どうも舌に力が入るのかな?舌の動きをコントロール出来なくなるようだ。この辺りを次回は勉強してみよう。

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1月24日

きょうは、発声でブレスにまとを絞って練習。声のことは後回し。彼女の場合、胸が上がってしまい、お腹が使えなくなるフォームになっている。喉が強いし音程も悪くなく良い声なのでそれでも、何とかなっていた。胸が上がるのは、息が入る実感が得られないと、声が出せない。。と思い込んでいるからである。ちょうど、泳げない人が、プールでプールサイドから手を放すと絶対に沈む。。と思い込んでいるのに似ている。
直し方としては、声を考えずに出すこと。発声練習の同じパターンの繰り返しの場合、呼吸をする暇を与えないくらいで声を出すことをやってみる。
次に、声を出す際に、お腹を引っ込めることから始めて、ブレスの際にその引っ込んだ(緊張した)お腹をボン!と出すように戻してやる(弛緩させる)これだけで、声を出していく。お腹が戻る際に意識せずとも息が入ることが実感できれば成功だろう。
ただし、実際に何度も訓練したり、歌で応用しないとなかなか身にはつかないだろう。
曲は、フォーレの「夢の後に」フランス語をつける。発音記号のOEは狭くなる人が多いが、なるべく広く、アに近いほうがそれらしい。その後で、譜読み。ブレスポイントを言葉やフレーズを勘案して決める。ブレスポイントは最初にきちんと決めることが譜読みではとても大事だ。後々直せなくなる。そして、絶対にブレスしてはいけないところを、厳格に決めてほしい。3連符のリズム基礎がまだ弱いようだ。基本ビートを手を振って感じながら3連符を歌う練習を忘れないでほしい。とにかく、今日やったブレスのやりかたを、早く見に付けてほしい。

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1月22日

さたけさん。練習をしていないという本人の言と裏腹に、発声練習は調子が良い。滑らか。吸気と呼気の関係も自然で無理がない。お腹に子供がいるのに、お腹も良く使えている。口の開け方も無理がない。1年経たずに良く勉強したと思う。下降形の場合、響きを同じ所で確保することで、下がるに連れて音程やや低く響きが落ちてしまうことは、要注意。それは、低音が鳴り易いことと関係があるのだろう。彼女は意外とチェンジした声でも低音が鳴るほうなのだ。これは得ではある。曲は、フォーレのNotre amour..この明るい上向形が多いフレーズの特徴は、昂揚感だろう。上に向かってクレッシェンドするように声を出していくこと。高音といっても、中声ようのこれは、2点Eで声に支えがなくならないように。下の響きのまま広がるようにしっかりと出してほしい。ゆっくりやれば、出来るので、後は音楽の流れの中で、瞬時のブレスでそのタイミングをつかめるように、練習してほしい。Beacoup mieux!

よしおかあゆみさん。
今日は、発声で喉を良く開き、軟口蓋を開けた発声を教えた。ここのところ、声を出そうと焦ったので少々無理があった感があった。曲も、音域の狭いアマリッリにした。
喉を良く開いて、あくびをする口の中のポジションの取り方をやるために、まず軟口蓋を意識するための練習、Nga..を練習。口を開いたハミングからアの母音に変える練習。この場合、大事なことは下あごを動かさないこと。そのことで、軟口蓋が動く。下あごを下げしまうと、軟口蓋が動くきっかけが外れてしまうからだ。こうして、軟口蓋を上げてそこに響きの空間を作る。2点D以上の高音になると、喉が締まってくるので意識して今度は下の喉を深く開く意識を持ってほしい。
この後、曲をやってみるが、やはり、中音域では声量不足が否めない。このため、声を上に送るよりも前歯にしっかり当てるように、意識してもらう。口をあまり開かないで、前、鼻、目のあたりに声をしっかりと当てるように。後、声を出す際にあごが前に出る。この癖は直してほしい。声を出す瞬間は絶対に首、頭を動かさないこと。声帯のポジションが変ってしまうのだ。そして、何度も言うが、お腹をしっかりつかうこと。これで、大分声が出るきっかけがつかめてきた。後は、同じ練習の繰り返し。
Bien!

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1月21日

にしさん。発声練習を聞くと、いつものことながらそれなりの声を中低音で聞かせてくれる。ただ、これが曲者なのだ。絶対に喉に変な力が入っている。これを直すのがテーマといっても良いだろう。彼の場合は。色々とやってみる。あごを引いてみたり、上げてみたり、お腹を使ってみたり、色々やったが、最後にやったお腹の前をへこますのではなく、背中を使う、腰を使うようにして声を出すこと。そして声はMezza voceで。自分が出そうとする7割くらいの感じ。それから喉は下げないこと。とにかく喉の力を抜くことに専念すること。ただし、腰は使う。彼のお腹は胃のあたりをものすごく力を入れてしまうために、胸の上まで力が痙攣するように伝わるくらい。そのせいか、声が胴間声になって、太く固い声になって終わってしまう。これをなんとしてもまず直さなければならない。
ぼくのところから離れるのがあと2ヶ月。なんとかして、良い発声へのきっかけだけでもつかんでもらいたいものだ。

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