2002年2月前半レッスンノート

レッスンノート目次
2月1日 | 2月2日 | 2月3日 | 2月4日 | 2月5日 | 2月6日 | 2月7日 | 2月8日 | 2月9日 | 2月10日
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2月15日

よしおかさん。発声練習は、比較的調子の良い声を出していた。あごを下げずに楽に歌えていた。ただ、軟口蓋が上がらない、もう一つ咽が開かない感じだったの、喉を下げる、喉を広げることを教えてみた。時折良い声が出るのだが、やはり高音になればなるほど、ポジションが高くなる。そこで、ポジションを下げてしっかりと出す練習をした。胸声の練習だ。ハッハッハと胸に声を当てる感じ。この時お腹を使ってしっかりと瞬時に当てることが大事。大切に扱うと出来ないし、かえって喉に来る。最初は音程にしないで、掛け声くらいの低さでやってみて、次に音程でやってみた。うまくいった。こんなにうまくいくのなら、最初からやれば良かったbと思うのだが、これもときが満ちてなるのだろう。何でも焦りは禁物だ。曲は、アマリッリから。こういう発声の基礎の基礎を曲でやる時は、楽譜の得にダイナミックに左右されずに、声をきちんと出すことに留意することが大切。この曲は、前記の胸声をやるには丁度良い音域だ。これもうまく出来た。そこで、以前やって難しかった、"Tu mancavi a tormentarmi"にトライしてみた。むずかしいことを言わずに、腰を踏ん張るように、腰の辺りに声のポジションを置くようにして歌ってみた。本人は、高音がとても楽になったと言っていた。当然だろう、女声にとっては、それほど高い音域ではないからだ。"Sebben crudele"もやってみる。これもピアノをじゃんじゃん弾いても声が届いてくる。成功だ!この調子を次回も持続して、更に上を目指してほしい。
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2月14日

みくりやさん。発声では、珍しい声が出ていた。咽が下がって開いた声。クラシックらしい声というのだろうか?ちょっと作った声っぽいけども、取りあえず良いかと思い、その練習をしてみた。なかなか良い。この声が使えるととても良いだろうな。。という気もした。その調子で、前回難しかったフォーレのレクイエムから"Pie jesu"をやってみた。正直に言って、程よいところで止めて調子を乗せれば良かったと思ったのだが、これがドツボにはまってしまった。
どうしても、ブレスが伸びないフレーズ感が出せないところから抜け出られないのだ。なにか、きっかけがつかめればと思ったのだが。声を作らないで、喉声でも良いから楽にやってみると、少し良い。あるいは、口先で鼻歌程度の声でも、なんとかぎりぎりで伸ばせる。しかし、ちゃんと声を出そうとすると伸びない。あるいは、チェンジしてからの声に支えが持てなくて、そこで息が一気に漏れてしまう。お腹の使い方、あるいは、声を出す際の重心の持ち方、そしてそのための姿勢の維持への集中力であろうか。。というところで、時間切れとなった。課題を良い意味で残せるレッスンならば良いのだが、何とも、自分としても解決策が見出せず、残念であった。
次回は、チェンジしてからの声の持ち方をやってみること、そして、違う曲で同じ課題をトライしてみることも目先を変えて良いかもしれない、、と思った。

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2月13日

さぶりさん。発声は、最初はがーがーとした声だった。しばらく様子を見ていると、今度は口を閉じて中で共鳴させていた。がーがーとしていても、悪い声ではないのだ。リラックスさせて声を良く鳴らしているという感じ。この出し方だと、1点Dくらいから、きつくて、音程を出すのがきつくなる。まあバスだから良いのだといえば良いのかもしれないが、きれいではない。声を少しチェンジさせる意識で軟口蓋を上げて、そこで音程を取るように。そうすれば、更に高い声も出せる。ポジションを変える必要はない。これを教えたら、思い出したらしくて口を開けて少し喉が開くようになった。こうなると良い声が出てくる。本人がこの声を良いと思うかどうか?だから、ぼくはこれ以上しつこくは言いたくないのだ。後、中音部、特にF〜Cくらいの音域で声が軽い。響きを鼻腔に当てるために、胸の響きが落ちてしまい、ぺかぺかの声になってしまう。これだけでも、治してもらいたい。胸に声を軽く当てるように、また、喉を開くことを忘れないように。

こぬまさん。
発声練習では、中音部から低音部、1点Cくらいまでの声が不安定で、声量が出ない。彼女もポジションが高い。それと、ブレス。ブレスが高い。お腹の横隔膜を少し広げてやって、横隔膜が運動して声を出すための準備が出来ていない。これが、わかるまでが少し時間がかかりそうだ。下腹部を少し中に入れる感じかな。それと、横隔膜を動かして自然に声が出るように、低い声で良いからハッハッハと小さくやってみること。ここから、声が横隔膜と関連していることを実感すること。それから、やはり、まだ喉が開いてないし、軟口蓋を上げることが分かっていない。ブレスの際に口をあくびの感じで開くこと。この状態で、声を出す。まだ慣れていないが、喉が適度に下がって中低音の声が安定してくる。ただ、横隔膜の使い方が分かってないのために、声量が出ないようだ。喉を開くために、声の鳴りが良いわけではない。ないが、まずは、このことを見に付けてもらいたい。焦りは禁物である。声のポジションが高いのも、この横隔膜から声を出すことが分かれば自然に低い良いポジションになるはずだからである。

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2月12日

あめくさん。発声練習は、安定して良い声が出ていた。我ながら笑ってしまったが声を出す肉体的な働きを野球のピッチングに喩えてみた。振りかぶって=ブレス。投げる=お腹あるいは腰の力。球がキャッチャミット目掛けて手から離れる=声が出る。という図式。投げるというフォームの基本は腰だから、同じことだ。要するに声を出すには力が肉体的に力が要る。ただし首や喉に力を入れない。これは、ピッチャーが手首や関節を柔軟にしているのと同じ。もし手首が硬くなっていたら球はストライクにならない。高い声は球のスピードを速くするのに似ている。腕の振りが速いのだ。
振りかぶりが速い分、腰を使う。それに一気に使う。では、低音はどうするか?あるいは高音のピアニッシモは?これは、書かないでおく。笑
と、偉そうに書いたが、要するに何度言っても言い足りないくらい、体を使って声を出すことを忘れないでほしい。ただ、力むと駄目。この兼ね合いが難しい。低い声ほど鳴らないので彼女は力むが力まないで響かせることを覚えてほしい。そのために、喉を開くこと、軟口蓋を上げること、そしてお腹から息を脳天目掛けて送ること、その息に声を乗せること。どこが悪いのかどうもどこかに力が入っている感じの声だ。喉を開くために、どこかに力が入っているのだろうか?ただ、喉を開かないととても浅い声になってしまう。彼女の場合、口を開かずに、出す方が良い場合もあるし、開いてもらわないと駄目な場合もあるし、その兼ね合いが難しい。特にしっかりした声を出す場合は喉を良く開いて、軟口蓋を良く上げて、ということは、口もしっかり開いて、息を強く送ることが必要になる。そうでないと響きの潰れた声になってしまう。もう少し、いろいろな声のポジションを模索してみたい。

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2月11日

さわださん。発声では、まあまあ響きが上に行って安定していた。最初は声が暖まるのに時間がかかるほうだ。それと、少し気になったのがブレスをするときに、肩が上がることと、歌っているときの肩から上半身に硬さが見えること。しかし、軽く流して曲の方を見てみた。
曲は、プッチーニの「ボエーム」から「私の名はミミ」2週間ぶりだが、歌い出しを聞いておやおや!という出来だった。どうも、前回の感覚がどこかに行ってしまったようだ。中音部の響きが不安定で高音が喉が締まってしまう。言葉の発音に自信がないのだろう。言葉を発音する最に、特に喉が楽な中音部では、響きを上に当てることと、一定にさせるために下あごを動かさないやりかたを教えたはずだった。それでも、治らないのは、声のポジションが今度は高くなっているからだった。
響きを上顎に意識するために、ポジションも微妙に高くなっているようだった。この辺りは難しいが慣れるしかない。それと、2点F近辺のイやエの母音が喉で当てている感じ。この辺りは喉を開いて息を混ぜてきれいに当ててほしい。口先を開いても駄目。喉が開いてないと駄目だ。エの母音にしてもイの母音にしても、喉を開いて、お腹から息の柱をズポっと頭めがけて当てるように、お腹をしっかり使うことも肝心。きょうの課題はその辺りかな。最後には、前回のレベル以上には達したので心配はしてないけど、高音になるとスタミナ不足が目立っていた。腰が使えていないか、運動不足かな。発声のせいもあるだろう。高音ほど、喉を楽に、かつ喉を開いて歌うためには、腰、お腹をとても良く使うのだ。ついつい、喉でエイヤ!とやってしまうと、喉が持たないことは良く分かってほしい。

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2月10日

あんどうさん。発声練習を聞くと、声に力がついていることに気づいた。声の足場がようやく確立されて声に力がついてきた。彼女は、月に一回くらいで、ここに来てから半年くらいだけど、ここ数回でとても良くなっている。レッスンは回数ではなくて本人の切実さが、進歩を産むんだね。合唱団で歌う機会が多いことも、進歩が早い理由の一つだろう。。ただ、教えるほうにしてみても、毎回確実に進歩してくれると教え甲斐があるというもの、、、。
さて、声に力はついてきたけど、やや声質がこもってしまうのは、彼女特有の口の使い方に原因がある。ブレスで喉を開くために、口を開くのだが、その際に下あごと下唇が声を飲み込むような形で、やや中に入るような感じがある。唇は、下唇だけではなく、上唇も含めて、外側にラッパのように開いて、声は前に出す感じがあるほうが、明るくしかも声に輝きが出るだろう。
それから、音域が高くなっていくに従って口を横開きにする癖もある。横開きにすれば確かに声質は明るくなるが、喉は逆に開かないし、軟口蓋も上がらない。チェンジから上の声は、下あごを良く下げて喉の開きを促し、かつ、お腹の力で瞬時に声を出さなければならない。恐がっていると喉が瞬時に反応して喉が締まってしまうのだ。喉が締まる前に声が出てしまわなければならない!!
後、フレーズでは、フレーズの最後にエネルギーが最大になるように、しっかりとお腹、腰を使ってほしい。全体に良くなっているから、以上のことを気をつけてこれからも着実に勉強してほしい。

かとうさん。彼女の発声は力を抜くことを大事にしているようなので、声も最初は力が抜けている。抜けすぎているために、喉から楽に声を出してしまっている。声はどんなに楽に出しても、横隔膜との関係を絶って喉だけで出してはいけない。基本的に横隔膜の痙攣がなければ声は出ないというくらいに、横隔膜を使って声を出すことは大事なことなのだ。これはクラシック、ポップス問わないこと。ということで、声が出るための順番として、お腹、あるいは腰を使って、次に声が出る。。ということを分かってほしい。それから、今日やったことは、声のポジションのこと。やや高い声になると、喉声になるの、ポジションも高くなってしまう。あるいは、ポジションが高いので喉声になる。といっても良いだろう。低いオクターブ下の声を出してから、同じ喉の感覚で、オクターブ上の声を出してみる。これが、わかりにくければ、声を胸に思い切り当ててみる。最初は、音楽の声ではなく、重いものを持ち上げるときの、掛け声程度で、お腹からハッ!と出してみる。これが、いちばんお腹と声のポジションをつかむのに良い練習だ。この声の性格を胸声という。文字通り、声を胸に当てるのだ。イタ リアではこの練習をCorpo di petto..という。
そして、この掛け声のトーンを段々と高くして、自然に音楽の音域にしていくのだ。こうして、今日は大分楽に胸の声が出せるようになった。ただ、この練習は、あくまで喉声を治すための声のポジションの矯正だと思ってほしい。これをやってから、アマリッリを譜読みしたが、彼女の声はビブラートがなく音程がとても良く、ルネサンスのこういう曲の雰囲気がとても良く出せる声だと思った。まるで、リコーダーか木管楽器のような声色だ。この調子で、どんどん勉強してほしいな。

よしおかさん。
発声練習では、あんどうさん同様声は力が出て来ている。声に力をこめる足場がすこしついて来たと思うし、本人も自覚があるのだろう。ただ、まだ声の響きに対する感覚が育っていないな。。と思う。一つの発声練習の単純なフレーズ。。。ドレミ〜だけでも、その音程と響きが未熟なのだ。
例えば、上向形の時に音程をなぞるだけで声が出てしまうのには、ちょっとがっかり。上向の時にはクレッシェンドするように、あるいは、響きが広がっていくように出すことは、セオリー。何度も言ってることなのだけど、弦楽器の弦を一本でフレットの指の動きだけで音程を変えるという感じ。あるいは、弓のボーイングは、一回上げるか下げるかどちらかの動きだけで処理する感覚。これを無意識で出来るくらいにいつもいつも、実行してほしい。分かってほしい。喉を開くこと、軟口蓋を上げること。そのために、口をどう使うか?首をまっすぐに立てること。などなどなど・・・
声楽というのは、声を出す一つの技術だ。ただ、歌うだけであれば、歌えるのだ。そうではなく、声を扱うために、声をあたかも楽器のようにコントロール出来る技術を持つことだ。だから、自分がやっていること、やったこと、を理解して、こうなると。。こうなる。ということをレッスンの度に持ち帰ってほしい。今日やったことは、かとうさん同様に、声のポジション。胸の声をしっかりと当てて、ポジションを低く落ち着けること。特に声が高くなって来てから。そして、声を出す前のブレスで、口の中をあくびの状態にすること。喉が開いているか?軟口蓋は上がっているか?そして、響きを軟口蓋の方に感じて、そこで歌うこと。口を開かずに下あごを固定してヤイヤイヤイで発声したよね。
口を開かなくても、喉を開く練習だ。後は、曲の中でだが、短い音符ほど、響きをしっかり出すことを心がけてほしい。次回も、同様な練習をするから、忘れないように。。

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2月9日

なかがわさん。久しぶりだったけど、中低音部の声は小さく響きがない。喉が開いていないし、その前にブレスが浅い。胸で小さく吸っている音がする。お腹で、軽くしかし確実にブレスをすること。そして、あくびの口の中を作ること。言えばすぐ出来ることなので、いつも実行してほしい。わずかな違いに思えても、出てくる響きは全然違うことを知ってほしい。逆に言えば、自分の声のわずかな響きの違いに敏感になってほしい。アとエの母音、特にエの母音が浅くなる。それから、特にオの母音だけども、あごを下げると確かに深い喉の開きが持てるが、今度は逆に深すぎて響きが上に来ない。このバランスは難しいが、下あごを下げないで、かつ喉を開くことと、そのことで響きを上顎に持っていくことを覚えること。これは、下あごを動かさない発声練習や鉛筆をくわえてやる歌の練習で分かるだろう。こうして、モーツアルトの「夕べの想い」をゆっくりと、1フレーズごとにていねいに作っていった。フレーズだけども、音が高く飛ぶ場合でかつその音が短い八分音符などの場合に、無造作にやり過ごしてしまうと、響かない。こういうところで、きちんと響かせるためには、子音の処理を早め に取って母音を可能な限り響かせるようにすることが、セオリー。声楽と普通の歌との違いは、ピアノや楽器と違う元来それほど音量が持てない声を楽器として、最大限生かすことに意味がある。だから、無造作に歌ってしまうと、声を響かせることが出来ないのだ。いつもいつも声を響かせること、あるいは、響かせる音を探してそれを強調することが、一つのコツと言えると思う。そのことをなかがわさんは大事にしてほしい。

まえもとさん。前回助言したように、下あごに力を入れて開かずに、軽い開き程度で発声をやっていた。声は軽くなって頭声が少し出るようになった。ただ、声を伸ばす最後に震える癖が治っていなかった。お腹の得に胃の当たりに力を入れ過ぎる傾向は、変らない。どうしても体の前半分が硬くなってしまうようだ。背中を広げるように、あるいは腰を後ろに押し出すようにやってみてほしい。声を出す足場のようなものは、どうしてもほしくなる。くれぐれも、お腹を前に出だして、声の足場を持たないように。また、お腹に意識を持ち過ぎることも、良く無いのかもしれない。むしろ、ただ単純に声をまっすぐに、特に声を伸ばすときにまっすぐに、震えないように意識するだけでも良い。
声の震えは、特に音程を上げる時に出る傾向があるようだ。発声練習では、そのために、まずゆっくりドレミだけで滑らかにそして震えない練習。そして、スピードを少しずつ上げて行く。この時、なるべくお腹の前を出さないで、腰を張るように、あるいは、お腹の横を広げていくようにやってみること。後、2点Aまで発声をしてみたが、前回声を出し過ぎないように注意したせいか、チェンジ以降の声が喉が開かずに詰まって浅くなってしまうようだった。喉を良く開いて、今度は逆にポジションを高くしないで低く意識してみることも大事ではないかな。
曲は、カロ・ミオ・ベンをやってみた。フレーズの最初が、あいまいな声になってしまう。リズムに乗って早めに子音をきちんと出して、正確にリズムの頭でポ〜ンとあたっくしないと、音楽がどうもぐずっとした感じになってしまうし、息漏れの目立つ声の原因にもなる。Caの子音も、丁度軟口蓋に近い辺りを意識すれば良いから、あらかじめ軟口蓋を上げてそこで、ぽ〜んと出してみること。
イの母音が狭く響きが浅くなる。全体として、表現の幅は大きい人だ。バロックのオペラらしい歌が出来そうな感じ。スビートピアノも効いてるし、出せば大きな声も出る。声の品も良い。
シューベルトは、ドイツ語の特徴である、閉母音、語尾の子音のせいで、旋律が言葉で打ちきれてしまうことを注意。低い声はもっとたっぷりと出しても良いだろう。

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2月8日

にしさん。発声を始めるが、やはりどこか硬い声だ。響きというか、頭部のどこか、鼻の奥かどこかに共鳴している響きがあるのだが、良いk共鳴ではなく、どこかを硬くしている響きなのだ。ともかく口を開かない方法で、息を当てるようにして発声を続けてみる。高い音域、1点Dくらいから上になってくるとまずは、喉が上がり、音程が出せない状態が出てくる。仕方が無いので、無理矢理口を開いて喉や軟口蓋を上げて、音程を出すようにして続行。このやりかたでも、1点G〜Gesくらいはどうにか出るが、どうにも馬鹿でかい声しか出せない。声をコントロールすることが難しい。次にイの母音をやってみる。その前に、Ngaの練習(口を開いて喉を開いた状態を作ってハミングをする)から始めてみるが、このハミング自体も、なにかこもったような、どこかに力が入ってしまったような響きである。結局解決が出来ないままに、母音の練習をして終わる。
前回、とても難しい課題である、古典歌曲集の"Tu lo sai"をやってみた。発声練習と同様に馬鹿でかい声でなんとか音程を合わせて歌うことに終始してしまうし、喉が詰まって聞きづらい声になってしまう。声を出しているときの喉頭の動きを仔細に見てみると、声を出す際に喉が上がってしまって喉が詰まるように思えた。しかし、喉を下げようとしても、どうにもならない。そこで、思い切り喉を上げた状態を自由にして、ということは、ポジションを高くして、歌わせてみることにした。
これを思いついたのは、ファルセットから実声にするのが、うまく行かないことと、その理由がどうも喉をさげようとすることが、逆に喉の上がりを招いているのでは?という逆説的なことを思ったからである。これが意外と良くて、彼のもっとも不得意な狭母音、ウの高音が今までのトライした中で一番上手く行ったのだ。これは、反省だけど、自分の好む声にしよう、あるいは自分流の声を元にしていたのが、悪かったのかもしれない。それは、この出し方だと、明るいがやや平たい、昔風の軽いテノールの声質だからだ。だが、彼の喉には合っているのかもしれないし、それよりも、高目のポジションで安定してコントロール出来ることを手に入れてから、声質を徐々に変えていくことも出来るかもしれないのだ。これで、何とか安定してやっていければ良いが。。。

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2月7日

みくりやさん。発声では、軟口蓋を上げる練習をした。Nga.,,とやって、母音を出す練習。彼女はお腹や腰の意識が弱い。腰を意識してやってみると、思いのほかに低めのポジションで響きのある良い声を出す。メゾに近い感じの声だ。響きもある。実際には、あくびの口の準備をして、腰を使って声を出すことをいつもいつも意識してほしい。さて、曲だが、発声を見るために以前やったフォーレのレクイエムをもう一度やってみた。案に相違してブレスがやはり伸びない。声を聞いていると悪い声ではないのだがいかにせん、ブレスが短い。お腹の筋肉の使い方がまだ分からないような気がする。ブレス際にも、まだ自然な息が入らず、お腹を膨らませるだけで終わっているようなところが見える。また、その状態で声を出すために、声をコントロールすることが出来ず、そのために一度声を出すと「支える」感覚が持てないのだろう。彼女のこのブレスと声のコントロールを意識してもらうためには、どんな練習が良いのだろうか?難しいところだ。。。ブレスならブレスの練習を徹底したほうが良いか、あるいは、ブレスと声を伸ばして支える練習をシンプルにして考えてみるか?この後にやった、フォ ーレの「夢の後に」では、譜読みがまだ不完全で3連符と言葉の割り振りとリズム感がつかめずに苦しんだ。彼女自身が言っていたが、一度にたくさんのことをやると、頭が白くなってしまう。。ことを考慮しないと、二兎を追うもの一兎も得ず。。となるだろう。こちらも限られた時間で、何とか成果を得よう。。と焦らずにシンプルな練習で着実に進まなければ行けないものだ。。と反省である。

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2月6日

あめくさん。発声では、落ち着いてきれいな声が出るようになっている。喉も開くし、軟口蓋も上がっているように思える。ただ大事なことは、本人がどれだけ、意識があるかどうか?だ。
実際に歌ってみると、時々喉の開きが悪いし、軟口蓋も上がっていないように思える。そこまで意識できないのだろう。また、お腹によりかかって声を出すために、重たく低い響きになってしまう。お腹は声のエネルギーを上に向けて放出するように。ということは、お腹を出すのではなく、へこまして使うのだ。中に入れるように。ということは、腰が逆に外に張り出すようにしなければいけない。声のエネルギーは息が上に昇っていくようにいつも上に向けてほしい。後は、エの母音だけども少しは良くなったが、まだどうも良くない。アの母音に比べて喉が上がってしまうような感じがある。エにするためには舌の動きはほんの少しで良いのだが、実際はどうも舌が動き過ぎてしまうようだし、そのために喉も微妙に上がってしまうような声に聞こえる。アの母音が良いのだからなるべくアを基本にしてエを作ってみること。実際に歌ってみたのは前回と同じく"Sebben crudele"
これは、エの母音がやたら多い。これが、もうすこしのようでいて、なかなか難しい。どうにか妥協線は見出せるのだが、どうも声質が今一つだ。それは、喉の開き方、喉の位置が関係あるようなのだが、もう一つ良く分からない。どうも、実際は口を開けないで奥を開ける方法をもっと開発したほうが早いような気もした。次回は、イの母音で響きを作ってみよう。

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2月5日

さたけさん。発声で少し気になったのは、声が重い方向に行ってること。地声の練習からチェンジして、今ではずいぶんと声が出るようになったのだが、その分、響きが頭に行ってない部分がある。やや、声帯を厚ぼったく使っている感じ。中音部で、軟口蓋の上がり方、開き方が足りないために、響きがやや低いのだ。喉も開きがやや悪いために、胸声域の響きが強いのだろう。その辺りを気をつけて見てほしい。
口を閉じた場合も、軟口蓋の辺りに空間が出来て、そこに響かすように。もう少し息が混じった声というのか、息が高く当たった声という感じの音色が出来ると、素晴らしいと思う。曲は、イタリア古典歌曲集から"Piacer d'amor"最初のモティーフを完璧に、レガートにつくってほしい。それは、例えば、小節の頭の母音がリズムにきちんとはまって、かつ、声もきちんと響かせられているか?とか、母音と母音が切れること無く繋がっているか?そして、全体として、きれいに音程が良く滑らかに歌えているかどうか?である。このような、単純で分かり易い古典的な歌で、基礎的な音楽の美しさをきちんと出せるように、綿密に勉強してほしい。次に、フォーレの"Chanson d'amour"を歌った。J'aime..のエの母音が狭く、喉声っぽい。良く喉を開き軟口蓋を上げて発声するためには、もう少し口をうまく開いて、息のきれいに混じった声を聞かせてほしい。そういう場所が随所に見られる。全体に母音が狭い口の形で歌われている。そのためか、きょうの発声でも見られた、厚ぼったい響きになり、ひいては、微妙に音程が低くなってしまう。そのために、フォーレらしい清楚な美しい旋律が生きてこない。広い母音と狭い母音の区別を充分につけて、広い母音の美しい響きを研究してほしい。

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2月4日

にしさん。前回の続きで、喉の力を極力入れないで発声を試みる。まず、口を開かないで、軽く閉じ気味で息を腹筋を使って吐く。次に、息に乗せて低い声で咳をするように、声を出してみる。その声を少しずつ上げて行く。そうやって、口をほとんど開かないでお腹の力だけで軽く声を当てる練習をしてみた。声は、まだ少し喉に力が入りそうになるが、彼特有の喉のこわばりがない、鳴り方がしている。音程も良さそうだ。口を開けたり、喉を開いたり、軟口蓋を上げる意識を持つだけで、喉頭が上がってしまうのだろう。それよりも、声を出す瞬間に喉が先に上がってしまうのだ。それは、実際に歌を歌って見てから良く分かった。それでも、今日の口をほとんど開かない発声をやると大分良くなる。トスティの"Non t'amo piu"はとても良くなった。それに気を良くして、以前に難しかった古典歌曲集の"Tu lo sai" をやってみた。ウの高い母音が喉が上がってしまうのだが、舌先を硬口蓋(上歯の付け根の辺り)に軽く当てておいて、やると、明快に軟口蓋が上がる響きが出る。彼自身がこのことに気づいてないのが残念。これを見る限りでは、どうも舌も邪魔をしている可能性がある。それから、やはり声を出す瞬間に喉が上がってしまうこと。手に持ったボールを地面に投げつけるように、声を出す寸前に瞬間的に喉が少し下がるように意識してみたら良い結果になるみたいだ。いずれにしても、声を出す力としては、程々であって、出し過ぎは一番良くないのだ。ボールを投げるなら、全力投球ではなくて、手首のスナップを利かせて軽くキャッチボールくらいの感じで声をコントルールすること。喉を少し下げてみること。口の力を抜くこと。以上が大事なことではないかと思った。

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2月3日

かとうさん。少しお喋りをした。彼女がこれから何を目指すのか?なぜクラシックの声楽を習うのか?目的を見据えて勉強していくことの確認のため。実際の歌の現場では、クラシックのような発声は使わなくても、発声を勉強することで、声を使って表現するための一つの方法が分かれば、応用が効くだろう。その意味でも、基本的なことはきちんと勉強してほしい。
今日は、喉を開くこと、軟口蓋を上げることを発声でやってみた。ブレスの際にあくびするように、口の中を広げて声を出す。そして、軟口蓋を上げる意識を持つために、Nga...の練習をする。これは、喉を開くための口の開きをした状態で、ハミングをする。ハミングは、軟口蓋が意識される。響きはいつも、ここで感じること、あるいは音程をここで一定させることが大事。これが確立したら、普通の母音にする。あごは、動かさない。この状態が、軟口蓋が上がった状態である。声が、喉ではなく、頭部に集まることが分かると思う。このやりかたで、発声をすると、2点F以上のチェンジした声が、彼女の場合柔らかくなる。喉が開くからである。今までの声だと、喉で当てるために、チェンジがはっきりし過ぎることと、音程まで喉で取ってしまう。曲は、O mio babbino caroを復習してみた。音程が下がるフレーズの際に、素直に喉で音程を下げずに、高い響いている同じ所で、音程をいつも取ることが、音程が下がることを防いでくれることを忘れないように。もちろん、このためにはお腹を中に入れ続けて、しっかりと支えることが大切。それと、ブレスの際に、お腹を前に張るように入れるが、前腹ではなく、背中、あるいは、腰に入れるようにすることと、声を出す際には、前腹をしっかりと入れていくようにすることが大事。何事も基本が大事だから、すぐにあきらめないで、着実に、一歩ずつ進んでほしい。

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2月2日

よしおかさん。

喉の開きが足りない。口を充分開いて、それは、喉をしっかり開けるように開くこと。そしてそのことに加えて、軟口蓋を良く上げた状態も保持できるように。声を出している間、この喉の開きを保持しないといけない。声を出した瞬間に喉が上がって、締まってしまうようだ。これはどうしても声を出すきっかけが、お腹に行ってないためだ。声は喉から出すのではなく、お腹から出す。。と言われている所以である。今日やった練習の結果は、ある程度出来ている。次回来た時も忘れずに発声練習で同じことを見せてほしい。歌って見ると、声量がずいぶんと出るようになった。お腹が使えるようにはなっているが、腰が弱いようだ。筋力よりも、筋肉あるいは関節などが固いようだ。そのために、腰の筋肉を使うための、しっかりした土台が崩れてしまうのだろう。腰の関節を柔軟にするように心がけてみること、普段から良く歩いて、下半身を鍛えてほしい。

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2月1日

にしさん。
声を出すことに関して、やはり長年の癖と言うかその辺を徹底的に発想の転換をするくらいでないと、喉に力が入った使い方は治らないだろう。声は喉から出るのではなく、違う場所から出ると思ってやってほしい。そのために、例えば咳をした時のことを考えてみよう。あるいは自然に笑ったときのことを考えてみよう。喉から始らずに自然にお腹から始ると思う。無理の無い、楽に出る音域でこのお腹の攣動で、声が出る練習をしてみてほしい。そして、喉を開けること、軟口蓋を上げることを、声を良い状態で出すための準備として徹底してほしい。


さかもとさん。
一ヶ月か二ヶ月に一回なので、発声を見ると言っても、なかなか難しい。特に彼女はゴスペルクラブでみんなで大きな声で歌うために、喉を壊し易いとのこと。地声を多用しがちなので、喉の状態を楽にして、お腹をしっかり使って歌うしかないだろう。彼女はあごが上がってしまうことと、首が前に出てしまう。これらの姿勢をいつも気をつけて、声を出す際に絶対に首を動かさないこと。あごをきちんと引いて、声を出すきっかけをお腹を中にしっかり入れて出すことを心がけること。声をチェンジした場合に、声のポジションをしっかり低く感じて出すと、

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