2002年3月前半レッスンノート

レッスンノート目次
3月2日 | 3月3日 | 3月4日 | 3月5日 | 3月6日 | 3月7日 | 3月8日 | 3月9日 | 3月11日 | 3月12日 | 3月13日 |
3月15日
3月15日

にしさん。前回にやった仮声から実声につなげることをやってみた。やはり、仮声は仮声で、実声につながらない。その前に、何度も指摘したことだが喉が上がってしまい、どうにもならない。声を出すきっかけで喉が上がるので、声帯のコントロールが利かない。あるいは、声帯自体の状態がきちんとした状態ではない感じに聞こえる。それで、少し強制的に喉を開くよう、喉頭を下げたまま声を出す練習をやる。通常は低音を出させると喉が自然に下がるのだが、低音をやっても声を出す瞬間に喉が上がってしまうように見える。
何度かやるうちに、どうにか喉を下げて開いた状態を作れるように放った。声楽を教えていても、なかなかこの喉が上がってしまう問題の対処は難しい。声を出すことと喉が上がることの関係が、どんなイメージから出来ているのか?というのが、実現しずらいからだ。たとえば、本人は発声を習ってきた中で、声をいつも頭に向けて出そうと努力していたのだろうか?上に向かうイメージが喉を上げているのなら、それを反対にイメージさせる。声を地面に向けて投げる感じ。然るに胸声である。胸に楽にしかし、ポーンと当てることは発声練習で良くやることだ。しかし、この程度のイメージトレーニングでは、彼の喉は下がらないし、声を出すときには喉は上がってしまう。ものを吐く時の喉、その状態を作るのが一番分かり易いようだ。後は声を出す際にその状態が変らないようにする。この方法でしばらくやるが、声は太くなり、声帯がきれいに合わない。この練習では、声帯の状態よりも、ともかく喉を開くことを覚えるに止めて欲しい。
結局、喉の位置は、人によって、あるいは声域によっても違うので一概に低ければ良いと言うものでもない。彼の場合も高いのかもしれない。いずれにしても、声を出す瞬間に喉が上がって詰まらない状態になることを練習して見て欲しい。

みくりやさん。
発声では、あくびの状態で良い声が出るのだが、すぐに声質が変ってしまう。それと、声の出だしの音程。特に下降形の時に。ある音域になると、上ずるようだ。この場合、声の出し始めの位置を低く、たとえばみぞおちあたりから声が始るような意識でやると落ち着く。下降形では、最初の声の出し始めの声質はとても良いのだが、次の音ですぐに、前のみくりやさんの声に変ってしまう。充分に注意をして、声質が変らないようにしてほしい。上向形の練習になると、今度は下の響きが強く出て、やや喉で押した声になりがちだ。
たとえばドミソ〜の場合に、最後のソの音が強く直線的に出してしまう。軟口蓋をしっかり上げて、頭部へ共鳴させる意識、息を頭部に送る意識を持って上向形の音形をきれいに響かせることを忘れないように。
曲は、フォーレの「夢の後に」大分きれいに歌えるようだが、フレーズが短い。少し慎重なのか分からないが、フレーズの終わりが早すぎる。本来1フレーズで歌うところをブレスを入れているから、なおのこと目立つ。ぎりぎりまで声を伸ばして、瞬時にブレスして素早く次のフレーズに渡す。。というテクニックを見に付けて欲しい。高音を出すHelas...もなるべくぎりぎりまで、伸ばして、次のHelasにつなぐように。途中、の低音はとても良い声が出ている。最後のradieuseのeuの高音がスカスカだ。しっかりと喉を開いて、喉の奥から出すようにしてほしい。ともかく、彼女の場合は、集中力、そしてブレスのしかた。そのためには、フレーズをしっかりと歌いきることが大切。フレーズを歌うときは、最後までしっかりと息を吐き切ることを心がけて欲しい。そのための集中力を養って欲しい。

TOP



3月13日

たにぐちさん。オーバーブッキングしちゃって申し訳なかった!
発声練習では、特に高音をやってみた。スタッカートで2点G以上を上ずることなく、当てる練習。下と上のバランスが出来ると、ポーンと響く場所が分かると思う。後は、その感覚でロングトーンに出来る。といえば簡単だが、ロングトーンになると、どうも喉に来てしまう。これは前から彼女の癖だが、声を出す方にばかり気を取られ過ぎて、その前の準備が足りない。喉あるいは、お腹への集中力を養うこと。ちょっとしたタメという感じかな。良く言えば、彼女はアグレッシブでやることには熱心だが、物事には準備が必要だ。声を出す前の状態にもっと敏感になれば、もっと早く出来るようになると思う。ちなみに、彼女は低い方からスタッカートで上がっていくと、自然に2点Fisくらいから、口の開きをやや狭くして、横開きにしようとしていた。これはこれで正解だ。声帯の状態を調節するからだ。その辺りは勘が良いといっても過言ではない。
さて、曲になるとこれが難しい。言葉がつくからだ。きょう初めてやったO mio babbino caroでは、特に高音2点Aが2回続くフレーズがきつい。これは、無理も無い。半分に分けて、とにかく高いポジションの声をしっかり当てること。あごを出さないように、声を喉の下に一瞬で当てるように。当てる際に喉が上がってしまっていては駄目。今日は時間切れだったので、次回にゆっくりとやってみよう。

いとうさん。
発声練習では、声のポジションを治す。やはり、ポジションが高い。若いともいえるが、ついつい軽く出てしまうのだ。声帯自体は立派なものを持っている。ブレスの時点で喉の位置決めが出来るように練習してほしい。この練習を含めてコンコーネ50番の2番で徹底的にやってみた。階名唱法(ドレミ)で歌ってみたが、まず声を出し過ぎ。試みに本人はメゾフォルテのつもりだったので、フォルテで歌ってというと、声量が変らずにポジションが高くなっていた。声の当て方や喉の下がり具合ひいては横隔膜の使い方がまだ良く分かっていないのだろう。それと、子音を発音するたびに下あごをがくがくと開き過ぎている。このために、軟口蓋が上がらない。副鼻腔の空間が保てないだろう。あごに力を入れずにあごを動かさない技術といえば良いだろうか。。練習しないとなかなか身につかないが、なるべくあごを動かさずに子音を発音できるように、、、ということは、口が半開きの状態で喉の奥が良く開いていて、それで発音が出来る状態が良いと言うこと。レッスンの最後の最後になって、ビブラートの話題になった。これで、またわかったのだけど、息の送りがまだ少なかったようだ。これも試 みに息だけを出す練習をしてみた。ピとかミとか子音のついたイの母音で息を頭部に向かって吐くように練習する。その後同じ子音母音でソの音で声を出して出しながら喉を開いていくと、良い息の混じった声になっていた。ここから応用してアの母音にしてみると、やはり、アの母音は声帯が締まってしまうようだった。あいまい母音からでも良い。息の良く混じった響きで、頭骨に共鳴を感じるくらい強く息を送って出してみることが、練習で必要だろう。この息をけちらない十分に使った声で合唱で応用して見てほしい。多分、今までとの違いが良く感じられると思う。多分、和音が混じり易い、合い易いことが分かるだろう。。。


TOP


3月12日

さたけさん。発声は特に変ることはなかったのだが、どうも気になるところがあった。一つは響きがもう一つ鼻腔というか、頭部に共鳴する感じが足りないということと、基音のポジションが少し高いような感じ。
非常に微妙だけども、声が良く出るようになっただけに気になりだした。良くなると、もっと良くなってほしいと思うのだ。もっと良くなるはずと思うと、黙っていられない。(笑)
多分、まだ喉の位置が少し高いのだろう。無理に喉を下げることはしてほしくないが、もう少し喉が開くことと声を当てるポイントを落ち着いて低く感じることが大事だろう。
結局、ぼくが良く言う「あくび」という状態は、口を開くことで喉の開きを良くする(喉頭が下がる)ことと、軟口蓋が上がることを一気に行うということである。この両者のバランスは難しい。声質を聞いて良く判断しなくてはならない。このことと、声の出し始めのポイントをどこに置くか?ということは関係がある。声を出す瞬間に微妙に喉が上がってしまうことが、ポジションが高いということと同義といっても良いだろう。胸で呼吸をしてしまうとこのポイントが上がってしまうのだ。だから、ブレスは静かに、大事にしかし、しなやかに素早く行わなくてはならない。
曲はChanson d'amour..から。この曲をやっていて、上記の問題を特に感じた。2点Cというのは、それほど高い音ではないことをまず分かってほしい。後1オクターブは出さなければならない!と思えば、ポジションをそんなに高く出来ないと思えるはずだ。オクターブ下の声を出して見て、その状態のままオクターブ上を出す感じでやってみる。声質が落ち着く、音程が上ずらない。良い音程感が出てくる。同様に、今日初めてのLe secret もやってみる。この曲の最初のJe veux..の狭いあいまいな母音はやや広めに、しかし、ポジションが高くならないように気をつけること。発音では、ouのウの母音はしっかり口を丸く閉めてほしい。
フォルテになる、Je veux que..の件もポジションを高くしないで、胸にしっかり当てるように、高いproclameの音まで同じ声質で。次のl'amour qu'au matinのポジションもブレスでストンと筋肉を緩めて低く当てることが、ピアノで柔らかいダイナミックを表現するために、大事なこと。
このように、ポジションを下げることで、声帯や横隔膜を適度な弛緩状態にすることが出来ることで、逆に声の持つ表現力を高めることが出来る。とても大事なことなので、覚えてほしい。くれぐれも、強すぎる声で行わないことが大事。

あめくさん。
アの母音で行う発声練習は、とてもきれいに響いている。低音から高音までなめらかで、無理が無い。
ただ、上向形になると、逆に低いポジションからそのまま押してしまう感じで声に乱れが出る。上向きの時は低い声の出し方に工夫が必要。押さないで上のポジションをきれいに保って、息を上顎に響かしていくように大事にかつしっかりと上がっていくこと。難しいから良く練習すること。
曲(Sebben crudele)になると、更に少し乱れが出る。エの母音が難しい。結局、色々やったけど、中低音の声はエに限らず前に響きのポイントを置くことが大事だろう。それから、口の開きが足りない。あくびの状態を作るために喉や軟口蓋を上げるために、口を開く必要があるのだが、肝心な所で開けなくなっている。まずは良く開いてそして前に響かせることを確実にしてほしい。今日のポイントはこれだけで充分。
後はオとかアの母音も開くこと明るく前に響かせること。そして、高音は怖がらずに喉をしっかり開いて。
特に「Figaro」のVoi che s'apete..は高音が続いたり、良く出てくるのでブレスでしっかり喉を開く準備が瞬時に出来るように、練習してほしい。以上。

TOP


3月11日

きょうはさわださん。体調が気になったので短めにした。発声も暖める程度に。曲はカルメンの「ハバネラ」
フランス語は癖が無いので、あまり問題はない。発音というよりも発声の方が大事だと思う。表面的な発音、母音のカタチよりも、どういう響きを出すか?が大事なのだ・
彼女の場合中低音の母音で簡単に声が出てしまうのだが、平たく前に出た声になってしまう。きちんと喉を開き、軟口蓋を上げたノーブルな響きをいつもいつも心がけてほしい。西洋人が好きな声質といえば分かり易いと思う。ペタっとした声ではなく深みとビロードのような艶のある声。とどのつまり、クラシックの声楽はこの声質の追求と、効率の良い声の出し方の追求と言っても過言ではないだろう。彼女の場合、ちょっと注意すればすぐ出来るので、後は本人の自覚と選択の問題だと思う。特にアとエの母音に注意してほしい。
これは、彼女に限らず初心者の声楽を勉強している人に共通したことだ。
彼女は良い声を持っていると思う。少しずつでも良いから、歌を続けてほしいと思う。

TOP


3月9日

なかがわさん。いつもの発声の根本を30分ほどやる。喉の位置が高いのと、特にアとエなどの広い母音で響きが奥に入ってしまうこと。どうしてそうなるのか?という理屈よりも、その声がどうして悪いか?ということの認識が大事なのだけど、その辺りどうなのだろう・・・。趣味でやっているから、焦ることもないけども、歌の音楽、特にクラシックで歌うということは、マイクを使わずに、おおむねピアノ伴奏になる。そうすると今のままだと大事な中音部から低音にかけて、ほとんど声が聞こえない、、という状況になってしまうのだ。
もう一点は、音程が上ずること。中音部は音程が上ずると、とても聞きづらい音楽になる。
今日は、イの母音で1点A〜2点Cくらいで出してみた。地声に限りなく近いくらい声帯が良く合わさって、前に響く声が出る。この響きを利用するしかなさそうだ。ただ、本人がア、、、と意識して変えると、響きは完全に変ってしまう。イで発声してゆっくりと、響きを変えないようにして口を開いていく。ほとんど、あいまいな母音に聞こえるが、まずはあいまいでも良いからイで響いたものを変えないで広い母音の響きを作れれば、上記の問題は解決すると思う。後は、声を出し始める位置を体の低いところに感じること。声を口の前で響かすような感じでも、うまく行くだろう。ヘンデルのLascia ch'io pianga..をやった。これなども良い教材だ。出だしの低音で、発声がうまく行かないと、結局高い方に行っても、良い響きにならないのだ。この中低音は女性にとって難しいものだけど、クリアしなければならない問題だ。声量は必要ないから、とにかく響かせることを大事にしてほしい。

よしおかさん。
今日は、花粉症と風邪と両方の症状があり、調子が良いとは言えなかった。こちらも花粉症だし、難しいレッスンだった。集中力と体力がないと、声楽はなかなか難しいものだ。体をほぐす柔軟をやり、呼気の練習をしてから始めた。声は思ったより出る。基本的な発声では、声のエネルギーがあるから、その点は良いのだが、彼女の場合は旋律への発声の応用が難問である。特に2点C〜Fくらいの音域で難しさがある。チェンジの問題もあるのだけど、声を上顎のあるポイントに集めて歌うことと、喉を開いてほしいことを一度に習得するのが難しい、、と今日は判断して、喉の開き(喉頭の下がり)は無視して上顎に響きを集めることを練習した。なぜ喉の開きを無視するか?といえば、下顎を前に出してしまう傾向があるからだ。このために今度は響きが落ちて音程がフラットになってしまう。しかも、多種類の母音で対応しなければならない。特にイの母音が喉で鳴ってしまう。口をきちんと丸くすることがまず大切。そして、お腹を意識して息を上顎あるいは、脳天まで送るエネルギーがないと、きちんと響かない。喉でやるのではなく、お腹でやること。結局これだけでも、しつこくしつこくやらな いと、先に進めないのかな。と、今日のレッスンで思った。取りあえず、Star vicino..でゆっくりと、細かくやってみた。響かせなければならない音は、一つのフレーズで高い音である。というか、自然に高い音は響く、あるいは響かせようと意識するはずなのだけど、逆に引いてしまう傾向がある。これも、理由が良く分からない。あるいは調子が悪いだけなのかな。今日やったことを確実にしてから喉を開いて下の響きを付けていきたい。


TOP


3月8日

あゆみさん。
発声練習は中低音からきれいにていねいに出していた。いつものように2点Cくらいから上の声がチェンジするのだけど、喉の開きが悪いのでやや喉っぽくなる。お腹を使って喉を深くして高音を出すことを覚えてほしい。筋力が弱いようだし、体がまだしっかりしないようなので、強い声を目指す必要はないけども、お腹、横隔膜を使って声を出す基本から外れないことと、喉を開くこと、および軟口蓋の使い方だけは覚えてほしい。曲はTu lo sai..最初、様子を見てみたがやはり、発声の時のままだと、ポジションが高く声質がやせて苦しそうになる。オクターブ下の声を出してみて、同じ処に声を当てる感覚でやると、ポ〜ンと良い感じで声が響いた。チェンジ以上の高音は、どの母音でも下あごを下げるようにして声を出すと、喉が下がり、喉が開いて良いポジションが出せるから、覚えてほしい。そのまま、歌っていくと、低い方に降りても自然にチェンジするし良い響きになる。何より音程が良い。この感覚を覚えて次回もトライしてみてほしい。

ふじやまくん。初めてのレッスン。簡単な発声を聞いてみると、良い低音が出る。まだ高校2年生だけど、良い喉を持っている。まあ、良い喉を持っている子は最初から良いのだ。(笑) バリトンでも高目〜太目のしっかりしたテノールになれるだろう。体つきも声楽家に向いているし、立っていても、なかなか体がしっかりしている。チューバをやっているらしいが、呼吸が胸で吸ってしまうので、その辺りと横隔膜を使って声を出す練習をした。歌の場合は、とにかく吸う方は意識しないに限る。なぜかというと、胸で吸ってしまうからだ。胸で吸うと何故悪いか?というと、横隔膜を緊張させてしまい、声をしっかりと出すための、準備が出来なくなってしまうからだ。お腹を中に入れるようにして、呼気をしっかり吐く練習をして、声を出すと、すぐにお腹の声が出るようになった。高音まで出しても、1点Fまで楽に出せる。あくびの口の中のポジションもやってみた。元来、彼の良いところはあごの力が抜けていること。これも天性のものだろう。無理の無い範囲であごを下げて、喉を開くこと、これも、良い声を出す基本。なかなか楽しみな声の持主である。すでにオペラのアリアを聞きたくなる、イメージのある声である。

TOP

3月7日

みくりやさん。発声では前回の復習、あくびの口の中の状態を作ってもらった。時折見せるびっくりするような良い声をつまみ出して、何とか普遍的なものにする作業になった。彼女の場合、喋り声はソプラノのそれであるが、発声でこのポジションを作ると、信じられないようなメゾソプラノの声になる。喉が下がって開くのだろう。ぼくは彼女にはこの路線で伸びてほしいと思う。落ち着いた音楽が出来るからだ。このポジションは一度つかめば、定着できるだろう。彼女は勘が良いから。
歌声と言うのは面白いもので、たとえば女は高価な毛皮を着れば、人はその高価ないでたちにすぐに気づくが歌声は歌うまで分からないものだ。喋り声と似ている場合もあるが、似て無い場合もある。彼女が今日聞かせてくれた声は、後者である。逆にいえば、歌えば内なる高価な毛皮のコートを披瀝するようなところがある。そんな声を作ってほしいものだ。歌声が高価な財産である所以。
今やっている、フォーレの音楽にもぴったりだろう。「夢の後に」もブレスの短さをのぞけば、声質はとても良い。出だしは出来れば1フレーズで歌い上げてほしいが、無理せずとも今日のポジションの声を確立してほしい。ただ、Dans un sommeilのミ♭の声がまだうまく行かない。下のポジションできれいにスパッと出てほしい。低音は充分響いている。時々、語尾のEのあいまい母音が狭いウの発音になることを気をつけてほしい。気を良くしてリディアを譜読みしてもらうことにした。次回も期待している。

TOP


3月6日

さぶりさん。
発声を始めて気がついたのは、ブレスで喉頭が落ちるのに、声を出す瞬間に上がってしまうことだった。ある程度は仕方ないが、そのために、声質が軽いし平たいのだ。喉に無駄な力を入れてないことでもあるけど、逆に喉が開いていないことでもある。声が良く鳴るのはそのせいでもある。ただ、1点C以上になると軽く平たくなる。
で、ヘ音記号内の低い音域になると、声帯が自然と落ちるようになる。下のFくらいでは、完全に落ちていた。そこで、そのポジションのまま高い音域で発声練習をしてみた。立派な声になる。ただ、意識すれば出来るのだが、すぐに忘れてしまう。喉を下げた状態でも、無理はなくしっかりと太い声になっていて、良いと思う。彼自身は不自然な印象を持ったらしいが、ぼくの耳には良い声に聞こえた。歌の練習をしてみるとアやエなどの開口母音で喉が上がる傾向が見られる。とにかく彼の声は自然に任せて歌っているのだろう。
ぼくの耳には軽く平たい声、と思っても、合唱団で長年良しとされていたのだろうか。。と思うと複雑な気持ちである。
若い頃からそういう声でアマチュア合唱団でやってきているのを、我々声楽家の感性で作り直して良いのだろうか?ただ、一つの普遍的な基準だと思ったのは、彼がベースパートを歌うときに、ともすると、低い音に落ちたときに音程が上ずったり、かすれたりすることである。これは、彼のポジションの高さと関係があるのは間違いの無い事実だ。とすれば、自然なポジションとする、楽器としての彼の声の持ち方はやはり間違っていると言わざるを得ない。合唱団でポリフォニーなりホモフォニーを作る場合、声が楽器的な意味合いを持つ必要は高いのだから。朗読とは違うのである。もう一つは、低いポジションが絶対というのではないこと。低いポジションを作ることが出来るテクニックを持ってほしいことである。要するに意識して出来るか、出来ないか?である。歌詞のあるいは音楽のニュアンス、感情の表現は自然な体の反応と密接である。
感情が高まったとき、怒ったとき、優しい気持ちの時、同じような声のポジションではないはずである。これは横隔膜の反応と密接な関係がある。このように、声楽は人間の感情のカタチを声で現す、表現するということで、役者のテクニックととても似ていると思う。だから、感情に関わる肉体的器官を意識下でコントロール出来るテクニックを持つことが大切なのである。

彼のケースはとても興味深い。彼自身の問題提起は発声と歌、楽器としての声のあり方、を問い掛けているようにも思える。確かに楽器として作る声のあり方は、ある面で不自然さを伴うことがある。
日本語と声の関係、歌い方、発声、どれをとっても確実に解決している問題、とは言えないのも事実だ。特に日本人男性の場合、ほとんどが西洋であればテノールの音域になる声質を持つことが多いといわれていることもあるし。。。。


TOP

3月5日

こうなると何なんだろう?良くも毎日書いているぞ、レッスンノート。意地ではないけど、癖かな?
みんな素人なのに、その熱心さに打たれてレッスンの仕事を続けられるし、このレッスンノートも続けている。忙しくかったり、落ち込んで気持ちが辛いときでもこうしてレッスンが出来るのは、みんなの熱意のおかげだ。ありがたくて感謝するのはぼくの方だ。あらためてありがとう!と言いたい。

にしさん。発声練習はこのところ、安定しているしそこそこ高い方も音程は悪くない。悪くないが、まだ喉が硬い感じ。高いチェンジになってから、チェンジ出来ずに、無理矢理喉を下げてどうにか勢いで対処する癖が抜けない。そのことが良く分かるのは、曲になってから。トスティのAprileをやったが、チェンジ近辺の声が音程が悪く、喉っぽい。1点Eの声が、完全に胸声から抜けられない。そこで、鼻先で軽く障子の薄紙をピリピリさせる感じの声を練習した。これは、頭声を作る練習。要するに声帯の振動をコントロールするのだが、胸声は声帯を厚く使う。そのために、強い声を出せるが、高音になると音程が出なくなり、きつくなる。頭声と言うのは、共鳴として捉えられるが、そうではなく、声帯の細かい振動を可能にする方法だと思ってほしい。にしさんの場合、仮声は出るのだが、本当のファルセットが出せない。それはこの頭声の訓練が出来ていない体と思う。また、元来が出しにくい性質なのだろう。だが、絶対に出来ないということではないと思う。現に今日もファルセットで息を鼻の奥に通して音程を安定させたところから、微妙に鳴らしていく練習をしたところ、少し出来かけてき ていた。じっくりと落ち着いて辛抱強く練習すれば出来るようになるだろう。これが出来ないと本当の声楽の奥義は難しいからなんとかトライしてほしいと思う。

あめくさん。
今日も発声では良い落ち着いた声を出していた。声を前に出すことで、中音部の美しい共鳴が出るようになっているし、チェンジしてからもか細くならずに、しっかりとした声が出せるようになってきた。
彼女の声質はメゾソプラノを目指すのが良いと思う。ていねいに練習していけばビロードのような高価な声質を手に入れることが出来ると思う。これは、財産だ。復習でSebben crudele..をやってみた。最初はやはり、エの母音が浅く軽くなってしまったので、もう一度狭い口でポジションの矯正をした。このポジションの声は、どうも下の音域で低くチェンジした声が多く混じる声なのだろう。かなり太い声になる。でも、どうやっても、この方が全体のバランスも良い。このポジションを取るために口先を閉じるが、慣れたらなるべく、口先を開いて広いエの母音にしてほしい。その方が軟口蓋もあがるし、響きがきれいになるから。声を絶対に押さないで、響かすということを忘れないで辛抱強くやっていけば、もっともっと響きが出てくるから、焦らずに勉強を続けてほしい。
モーツアルトのVoi che s'apeteを練習した。予想通り彼女にはピッタリだった。
高音も張りがあるし、声量がついてきた。時々びっくりするくらい、響いている。イタリア語がまだ慣れていないが、これも時間の問題だろう。彼女の声はメゾ系だしフランスのオペラなんかも合うだろうと思う。気持ちに余裕があれば、ぜひ勉強して見てほしい。

TOP



3月4日

さわださん。発声練習を始めるとやはり軟口蓋が落ちている。喉も開きがやや悪い。軟口蓋の上げ方だけど、口を上顎下あご共に同じ角度で開くイメージで口を開くのが最初は分かり易いだろう。とはいっても、実際は上顎は上に開かないのだ。要するに、上唇あるいは、頬の緊張感をもたせるために、このようなイメージで口を開くことで、軟口蓋を上げるのを助けるのだ。ブレスで声を出す準備の際にこの口の中のフォームが出来ていないといけない。我々日本人は、普段、この軟口蓋を上げて喋ることがない。せいぜいあくびの時だけである。発声にはとても大事なことなので、普段から上げる練習をすることをオススメする。だが、何事もやり過ぎないように。やり過ぎると、大概は喉を締めてしまう。あくびの状態は喉も開く。要するに喉頭が下がるのだ。この両者のバランスが難しい。
ただ、このフォームがつかめると、本当にノーブルなクラシックの声が得られる。とても大事な発声法だからくれぐれも、忘れないでほしい。ともすると、喉で押してしまうので注意すること。
ボエームの「私の名はミミ」から。今日はとても良かった。声質が軽く、ソプラノらしいし、このキャラクターに合った声が出ていた。いつもながら、彼女の歌のセンスには感心する。歌うべき処における集中力というか、声のエネルギーは素晴らしいし、人を納得させる何かがあると思う。
最後の盛り上がりの最高音の2点Aがやや平たく薄い響きになってしまう。その前のフレーズでイの母音がやや浅いのと、2点Aのオの母音を出す際に喉が完全に深く開いていない感じだ。下あごをしっかり開けて、喉を良く開き、声を胸に当てるように出してみると、しっかりしてくる。聞かせ所なのでこの当たりの声の錬磨はまだまだ必要である。
カルメンのハバネラを練習した。これまた、彼女の声は妙にこの曲に合っている。鼻母音でンを発音しないこと。Tuの発音、SiZiの発音、Jeの発音いずれも、フランス語らしい発音だから気を付けて。
発音に気を取られ過ぎて発声をなおざりにしないこと。だが、彼女は意外とフランス語に癖がなく、可能性を感じた。得意不得意は関係無く勉強してほしいと思った。

TOP


3月3日

なかがわさん。発声では喉の位置を明快に下げてやってみることを教えた。あくびだけだと、まだ喉の開き、喉の下がりが悪いのだ。彼女は喉が高いために、喉が開かないという声をしている。慣れれば舌根を使わなくても、喉を開く(下げる)ように出来ると思うが、なれるまで少し強制的にやらせてみようと思う。これと共に、イの母音をきちんと作りそこからエとアの母音に移行して負荷のかかってお腹から出るアの母音を作ることをした。声量はともあれ、ポジションの深い少し鳴るようになるアの母音が出るようになったと思う。後は呼気の力を鍛えること。今日はヘンデルのlascia ch'io piangaをやってみた。これは彼女には丁度良い音域だろう。発声練習のせいで、2点F以上の高音も輝かしいしっかりした高音が聞けるようになったと思う。今日の成果は大分良いものが見えたので、次回も忘れずにトライして見てほしい。

よしおかさん。今日はどうも体が疲れているように見えた。発声練習をしばらくやったが、どうも喉で頑張るだけで体の底からみなぎる力みたいなものが不足しているようだった。背中が痛いというので、少し柔軟体操をやり、呼気の練習をする。単純に息を吐く練習だ。もちろん、お腹を意識してしっかりと吐く。これらの練習をして発声に戻ると見違えるくらいに声が出るようになった。今の彼女は、ともかく発声の前に少し体を柔軟にし、呼気の練習をすることが大事なのだろう。体というのは、素直なもので特に声いうのは、体が硬くまた緊張していては出せないものだ。開放的な心と肉体を伴って始めて明るい力のある声が出てくるものだ。それは、息を力強く吐くことと関係がある。曲に入ってからもブレスでうまく行かないが、ブレスも彼女の場合胸だけで息を吸ってしまい、お腹の横隔膜の準備が出来ていないために、喉が上がり、声が出なくなってしまう悪循環に陥っている。次回はこの胸を使わないブレスを練習したい。取りあえず息を吸わないでいきなり声を出すという練習からやってみたい。

TOP

3月2日

あんどうさん。発声は基本的に良くなっている。体が使える声になっている。2点Cくらいから、喉がやや上がってチェンジしていこうとするけど、Fくらいまで我慢して、喉を開けてしっかり出した方が良いだろう。むしろ、中音部のチェンジ前の声で、軟口蓋が下がって音程がぶらさがる傾向があるのを気を付けてほしい。呼気の力が中途半端だとこうなることが多い。中音部の声はむしろ高くあたっくすることを心がけてほしい。下降形の最初の声もアタックをもっとはっきりと、ポ〜ンと当ててやるべきだ。
合唱の曲を練習した。中音部の声がぶらさがるようだ。DonaのDの子音とオの母音だけども、喉の開きが慣れるまでは、最初から良く開いて舌を動かしてDの子音を発音した方が良い。日本人は喉が開かない状態でDを発音するから音程がはまらない傾向に最初からある。口の使い方は慣れればそれほど開かなくても奥が開いた状態を作れる。いずれにしても、注意したことが彼女の理解を得ることが出来るし、実行することが出来る状態になった。これは間違いのない進歩だと思う。


TOP

TOPPAGE