レッスンノート

かなめさん 彼は役者修行中で、話す時間が多くなる。 20代で役者修行なわけだから、夢もロマンも大きい。 羨ましいし、またその瑞々しい感性にこちらも影響される。 声楽家の卵も同じだけど、役者と違うのは、声楽家は 一般的にあまり内面的ではないな。 とにかく声を出すことばかりで、心の方に目が向かないものだ。 扱うものはとても内面的なものなのに、それが不思議だ。 おおむね、発声オンリーである。 ぼくはこの道に入ったころ、そして今もだけど、いわゆる声楽家 の喋り声が嫌だと思う。一言で言えば無神経、人の神経を逆なでする ところがある。これはぼくの印象だし、一般論。 それは、声のことばかり考えているからではないか。 声のことばかりと言うのは、声の出し方ばかりで声は心の 鏡だということが、すっ飛んでいるからである。 これがまた、おおむねその道の一流の人は違うのだ。。。 一流になると、自分を知っているし、相手を尊重しているから違うのだ。 さて、かなめさんのレッスンは、発声。 全体に胴間声、胸声ばかりの傾向なので、コンパクトに 軽く、音程を良く、声のアタックも正確にすることを 教えた。 例によってハミングでコンパクトに音程を正確に軽く当てること から始めた。次に高音からファルセットで降りる。 自然に実声にひっくり返るところで、ひっくり返ったような 返らないような、要するに軽い声で今度は上向形で発声練習。 声帯の使い方は、軽くできるのだが、どうしても胸の方に 響きが落ちてしまう。 もう一度ハミングから母音に変化させる練習をして 響きを顔の中央にコンパクトに出す練習。 彼の質問で、この出し方はお腹がつながっていない感じ、とあったが 確かにそうかもしれない。 声は、お腹をしっかり使うと声量が増すが、響きは太く音程が 下がり気味になる。 今大事にしてほしいのは、声量ではなく、声の通りと瞬時にきれいに 正しい音程を出せる方法である。 軽く出すこと、響きを胸に落さずに顔面にコンパクトに当てるように。 「シャボン玉飛んだ」を練習。 ラララで声のアタックと音程が真っ直ぐに正確に歌えるように練習。 次に言葉で練習。これをきちんと出来るようになったら、フレーズで 言葉の意味をつなげて歌えるようになってほしい。 あめくさん 母音で声馴らし程度に、2点Gくらいまで上がり下がりした。 高音は、口を開いて後頭部に向けて息を吸い込むように 一気に当てて出す方法を練習。 2点hまできれいに出た。 声は来る度に良くなっている。高音も安定してきた。 徐々にだけどきれいなソプラノの可能性も見えてきた。 むしろ、最初から声を重く使うよりも、軽いリリコソプラノ を目指して、年齢とと共にゆっくりと声を重くしていくのが 良いだろう。 曲はイタリア古典歌曲集からWSe tu mVamiW 最初中声用でやったが、思いついて高声用でやったが これが大当たりで実に声の乗りが良い。 彼女の今の声の問題点も、逆に直し易い。 問題点は、当初からだけどエとイの母音である。 喉が狭すぎて響きが低くなる。音程が悪いのではなく 声帯の締まりが強すぎて、喉鳴りしてしまうのだ。 鼻腔に息で響かせる感じを良く練習してほしい。 最初のSe tu ..のエの母音は、アの母音で出すと、 彼女の場合声帯に微妙に開きが産まれて、良い共鳴が出る。 その響きを基にして、エに変化させてエでもイでも同じように 響かせることを覚える。 後、イタリア語に良く出る単語の語尾のオが狭くなることも要注意。 他の場所でもそうだが、オの母音が狭くなる。これが聞き苦しい。 うるさいオジサンだが、仕方が無い(笑) 良い可能性が見えているから、出来ると思うからうるさく言うのだ。




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