彼女は8年ぶりくらいだろうか?久しぶりに来てくれた。
思い出して良く来てくれたものである。

電話での連絡を聞いて、高音が出なくなってしまったとのことだったが、そのような心配はまったくの杞憂であった。
以前こちらに来ていた頃の彼女の声は、きれいなファルセットの強い高音の声だったが、それが故に超高音が出にくかった。
加えて、クレッシェンドのしにくい高音であった。
ファルセットが強かったため、音程的にはとてもきれいに決まっていたのだが、声の芯が少ないため、息の支えが使えなくなる、という印象であった

今回聴いた声は、その点がかなり改善されており、高音にも声の芯がついていたし、驚いたのは、あれほどスカスカだった
低音の声が綺麗にまったりとした声の集まりが感じられるようになったこと、である。

喉を壊しそうになりながら、必死で練習したようだ。
特に、鉛筆をくわえて、良く練習したらしい。

現在の課題を言えば、良く喉を開けて、かつ芯のある声で歌えるのだが、高音になると今一歩声帯の合わない響きになりやすいこと。
結果的に音程が微妙に♭気味の高音になること、である。

このことを良い面で言えば、喉で押さないように意識しているのだと思う。
だが、押さないあまりに、声帯がきちんと合った高音の発声になりきれていない、気がする。
その音域はおよそ2点Fから3点Cまでの間である。

もう一点、このことを別の言い方をすれば、上昇形のフレーズで息に流速を付けない、という感じなので、高音になるほどの輝きが感じられないことであろうか。

これは、呼気の使い方を意図的にすること、そのための身体の使い方を、覚えることも良いのではないか?と思う。
例えば、お腹はどう使っているのか?高音を歌うときに、どのような身体の使い方をしているのか?
改めて検証してみると良いと思った。

そして中低音~低音の発声はとても良いと思う。
これは、相当な努力の成果だろう。