6、声を楽器として使う・・・

今回は、厳しいことを書きます!笑
今回は、発声・・というよりもなぜ発声を学ぶのか?学ばねばならないのか?ということを書いてみたいと思います。なぜかというと発声のことだけを考えるあまりに、音楽がどこかに行ってしまっている人が多いということなのです。例えば、発声方法からいえばよく見られる口の使い方をしていたり、顔の筋肉をしているのですが、それが音楽表現とあまりにかけ離れてしまった例を多く見かけるからです。必要以上に目を開いたり、必要以上に口をすぼめたり、しかもそれを固定的にやっていさえすれば良い声が出る!と信じるあまりにステージではまったく滑稽な姿をさらして、恥じることが無い…といえば良いでしょうか?
少しきつい言い方ですが、これは、演奏家の姿ではなくピエロです。元来クラシックの演奏家といえどもピエロ的な芸人であることには違いありませんが、その前に楽譜に書かれている音楽の美を忠実に再現する僕であるべきだ!と私は言いたいのです。バイオリンの初心者が、なんとかかんとか「メリさんの羊」を弾いていると音がギコギコして音程が低かったりして、聞くに耐えない音を出すことがありますが、声楽家も同じです。
何がいけないんでしょうか?簡単です。弦の鳴らし方、ボーイングの仕方、フレット部の指がうまく使えないのです。声楽も同じです。正しい音程、きちっとしたリズム感、程良い響き…まずは楽譜に書かれている旋律がきちっとわかるように歌えるだけでも、なかなか大変なことなのです。これが第一段階です。

これらの正しい音程と、声を響かすという技術がMezza Voce(メッツァボーチェ、半分の声量軽い声)で出来た上で、徐々に声量を出していく訓練をしなくてはいけません。
自分のイメージだけで人前に立って、応援団みたいな声でオペラのアリアなんぞ歌われた日には逃げ出したくなります。(爆!)ましてお金取るなんざ詐欺といわざるを得ない。
歌が歌える、ということと、人が聞いて理解出来る音楽を歌える、ということの間には相当な距離があることを知るべきでしょう。
我々は、簡単にCDやコンサートなどで有名歌手達の立派な歌を聴くことが出来ます。彼らは、何千人という聴衆の入るオペラホールを朗々と歌声で満たすことが出来ます。
しかし、大きな声豊かな声量というのは、なまなかなことでは身に付かないし、本当の意味での声量は誰にでも出来ることではありません。
何事も基礎が大事である…といわれる所以です。

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