教える方としては当たり前のことで、教わる方は当たり前でない、ということ、ままあるものです。

私が初めて発声らしきものを教わり、調子を出して練習した挙句、喉を壊してポリープを作ってしまったことがありました。
このとき、「頬骨に声を当てる」と言うやり方、特に母音のEを利用して、この感覚を身につけたことで、声を響かせる感覚が初めて生まれて、当時、ラヴェルの「ドン・キホーテ」を練習していました。

これをやり過ぎて、喉を痛めてしまいました。

先生に訊ねたところ「何でそんなに練習するんだ!」と驚かれました。

このように、初心者は自分の喉の加減がなかなか判らないものです。

私が伝えたいことは、どんなに良い発声だとしても、やりすぎは禁物、ということ。
特に高音発声の際に、声を出しすぎると、たちどころに喉を痛めます。
歌っている最中は夢中になるので、気づかないうちに、喉を痛める、という図式。

これはソロに限らず、むしろ合唱の方が、自分の喉の具合に気づかずに、無理をしてしまうことがあります。

ルネサンスのアカペラなどは良いですが、バロック以降の大人数で歌うと、隣の声に引きづられて、喉を痛めてしまいます。

発声法を覚えることも大事ですが、自分の喉の調子に常に気を配る冷静な判断力を養うことがとても大事です。

この喉の強い弱いは、個人差がありますので、自分は弱いか?強いか?常に自問自答して、自分の喉の調子を覚えてください。