もう一点は、姿勢です。
どの方にも一様に説明していますが、あごが前に出た姿勢は、喉のフォームを崩す大きな原因になります。

良い姿勢は、顔全体が胴体の真上に正しく乗っているイメージです。
壁に、かかとから太もも尻、腰、背中全体をつけるように立って、首の後ろの部分も壁につけるようにすると、この姿勢がわかると思います。

あるいは頭の天辺に穴が開いている、とイメージして、そこに10円玉を入れると、お尻の穴からポトン、と出てくるような真っ直ぐなイメージです。

悪い姿勢に慣れていると、最初は喉近辺の苦しさがありますが、これも我慢してトライしてください。

色々な人を見ていて効果が顕著に現れるのは、声の響きが太く胸声傾向が抜けない方です。
この場合、この姿勢を執ることで、声帯に微妙に間隙が出来るような感じの声になり、太い声帯を力づくで伸展させることで声帯を合わせ、出す高音発声がなくなり、太い声帯の使い方が自然に解消されるように感じました。

また逆に、ファルセット傾向が強く出る方の場合は、喉が上がらないため、芯のある高音発声の準備が出来るようです。

この姿勢を取り慣れない人は、上述の壁に背中から首の後ろをつけるような姿勢で立って練習してみてください。

ご注意ですが、この姿勢による発声は、超高音域ではやらないようにしてください。
喉を上げない発声のための姿勢なので、広大な音域すべてに適応出来る訳ではないです。
そのあたりは、ご自身の感覚と相談して、決して無理なことをしないでください。