先生選び

声楽の先生をどうやって選ぶか?という問題は難しいですね。
初心者、ある程度基礎が出来ている人、経験は長いが悪い癖が付いている人、プロ指向の人、楽しみでやる人。
それぞれ、かなり違う能力を、指導者は持たなければならないでしょう。

理屈だけ教えて後は知らないよ、と言う先生では、初心者にはチンプンカンプンだし、
気が短い先生だと、悪い癖を直すのは至難の技になると思います。

メトードはあまり問題ではないと思います。

結局、根気の良い先生が勝ちでしょう。
あとは、生徒と先生の相性だと思います。

良く、専門が違う複数の先生について、あれこれ違う専門のことを細かく分けて勉強されていることを得意になっている方もいるようですが、これは、そう単純なことではないと思います。

例えば、外国語の発音と発声を個別の先生に習ったとしても、そもそも発音と発声は切り離せない
要素がたくさんあるのです。
そういうことが、あるレベルに達していない生徒さんに、判断出来るのでしょうか?

例えば、外国語の発音にしても、声楽家ではない、単なるネーティヴの語学教師に就いて教わったとしても、声楽発声には単純に応用出来ません。
声楽の発音は、発声の問題と不可分だからです。

また、音楽の表情を付けると云っても、そのレベルに達していない生徒に、いくら教えても、
かえって発声に悪い場合も多々あることがあります。

習いごとには順番というものがあります。
頭の固まっていない子供に取って、親は複数要らないように、声楽の初心者にとっての
指導者の存在は、親と同じような信頼関係で成り立って作り上げる作業が、後々の声楽家になるまでの、資質を育てる大きな要素になる、と考えています。

発声練習におけるハミングの功罪

結論から言いますと、功が大きいと思います。
母音唱法は、人に拠って癖が大きく、癖が悪い方に行く確立が高いです。
ハミングの良さは、頭声区、胸声区、あるいは中声区の区別が付き易く、コツさえ覚えれば、
癖のある人でも、良いポイントを出し易いです。

声作りの基準点になるので、ぜひお薦めします。次回は再度、ハミングのやり方について。

発声練習について

発声練習は、単純化された歌の形、ということで、声の基本的な生理について知ったり、理解すること、あるいは準備運動、という要素もあるでしょう。

ただ発声練習だけで、声のことはOKとは行かないです。

歌になれば歌詞の扱いもあるし、フレーズの形ももっと複雑です。

 

ただ、フレーズの形にはパターンがあります。上向形、下降形、それらが合わさったもの、平坦、以上です。

それから、音が移動する際に一音ずつ移動するのか?和音内の音程を跳躍していくか?という違い。

前者をスケール移動、後者をアルペジョ移動としましょうか。

これらの違いを、発声練習で確認しておけば、複雑なフレーズを歌う際に、迷宮に入っても、何がしかの助けになるでしょう。

なるべく物事を一端単純化して、そこからまた、複雑化へ、という道筋を考えてみてください。
歌詞を歌う前に母音だけで歌う、それも単母音でと言う具合。
また、母音も、得手不得手があるでしょう。
得意な母音でやってみること。

そうやって、こんがらがった糸をほぐすようにして、迷宮入りした発声、歌唱法を取り戻して行ってください。

自習について

最近、ボイストレーニングの世界でも独習、自習される方が増えているな、と感じます。
それだけ、ボイストレーニングそのものに興味が向き、声を開発しようとい意欲のある方が増えているのでしょう。

ただ、自習は蟻地獄に落ち込む危険性がありますから、くれぐれもご注意を!
だからボイトレの先生の所に行きなさい、という意味ではなく(笑)本当に独りで練習していると
間違った方向に進んでも、そのことに気づかないまま独特の癖がついて、それで良い気になってしまうから怖いのです。

例えば高音。
高音は出るか出ないか?という判断でいえば、出ない声は判断のしようがありませんから、出す方向で練習するわけです。
しかし高音は出せても、声楽の声としての「良い響き」に達しなければ意味がありません。
意味がありませんというと厳しいですが、その良い高音とそうではない高音の差が実は大きいのです。

低音は、鳴らさなければいけない!と思い易いもので、実は高音以上に喉を絞めてしまうことが多いのです。
喉を壊さなければまだ良い方で、下手な発声が身につくと、聞くに堪えない低音の声になってしまうことがあります。
押しつぶしたような声、いわゆる「だみ声」というやつです・・・・

人間というのは肉体的な訓練を経る中で、どうしても自分に甘く、楽な方向を選ぶ癖のようなものがあります。
歌声もそうです。

何も根性論を言いたいのではないのです。

そうではなく、良い声を出す本当のポイントというものが、概して非常に絶妙なポイントにあることが
多いため、録音だけではその差が判らないのです。

また練習場所です。
マイクを使う、Pop系ならいざしらず、マイクを使わないで響かせるクラシックの声楽の場合は、
小さな練習室で自己満足に陥ってしまうと、広いホールでは通用しない声になってしまうことも
あるのです。

自分自身でも感じることですが、最も気を付けるべきことは・・

ブレスの方法
歌っている時の息の使い方
喉への集中

この3つです。
これらの3つは初心者の場合は、なるべく自習しないで先生に就くことをお勧めします。
最初が肝心ですので、必ず先生に就いてください。
そうでないと、悪い癖がついてしまいますと、治すのにとても大変ことになり、一生の後悔を
することにもなりかねませんので。
くれぐれもご注意ください。

喉を開ける一つの方法

ささやき声でしゃべってみること、は、喉の開いた状態を確認する一つの方法であると思います。
私は〜〜です、と、自分の名前をささやき声でしゃべってみてください。
誰でも出来ると思います。
次に、母音だけを伸ばすように、わ〜た〜し〜は〜・・とやってみるわけです。
もちろん、ブレスは歌う時と同じようにきっちりやってください。

息を吐いている実感がするでしょう。
そのまま歌声にしてみてください。
息が楽に吐ける実感があれば、成功でしょう。

もちろん、これで声楽の発声はAll OK!とは行かないですが、もし息の吐き方が判らない、喉を開けるとはどういうこと?と悩んでいる人の助けになれば幸いです。

応用編としては、ささやき声の息をどこに向けて吐くか?たとえば口の前なのか?脳天めがけるのか?変えてみると、ささやき声の音色に変化が出ると思います。
これが、声を出す際の響きの変化になって行きます。


喉を開けるとは?


「喉を開く」という言葉の意味は、歌いながら息を吐ける状態にする、ということではないでしょうか?
私はそう思っています。

歌いながら息を吐ける状態、というのは、実は声紋は完全に閉じているのではなく、少し開いているわけです。
当然ですね!開いていなければ、息を吐けないで死んでしまいますから(笑)

また、息を吐ければこそ息の流れに響きが乗って、響きが増幅される効果が出てくるわけです。
共鳴というのは、そのような状態のことを言うのであって、気道や器官の中を反響しているのとは違う、と思っています。

しかし、声紋は良く閉じ、かつ声唇を良く伸展させて歌えば、響きが良く出ることは理論的に判りますね。

ここが、声楽発声の初心者が一番つまづきやすい部分になるのではないでしょうか?
歌おうとすれば、感覚的には、声の響きに集中してしまいますから、勢い声紋は閉鎖する方向に行き易いと思います。
その中で、いつの間にか息を詰めて、すなわち息を綺麗に吐けないで歌ってしまう方向に行く人がいるのだと思います。
私がそうでした。

このように色々な癖を持つ人が多い中で、この息を吐けないで歌ってしまう場合に、閉じようとする力の大きい声紋に対する考えを
換えるために、敢えて声紋を開いて歌うためには、息を混ぜてみましょう、ということは有効だと感じるのです。
理論的には声紋は閉鎖した方が良いとしても、閉鎖しようとして上手く行かない人も多々いるわけですから。

声は、声帯が振動して出来た響きに、息の流れが加わって、響きが大きくなる、より良く響くのだ、と感じます。
歌う際に、この息の流れを実感できるかどうか?
そのことが、喉を開けるか開けないか?という実感と大きく関わっているのだと思います。

また日本人の母音感覚からいえば、本来的に声紋閉鎖は出来易いと思いますが、逆に息を吐かないで喉を詰めて発声する傾向になり易いため、
日本人は、なるべく喉を開きましょう、息を出せるように、という教え方が広まったのではないか?とも考えられます。
特に高音発声においてそうでしょう。

ハミングを練習する意味、メリット

以前にも書きましたが、ハミングを練習する意味は・・・・

1、悪い力みを付けないで、発声練習が出来ること。

これは単に声帯や喉周辺の器官の準備運動として、という意味です。

2、発声に際して、軟口蓋を意識しやすいこと。

そもそも、鼻腔を軟口蓋で閉じるのがハミングですから、当然軟口蓋を認知しやすいですね。
このことを利用して、発声練習で軟口蓋を使いながらフレーズを歌う練習が出来る訳です。

3、口を開けたハミングか、閉じたハミングか?という使い分けによって各人の声区の傾向に対応し易い。

胸声が強く、細く当らない場合は、口を噛みしめて練習する。
また、逆に胸声が弱い場合は、口を開けて胸に当てるようにハミングすることで、胸声成分を強くする。
また、胸声からファルセットにいきなり変わり易い人の場合、芯のある声の状態をなるべく上に伸ばす練習として
有効。

口を開けたハミングから母音に変換する練習を行うことで、喉の開き、軟口蓋の開きのバランスを綺麗に取った発声を会得するのが容易である。

Ngaと言う具合に、口を開けた状態でハミングをしながら、下顎を動かさずに軟口蓋だけを開ける練習をすることで、最適な喉の状態による
母音発声のポイント(口の開け具合)を見つけやすくなります。


このように、発声練習の段階で、各人の癖に柔軟に対処しやすいというメリットがあります。
決して鼻声を作る練習ではありません。

いかん、いかん・・と思いつつ半年更新を怠ってしまいました。

今年もどうぞよろしくお願いいたします。

最近、発声法についても、ネットでも随分と素晴らしい記事を目にするようになりました。
私がネットに記事を出したころに比べると天と地の違いがあるように思います。
また、私自身も大いに啓発されることが多くなりました。

手前みそですが、私が教えるにあたって一番重視していることは、建前論や理屈だけで教えるのはなく、現実に対処する、ということです。

現実には実に様々な悪い癖を付けてしまった方々が大勢おられて、それらの人たちがどれほど苦労しているか?
〜〜が正しい発声である、という話や論は大いに結構ですが、では、実際どれほど、それらの癖に悩んでいる人たちを救済出来るのか?と言う点が、まだまだ欠落しているように思います。

癖、というものは、実は本人が気づいていればよいのですが、気づいていない場合がとても多いのです。
で、気づいてもらうためには、まったく違うことをやってみること、が一つの方法なのです。

概ね悪い癖が付いている場合は、発声に際して「気持ち良く息が吐けていない」こと。
それから「喉を絞めていること」の2つです。

発声というものは、ストレートな目的に向かうための練習方法と、このように癖を実感して
癖から出るためにやる一つの方法論があります。

そのための発声として、ハミング、そしてファルセットによる歌唱、というものが、有効になってくるのです。

続く・・・




ハミングによる発声練習について

あっという間に2カ月近いブランクが出来てしまいました。

いろいろありますが、頑張って再開したいと思います。

口を開けた状態のハミングとは、喉も適度に開いて、軟口蓋も上がった状態で行わないと意味がありません。

喉を開けた状態のためには、ハミングを鼻に響かせずに、胸に響かせましょう。
それがきちんと出来ていることが第一条件で、軟口蓋もしっかり上げた状態を作って下さい。

その状態で口蓋錘だけを下すと、母音になるのです。
そのことで、N〜G〜Aという具合に聞こえますが、大切なことはその響きで、完全に喉が開いて、また軟口蓋も上がった明るい響きが出ることなのです。

これ、上手くいかない人は、大概が軟口蓋を開ける、という行為がきちんと出来ていないからだと思います。
N〜G〜AのGの音は、口蓋錘を降ろす際に自然に出る音です。なぜなら、このことがGという子音を出すことと、似ているからです。
ですからGという子音を正確に発音出来るのであれば、前述の練習はなんなく出来る、とも言えるでしょう。

子音発声は母音発声のきっかけになることが多いので、子音発声の勉強をすることも、良い発声につながることが多いのです。

さて、ハミングから母音に変換の話に戻ります。

要するに「のどちんこ」が上がった状態が、ハミングの状態で、これが下がると普通のア〜という母音。
この際に、軟口蓋全体をしっかり上げた状態で、ハミングが出来ていることが条件です。
そして、この軟口蓋を上げた状態を壊さないことと、喉側が太く開いた状態が、これでも固定された状態で、母音にすることが出来れば、
この練習は成功となります。

喉を使わない発声を考えるその4



喉、喉頭のポジションは、甲状筋、輪状咽頭筋、そして軟口蓋からの口蓋咽頭筋、の3か所と言われています。
軟口蓋咽頭筋と共に、更に首側から喉頭にある筋も引き上げ筋となっているらしいから合計4か所。
舌根は舌骨筋となり、これは引き下げではなく、引き上げ筋として働くのだそうです。
いずれも、フースラーのSingenを参考にこのことを書いています。

ここで言いたいことは、喉頭が引き上げ、引き下げ、いずれによっても、その関係において一種のテンション(緊張)が働くからこそ、
声帯が良い状態になって、良い響きが出されるというメカニズムのことなのです。

大切なのは、良いテンション(緊張)が必要なのであって、たとえば「喉は下げなければならない」のではなく、
引き上げ筋と引き下げ筋との協力で働く最善のテンションを探すべきなのです。

歌っていれば判ることは、良いテンションが喉を保持する筋群に働けばこそ、喉を使った気がせずに最大限の響きが得られるのです。
そのことを得るために、これらの生理的な働きを知っておくことは、無駄ではないでしょう。

さて、これらの筋群は、声楽をしない限りは、ほとんど働かないか、感知されない筋群です。
おおむね呼吸や肉体労働と関係しているから、意識されずに使っているのでしょう。

皆さん、特に脱力ばかりに目が行く人に言いたいのは、筋肉が働くためにはその筋肉にテンションをかけることが必要ということなのです。
緊張(テンション)を作るから、筋肉が反応するわけです。
そもそも、最初に緊張がまるでないのに反応しようがない、と思いませんか?

声楽で正しい姿勢が大切、という意味は、このことだけに限っても、とても意味があることだと思います。

例えば、輪状咽頭筋など、まったく訳が判らない筋肉ですが、すくなくともうなじを上下に真っ直ぐに立てるようにし、顎を引いた真っ直ぐな姿勢をして声を出してみれば分かるが、
明らかに、それだけで喉頭が下がったことが判るはず、です。
下がる、というか、発声のせいで上がろうとしない状態を作るのです。

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