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一日がかりのコンサートは、主催者件指導者としては、昼の部の成功がまず気になります。
そのせいか、夜はリラックスしてコンサートに臨めるのか、はらはらせずに安心して聞けました。またこのホールは昭和初期の古い建築のせいか?夜になると何とも言えないオーラが漂って、まさにクラシックのコンサートらしい雰囲気が出ることも関係あるでしょう。
何回やっても良いホールだなと思わせる雰囲気と響きがありました。実際の演奏では、それぞれの課題は明快に見えましたが、コンサートとしては成功だったと思います。
皆さんがありったけの自分を出して演奏してくれました。そう思える熱演が続きました。

ある種の基準というのは、たとえばコンクールレベルでは明快にあるのですが、そういうものが、必ずしもお客さんに感動を与えるのではないのだ、ということを思わせてくれる一晩でした。皆さん素晴らしい演奏をありがとうございました。

出演者イニシャル FT TA OM IS GH SA SY SNM TC

FT
テノールの美しいカンツォーネを中心に今まで発声も含めて練習して来ました。
本質的に歌が好きな方だけに、理論的な発声は多分面白くなかったと思います。
しかしながらこのところ徐々にそのコツを掴んできました。また、そのためにも高音の発声に無理をしない選曲を続けた来た成果が出たかな、という今回の本番でした。
バリトンも十分できる喉の持ち主なので、その分、高音が重くなり勝ちなのと、中音域をどういう声質にまとめるか?というところが難しさです。
長年かかりましたが、やはり中低音は素直に自然に良い声を出すべきと考えます。
高音発声は、その延長にあると考えて気長にやってください。中低音の発声が判れば、高音発声の意味が判るようになると思います。
おめでとうございました。

プログラム:トスティ 「最後のくちづけ」  「母」  「かやの木山」 TOP

TA  
2曲とも曲が本来持っている美しさや表現が充分伝わる好演になりました。
もっとも良くなったのが、2点C~Gにかけての、声のチェンジ近辺の出し方です。頭声が混ざって良い音程で滑らかに出せるようになりました。
最高音域も頭声の響きが混ざって音程良く滑らかになって来ました。3点Dから上の超高音域があと一息、という感じです。今後の課題としては、特に低音域、1点F~2点C辺りの響きをもう少し高く出来るとベストです。
このことで、自ずと発音も明瞭になるでしょう。発音は、聴き取れるかどうか?という意味もありますが、音楽的に美しいかどうか?という物差しもあります。
音楽上、歌唱上での母音発音、発声の美意識を持つことで、更に美しい演奏になると思います。
おめでとうございました。

プログラム:グノー オペラ「ファウスト」より「糸車の歌」バーンスタイン
ミュージカル「キャンディード」より「きらびやかに着飾って」 TOP

OM
プレッシャーに強くないという本人の言でしたが、予想外に落ち着いた演奏をした、と感じていました。演奏を聴いていて不安になることはありませんでしたし、彼女の持っている高音の声の美しさを表現できていた箇所がいくつもありました。
この点は、今後も大切に自信を持って伸ばして行って下さい。このところ超高音の発声を上に伸ばしたことは成果として出せたのですが、以前の中低音の強化と相まって、声のチェンジ領域の(2点E~G)発声に課題が残っています。
具体的にはファルセット傾向の声になってしまうことです。ブレスが厳しいのはそのせいでしょう。この点を重要課題として今後も精進されてください。また、イタリア語もフランス語も言葉の発音の正確さや、重要さという要素が、実は発声に大きな影響があるということも、もっと理解して実行して行って下さい。おめでとうございました。

プログラム:モーツアルト コンサート・アリア集より「ああ、できるならあなたにご説明したいものです」マスネ オペラ「マノン」「私、それ程美しいかしら?」
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IS
本番一カ月前から、喉を傷めていたため、完調とは行かない本番になりましたが、声を出せば出すだけ調子を戻したようです。多分初めての経験ではないか、と思いますが、良く我慢して乗り切りました。
声量や声の勢いは、いつもの調子より少し落ちましたが、その分、明るく軽やかな声で、今回のプログラムの魅力を充分に出せたと思います。声量があるから良いとは言えない、という典型例でしょう。
特に日本歌曲の2曲は、曲の持ち味が出る好結果でした。最後のレッスンの頃から、中音域のピッチが改善されてすっきりした発声になりました。
この点が今回は実行できたため、軽やかで明るい歌声になったのだと思います。今後もこの歌声を大切に続けてください。おめでとうございました。

プログラム:ヘンデル オペラ「ジュリオ・チェザーレ」より「優しい眼差しよ」平井康三郎 組曲「日本の笛」より「びいでびいで」中田義直「たんぽぽ」
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GH
シューベルトの「冬の旅」から3曲ですが、余すところ3曲で全曲勉強したことになります。良く勉強を続けて来られた、と感心しました。今回の3曲は、声楽的な難易度というよりも、歌詞理解とそのことをどう声に表現するか?という部分が問われたと思います。歌詞は、きれいな子音処理と明快な発音で、良く聴きとれるものだったと思います。ただ、この3曲、表現という点では、21曲中でも随一と思う、渋い曲調です。ただ、意味を理解するだけではなく、理解したことをどう形にするか?具体的にはテンポの変化や、フレーズの緩急など、楽譜に書いていないことを工夫する面もあれば、完璧だと思いました。おめでとうございました。

プログラム:シューベルト歌曲集「冬の旅」より「最後の望み」「村の中で」「嵐の朝」

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SA
フランクの3曲は、基本的には良く歌えていて、特にフランス語の発音が以前より明快になった点が印象的でした。
また、伴奏もこの音楽に相応しいと同時に、非常にイメージ豊かな音を出しており、歌曲伴奏のだいご味を感じさせてくれたのが大きかったです。
惜しむらくは、会場の響きに影響されたのか?声を少し強く押してしまった面です。
特に強い表現の時に、声の響きで強く推すのですが、喉が締まり気味のため、音域によっては音程も不確かになります。
また、声を強く出すときほど、発音が不明瞭になることもあります。この点を、今後も課題として継続的に勉強されてください。おめでとうございました。

プログラム:フランク「薔薇と蝶」「薔薇の結婚」「壊れた花瓶」
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SY
仕事が忙しく、レッスンも多く出来なかった中で、久しぶりの本番を良くこなして、敢闘賞だと思います。特に「夢のあとに」は、このテンポで気持ちを込めて歌える人はそうはいないと思わせる集中力で、素晴らしかったです。
声の調子が完全ではない中で、これが出来たことは大きかったです。惜しむらくは、発声を気にして、発音が明快に出来なかったこと、あるいは発声を変えてしまったことです。声の調子は自分が思っているほど外に感じないことが多いので、鳴りの悪さや声の割れは気にしない方が得策、と思う程度のレベルだったことを知って下さい。
今後も、2点Cから上の発声は特に気を付けて、対処して下さい。おめでとうございました。

プログラム:フォーレ「河のほとり」「夢のあとに」「秋」
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SNM
当初より、良い発声を持っていましたが、今回の発表会に向けて急速に高音が伸びて全体的にバランスの取れた表現力を手に入れたと思える声になりました。高音発声に伸びがあり、その点が良かったですし、中高音も良く響いて調子が良さそうに感じました。
本人も満足だったと思います。ミカエラのアリアには何かモチヴェーションを刺激されたのでしょう。音楽が彼女の成長を促した感があります。
3曲ともフランス語で暗譜が大変だったと思いますが、せっかくここまで声が伸びたのですから、出来ればフランス語をぜひ勉強してください。このことで暗譜のクオリティが数段上がりますから。
今後も更にフランス音楽作品のレパートリーを増やしてほしいと思います。おめでとうございました。

プログラム:アーン 「私の詩に翼があったら」ビゼー オペラ「カルメン」からミカエラのアリア「何を恐れることがありましょう」サティ 「あなたが欲しい」
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TC
堂々たる声の響きで最後を飾ってくださいました。声の響きに厚みがありつやもあります。声質の魅力と響きの豊潤さと云う点で、抜群だと思います。
レッスン時、やや重い声の使い方のため、フォーレなどのシンプルな歌曲表現の場合に、テンポがルバートになり勝ちな点が少し気になりましたが、本番ではほとんど改善され、明快な演奏になりました。
明るさ、軽やかさ、単純さ、明快さなど、フランス音楽の特徴であり美点なので、声の響き優先から一歩引いて、楽譜に従った演奏という考え方をすると、また演奏も変わりますし、声も変わって行くと思います。
素晴らしい声楽の技術の蓄積がありますから、今後もフランス音楽の歌唱の世界で新境地を開拓して頂きたいと願っています。おめでとうございました。

プログラム:モーツアルト「寂しい森の中で」フオーレ「われらの愛」「月の光」
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