11月27日夜に、アトリエムジカCのメンバー4人によるコンサート「4つの声」をアコスタジオで開催いたしました。
いつものことですが、アコスタジオの響きはサロン音楽に相応しい柔らかく気持ちの良いものでした。
特にピアノの美しさが、今回は際立っていました。

プログラムの感想は、予想外に早く終わった感がありました。
これは、出演者の皆さんが良い演奏をしてくれた証拠だと思います。
また、作曲家の別による音楽の違いが目立っていて、退屈するひまがなかったと思います。

ところでフォーレやラヴェルの歌曲は、初めて聴いた方にとってはどうだったのでしょうか?

難曲もあり表現が晦渋な面もありで、ふだん慣れ親しんでいる声楽作品とはかなりおもむきが違っていただろうと思います。
ただ、前衛的ないわゆる「現代音楽」ではない、独特のモダニズムは感じ取ってもらえたと思います。
今回出演いただいた皆さんにも、難解な作品に挑戦し、理解を持ってもらえたことに心から感謝いたします。

ひとつだけ残念なことは、これはいつものことですが、アトリエムジカCの皆さんが、ほとんど来ないことです。
1名の方がいつも来てくださっていて、ありがたいことですが。
ホームページとFacebookの宣伝だけですが、どうでしょう?

ともあれ、良いコンサートになりました。
出演者の皆さん、ありがとうございました。そして心からの祝辞を申し上げます。

今回のコンサートの動画は、基本的にプログラム順に従っていますが、個別に編集したためSMさんとMTさんのみコンサートと違って1本にまとめました。
動画の閲覧は、各人の私のコメントの右下にあるプレイボタンを押してください。

SA SM MT AC

 

 

SA 長らく発声の課題に向き合ってきた成果が見えた演奏になりました。 ご本人が、発声のことを判ってきたからだと思います。
これまで、発声がなかなか変われなかったのは、もしかすると、ある種の歌声へのイメージのせいかもしれません。
よりリラックスして歌えることと、更に歌いこみを増やして本番に当たってください。
最後に、パートナーさんの実に創意工夫に富んだピアノ伴奏が、今回のプログラムの美しさを際立たせてくれたことを付け加えておきます。

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SM

全体に安心して聴き通せる演奏になりました。
特に日本歌曲が、彼女の人間的に優しい音楽性が感じられて良かったのです。
やはり、言葉の問題は、歌声にも通じるものがあるのだ、と思わせる演奏になりました。
フランス歌曲は、曲目を変更して間もなかったので、少し心配でしたが過不足なく歌えていました。
作品の表現に通じることですので、これからもリズムと音程については精確さを旨として譜読み、勉強をされてください。

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MT

非常にうまい演奏でした。メロディラインの歌い回しにおいて、突き出たところのない滑らかな歌い回しです。
特に、ラヴェルの歌曲のようなモダンなメロディラインで、その点が活きていました。
太い声のラインと細い声のライン、ノンビブラートとビブラート、というような声のキャラクターの扱いが一段上手になったと思います。
フランス語の発音において、もう少し唇を使って、口先を開けない発声ができることで狭母音が上手くなるでしょう。
狭母音と開母音の違いを明快により引き出せると、更にフランス語歌唱の美しさが引き出せると思います。

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AC

このところ、レッスン回数は多くはなかったですが、比較的に長くこの難曲に取り組んできたせいか?
最後のレッスンになって、メキメキと良さを出していました。
そして、本番という蓋を開けてみれば、こちらが教えたこと以上に、声のよさを発揮してくれたと思います。
課題はSAさんと同じく、もう少し口を縦に開けた発音・発声が出来ると、響きに縦幅が出て良いことと、逆に狭母音をもっと被せるというか狭く出せることです。
このためには、口先を開けない鼻腔共鳴も覚えていく必要があります。 喉が強い方なので、意外と喉に頼ってしまいますが、喉に力まないで軟口蓋で歌うことです。
フランス語は、これも発声と同じく、開母音と狭母音の違いがもっと明快に出せること。唇をもっと使えるようになることです。

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