ドビュッシー没後100年記念コンサートにおける、器楽奏者による演奏の感想

発表会でドビュッシーの器楽作品を生で聴くことが出来た感動がまだ続いています。
若いころにレコードで親しんだ作品でありながら、実際の演奏ではなかなか聞けなかったこともありますし、
今回の皆さんの演奏のレベルの高さにもよるでしょう。
本当に素晴らしい演奏でした。
概ねお客様と教室の生徒さんたちの評判も良かったので、また機会を見てこのような企画を考えて実行したいと思いました。
改めて、石元里奈、小池美和、村井由紀、簑島映子、そして福間知子、福間優子の各氏に感謝いたします。
ありがとうございました。

 

「映像第一集」

私がドビュッシーのピアノ曲に親しんだ頃に、LPレコードでもっともよく聞いた作品です。
ギーゼキングというピアニストによるものでしたが、なぜかその演奏に近い感想を持ちました。
自然で衒いのない実直な演奏の中にも、しっかりと熱い情念が浮かび上がる名演でした。

ややもすればフランス近代作品のピアノ曲は、ソフトな音色や弱音が強調される代わりに盛り上がりに欠ける演奏が多い傾向ですが、
彼女の演奏は、メリハリのある聴く者のハートをわしづかみするような熱さが特徴的です。
今後も、このような体温の高いフランス近代のピアノ作品の演奏を、開拓していただきたいと願っています。
素晴らしいドビュッシーのピアノ演奏を、ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フルート、ハープ、ヴィオラのためのソナタ」

個人的に慣れ親しんでいる曲でしたが、改めてライブで聞くこの曲の素晴らしさに目から鱗の演奏でした。
それは何といっても楽器の音色の豊かさです。フルート、ハープ、ヴィオラ、という風合いの違う素材による音色のブレンドを考えたドビュッシーの天才に改めて深く感動しました。
それは、ドビュッシーの器楽の音色に対する深い洞察があればこそ可能になったことです。単体の音色と重なった時の音色、それらを修飾するためのメロディの形とリズム。
ここには音楽の快感が持つあらゆる美がつまっていました。
素晴らしい演奏に改めて感謝です。

今回の演奏で、また近い将来ドビュッシーの室内楽を、ムジカCコンサートで実現したい!という思いが募りました。
次回は、ぜひチェロソナタを実現したいと思っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

二台ピアノのための「白と黒で」1曲目

この曲も、若いころにLPレコードで何度も何度も聞いた作品です。
特に今回のこの1曲目がお気に入りでした。
ドビュッシーが晩年に、病気と国の戦争に心を痛めたときに書き上げた作品という解説を読み、彼が若いころの平和なパリのカフェ・コンセールで楽しんだ華やかな雰囲気が明快に判る感じが好きでした。
その中にも戦争の影が見えてきます。
この曲も実際の本物の演奏を聴いて、改めて音楽的な美もさることながら、ピアノ2台による音色の美しさに驚きました。
レコードでは分からない、2台のピアノの和音が奏でる倍音の美しさです。
2台という特殊な条件での練習は譜読みだけでも大変な上に、アンサンブルの練習も含めてだったと思います。
決して好条件ではなかったと思いますが、良くここまでのレベルに仕上げてくれたお二人の努力に頭が下がります。
長年にわたり、アトリエムジカCの伴奏者として貢献していただき、心から感謝しております。
ありがとうございました。

機会がありましたら、連弾などもご披露いただければ、と思っています。