2014年2月9日ルーテル市ヶ谷センターホールでのムジカCコンサートの講評

2月9日の発表会の講評、お待たせしました。

今回、新たに求めたビデオカメラで撮影した映像を、パソコンに取り込む方法と編集のやり方が今までとまったく違う方法だったことと、画質や音質の向上を求め、すべてやり直したことが原因です。
せっかくカメラを買い換えたのに、同じ方法で編集とトリミングをしたら、画質も音質も以前とまるで変わらなかった!ということでは、みなさんをがっかりさせてしまうと思い、時間がかかってもやり直そうと思い直したわけです。

さて、今回、総勢18名出演の発表会となりました。
どなたの演奏も興味深く聴かせてもらいましたが、特に通い出して5年ほどの方々が一段と成長した点が印象的でした。
日本歌曲、イタリア歌曲、ドイツ歌曲、フランス歌曲、オペラのアリア、バロックのアリア、一般的なレパートリーの範囲とはいえ、曲の個性は幅広く、声楽作品を充分に楽しめました。

いつも思うことですが、アマチュアの皆さんの声楽は未完成ではありますが、アマチュアであっても音楽を伝える価値を大きく持っていることに気づかされ、そのことの価値の大きさに感動します。
だからこそ、私も毎年やる気になるし、長年続けて来られたのだと思っています。

未完成だから、と馬鹿にする人が時々いますが、とんでもないことです。
下手なプロにはない純粋な力と思いが、むしろ芸術作品をリフレッシュさせる意味があるのだ、という経験を今回のコンサートでしました。

今回のコンサートでもう一つ印象に残ったことは、ホールの歌い方についてです。

ホールで歌う時、特に反響が大きめのホールの場合、反響をなるべく頼りにしないことが大事ではないでしょうか。
今回のように反響が長めの所で、自分の声の反響が聞こえないくらい小さい声で歌っても、お客さんには良く伝わることもあるのです。

ホールで響く声に酔いしれますと、人によっては胸声の強い声になり、音程感が明快にならない結果がでることがあります。
それから、逆の人もいて、ちょっとの響きで満足してしまい、結果的に胸声の薄い声になってしまうことです。

いずれも、ホールの響きに依存してしまうことによるのではないでしょうか。
普段のレッスン時、練習時から、歌っている時の自分の喉の状態を良く覚えておくことが大事なことではないでしょうか。

以下、細かい感想を各人の画像のところに記しました。参考にされて研究されるも良し、反発して違う勉強方法を開発するも良し(笑)
いずれにしても、次回、人をうならせる歌を歌ってくれれば望外の幸せです。

ともあれ、前日の大雪の影響も少なく、全員参加で無事コンサートを終えることが出来、皆さんには感謝です。
今年は、今のところ未定ですが、いくつか小さなサロンでも借りて、ムジカCコンサートをやりたいと思っています。
その時には、更に素晴らしい歌声が聴けることを期待しています。

皆さん、素晴らしい演奏をありがとうございました、そして、おめでとうございました。

出演者(イニシャルによるリンク)
前半  Duo HH HM TSS UM ST ON SY OM IA 後半   ADY NM MT SM IS HA AC SNM

 

 

HM

レッスンに通って間もない方ですが、すでに十分な経験があり、予想を上回る美声がホールに響き渡りました。特に、魔笛のパミーナは、キャラクターがぴったりでした。実際のホールではレッスン室以上に、良い音程と響きの可能性を感じました。一方、レッスン時に指摘した発声の課題もあると思います。歌う時の身体の左右の動きが大きいのも発声と関係がありそうです。呼気になるべく依存せず、声帯を良く合わせて響かせる発声を更に覚えて行ってください。そのことで、恐らくもっと楽に歌えるようになると思います。おめでとうございました。
曲目:モーツァルト「魔笛」よりパミーナのアリア「ああ、愛の喜びは露と消え」ヘンデル「エジプトのジューリオ・チェザーレ」よりクレオパトラのアリア「優しい眼差しよ」

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TSS

今回で2回目のムジカCコンサートですが、とても良い演奏になり、私としても一安心でした。彼女個人の練習量は、どのくらいか?私には実際は分かりませんが、自分の声を変えたい、もっと上達したいという強い意識があったからでしょう。その意味での努力賞です。もちろん、精神論だけではなく、成果が出せました。最終的には声量ではなく、低音から高音チェンジ後まで、万遍なくきれいな声質で歌えることに目標が絞られたことが良かったです。中低音の発声は安定して喚声の通過の仕方も上手になってきました。更に安定した高音発声も目指してください。おめでとうございました。
曲目:ドゥランテ「愛に満ちた処女よ」ティリンデッリ「おお春よ」

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UM

前回の11月のアコスタジオに引き続いて、同じ曲目をやる、という並々ならぬ決意を感じさせてくれた、今回の演奏でした。特にリズム感とブレスの長さは、この曲の本領を発揮できており、とても素晴らしい演奏になりました。また、どうも本番に強いタイプですね。今回、つくづくそう思いました。あるいは、良く練習された成果でしょうか?仕事の都合もあり、また遠方に引っ越したため、あまりレッスンが出来ませんでしたが、良く練習してくれました。
発声は、今回覚えた重心を下げて歌うことで、声に芯がついて結果的にブレスが伸びようになる、ということを忘れないで続けて下さい。おめでとうございました。
曲目:ヘンデル 「アレッサンドロ」より「何かしらまたわからない」

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ST

直前のレッスンまで教えたことや心配だった点は、音程も声質においても及第点をつけられる仕上がりでした。発声上は、頭声発声と胸声発声を行き来する練習で、まだバランスが出せていない状態ですが、今回課題にしたことはすべてクリア出来たと思います。惜しいのは、全体に歌が守りの演奏になってしまったことでしょうか。この辺り、発声というよりも本番の課題かもしれません。具体的な発声法以前に、本番になったときに思い切り良く声を出すという部分です。
本番時に、どれくらいの事が出来るか?自分で声を出してみて、それがホールで通っているか?届いているか?というところに、次回は意識を持って行けるようになって下さい。おめでとうございました。
曲目:モーツァルト「顔では静かにほほえみつつも」「寂し森で」

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ON

リハーサルでは声を力んでしまい、喉で頑張ってしまいました。そのため、全体に♭な響きになっていたので、リハーサルの後にその点を指摘しました。本番は、力まないで歌えたのか、良いポジションにはまっていて、音程も良かったと思います。高音もいつものONさんらしく、大変きれいに出せていました。特に「真珠採り」のアリアは、このアリアの良さが良く表現されたのもになりました。ホールの反響が気になったようですが、反響を気しないで歌えるようになってください。自分の歌っている喉の感覚だけを頼りにしないと、ホールに依存してしまうと自分のフォームが確立しないからです。おめでとうございました。
曲目:セザール・フランク「天使の糧」ビゼー「真珠採り」よりナディールのアリア「耳に残るは君の歌声」

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SY

出だしで、少し緊張か、集中力が拡散してしまったようで、発声が不明瞭になって出だしてしまった点が惜しかったです。しかし、直ぐに立ち直ったので安心出来ました。あとは、最後まで彼女らしい美しい歌声が楽しめました。
難しいフォーレの晩年の作品ですが、なぜか?彼女の中で花開いたものがあるようです。そのことが、美しい歌声の原因になっていると思います。理屈ではない、言葉に出来ない要素がその人の歌声になるということは、それだけ純粋で音楽的な感性を持っているのだと思います。今後も自分の音楽的な琴線に触れる作品をじっくり勉強して行ってください。そうすれば、歌声はいつまでも今の状態を保って歌えると思います。
おめでとうございました。
曲目:フォーレ 歌曲集「イヴの歌」より「蒼白い黎明」「薄暮(たそがれ)」

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OM

今回は良く勉強、練習してくれました。そのおかげもあって素晴らしい成果が出せました。中低音域~中高音の声量がかなり良く響くようになりました。Batti
battiのアリアも、アリアレベルとして通用する響きになってきました。後は、なるべく2点Aくらいまではリリカルな声の表現を出したいですね。今後の研究を待ちたいと思います。ドビュッシーは、最後のフレーズで見事に長くフレーズを歌えたところがブラボー。惜しかったのが高音発声がファルセットになってしまったところです。この高音発声は、もう少しスピントに出せるはずだし、そういう発声も覚えて欲しい所です。ドビュッシーのピアノは久しぶりに聴きながらエキサイト出来ましたし、最後のページは彼女の歌と共にドビュッシーの孤独に深く共感出来た表現になりました。おめでとうございました。
曲目:モーツァルト「ドン・ジョバンニ」よりツェルリーナのアリア「ぶってよマゼット!」ドビュッシー「抒情的散文」より「花」

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IA

発声が安定した上に、高音の発声もいつになく伸び伸びとした声が出ていました。発声上の技巧的な問題ではなく、感情表現の部分で、積極性が出た演奏だったと思っています。
Pが聞こえるかどうか?リハーサル後に気にしていましたが、まったく問題ありませんでした。むしろ、表現として確立できていたと思います。彼女の発声の美点は、力まないで響きを確実に歌う事によって、滑らかなレガートと歌詞の明瞭さが出る点にあると思います。
特にはアーンの「春」のエントゥージアズムが音楽性を際立たせていたことが見事でした。ゆったりの曲から早い曲までの緩急の表現の違いを見事に出しきった名演でした。おめでとうございました。
曲目:ショーソン「エベ」シャブリエ 「エトワール」よりラズリの「星のロマンス」アーン「春」

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ADY

とても丁寧で抒情的な歌を聴かせてもらいました。発声が安定していました。声は少しずつ前に通るような声になってきた感があります。軟口蓋が使えて来た声になってきた進歩を感じました。また、胸声と頭声との分離による、声のひび割れ現象もほとんど目立ちませんでした。しかし、発声はまだまだ大事な課題が残っています。特に、下顎に依存しないで母音発声が出来る方法を今後も徹底的に訓練して、身につけて下さい。おめでとうございました。
曲目:トスティ「夢」マスカーニ「アヴェ・マリア」

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NM

驚きとはこのことで、今回のコンサートで、もっとも成長が著しかった一人が彼女でしょう。以前、確かこのホールで苦労したと思います。その時に比べると雲泥の差で、声が響いていました。曲が違いますので、一概に言えないですが、一番の原因は、中音域~中高音域の発声において、一段下の中声区の声が使えるようになったことだと思います。まだ、鼻腔の発声が足りないので、換声点の前後で音程に難が出やすい面がありますが、この発声を続けて行けば、頭声と滑らかにつながって行くようになるでしょう。今後に期待しています。
おめでとうございました。
曲目:シューベルト「春の神」モーツァルト「ドンジョバンニ」よりドンナアンナのアリア「つれない?愛しい方、そんなことはありません」

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MT

1曲目の「たゆみなき愛」は、高低の差が激しく言葉数の多いメロディを素早く滑らかに歌えました。ベストテンポだったとおもいます。表現として、Pの声になると、ブレスの準備が足りず、支えが弱くなり結果的に♭気味に聞こえる点が少し気になりましたが、これが、曲の表現とある意味で合致していたのが単なる偶然ではない、と思えたのも彼の力量なのでしょう。「旅人の夜の歌」は、静かに淡々と歌うためのレガートが美しく軽やかに表現出来ていました。この軽やかさも彼の身上だと思います。Uの発音がOのように聞こえる点が少し気になりました。下顎をおろし過ぎないで対処するほうがベストと思います。他人の演奏のことは分かりませんが、伴奏形がシンコペーションになっても、ピアノのビートは同じテンポを堅持する表現が良いと思いました。魔王は、父親、子供、魔王の3者の表現が良く出せていました。3曲とも声、表現共に充実したとても良い演奏になりました。おめでとうございました。
曲目:シューベルト「たゆみなき愛」「旅人の夜の歌」「魔王」

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SM

明るい声が良く出て楽しい演奏になりました。時折、良い発音のフランス語が聞こえてきたり、あるいはフレーズの扱いが言葉のニュアンスを伝えるものになっていたり、と練習の積み重ねを感じさせてくれました。
課題を挙げると、胸声区の多い発声になることでしょう。胸声が悪いのではなく、その結果として音程が♭気味になることです。フレーズを高低でなく前に進んで行くイメージで歌うことで、跳躍の際に声を鼻腔に通してミックスしやすくなると思います。ホールの響きではなく、自分の喉の感覚、自分の中の感覚を大切にしてください。おめでとうございました。
曲目:グノー「いない人」グノー「ファウスト」よりマルガレーテのアリア「宝石の歌」

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IS

衣装には一瞬驚かされましたが、良かったです。ダンツァもイタリアンテノールのメジャープロなので、その意味でもバッチリ!でした。今回、中音域のピッチが低くなる点を改善したことと、ケルビーノの美しいメロディを強調すべく少しゆっくり目にしましたが、フレーズのレガートが美しく表現出来ていました。次回やる時はあともう一歩テンポを速く出来れば完璧です。「ダンス」も良く口が廻って音程を落とさず歌いきってくれたので、この曲の持つ民謡的な雰囲気を味わえました。おめでとうございました。
曲目:モーツァルトオペラ「フィガロの結婚」よりケルビーノのアリア「自分で自分がわからない」ロッシーニ「ダンス」

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HA

椿姫の大曲を、破たんなく軽快なリズム感で歌い、大アリアらしさを味わえました。その後に対比的な低い音域の日本淡々と歌い通す実力は並々ならぬものがあります。発声としては、中低音で喉を深くする癖があり、それがピッチの微妙な低さにつながります。また、そのことが高音と中低音との声の段差の原因となっています。今後の課題は、高音発声そのものよりも、中低音を高く前に響かせる発声法を見つけると、高音発声も自然に変わって行くと思います。そのことで、高音域のメッザヴォーチェも出来るようになるでしょう。おめでとうございました。
曲目:ヴェルディ「椿姫」よりヴィオレッタのアリア「花から花へ」寺島尚彦「鎌倉は子守唄」

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AC

舞台映えのする声楽家になってきた・・という第一印象でした。それは声も含めてです。身体の芯がぶれないから、声量も出るし、見ていても音楽的です。朗々と響く声と美しいステージングに好感が持てました。課題は、換声点から高音の発声ですが、根本的にはブレス時のお腹の使い方と、喉の準備との関係が判れば、高音発声もより楽になるしブレスも倍加するでしょう。これを今後の目標として下さい。おめでとうございました。
曲目:フォーレ歌曲集「よき歌」より「朝焼けが広がるのだから」モーツァルト「皇帝ティートの慈悲」よりヴィッテリアのアリア「花の美しいかすがいを編もうと」

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SNM

2曲ともとても上手に歌えたと思います。緊張が強かったのか?本人は思った通りではないのかもしれないですが、立派な出来だったと思います。ブレスの足りないこととか、高音発声の微妙な響きの違いなどは、テクニックそのものより、経験の数に依存するでしょう。その意味でステージをこれからも多く経験することが何よりの上達の秘訣と思います。これからもステージをたくさん経験して「一流のアマチュア」を目指してほしい!と期待しています。おめでとうございました。
曲目:プッチーニ 「蝶々夫人」より「ある晴れた日に」「ジャンニ・スキッキ」より「私のおとうさん」

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