午後の部に引き続き夜の部も無事終わりました。
夜の部は長くレッスンに通っている方やオペラ研修所を終えたばかりの方も入り、全体にレベルの高い演奏を披露してくれたと思います。
考えたことはプロ視点かもしれませんが、選曲の大切さと集中力の大切さです。
選曲の良し悪しは、その人の技術レベルを見かけ上でも向上させる強力な武器になりますし、集中力の良さは基本の技術レベルを引き上げる強力な武器になります。
いずれも課題は残っているわけですが、誰しも完ぺきな人などいないわけです。
集中力は端的に技術レベルの高低と比例する部分もありますが、違うやり方で仕立てることもできると確信したのは午後の部の方を見て思ったことです。
つまり、自分が持っている良さ、得意技を見つけて発揮することではないでしょうか?
大変有意義な発表会でした。
指導者としても次回に期待が持てる結果となりました。

下記のイニシャルをクリックすると、各人へのリンク先に移動します。

TNT  TM  ST  TH  SM    OM

 

 

 

 

 

TNT

プーランク「モンパルナス」
ドビュッシー「忘れられし小唄」より「木馬」
ドビュッシー「ペレアスとメリザンド」より「ペレアスの父、いま命をつなぐ」

彼も非常に良い集中力で難しいフランス語の歌唱を披露してくれました。
発声も安定しているし、フランス語の発音も丁寧に正確に出来ていました。
良く勉強されたのだと思います。
レッスンの時に感じたのは、母音唱法のような発声になっているため歌詞発音がややわかりにくい点です。
この点は、直前の指摘を受けて本番では少し明瞭になったのが良かったです。
オペラの大ホールで先ずは声を遠くまで飛ばすことと、ピアノ伴奏の歌曲をサロンで歌うことの違いを技術的に使い分けられると理想的です。

https://youtu.be/UK5rURdUvTo

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TM

フォーレ「夢のあとに」「9月の森の中で」「マンドリン」「ネル」

レッスンを重ねて勉強した発声の基本がようやく形になって顕れて来た、と感じられるステージになりました。
一言で言えばお腹のついた声、です。
惜しいのは不要に軟口蓋を挙げようとしたり、弱声を使うために声が不安定になるところが少し散見されました。
基本的には指導したことが形になってきた点が大きく評価できます。
今後もこの路線を迷わず進んでください。

https://www.youtube.com/watch?v=6DYNT1qYuCk&t=17s

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st

モーツアルト「魔笛」より「ああ、恐れ慄かなくても良い 我が息子よ」「復讐の炎は地獄のように我が心に燃え」

難しくも有名なアリアを2曲続けて披露したのは素晴らしいです。
また失敗もなかったと思います。
1回目としては成功だと思います。
今後の課題は声量でしょう。
もっと声の響きは出せるはずですが、見ているとブレスが足りてない気がします。
今後はもう一度ブレスの方法から声出しにかけて、という部分の技術の研究に励みましょう。

https://www.youtube.com/watch?v=6DYNT1qYuCk&t=666s

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TH

ヘンデル「エジプトのジュリオ・チェザーレ」より「我が運命を嘆く」
プッチーニ「マノン・レスコー」より「この柔らかなレースの中で」
モーツアルト「フィガロの結婚」より「楽しい思い出はどこへ」

レッスン時とほぼ変わらない出来上がりで、素晴らしく良かったと思います。
きれいな声質と良い音程でレッジェロなソプラノとしての資質は充分です。
低音が苦手なようでしたが、これは喉が温まり切れていないせいで、今回のような発表会では致し方ないことです。
一点だけ言えることは、レッスンでも指導してきましたが更に中高音域の発声でもう少し高く細く出せるようになってほしい。
その点だけ今後に期待したいと思います。

https://www.youtube.com/watch?v=6DYNT1qYuCk&t=1204s

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SM

フォーレ「マンドリン」「静けさ」
オペラ「ホフマン物語」より「キジバトは逃げ去った」

前回の試演会と比べると、どこか集中しきれない様子でしたが歌声はいつもの良い声が発揮できていました。
もし暗譜に不安があるようであれば、リハーサルから譜面を見てもらえれれば良かったのではと思いました。
プロでも譜面を見る場合は多くありますので。
不安とも関係がありますが、身体を動かさないで歌うことも大事です。
我慢してじっとして歌うことを今後覚えてください。そのことでリズム感や発声の課題も向上します。
今後に期待します。

https://www.youtube.com/watch?v=la4KPnYwVCY&t=12s

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OM

ドビュッシー「ほら、ここに春が」
ベッリーニ「夢遊病の女」より「気も晴れ晴れと」

綺麗な良く響く声を発揮し、研修所での厳しい修行の成果が良く出た結果になりました。
今後はこの声の響きに更に抑揚を付けられるテクニックを覚えて行ってください。
中低音域の歌声は声量が以前よりコンスタントに出せるようになりましたが、ピッチの点でもう少し高い響きが出せる可能性があるのでは?と思います。
その方がレッジェロ・ソプラノとしても高音へのつながりの良い声になるのではないでしょうか?
今後も発声の精進を怠らずに続けて行ってください。

https://www.youtube.com/watch?v=la4KPnYwVCY&t=579s

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