1月6日
KR

声の温まりと共に、高音発声への順応が以前より早く出来るようになったのが目に見えての進歩だろう。
最初の声の出し始めの感覚、換声点の発声のコツを徐々につかみつつある印象。
コンコーネは15番。
譜読みはベーシックなところで出来ているので、テンポの取り方とそれがフレーズを作る大事な要素であることを指導した。
4拍子になっているので、譜読みは4拍子で理解し、ある程度頭に入ったら倍の2拍子で歌ってみること。
そのための、手で拍節を叩くことを練習した。
手で腰を打つが、その時にパシッと当てて止まってしまうリズム感になってしまうと拍節を打つ意味半減してしまう。
当てて手が反動で離れる感覚もリズム内なのだ、という意識が大切。

1月7日
TH
発声練習を含め、高音発声が楽になりつつある印象。
また強弱も表現出来つつある。
大事なことは、その強弱がなぜ指示されているのか?という理由を考えて歌うこと。
PPだから声を小さくしようとしても、本当のPPの声にならないのは、発声方法もあるが、そういう意図がないから、という考え方もするべきだろう。
テクニックの側面を一義的に捉えないで、解釈という視点からみたテクニックと言うことも大切に。
アドリアーナ・ルクヴルールから「私は神のしもべです」「哀れな花よ」
フォーレのPie Jesu テンポはきちっとしてきた。ここでも弱声で歌う意味を考えることで、声質やレガートの表現が変わってくると思った。
プッチーニ「つばめ」からドレッタの夢。最高音の6点Cがとても良くなった。また最後まで安定して高音発声を維持出来ている。

1月8日

MMS

彼女は、換声点の発声に課題が残っている。合唱のソプラノ系に良くある、少しくぐもって太く低い共鳴が出る点が修正出来れば良かったと思う。
これだけで1年くらいはかかるので、短期間のレッスンで修正するのは難しいと白状せざるを得ない。
また、換声点に跳躍の際に息を強く使う癖があり、そのためにレガートが壊される傾向もある。
換声点を抜けてしまえば、快活で気持ちの良い高音の声を持っているだけに、惜しい感じが残った。

小技で言えば、母音で始める中低音の声の出し方。
息をどうするか?喉をどう準備するか?どこから声を出し始める意識を持つか?
という技術的な方法論を明快にしておくこと。

ヘンデルのアリアMio caro beneは、前回より進歩していた。
テンポの取り方とフレーズの歌い方に意識を持てば、ほとんどの長いフレーズを一息で歌える力はある。
ルッツィのAve Mariaは、安定して歌い通せているが、中低音が弱い印象がまだ残っている。
だが、無理をしなければ問題のないレベルだと思う。
團伊玖磨「秋の野」は、丁寧に音符を歌えているが、歌詞をどう理解できているか?と言う部分をもう少し詰めてほしい。

1月9日

HH

今回は音程感の良い歌声になりつつあったのだが、今度は喉が高く生っぽいいわゆる悪い意味でのアペルトな声になっていた。
音程が下がるのを忌避するあまり、喉が高くなってしまった感じ。
見ていると明らかに音程を高く上げよう都する意図が見て取れた。
音程が低いのは、むしろ喉を避けた発声をするせいではないか?

アーン「クロリスに」ブレスを長くすることで、フレーズを歌う呼吸を訓練すること。
グノー「ファウスト」からジーベルの「花の唄」
これも音程は良いのだが、アペルトが強かったので、喉を上げない発声を練習。
シューベルト「春の想い」これもアペルトにならないように、共鳴のポイントを奥に。
UウムラウトとCHの発音に注意を。

KGN

発声は高音が良く伸びていた。
コロラトゥーラが出来る喉を持っていると思った。
ただ、中低音にもう少し重みがほしいところだが、それが高音発声に影響が出るのだとすると難しいところである。
喉の正しい使い方を覚えてほしい。
それは、歌うときに喉を避けることではない。
喉を引き上げることと喉を上げないこと、という2つの要素を併せて、声のポイントを決めるという行為。
トスティのソルフェッジ20番フレージングを強弱と共により表現すること
ヘンデルのVadoro pupille 音符の形を明快に歌声に反映すること、何となくレガートに歌うと訴求力の無い歌に聞こえる。
メサイヤからRejoyce greatly テンポの設定を変えて速くした。

MO

発声練習の声は前回に比べて好調であった。
前回は痰に起因するか、薬のせいか?声帯の温まりが悪い感じであった。
そのためか、今回は歌も調子が良かった。
コンコーネ31番は変奏曲のスタイルであるが、リズムが変わると難しくなる。
難しいところは、かなりゆっくりのテンポで確実に歌えるように練習してからテンポを速めるべきだろう。
修飾音符もおざなりにならないよう丁寧に扱ってほしい。
Sebben crudeleは、声の強弱を意識することは良いことだが、Pという声の意識が今の彼の発声レベルからすると弱すぎると感じた。
ブレスの問題あるので、最低限ブレスが持つ声の響かせ具合、を考えておくべきだろう。
Vergin tutto amorは、良い歌え声で歌えるようになった。
後はもう少し感情が歌声に反映されるとベストになると思う。

1月10日

KYN
中低音発声は徐々にだが良い傾向が見えている。
ハミングを使うと、喉の落ちたリラックスした響きが出来ているし、母音変換後も注意をすれば声帯の合った響きが出せるようになってきている。
今回は、高音への換声点を徹底練習した。
口を閉じる方法はほとんど効果がないので、思い切り口を開けて物を吐き出すようにする練習をした。
大きな声を出す意味ではなく、喉奥を良く広げることに意味がある。
それは音程に対する無条件反射による意識を改革する意味があるので、難しいがトライしていくしかないだろう。
イタリア古典歌曲集からSento nel core
イタリア語発音の修正。特にCeの読み方に注意を。
特に高音発声では子音を発語する意識と声帯の閉鎖がリンクすると上手く行く点を教えた。