男性に比べると女性の方が喉が小さいせいか、発声においては良く言えば柔軟性があります。
つまり、声楽発声の見地からして明らかに喉で歌っているような発声でも、音程良くかなりな高音まで使えているケースが多いのです。

合唱であれば、これでも通用することが多いのです。

しかしひとたび独唱発声となると、大きな違いが出てきます。

声楽は声を楽器に仕立て上げることに、大きな意味があります。
ただ表面的に音程が良いとか、高音まで発声出来るだけでは、声楽発声としては不十分です。
楽器として美しい響きがあるかどうか?という観点が重要です。

このためには、声帯の発声方法も大事ですが、声帯から生み出された響きがいかに外部に良く伝わるかどうか?というテクニックになります。

口の中奥あるいは骨伝道も含めた、身体の共鳴をどうやるか?

ヴァイオリンなら、その胴体にいかに弦の振動を伝えて木の共鳴を起こさせているか?ということと同じです。

ヴァイオリンの場合は、楽器を作る時点でその性能の90%が決まりますが、人間の発声は、発声を訓練する過程そのものが、この楽器作りと同じ行為であることになります。

口の使い方として、縦に開けること、横開きにしないこと、結果的に唇が沿ったような形になること。
この口の開け方によって、結果的に喉頭が上がって締まらない発声になることと、軟口蓋を使って喉頭を引き上げて、声帯のバランスをとることにつながります。

この発声方法によって、初めて喉周辺を圧迫して疑似的に声の音程を合わせた発声から脱することが出来るわけです。

この発声の違いが判ることは、とても重要なことなのです。