2017年6月24日レッスンノート

NK

よく勉強されてくるので、コンコーネもイタリア歌曲も、特に問題はありません。
ただ、発声がもう一歩の感が残っています。

現状は、以前こちらに来た時よりもはるかに良いですが、まだ喉を詰める傾向が残っています。
このことで、せっかくの声がもう一つ声量が出ないです

この発声の原点として、もっと喉を脱力させることで、声の原点、声量を豊かにすることです。
もっとも自然な発声は、喉周辺の脱力がなければできません。

原因の一つは舌が力んで丸まって奥に入りこむことと、声を高く当てるか集めるか?という意識でしょうか?
喉が上がって締るので、やり方の違いというか勘違いみたいなものだと思います。

鼻根に集める、鼻根に当てるということ自体間違ったことではないですが、喉を上げないように、
あるいは喉が開いた状態が出来たうえで、という条件をクリアしないとかえって喉を詰めることになるかと思います。

これを、昔から脱力、というのだと思います。
そして大事なことは、喉周辺の力みよりも、下腹部でお腹を支え、側腹から腰にかけてを膨らませるような呼気の扱いに集中すること。
そのことで、逆に喉周辺の力みが取れることになると思いました。

TM

練習のし過ぎとか?で、だいぶ喉を痛めている喋り声でした。
喋り声から、少しひっくり返りそうな状態で、声帯が腫れているのでは?と思わされました。

実際歌ってみても、かなりガラガラ声で、心配でした。
原因としては、練習のし過ぎもありますが、元々が喉の耐性に合わない発声をやっている感がありました。

そこで、これは彼の発声のままではまずいだろうということで、ファルセットの発声を教えました。
ファルセットが出来ると、声帯が開くため、痛めた声帯をより痛めにくいという考えからと、本来の発声に必須なものとしてもという2つの考えからです。

本来の発声に必要である、という意味の具体性は、理論的には発声はどの音域でも頭声と胸声のミックスが必要である、という意味でです。
ファルセットを覚えることで、基本的に音程感の良い声が得られることと、必然的に息が流れやすい発声なので、これも歌声として自然である、ということです。

この点については、声の基礎の作り方の問題があるので、絶対とは言えません。

ただ彼の場合は、これまで徹底して胸声を練習していることが確実なので、バランスを取る意味でも、ファルセットを練習する価値は有ると思いました。

これが逆であれば、わざわざファルセットを取り上げる必要はないわけです。

声量を増すということは、様々な側面があり、単に胸声を強くするだけではなく、喉を開けることで得られる声の共鳴や、鼻腔の発声を得ることで倍音の鋭い響きも得られます。
野太いヴェルディバリトンだけがバリトンではなく、ロッシーニバリトンということもあります。
また、その前にモーツアルトのドン・ジョヴァンニを歌えるバリトンの声は端正ですね。

その辺りから徐々に声を重くしていくという考え方をすべきでしょう。

HT

デュパルクから、「哀しい唄」「エレジー」「前世」の3曲を練習しました。

彼の癖は、歌声の動きがスパッとしていることですが、悪く見ると唐突だったり乱暴に感じます。

これが柔らかい歌声を出すことを阻害する原因です。

それから、基本的に軟口蓋を上げる傾向が強すぎて、やや団子声になる傾向があります。

このことが、高音発声を妨げる原因になっているかと考えました。

柔らかい声を出す時は、口を開けて息を良く吐くようにして出すことを覚えてください。

それから発音はより明快にしましょう。