発表会の録画の評価について。

講評も書き終わり、録画をご覧になった方も多いと思います。
改めて録画を見てどう思われたでしょうか?

録画の特に音声については、本人の感覚と違う面があることを伝えておきたいと思います。

まず歌っている時に自分の声が響いていない、声量がないと感じていたのに、録画を見て(聞いて)「良く響いているじゃない?」と思った場合。
これは実際は、本番時の本人の感覚が正しく、録画の音声はカメラが良く拾ってくれていると思ってください。

なぜなら、ビデオカメラは家庭用ビデオでカメラ内蔵のマイクで拾いますので、音声入力を自動調節しています。
小さな音量は大きく、大きな音量は小さく、つまり音声が最大でも歪まないように、カメラ側で調節しています。

ということは、自分で良く響いていると感じた方は、大は小を兼ねるという視点からは良いとは言えるでしょう。

もう少し突っ込んだ技術的な見解を説明しますと、自分で歌っていて響いていない、と思っても、実は良く響いている場合もあるのです。
その辺り、実はデジタル録音であっても正確に表現出来ない面が多々あります。

それは、聴衆の耳に届く直接音と、直接音から滲み出る倍音という種類の音があります。
また声から出た響きは、ホールの天井や壁に反射して届く性質の音がありますが、マイクですべて拾ったとしても、デジタル的に処理される過程で微妙な反射音や倍音が消されている可能性が多々あります。

これは録画を見てスピーカーやイヤホンから聴いて聞き分けるのは、かなり経験が必要なのです。

そのようなわけで、実際にホールでどう響いていたのか?という真の判断は聴衆にしか出来ないのです。

これは演奏家の宿命ですが、経験を積めば自分の耳も育ちますので、どの程度に響いているか?を想像出来るようになります。

今回は細かく書きませんが、これは動画の音声ではない見た目でも同じことです。

実際にライブで見ている顔の表情と、動画で見る表情は同じようでいて大きく違います。
動画は毎秒何枚という速度で流れている固定写真を見ていますから、直接見ているものと似ているようでまるで似ていない部分があります。

また当然ながら、目で対処を見る視野は、カメラレンズの画角とまるで違うものでもあります。

しかし、これらの録音や録画が参考になるとすれば、恐らく欠点を拾うのに向いているだろうということです。
その代わり長所が見つかりにくい。

動画や録音を見聞して、それが全ての結果だとは思わないようにしてください。
参考にはなるが、本物ではないということです。