SS

前回のレッスンで、高音域への良いコツをつかめたか、と思ったが、まだ定着出来ず。
2点F辺りから喉が上がってしまい、締まって出せなくなってしまう。
前回教えたコツは3つあって、ブレス時の胸の開き、喉の準備(あくび)、声の方向性を意識するだった。
喉を開けるようにブレスし、発声は声の方向性を前に意識することが、喉を上げないことにつながるが、更に高音になったらうなじを意識すると良い。

まずは喉が上がる、締まるという状況を体感することと、どうしたらそれを避けられるか?という側面を速く覚えてほしい。

高音の喉が上がる領域に入るフレーズでは、上がる前の音、あるいはそれを出している時から意識して、例えば自然に口を開けることで、
喉奥が開くようにすることで、次の最高音に喉を締めないで入れる、という手順を覚えてみる。
また、ちょっとしたタイミング、発音、発声のタイミングを早めに準備するだけで違うこともわかるであろう。
いずれも、非常に感覚的なことなので、何度も練習して経験していくことだろう。

コンコーネの8番と9番を練習。リズム読み、リズム感は良いと思う。
声の扱いは発声で練習したことが応用出来ていたので、問題はないと感じた。

最後に「早春賦」を練習。これも高音のフレーズが一番難しい。早め早めの準備とタイミングを意識することが大切。

SY

今日はざっと通して何度か歌った上で発音の練習をした。
グノーのAbsentは、音楽的には言う事がないので、あとは歌詞を明快にはっきり発音する意識が言えるだろう。
他のフォーレの歌曲でも、結論から言うと、やはり読みは大切である。
今やっている曲は、声域が広いわけではないし、彼女の声もずいぶんと声量はついて安定している。
声のことでどうこうよりも、歌詞をどう歌として扱うか?という部分の練習が大半だと思う。

練習方法については、歌詞を楽譜とは別に読みやすく書き写して、読むこと。
単語単位で、一息で読むことが出来るかどうか?それが出来たら、フレーズ全体ですらすらと読めるかどうか?
単語単位は良いが、フレーズの前に、たとえば指示代名詞+名詞、所有各+名詞、接続詞+名詞、あるいは接続詞+形容詞+名詞などや、
関係代名詞+分節とか、文法的にもひとまとまりであるかどうか、を確認出来るものがあれば、確認したうえで、
それらをひとまとまりで読むこと。
それらが出来たら一番長いフレーズ単位で読めるようになるだろう。

歌詞のそれぞれ一まとまりををスラスラ読めることが、歌になった際の歌唱スタイルに良い影響を与えてくれると思う。

SM

頭声域からの下降形で低音域をカバーする、という考え方でレッスンを通したが、
結果的には、今までやっていた胸声区の声が上手くミックスされて出せるようになっていた、というのが実感。
やはり、いままでやってきたことは無駄ではなかったのだ。

今回の発声で、なるべく低音発声に無理をさせないように注意したことが、感覚的に彼女の自然な発声に影響を与えたのだと思う。
今回の結果が常に出せるのであれば、中低音の発声はもうほとんど問題はないと思う。
特に、今回感触を良くしたのは、Louiseのアリア。

さんざん高音を出した最後に、低音域の声を出して終わるが、これがまったく問題なく対処できていたのがとても良かった。
後は高音だと思うが、このアリアに関しては、高音もほとんど無理がない。
今日のレッスンにおける発声のレベルと結果は、今まで苦労してきたことはほぼクリアできたと言えると思う。
後は、本番でどれだけこの成果を出せるか、であろう。

発声ではあとは、共鳴が出やすい2点F前後では、気道側に深くし過ぎた、低い共鳴ではなく
なるべく、鼻腔から頭部の共鳴ポイントを出してほしいこと。上あごの奥を高く、頬を使うことや上唇を使うことである。

今回のレッスンで一番練習したのが、発音である。
発音は、彼女の場合ハンディのある唇、とのことで、難しい面はあると思うが、なるべく正確に丁寧に発音することを忘れないようにお願いしたい。

H

合唱のテノールだが、自分の声の能力を知りたい、あるいはその能力をもっと拡げたい、ということで来られた。
前回体験だったが、今回からの正規レッスン。

弱く細い声だが、これは合唱に特化した彼流の出し方である。
まずは、しっかりした声をどうすれば出せるか?どうすれば高音が実声でしっかり出せるか?という辺りを探ってみた。
単なる肉体的方法論に徹して、後は本人がどれだけ音楽と結び付けられるか、と考えたい。

やってみると判るが、喉や体に力を入れないようにするあまりに、歌いながら口がまるで開かないし、喉が脱力し過ぎて、高音になるがまま
喉も上がるがまま、という状態である。

喉が上がって行くのを自然に阻止するために、自然に口を開けて行き喉を開いていくわけだが、フレーズを高音に上がるにつれ
口を開ける、ということ自体も慣れるのに時間がかかる。
ブレスの仕方、そして喉の準備、ということを教えたが、これも1点Fまでで、それ以上になると、脱力が勝って声がファルセットになる。
ファルセットならそれはそれで、喉が開いていれば良いが、これも脱力の意識のために、開けない。

この点をいろいろやったのだが、結局一番効果があったのが、下あごを引いた状態にして歌うことであった。
顎関節を使うが、下あごをしっかり引いた状態で発音、発声すると、自然に喉が下がり(上がらずに)軟口蓋が上がった、いわゆる喉が準備された状態が自然に出来るのであろう。
後は呼気の意識であり、胸郭を十分開き、横隔膜もテンションをもたせてブレスすることで、自然な反発力で、声は自動的に声量が出てくる、という方法である。
今回は、この状態で、1点Aまでまあまあ問題なく歌えるようになった。
次回からは、実際の歌詞のついた曲などで、応用して行きたいと思う。

MM

前回に続きドナウディを3曲練習。
今日感じたことは、ブレスをする際の身体の作り方、歌唱中の姿勢共に良くなって、それが発声に良い影響を与えているが、
今度は頭声が勝って、芯が弱くなってきた気もする。
特に元来がファルセットになり易い2点D前後の声はその傾向が強い。

多少喉に降りても良いからもう少し前に鋭く芯を持たせるような意識を常に持った方が良いのではないか。
その辺のバランス、響きの最適なポイントは常に考えるべきである。
どちらかというと声が弱く前に行かない傾向がある人なので、その反対の傾向、すなわちもっと積極的に声を前に出す意識である。

それとは逆に2点Cから下は、胸声の響きにまだ注意が必要。
芯があっても、太くて♭になり易い。
こちらは高く意識した方が良い。

声としてはこれくらいで、後は2点Asくらいから上になった時に、あまりApertoにならないで、どれくらい高音の響きが出せるか、という点だろうか。これは喉を上げないようにするため、しっかり首を立てた姿勢を保った上で顎を開かないと、もろに胸声の高音になって
喉の負担が大きいし、響きも叫びになってしまうと思う。

久しぶりにマスネーのSonnetを練習。改めて良い曲と感じるが、声の扱いが難しい。
彼女の声でこの曲を歌う以上は、中低音~中音域の声にもう少しの声量がほしい。
歌曲であるがアリアに匹敵する大きな描写がある。
改めて今日の発声で感じたことから、中低音~中音域の声を充実したいと感じた。