GH

Gaで、声を歯に当てるように前に響く声を意識して1点Cまで1オクターブ位を上がり下がりで、発声練習をしました。
ドミソでも同様に練習しました。
以前に比べると、大分声が明るく前に出るようになってきました。

シューマンの「詩人の恋」から1曲目「美しい五月」から続けて3曲を歌ってもらいました。
特に2曲目の「ぼくの涙から萌え出でる」は、前回に比べて明瞭な歌になりました。
最後の印象的なフレーズは、その前のブレスを間合いを持たせるためにも、ブレス前のピアノバートに
Ritが少しほしいところでした。
3曲目「バラ、百合、鳩」は、とても綺麗で繊細な発音で、テンポよく歌えていてお見事!
最後のフレーズは、ブレスが足りなくならないよう、もう少し練習が必要と感じました。

1曲目「美しい5月」は良く歌えているのですが、どうも歌い急いでいるように感じてしまいます。
どのフレーズにも出てくる特徴的な上に16分音符で跳躍する形を、急がないで滑らかに音程良く処理してください。
また、全体的に歌う人はビートに内在する16ビートを感じることで、逆に大きなビートが滑らかに進行するように
イメージできるのではないでしょうか。
とにかく、滑らかに丁寧に、5月の美しさと恋する切なさを表現してください。

シューベルト「冬の旅」「風見の旗」は、ピアノが歯切れ良く素晴らしかったのですが、
特に音楽が瞬時に代わる2フレーズ目から3フレーズ目冒頭のEr hattという低音発声への切り替わりが、もにゃもにゃ~となってしまう点は要注意。
速くても良いのですが、この切り替わる点は正確に発声出来るようにしてください。
後は、要所にあるフェルマータを良く表現してください。
どちらかと言うと、フェルマータが足りない感じがありました。
ピアノも歌も両方供ですが、フェルマータを良く表現することで、音楽の立体感が出て来ます。

「凍った涙」は、良く歌えていました。声も良いです。
一点だけ、テンポを決めました。Nicht zu langsamを、文字通り「遅くなく」と捉えた時、
どの程度か?は幅があると思います。

私は、冒頭のピアノ伴奏の和音にスタッカート記号があるくらいで、乾いた淡々とした歩くテンポをイメージすると良いと思います。
また、2分音符にはマルカート記号もあるくらいですから、そうでしょう。
考えているよりも、さっさと先に進むくらいで、ちょうど良いと思います。
そうすることで、「何と自分の涙が生ぬるいことよ!」と自嘲する男の哀しさが逆に見えるでしょう。
重々しく歌うと、情けない。
その分、最後の最後の節は思い切り歌い上げてください。