SY

中田喜直の「あなたと私」
これは、歌詞の意味を大体説明して、朗読をしてもらいました。
どうしても、棒読みになってしまうので、感情を込めるように指示しました。
感情を込めるとは、自分のことに照らし合わせて理解して、自分の経験を思いだすことです。
完全に一致しなくても良いので、自分がパートナーと接して感じたことを思いだせば良いのです。

それから音読する時に、なるべく現実的な話し言葉に近く音読してください。
普段、無意識に感情を込めて話しているわけで、そのことを思いだしてなるべく普段の語りに近く朗読しましょう。
そうすることで、棒読み状態から脱することが出来ると思います。
棒読みではない読み方、音読が出来ることで、歌も劇的に変わると思いますよ。

「霧と話した」は、譜読み代わりに音読もせずに、歌ってもらいました。
この詩は少し象徴的で判り難いでしょう。あまり考えずに歌に集中すれば良いでしょう。
音楽そのものが、表現していますから、音楽に乗ればそれで、自然に表現出来ると思う方が良さそうです。

最後に、フォーレの「僧院の廃墟にて」をやりました。
これもフランス語歌詞の読みを練習しました。
やってみて判ったことは、Sa Si SuのSの子音を伴う発音が困難のようです。
日本語にするとサシスセソを少しでも早く読もうとすると、シャシシュシェとなり勝ちです。
日本語で良いですから、サシスセソ、ソセスシサを正確に滑らかに続けて発音出来るように、練習してください。
恐らく上唇に少し緊張感を持たせると良いと思います。
これも、ゆっくり始めて、少しずつスピードを上げると良いと思います。

AS

今日は非常に調子が良かったです。
意気込みというのか、気持ちが乗っていたのだと思います。
良く勉強されていることが、如実に判るような歌を歌ってくれました。
そういう歌に接したことで、こちらもとても気持ちが良かったです。

前回まで歌っていた、イタリア古典からPiacer d’amorを復習しました。
ほとんど良かったですが、転調して少し高めで入る部分で、喉が高く不安定な点を直しました。

今回彼女に与えた新曲は、イタリア古典歌曲集からTu mancavi tormentarmiとSe tu della mia morte、Sento nel coreの3曲です。
いずれも、ドラマティックなバロック作品であり、高音に向けて昇るフレーズの劇的な力感を表す所に特徴がある曲だと思います。

同時に、大切なイタリア語の語感を出すことです。
難しく考えずに、まずはアクセントが何処に来るか?それだけでも良く調べておくこと。そして、歌うだけではなく、イタリア語をアクセントを大切に先ず朗読することも良いです。
ただ、間違わないように必ずレッスンで確認しましょう。

声のポイントとしては、2点F以上の高音では、吐くようにしっかり口あけて発声すると、高音がすっきり出せます。
これが一番の成功でした。
中途半端に響かせようとしても、かえって喉が締まってしまうように感じられます。
但し、フレーズの形や状態もあるので、絶対ではないですが、少なくともしっかり出す高音においては、有効な方法と思います。