AS

イタリア歌曲、Il mio ben quando verraは、良い声が出てました!
声量、声質共にとても良かったです。ポルタメントのかかり具合も良いです。

Chi vuol la Zingarellaも、上手く歌えていました。
最後のアジリタ、Graziosa corta e bella graziosa…の部分はビート(拍節)を感じないで、言葉だけを早口でクレッシェンドして歌えば良いです。
この場合、ピアニストは自然に追ってこられるでしょう。

山田耕筰の「この道」は、もっと旋律をたっぷり歌うことを基本にしてください。
そのうえで、節によって、テンポを変えたり、あるいはフレーズによって多少流れ方が変わるくらいでちょうど良いです。
In tempoの考え方を、固定的にしないで、日本語で語る際の自然な流れ、感情表現の違いによる緩急など、
もっと取り入れて工夫されてみてください。

SM

Serenade Florentineは、前奏で遅くなりすぎないように、ということと、4分音符+8分音符のメロディの歌い方について指摘。
要するに8分音符が短く跳ねたような歌い方にならないで、テヌート気味に歌うことで、結果的にフレーズが
レガートに聞こえるように、ということ。

Soupirは、前奏伴奏の弾き方から工夫をしました。あまりIn tempoがかっちりしすぎると、フレーズが長く感じて
歌い難いからです。
後は、途中のOuvrir les bras et las d’attendreから、アッチェレしたり、テンポが速くなったりしない方が良いです。
中間部から再現部への間奏に入る間合いを充分取ることと、再現部前のRitは、充分やることです。

モーツアルトS’altro che l’acrimeは、歌の状態と、ピアノ音楽、ということに特化して、音楽を再構成しました。
何となくオケの音楽を聴くと、横の流れが感じられますが、そのまま歌うと、どうもずるずるとだらしない音楽に
聞こえてしまいます。

ここはピアノ伴奏ということも含めて、縦の線をかっちさせることにしました。
すなわち3拍子でもメヌエットと表示がありますから、特に3拍めをないがしろにしないで、むしろ3拍目を
次の1拍につなぐ基本として弾いてもらうことで、1小節をかっちりさせるようにしました。フレーズで作らないで、1小節で作って行くこと。

これで音楽がすっきりしました。

「ふるさとの」は、基本的に低い音域なので、逆にオクターブ高い声を出すくらいにブレス時から声のポジションを
イメージして出すと、声が明るくなって良いです。

KY

前回はほとんど問題解決、と思った中高音のチェンジ近辺の声がまた元に戻っている感じでした。
どうしても、この音域になると、喉の突っ張り、こわばりが取れないようです。

口を開けない発声が一つの方法であることを彼女は知って実行しいますが、それでも怖がってしまうのでしょう。
舌根で下に喉を押しつけないこと、むしろ喉そのものに注意を向けて、逆に締めるようにしてみること、
あるいは、声の響きを鼻腔に意識して、鼻腔から前に抜けるように発声すること、などなど。

今日は唇を積極的に突き出すようにした発声を練習して、上手く行ったようです。
要するに、歌は一音(点)勝負なのではなく、いつもフレーズ(線)なわけて、歌いながら喉の状態に
柔軟に対処するような、口の開け方や唇の使い方が必要なのです。
これも、逆に見れば、歌いながら口を開けたり、唇を自由に動かせる、ということは、そもそも身体全体や
喉も力まないで発声出来ている、ということですから。
ヘンデルのLascia ch’io piangaでこの発声を中心に注意して練習しました。

後はプーランクの「この優しい小さな顔」「偽りの婚約」から「アンドレのご婦人」「ヴィオロン」「花」
をざっと通す程度2回ずつ練習しました。

YT

発声で下降形を上がって行くと、喉に来そうになったので、低音からの上向形にやり直しました。
多分、喉が温まらないうちに、高音に入って声帯靭帯がちょっとびっくりした、という感じでしょうか。

声帯が合い易い発声で明るく倍音の出る声は良いのですが、イメージで言うと声帯靭帯だけがピタッと合わさり易く、
環境や音域に左右されやすい発声ではないか、と思うわけです。
もう少し靭帯だけではなく、声唇全体が良く伸縮するように、口を開けた発声を少し覚えると良いのではないでしょうか?

彼の発声を見ていると、口があまり開きません。これを見ても、いかに声帯を合わせる発声に特化しているか、が判ります。
良く合うので、中音域は声が前に飛びますが、その音域はせまくなります。
すなわち、E~Eまでの1オクターブに限定されてしまう。

ということで、口を開けた発声ということと、響きを胸に共鳴させる意識をもう少し持つこと、を指示しました。
これが功を奏して、ふくよかなバリトンらしい共鳴を伴った良い響きが出て来ました。

口を開けるだけで、声帯がわずか開いて息が出るので、共鳴が自然に出てくる感じです。
閉じれば良いというのではなく、わずかに開くことで息が自然に吐けるようになる、と思います。

Piacer d’amor,Ombra mai fuと、成果を出せ、そのままの声の状態でTu lo saiに行きました。
最後の高音で、少し疲れてしまう傾向がありますが、本番の集中があれば、問題なく乗り切れるレベルまで勉強されたでしょう。